1 / 76
1 イケメン大学生は霊が怖い
しおりを挟む
「あっ……ねぇねぇ見て、あの人」
「わぁ、イッケメーン……王子様みたい」
礼二郎は今朝、珍しく寝坊してバスに乗り遅れたため、仕方なく駅まで歩いて電車に乗っていた。
(フフ……今日も俺は見られているな)
礼二郎は彼女たちに対するサービスとばかりに前髪をサラッと横に流す仕草──日曜日の某国民的アニメのキザなキャラクターのように──をしてみせた。
「……カッコイイけど、ちょっと残念な人かもね……ナルシスト?」
「ぷぷ、そんなこと言っちゃダメだって! 可愛いじゃん、痛々しいイケメン(笑)」
「見てる分には面白いけど、絶対に付き合いたくはないよね~」
「それな~」
(今度はなんか笑われてる……なんでだ? 俺がかっこよすぎるせいか?)
ふと、目の前に座っているサラリーマンに何故か可哀想な子を見るような目で見られているのに気付いた。
きっと体調が悪いのだろう。
もし礼二郎が座っていて、サラリーマンが立っていたのなら席を譲ってあげるところだが、今の立場は逆だ。
つまり、礼二郎に出来ることは何も無い。
(フゥ、俺って本当にカッコよくて親切で完璧すぎる人間だな……)
心の中でエア親切をしただけで結局何もしていないのだが、礼二郎は一人で満足げに微笑んだ。
彼の名前は槐礼二郎、19歳。都内の私大に通う大学一年生である。
まあまあの高身長に、サラサラの天然茶髪と茶色の瞳──全体的に色素の薄い、甘いルックスをしている。
中高時代の成績は常に10番以内をキープしており、運動神経も抜群で苦手なスポーツも特に存在しない。(飛びぬけて得意なものもないが)特技は料理とピアノだ。
父は映画監督で母は女優、兄は一流企業に勤めており、それなりに裕福な家庭で愛されて育った。
黙っていれば異性にはキャーキャー×∞言われるし、勘違いするには十分なスペックの持ち主だ。
しかしそんな彼には、ものすごく苦手なものがあった。
(そういえば、電車に乗るの久しぶりだな。こっちの方が早いのに、なんでバス通にしたんだっけ……?)
何気なくそう思い目線を上げた瞬間、窓越しに女性と目が合った。
ガラスの反射ではなく、外にいる女性とだ。ちなみに電車は走行中である。
彼女は青白く血塗れの顔に、ボサボサの長い髪、何も映し出さない瞳をしている。もちろん生きた人間ではなく、いわゆる──
「ヒィッッ!?」
──幽霊、というやつなのだが。
咄嗟に両手で口を押えて絶叫は飲み込んだものの、礼二郎は驚きのあまり腰が抜けて、その場にぺたんと座り込んだ。
すっかり忘れていた。
確か一ヶ月前も同じようないきさつで電車に乗り、走行中の車窓から全身血まみれの男性の霊を視たのだ。
彼らが自分で飛び込んだのか、誰かに突き落とされたのかは定かではないが、とりあえず強い恨みを抱いて現世にとどまっているということだけはなんとなく分かる。
「き、君、大丈夫か? 貧血かい?」
「ぅう~……っ」
近くに立っていた人間に声を掛けられたものの返事はできず、恐怖で身体がガタガタ震え、涙がボロボロ溢れてくる。
立っているだけで目立っていたイケメンの突然の奇行に、周囲は一時騒然となった。
「と、とりあえずここに座りなさい。ほら、涙を拭いて」
目の前に座っていたサラリーマンに席を変わられ、差し出されたハンカチを遠慮なく受け取った。
「グスッグスッ、お、おじさん、ありがとうございます……」
「!(キュン♡)」
「!?(キュン♡)」
「!!(キュンキュン♡♡)」
エア親切をしたつもりが逆に親切にされ、先程の態度からは想像できない無防備な泣き顔を晒したことで、ナルシストイケメンとバカにしていたサラリーマンと女性二人をキュン死にさせた礼二郎だったが、本人はそれどころではなかった。
――そう、礼二郎はこの世で霊というものが最も苦手だった。
その次はゴキ○リ。
「わぁ、イッケメーン……王子様みたい」
礼二郎は今朝、珍しく寝坊してバスに乗り遅れたため、仕方なく駅まで歩いて電車に乗っていた。
(フフ……今日も俺は見られているな)
礼二郎は彼女たちに対するサービスとばかりに前髪をサラッと横に流す仕草──日曜日の某国民的アニメのキザなキャラクターのように──をしてみせた。
「……カッコイイけど、ちょっと残念な人かもね……ナルシスト?」
「ぷぷ、そんなこと言っちゃダメだって! 可愛いじゃん、痛々しいイケメン(笑)」
「見てる分には面白いけど、絶対に付き合いたくはないよね~」
「それな~」
(今度はなんか笑われてる……なんでだ? 俺がかっこよすぎるせいか?)
ふと、目の前に座っているサラリーマンに何故か可哀想な子を見るような目で見られているのに気付いた。
きっと体調が悪いのだろう。
もし礼二郎が座っていて、サラリーマンが立っていたのなら席を譲ってあげるところだが、今の立場は逆だ。
つまり、礼二郎に出来ることは何も無い。
(フゥ、俺って本当にカッコよくて親切で完璧すぎる人間だな……)
心の中でエア親切をしただけで結局何もしていないのだが、礼二郎は一人で満足げに微笑んだ。
彼の名前は槐礼二郎、19歳。都内の私大に通う大学一年生である。
まあまあの高身長に、サラサラの天然茶髪と茶色の瞳──全体的に色素の薄い、甘いルックスをしている。
中高時代の成績は常に10番以内をキープしており、運動神経も抜群で苦手なスポーツも特に存在しない。(飛びぬけて得意なものもないが)特技は料理とピアノだ。
父は映画監督で母は女優、兄は一流企業に勤めており、それなりに裕福な家庭で愛されて育った。
黙っていれば異性にはキャーキャー×∞言われるし、勘違いするには十分なスペックの持ち主だ。
しかしそんな彼には、ものすごく苦手なものがあった。
(そういえば、電車に乗るの久しぶりだな。こっちの方が早いのに、なんでバス通にしたんだっけ……?)
何気なくそう思い目線を上げた瞬間、窓越しに女性と目が合った。
ガラスの反射ではなく、外にいる女性とだ。ちなみに電車は走行中である。
彼女は青白く血塗れの顔に、ボサボサの長い髪、何も映し出さない瞳をしている。もちろん生きた人間ではなく、いわゆる──
「ヒィッッ!?」
──幽霊、というやつなのだが。
咄嗟に両手で口を押えて絶叫は飲み込んだものの、礼二郎は驚きのあまり腰が抜けて、その場にぺたんと座り込んだ。
すっかり忘れていた。
確か一ヶ月前も同じようないきさつで電車に乗り、走行中の車窓から全身血まみれの男性の霊を視たのだ。
彼らが自分で飛び込んだのか、誰かに突き落とされたのかは定かではないが、とりあえず強い恨みを抱いて現世にとどまっているということだけはなんとなく分かる。
「き、君、大丈夫か? 貧血かい?」
「ぅう~……っ」
近くに立っていた人間に声を掛けられたものの返事はできず、恐怖で身体がガタガタ震え、涙がボロボロ溢れてくる。
立っているだけで目立っていたイケメンの突然の奇行に、周囲は一時騒然となった。
「と、とりあえずここに座りなさい。ほら、涙を拭いて」
目の前に座っていたサラリーマンに席を変わられ、差し出されたハンカチを遠慮なく受け取った。
「グスッグスッ、お、おじさん、ありがとうございます……」
「!(キュン♡)」
「!?(キュン♡)」
「!!(キュンキュン♡♡)」
エア親切をしたつもりが逆に親切にされ、先程の態度からは想像できない無防備な泣き顔を晒したことで、ナルシストイケメンとバカにしていたサラリーマンと女性二人をキュン死にさせた礼二郎だったが、本人はそれどころではなかった。
――そう、礼二郎はこの世で霊というものが最も苦手だった。
その次はゴキ○リ。
10
あなたにおすすめの小説
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる