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91 榛名が女装したときの話
※榛名くんが高校生の時のお話で、番外編のようなものです。
興味のない方はスルーしてください。
「ねえ榛名、一回私と制服交換してみらん?」
「は?」
榛名がいきなり親友の郁にそんなことを言われたのは、体育の授業中だった。
「なん言いよっと郁……俺の性別知っちょるか?」
「知っちょるわ、榛名って私と身長そんな変わらんし、肩も細いし身体薄いし絶対女子の制服着れるって」
「身長10センチくらい違うっちゃけど、郁にとっては誤差の範囲? あと身体薄いって言うな。着れるか着れないかの問題でもないし」
「うふ。私、男子の制服一度着てみたかったとよ。ね、お願い! 決定!」
「そっちか。って……決定!?」
押しに弱い榛名が郁に逆らえるはずもなく、そのまま体育の授業は終わった。
看護科は女子の人数が圧倒的に多いため、女子は教室、男子は更衣室で着替えるのだが、榛名はジャージ姿のまま制服を持って教室に来させられた。
中にいる女子全員が着替え終わった頃を見計らって、教室に入る。
「榛名ーぁ! こっちにこいこい」
榛名と同じくジャージ姿だった郁に手招きされ、榛名は郁のもとに行った。
「ホントに俺、郁の制服着ると?」
「さっき決定したやん、ホラ交換交換!」
郁は本当は男子の制服が着たかったわけではなく、単に榛名に女子の制服を着させたかっただけである。
そして榛名がため息をついて郁の制服に袖を通したところ、何事かと二人の周りにクラスメイトの女子が群がってきた。
女子の前で着替えるのは恥ずかしいが、堂々とズボンを脱いで着替えようとしたら郁に止められ、スカートを履いたあとにズボンを脱ぐ、という方法を伝授された。
「郁、スカート腰回りがゆるいー、落ちそう……」
「男子のくせに私より細いとか腹立つわぁ。てか、似合うなオイ」
「きゃあ、榛名っちょカワイイー! てっげ似合っちょるー!!」
「ホント可愛いー! メイクもしよーや!」
「え、ちょ、ちょっと!?」
あれよあれよと女子に囲まれ、榛名はあっという間にオモチャにされた。
ファンデーションを塗られ、アイラインを引かれ、マスカラを塗られて色つきリップを塗られ……もうすぐ帰りのホームルームが始まるというのに、自分の制服には着替えさせてもらえない。
「げー! ちょっとまじでてげ可愛くない!? これヅラ被ったら完璧女子やない!?」
「あたしウィッグ持っちょるよ~、黒髪ロングストレートのハーフウィッグ」
「それ被せたい! 明日持ってきて!」
「あの……俺を無視して勝手に盛り上がらんでくれん?」
もはや榛名が何を言おうと、女子は止まらない。
「ていうか榛名っちょ、文化祭のミスコン出れるっちゃないと? 看護科一年の代表で、商業科の女子負かせるっちゃない!?」
「あー絶対イケる! ミスコン目指して榛名を可愛くしようや! ギャルばっかの商業科が男に負けるとかてっげウケる!!」
「男は清楚系好きやしね! 絶対榛名の優勝やじ!」
看護科と商業科は、お互い殆ど女子しかいないせいか犬猿の仲だ。
「あの、何の話をしちょると……?」
もはや自分にはどうにもできないところまで話が進んでしまっている。
涙目で親友を見ると、慰めるようにぽんと肩を叩かれた。
「諦めろ、榛名」
「……」
それは、すごくいい笑顔だった。
そして文化祭当日。
今日に至るまできっぱりと断れることもなく、榛名は郁の制服を借りて再び女装してミスコンが始まるのを教室で待っていた。
隣には郁がマネージャーの如く一緒にいて、メイクの直しやら髪の直しやらをしてくれている。
「榛名ぁ、ちょっと前髪切ろっか」
「は?」
「前髪がうっとおしいっちゃわ。それにぱっつんの方がより顔が見えるし、女子にも見えるし」
そう言って、郁は筆箱から大きなはさみを取り出した。
さすがにそれは榛名も必死で抵抗した。
「ちょっと待って、それだけは勘弁して! 今日が終わったら俺二度と女装なんてせんちゃから!」
「やかましいっ、それなら今日一日は完璧に女子になりきらんね! 優勝どころか商業科に負けたらアンタ、明日から自分がどんな扱い受けるかわかっとると? みんなの期待を裏切らんでよ!」
「俺が希望したわけじゃないとに~!」
「ガタガタ言わんと、早よトイレ行くよ!」
「横暴!!」
連れて行かれたのはもちろん女子トイレだ。
榛名は恥ずかしくて仕方がなかったが、榛名を男だと知っているのは看護科の一年女子だけなので、すれ違う男からは妙に熱い視線を送られていた。
「今の子見たか?」
「すっげぇ可愛かったな。何科やろうな?」
トイレで郁に前髪をざくざく切られ、視界はよくなったがまるで日本人形のようなヘアスタイルにされてしまった。
「お、俺の前髪が……」
「ほら、ワックスで整えるからこっち向く!」
「ううう」
「コラ泣くな、メイクが落ちる!」
そして、校内放送が流れた。
『午後からのミスコン参加者の方は、至急体育館に集合してください』
「あ! 呼ばれちょる。榛名、行くよ!」
「ホントに俺が出らんといかんと? 郁、代わりに出てよぉ」
「悔しいけどアンタの方が私よりだいぶ可愛いわ! くそむかつくけど!」
「ええええ」
全然嬉しくないと思いながらも、榛名は郁に手を引かれながら急いで体育館へと向かった。
興味のない方はスルーしてください。
「ねえ榛名、一回私と制服交換してみらん?」
「は?」
榛名がいきなり親友の郁にそんなことを言われたのは、体育の授業中だった。
「なん言いよっと郁……俺の性別知っちょるか?」
「知っちょるわ、榛名って私と身長そんな変わらんし、肩も細いし身体薄いし絶対女子の制服着れるって」
「身長10センチくらい違うっちゃけど、郁にとっては誤差の範囲? あと身体薄いって言うな。着れるか着れないかの問題でもないし」
「うふ。私、男子の制服一度着てみたかったとよ。ね、お願い! 決定!」
「そっちか。って……決定!?」
押しに弱い榛名が郁に逆らえるはずもなく、そのまま体育の授業は終わった。
看護科は女子の人数が圧倒的に多いため、女子は教室、男子は更衣室で着替えるのだが、榛名はジャージ姿のまま制服を持って教室に来させられた。
中にいる女子全員が着替え終わった頃を見計らって、教室に入る。
「榛名ーぁ! こっちにこいこい」
榛名と同じくジャージ姿だった郁に手招きされ、榛名は郁のもとに行った。
「ホントに俺、郁の制服着ると?」
「さっき決定したやん、ホラ交換交換!」
郁は本当は男子の制服が着たかったわけではなく、単に榛名に女子の制服を着させたかっただけである。
そして榛名がため息をついて郁の制服に袖を通したところ、何事かと二人の周りにクラスメイトの女子が群がってきた。
女子の前で着替えるのは恥ずかしいが、堂々とズボンを脱いで着替えようとしたら郁に止められ、スカートを履いたあとにズボンを脱ぐ、という方法を伝授された。
「郁、スカート腰回りがゆるいー、落ちそう……」
「男子のくせに私より細いとか腹立つわぁ。てか、似合うなオイ」
「きゃあ、榛名っちょカワイイー! てっげ似合っちょるー!!」
「ホント可愛いー! メイクもしよーや!」
「え、ちょ、ちょっと!?」
あれよあれよと女子に囲まれ、榛名はあっという間にオモチャにされた。
ファンデーションを塗られ、アイラインを引かれ、マスカラを塗られて色つきリップを塗られ……もうすぐ帰りのホームルームが始まるというのに、自分の制服には着替えさせてもらえない。
「げー! ちょっとまじでてげ可愛くない!? これヅラ被ったら完璧女子やない!?」
「あたしウィッグ持っちょるよ~、黒髪ロングストレートのハーフウィッグ」
「それ被せたい! 明日持ってきて!」
「あの……俺を無視して勝手に盛り上がらんでくれん?」
もはや榛名が何を言おうと、女子は止まらない。
「ていうか榛名っちょ、文化祭のミスコン出れるっちゃないと? 看護科一年の代表で、商業科の女子負かせるっちゃない!?」
「あー絶対イケる! ミスコン目指して榛名を可愛くしようや! ギャルばっかの商業科が男に負けるとかてっげウケる!!」
「男は清楚系好きやしね! 絶対榛名の優勝やじ!」
看護科と商業科は、お互い殆ど女子しかいないせいか犬猿の仲だ。
「あの、何の話をしちょると……?」
もはや自分にはどうにもできないところまで話が進んでしまっている。
涙目で親友を見ると、慰めるようにぽんと肩を叩かれた。
「諦めろ、榛名」
「……」
それは、すごくいい笑顔だった。
そして文化祭当日。
今日に至るまできっぱりと断れることもなく、榛名は郁の制服を借りて再び女装してミスコンが始まるのを教室で待っていた。
隣には郁がマネージャーの如く一緒にいて、メイクの直しやら髪の直しやらをしてくれている。
「榛名ぁ、ちょっと前髪切ろっか」
「は?」
「前髪がうっとおしいっちゃわ。それにぱっつんの方がより顔が見えるし、女子にも見えるし」
そう言って、郁は筆箱から大きなはさみを取り出した。
さすがにそれは榛名も必死で抵抗した。
「ちょっと待って、それだけは勘弁して! 今日が終わったら俺二度と女装なんてせんちゃから!」
「やかましいっ、それなら今日一日は完璧に女子になりきらんね! 優勝どころか商業科に負けたらアンタ、明日から自分がどんな扱い受けるかわかっとると? みんなの期待を裏切らんでよ!」
「俺が希望したわけじゃないとに~!」
「ガタガタ言わんと、早よトイレ行くよ!」
「横暴!!」
連れて行かれたのはもちろん女子トイレだ。
榛名は恥ずかしくて仕方がなかったが、榛名を男だと知っているのは看護科の一年女子だけなので、すれ違う男からは妙に熱い視線を送られていた。
「今の子見たか?」
「すっげぇ可愛かったな。何科やろうな?」
トイレで郁に前髪をざくざく切られ、視界はよくなったがまるで日本人形のようなヘアスタイルにされてしまった。
「お、俺の前髪が……」
「ほら、ワックスで整えるからこっち向く!」
「ううう」
「コラ泣くな、メイクが落ちる!」
そして、校内放送が流れた。
『午後からのミスコン参加者の方は、至急体育館に集合してください』
「あ! 呼ばれちょる。榛名、行くよ!」
「ホントに俺が出らんといかんと? 郁、代わりに出てよぉ」
「悔しいけどアンタの方が私よりだいぶ可愛いわ! くそむかつくけど!」
「ええええ」
全然嬉しくないと思いながらも、榛名は郁に手を引かれながら急いで体育館へと向かった。
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