198 / 322
104 堂島、悔し泣きする
朝、ガンガンと容赦なく襲いかかってくる頭痛によって二宮は目が覚めた。
しかし、ゆっくりと身体を起こして周りの状況を確認すると、もっと頭が痛くなりそうな予感がした。
(どういう状況だ、これは……)
部屋が大変なことになっている。昨日は堂島と飲んだことは覚えているが、こんなに部屋を荒らした覚えは無い。
何故か着ていた服はあちこちに散乱しているし、食べ物は食べかけのまま、飲み物は飲みかけのまま。
そして何より、布団からはひどい臭いがした。
「うわ……」
むわっとするのは主にウイスキーの臭いで、それと自分が汗くさい。
一番強いにおいを発しているのは、既に乾いてはいるが明らかに精液だった。
そして一番の謎は、何故か自分の隣に全裸の堂島が寝ているということ。
二宮は、昨夜の覚えている範囲とこの状況を踏まえた結果を予想してみた。
(えええ……? いや……ないない。マジでこれは……ないだろ)
思い立ったあと、バッと布団をめくって股間を確認する。
感覚で分かっていたものの、やはり下着は履いていなかった。
それどころか精液と陰毛が絡まってカピカピに乾いており、ひどい状態になっている。
明らかに何度もセックスをした後だった。
(いやいやいや!!)
ここまで状況証拠が残っているにも関わらず、それでもなお信じがたくて、堂島にかかっている部分の布団もめくってみた。
多少の抵抗はあったものの、男同士ではソコを使うという噂の場所にそっと手を伸ばし、ゆっくりと触れた。
「っ!」
堂島のソコは柔らかく、まだ少し濡れていた。
(う……嘘だろ?)
「ひゃっ」
デリケートな部分に二宮が触れたことで、堂島はびっくりして目が覚めたらしく、飛び起きた。
「あ、悪い起こした」
「……」
「……」
同じベッドの上で目が合った二人は、そのまま見つめ合い固まってしまったのだった。
堂島は自分を見つめたまま何も言わないので、とりあえず先輩の自分が……と思い、二宮は口を開いた。
「お……おはよう」
「……」
声を掛けても無反応な堂島を、二宮は自分同様にこの状況を理解できていないものだと思った。
だから落ち着かせるために――自分もまだ完全には落ち着いていないのだが――優しく肩を掴んで、顔を覗き込んで名前を呼んだ。
「……おい、堂島? 大丈夫か?」
そしたら。
「……っ!」
何故か堂島は自分を見て、ボッと顔を真っ赤に染め上げたのだった。
(もしかして……堂島は、覚えている?)
そう思って、再びゆっくりと話しかけた。
確信はあるものの、確認は大事だ。どうしてそういう状況になったのかという理由も。
「あのさ、昨日……もしかして俺たち、ヤったのか? 俺は全然覚えてねぇんだけど」
「覚えてない?」
「うん。覚えてない」
「本当に本気で、覚えてないんスか?」
「ああ。どっちから誘ったんだ?」
「……」
今の言葉は少しマズかったかもしれない、と二宮は思った。
もし相手が女だったとしたら、何も聞かずにただひたすら謝る。
たとえ自分から誘っていなくても、男の自分が襲わないと成り立たないからだ。
けれど、今回の相手は堂島だ。
男で、職場の後輩。
だから無遠慮に聞いてしまったのだが、この反応は……。
「……ウイスキーで酔っぱらった二宮先輩がドSの鬼畜野郎に変貌して、半ば無理矢理俺のことをレイプしたんッスよ」
「ええええ!?」
自分がドSの鬼畜野郎? なんだそれは。
……想像すらつかない。
そして、堂島をレイプした? 男相手に見境もなく?
目を潤ませている堂島が嘘をついているようには見えなかった。
なので、後輩とはいえこれ以上傷つくような言葉をかけるのは自重した。
堂島は二宮に追求する。
「本当に覚えてないんですか!? 俺のこと裸にしてなじってケツ叩いて、壁殴って威張り散らして脅して、無理矢理ケツにマグナム級デカチンポ突っ込んだのに!! あんたまじで最低っすね!!」
「え……」
堂島は、自分がウイスキーを持ってきたことや、二宮の忠告を無視して飲ませたことは言わなかった。
男同士のセックス動画を見せたことも。
それにそこまで無理矢理でもなく、途中からは自分が流されたということも。
二宮の全く覚えていないという態度が、本当に悔しかったからだ。
「……っ」
悔しすぎて、涙まで出てきた。
堂島の涙を見て二宮は多いに焦った。
彼の言ったことは全て真実なのだろうと思ったのだ。
「す……すまなかっ……」
「全然覚えてない癖に、今更謝って欲しくなんか無いッス!!」
堂島の目からはぼろぼろと次から次へ大粒の涙が溢れてくる。
二宮が覚えていないとはいえ――醜態を見せた昨夜に比べたら、泣くことなんて全然恥ずかしいことじゃないと思った。
だから、拭いもせずに涙をこぼし続けた。
そして二宮は、堂島の涙を見てぎゅうっと胸が締め付けられる思いがした。
「ほ、本当にごめんな。堂島」
「うるせぇ~……」
二宮はどうしていいのか分からず、泣きじゃくる堂島を抱きしめた。
相手は女じゃないのに、どうして自分がそんな行動をとったのかは分からない。
けれど何故か、抱きしめたくなったのだ。
すると堂島は、意外にも抵抗せずに二宮に大人しく抱きしめられていた。
「うっ……うっ……二宮先輩すっげぇ怖かったし、ケツもすっげぇ痛かったんスよ」
「ごめん……」
「俺の男としてのプライドも粉々っす……どうしてくれるんですかっ、どう責任取ってくれるんスか!?」
「責任?」
そうだ、責任を取らなければ。
けど、男同士の場合はどういう責任を取ればいいのだろう?
「か、金か? 慰謝料は幾ら払えば……」
「はあ~!?」
「あ、違うのか。じゃあ……今度は外に飲みに」
「もうアンタとは二度と酒呑まねぇー!!」
参った。
金も要らないのなら、どうやって責任を取ればいいのか二宮は本気で分からなかった。
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~
柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】
人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。
その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。
完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。
ところがある日。
篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。
「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」
一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。
いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。
合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
魔性の男
久野字
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。
最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。
そう、思っていた。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕