雨宮卯月は腐男子である

すずなりたま

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13 腐女子に相談~友達編~

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「はぁ……」

 放課後、4人で――俺、りっちゃん、あいちん、かなやん――高校近くにあるカフェにやってきた。他のテーブルにもうちの学校の生徒をちらほら見かけるが、女子3人と来てる男は俺くらいだ。モテモテで困っちゃう! ……なーんてことは一ミリも考えてない。たとえ周りの男子からどんなキッツイ目で見られていようともな……!

「うっちゃんてば、溜め息ばっかつくのやめなよぉ~」
「そうだよ、せっかく大好きな南條先生とお付き合いしてるのにぃ」
「付き合ってません!! ていうか外で名前出したらダメーッ!!」

 誰が聞いてるかもわかんないのにッッ!! 南條先生のことは別に好きじゃないけど、その立場を危うくしたいわけじゃない。学校で生徒に手を出す変態教師だけど……それでも顔は変わらない、俺の大好きな攻め様だ。あくまで、攻め様ね。好きなんかじゃありません。あーコーヒーうめー!!

「んじゃあ先生のことなんて呼ぼうか?」
「そーだねぇ……」
「てか、普通に先生って言うのもマズイよねぇ」

 うーんと真剣に考え込むりっちゃん、あいちん、かなやん。どうせ真剣に考えるなら俺のこの先について考えてくれないだろうか。
 三人は俺と違って新作のオシャレなラテなんかを飲んでいる。見た目だけなら腐ってるなんて到底思えないのである。

「うっちゃん、新刊の攻めキャラって先生がモデルなんでしょ? キャラの名前は?」
「えっ!? み、ミナミ……」
「モロじゃん! でもそれでいいんじゃない、ミナミさん」
「そうだね、ミナミさんで決定」

 モロって言うなよ!! モロだけど。まあ外で南條先生って呼ぶよりいいか……でもそんなに呼ぶ必要ある? もうMさんでいいじゃん、Mさんで!

「で、今日はミナミさんにナニされたの?」
「は?」

 いま、何じゃなくて“ナニ”って言った? 俺、腐男子だけど腐女子が怖い。りっちゃんは両手でラテを持った可愛すぎるポーズで、ワクワクしながら俺にえげつない質問をした。

「とぼけちゃって~、うっちゃん5時限目また心ここにあらずって感じだったじゃん! 一体今度はどんなエロいことをされたんだろうってかなり妄想が捗ったよぉ~」
「あはははそれはとんだ妄想だね、決してナニをナニされたとかそういうあああああああ」

 俺の馬鹿ぁぁぁぁ!!! すぐゲロっちゃうの馬鹿ぁぁぁ!!!! ナニをナニされたとか、一般人には伝わらなくても腐女子には分かっちゃうよぉ!

「ちょっ、うっちゃん! もっと詳しく聞かせろ下さい!!」
「もう俺は一言も喋りません!!」

 あ、ちなみに俺達これでも結構小声で話してます。ここは教室じゃなくて公共の場だからね。その辺は一応ちゃんとわきまえてるよ!

「とにかく君たちは一応女の子なんだから、そんな……男のシモのことを喜々として話すわけにはいかないんだよッッ!」

 化学準備室で無理矢理チンコ触られてイかされたとか口が裂けても言えるかぁぁ!! つーか相手が腐女子じゃなくても誰にも言えんわ!!

「腐った女子だからダイジョーブ」
「こちとらそれを生きがいにしておりますゆえ」
「ていうかうっちゃんがいつも喜々として語ってるよね」
「ああああごめんなさい!!!!!」

 そんな楽しいようで楽しくない会話を繰り広げていると――

「なあ、あいつってA組の雨宮だろ? いっつも女侍らせてるよな……」
「意味もなくムカつくよな。イケメンでもねぇくせに」

 ほらぁぁぁ、他のテーブルにいる他クラスの男子から意味もなくムカつかれてるよ俺ぇ! イケメンじゃないって? そんなん自分が一番分かってますけど!? 何か文句あるっ!?

「うっちゃん、あんなモブ男子はほっといて詳細教えてってばぁ」
「そうだよぉ、モブ攻めも嫌いじゃないけど、今は本命カプの話が聞きたいのー!」
「俺を受け前提で考えるのはやめてッッ!」

 ていうか俺も腐男子として話させてよぉぉ!! みんなで楽しく腐トークしたいのに、その話題が俺とか嫌すぎるッッ! 何も萌えない!! まあ今日はそんな話をしに来たんじゃないんだけど。

「ていうかさ、みんなマジで真剣に考えてよ! 俺、な……ミナミさんのこと、本当に好きでもなんでもないんだよ? ただの純粋な憧れなの! 推しなの!! でも向こうは俺がすっごい自分のこと好きだって勘違いしてるし、どうやってこの誤解を解いたらいいと思う? 今日も必死でそう伝えたけど、ミナミさんの思考回路がポジティブすぎて一ミクロンも伝わらなかった」
「「「………」」」

 俺の言葉にポカンと口を開けている3人。ようやく俺の真剣さが伝わったのか? ――すると、りっちゃんがぽつりと呟いた。

「……憧れっていうのは、要するに『好き』ってことだよね」
「ん?」

 続いて、あいちんが言った。

「普通、嫌いな相手に憧れたりしないもんね」
「そ、そりゃそうだけど」

 最後に、かなやんが締めた。

「つまり……誤解じゃなくない?」

 ま、まとめた……オシャレなラテを飲みながら、綺麗にまとめやがりました……!! 腐女子3人がにんまりとした顔で俺を見るので、思わずタジタジとしてしまう。こ、この女子特有の『なんでもわかってます』感、これだけは男の俺は出せないからニガテだ。姉達然り、絶対勝てそうにない、という意味で……!

「うっちゃん、ミナミさんが自分を好きだってことにあまりにも驚いたから、まだ現実を受け入れられてないだけだよね?」
「ま、我々はしばらく温かく見守りますかぁ」
「そうだね~。あ、でも相談ならいつでも受け付けるよ、うっちゃん!」
「今まさに相談しているんですが……」

 うう……誤解じゃないと言えばそうかもしんないけど、誤解なんだよぉぉ! だって俺ゲイじゃないもん! 性別腐男子だもんッッ!!
 ああ、姉さん達に相談したら少しは違う答えが返ってくるだろうか? 期待はせずに帰ろう……。
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