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12 南條志信の黒いつぶやき
しおりを挟む俺の顔を見ないように下を向いて弁当を食べている雨宮は小動物みたいでめちゃくちゃ可愛い。俺を見て真っ赤になる姿も、可哀想だけど鼻血を噴く姿も、俺の手で射精する姿も、泣いてる姿もとにかく全部が可愛い。
さっきの発言内容は97%が分からなかったかったが、まあ世代の違いってヤツだろう。“semesama(セメサマ)”が何の単語なのかは、仲良くなってから詳しく教えてもらおう。
──俺の名前は南條志信。今年で28歳になる一介の化学教師だ。遠い昔に自覚済みのゲイだが、別にショタコンじゃない。17はショタに入らな……まあ、十分ガキだけど。でもショタじゃない。俺は子どもすぎる子供には興味ない。
――とある公立高校の化学教師になって早二年。最初はションベン臭ぇ高校生を相手に授業をするなんて冗談じゃねーと思っていたが、それまで在籍していた大学の研究室で俺が振った女が腹いせで変な噂を流し、自主退職に追い込まれて無職になり、このご時世だから仕方なく丁度募集していたこの仕事に着いた。
一応取っておいた教免が役に立つ日が来るなんて思わなかった。そして、こんな辺鄙な高校で俺好みのジャスト平凡顔に会えるとはな……!
そいつの名前は2年A組出席番号1番、雨宮卯月。2年の中ではズバ抜けて化学の成績がいい。他の教科はどうか知らないが、化学がここまで出来るならまあまあいいんじゃねえの、と思う。
生徒に嫌われる定番教科の化学を理解してもらえるだけでもありがたいのに、何故かコイツは授業中、ずぅぅ~っと俺を熱い目で見つめているのだ。
俺は授業中、生徒の居眠り防止のためによく質問をするので、どいつもこいつも俺とは極力目を合わせないよう下を向いているのに、雨宮だけは穴が開きそうなくらい熱心に俺を見ているので、嫌でも目立つし存在も覚える。
完っっ璧に惚れられている……。
俺のゲイセンサーが働かなくても分かった。
高校生相手に恋愛する気なんて一切なかったのに――大体俺はどっちかというと年上の方が好みだった――いつのまにか俺も雨宮を意識するようになって、よく見たら俺好みの顔してねぇかコイツ!? って気付いたときは、俺も相当雨宮のことが好きになっていた。
雨宮の目に俺がどう映っていたのかは知らないが、俺の性格が思っていたのと違ったとか文句を言うのはできればやめてほしい……。
顔がかっこよくて性格もいいイケメン? 存在するかぁ、ンなモンッッ!!!!
イケメンの99%は腹黒で出来ています。世のイケメン代表――芸能人は一見顔も性格もよさ気なパーフェクトヒューマンが多いが、あいつらは仕事だから性格の良い自分を演出しているだけだ。つまりキャラクターなんだ。騙されてんじゃねぇぞ。
自分の性格が歪みすぎているのは自覚している。この顔には今までだい――ぶ様々な苦労をさせられてるから、齢28、そりゃ性格も歪むってモンだろ。むしろ性格がいい方がおかしいだろ!!
とりあえず仏頂面で怖い先生ぶっとけばウザい高校生に懐かれることもない。もちろん最初の頃は女子がわらわらと群がってきたが、一人に思いっきり冷たく対応したら俺が性格が悪すぎるという噂が広まって、全員すぐに離れて行った。JK、ちょろすぎるぜ!
もう二度と研究室の時のようなヘマはしない。女は全員敵だ!!
――とまあ、そんなことはどうでもいい。
雨宮は男友達が少ないのだろうか。見た時はいつも女子と一緒にいる。A組の出席番号2番の池田律とはかなり仲が良く、授業が始まる直前までいつも楽しそうにオシャベリをしている。あと、他のクラスの女子と一緒にいるところもよく見る。B組の大月香奈と、D組の深町藍だ。
この三人、容姿はかなりの上玉だが化学の成績は最悪中の最悪だ。まさにザ・文系女子って感じ。なんとか毎回赤点はぎりぎり免れているが、きっと雨宮がテスト前に教えてやっているのだろうと考えられる。なんて優しくて面倒見がいいんだ、雨宮。お前のその優しさで俺の腹黒い性格も包み込んで欲しい。
雨宮は俺のことは大好きみたいだが、ゲイっぽい雰囲気は無い。かといって性同一性障害みたいな中身はオンナって感じもしない。いったいあの3人娘とはどういう関係なのか、何故仲良くなったのか、雨宮大好きな俺としては非常に気になるところだ……。
でも、池田は今日俺が雨宮を化学準備室に誘った時に後押ししてくれたからな、何故か。キラッキラした目で。俺の嫌いな女とは少しタイプが違うらしい。雨宮は少し嫌そうな顔をしていたけど……照れていたんだよな! 友達の前だからな! それ以外考えられない。
にしてもさっきの雨宮は可愛かった……俺にされるがまま喘いで、簡単にイッちまった。反応からして処女確定だ。これから俺の手でどう覚醒していくのかを考えたら、年甲斐もなく胸の高鳴りが止まらないぜ! いや、俺はそこまでオッサンじゃない、まだ20代だ。
――しかし、ここで何故か問題がひとつ。
『俺は南條先生のこと、好きとかそんなんじゃありません!』
……は? ハ!? HA~~!?!?
うん、それしか言えない。あれだけ南條先生好き好き抱いてメスにしてオーラを出していて、なおかつ自ら化学準備室に来て俺に下半身を差し出した癖に(勘違い)俺を好きじゃない……だと?
処女じゃなかったら相当な小悪魔に認定するところだ……。
どうして素直に俺が好きだと認めないんだ? 俺はガキと違って言葉にはこだわらないが、あそこまで泣いて拒否されるのは想定外だった。聞けば、俺は雨宮にとって推し――つまり、アイドルらしい。でも好きなアイドルから好きだって言われたら普通は嬉しいんじゃないのか? だって毎晩俺をオカズにするくらいの好きレベルなんだぞ!?
今だって、俺の淹れてやった食後のコーヒーを飲みながらちらちらと俺の様子を伺っているし……うん、可愛いすぎて有罪判決。絶対に俺と結婚してもらう。新婚旅行はどこに行こう。
「……あの、南條先生はお昼食べないんですか?」
「ああ、午後の授業で眠くなるからな。昼はコーヒーと煙草だけだ」
「そうなんですか……」
そうやって俺の情報をひとつ知るたびにキラキラした目を向けてきて……ああもう可愛いんだよ!! くっそ!! くっそ!! くっそ――!!
ぜったい近いうちに雨宮の口から『南條先生が好き』って言わせてやる! そして『semesama』というセメントの一種みたいなものの詳細を聞いてやるからな!!
覚悟しとけ、雨宮卯月!!
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