マイダーリン、この世の全ての怖いものから俺を守ってくれ!!!

すずなりたま

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「しばく……京介?」
「大丈夫?   凄く魘されてたよ」
「え……?」

   まだ、カーテン越しの窓の外は暗い。

「今って……何時?」
「まだ4時過ぎだよ、もう少し寝よう」
「……」
「怖い夢でも見たの?」

 京介の大きな手が礼二郎の頬を拭った。どうやら泣いていたらしい。
   礼二郎は、涙を拭いて離れていこうとしたその手を取ると、もう一度自分の頬を包むように当てた。

「礼二郎?」
「ごめん、嫌だろうけどちょっとだけ手、貸して……」
「あ、いや、全然構わないよ。びっくりしただけで嫌なわけないし……」

 礼二郎は目を閉じて、夢の内容を思い出そうとした。
 けど、何も思い出せない。凄く恐ろしくて嫌な想いをしたことしか……。

(……京介は、最初から俺に優しかったな。普通、なのかもしれないけど)

「礼二郎、ギュッてしてあげようか」
「……いいの?」
「もちろんいいよ、俺たちは恋人同士なんだから。――おいで」

   京介の手が顔から離れてしまったが、その代わり優しく腕を広げられた。

(そっか、恋人って……抱きついても、一緒に寝てもいいんだ。もう大人だから恥ずかしくて家族にはこんなこと出来ないし……だからといって、女の子相手にも出来ないけど。霊に邪魔されるし……)

「ありがとう」

 礼二郎は躊躇なく京介に抱きついた。手を背に回して、収まりやすいポジションを探す。抱き枕みたいに全身で抱きつく体勢が一番居心地が良かった。隙間がないくらい、ぎゅうぎゅう抱きしめられるのがいい。

「礼二郎、俺のこと抱き枕と勘違いしてない? あと二時間は寝れるかな……アラームセットしてる?」
「うん。……京介、好き……」
「ぇっ?」
「京介は好き……やさしいから……」

(優しくて頭が良くてイケメンで、その上怖いものが無いなんて反則だ。除霊師ってなんだよ、かっこよすぎるだろ……虫も躊躇せずに殺せるし……いいなぁ)

「え、えーっと……俺は好き、って。誰か嫌いな人がいるの?」
「みんな……」
「え?」
「みんな、きらい……」

 小学校の頃のことだ。もう誰一人、名前も顔も覚えていない。あの事件のあと、親は礼二郎を転校させたから。

「みんなって? あ、寝ちゃった。寝ぼけ方が可愛いけど、心臓に悪いよ礼二郎……あークソ、寝る前に抜いたのにまた……」

 京介は礼二郎がまた深く寝入ったのを確認したあと、トイレに籠った。
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