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3.バルト海を並び行く幽霊たち
3-16.ただ一つのあこがれだけは、どこの誰にも消せはしない 1
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3-16.ただ一つのあこがれだけは、どこの誰にも消せはしない 1
街に繰り出し、女海賊団は街中の仕立て屋に入っていた。
「ねぇ、この服、おかしくない?」と言う感じで買い物中なのだ。
団員がドレスに宝石を買いあさっていた頃、私は、ある武器屋にいた。
「店主、例のものは?」
「おや、船長さん。三本とも出来ましたよ」
「では、見せてもらおう」
何を見せてもらうのか?
それは、オーダーメイドの傘だ。“武器屋に傘?”と思うなかれ!
これは、立派な武器なのだ。
仕込みがなされていて、この中には、刺突武器が内蔵されているもの、軽ソードが仕込まれているものを発注しておいたのだ。
そして、刺突武器が内蔵されているものは、単純な構造なのだが、ソードは両刃にするのには傘は細い訳だ。
なので、片刃と両刃を作成した。
「やはり、両刃は難しいようね」
「今のところは、これが限界です」
「あっ、それと、ハンドルの先が取れるようにしております。刺突の際に邪魔になりますからね」
そう、傘のハンドル(手元)の小指側のカーブが邪魔で刺突に仕えないのだ。
「そして、玉留めに刺すとこが出来ます」
「これは! 素晴らしいわ」
私が何を喜んでいるのかと言うと、傘のハンドルの小指側のカーブの部分を取り出し、親指側の玉留めにこれをさせるということは、ソードで刺突した際、ズルっと自分の手が滑ってソードの刃で掌を切ってしまわないように、ストッパーの役目を果たせるからだ。
日本刀で言えば、“鍔”の役目を果たす。
さらに、曲がっている方を相手に向ければ、相手の武器をからめとることが出来る。
つまり、日本の十手や空手のサイのような使い方が出来る訳だよ。
これは、良い買い物が出来た。
さて、宿屋に戻ると、皆、良いドレスを買ったようだ。
「コルセットがきついです。お頭……」なんて言っている者もいる。
そして、何故か、ヤスミンは男物の黒いスーツにハットだった。
えぇ、まあ、男前だからか、グッと似合っているわ。でも、この姿で街を歩かれたら、街中のお嬢さん方のあこがれの的になりそうだ。
そして、100人の海賊は、公爵邸に行くことにした。
「あぁ、エマリー。決戦の場だよ」
「私も付いているから、頑張りましょう。ミーナ」
私は貴族としては、こんな派手な赤いドレスは着ないのだけれど、海賊のお頭と令嬢の間を取ったということと、薔薇色の想いが自分にはあるという意味で、この色のドレスを選んだ。
さて、公爵邸に着いた。
伯父は、呼びもしていない商工会の会頭の相手をさせられていた。
「いやぁ、キーナ・コスペル海賊団の皆さんには、お買い上げいただきまして、本当に、本当にありがたいことで……はい、しっかりと税金も支払います。はい」
「ふふふ。計画通り。これで伯父は、私に強く言えないわ」
そうなのだ。これは、購入した店には、「今日、海賊団は公爵邸に招かれたから、買い物に来た」と、団員に言うようにと伝えていた。
それは、店員から店主へ、店主から商工会へと伝わり、会頭自ら職員を連れての参上となった次第だ。
なので、公爵邸は100人の女海賊に、商工会の職員達に各店舗の店主だろうか、かなりの人数になっていた。
無論、屋敷にはこれぐらいは、余裕で入れる。
だが、もし、伯父が私だけを呼ぶつもりだったら、ちょっと心苦しいかもしれないよな。
ガハハ!
そして、熱を出していたアンナも落ち着いたようで、こちらへやって来たわ。
辺りをキョロキョロと見渡しているのが見えた。
そして、どういう訳か、商工会の会頭が司会を始め出したのだ。
次には、乾杯となった。
そこで、「皆さん」と言ったのはエマリーだ。
「私たちから、プレゼントがあります。西インド産のラム酒です。全員で頂きましょう」と言うと、招待客? から歓喜の声があがっている。
「さすが、キーナ・コスペル海賊団だぜ」というような感じだった。
このラム酒に、仕掛けがなされているなど知らずに、伯父も会頭らも口にしたようだな。
そして、伯父には、ローズマリーとイリーゼの美人どころに、ラム酒を注がせに送ることにしたよ。
皆ほどほどに寄ったころに、私は伯父とアンナに呼ばれた。
「隣の部屋で待っている」と。
街に繰り出し、女海賊団は街中の仕立て屋に入っていた。
「ねぇ、この服、おかしくない?」と言う感じで買い物中なのだ。
団員がドレスに宝石を買いあさっていた頃、私は、ある武器屋にいた。
「店主、例のものは?」
「おや、船長さん。三本とも出来ましたよ」
「では、見せてもらおう」
何を見せてもらうのか?
それは、オーダーメイドの傘だ。“武器屋に傘?”と思うなかれ!
これは、立派な武器なのだ。
仕込みがなされていて、この中には、刺突武器が内蔵されているもの、軽ソードが仕込まれているものを発注しておいたのだ。
そして、刺突武器が内蔵されているものは、単純な構造なのだが、ソードは両刃にするのには傘は細い訳だ。
なので、片刃と両刃を作成した。
「やはり、両刃は難しいようね」
「今のところは、これが限界です」
「あっ、それと、ハンドルの先が取れるようにしております。刺突の際に邪魔になりますからね」
そう、傘のハンドル(手元)の小指側のカーブが邪魔で刺突に仕えないのだ。
「そして、玉留めに刺すとこが出来ます」
「これは! 素晴らしいわ」
私が何を喜んでいるのかと言うと、傘のハンドルの小指側のカーブの部分を取り出し、親指側の玉留めにこれをさせるということは、ソードで刺突した際、ズルっと自分の手が滑ってソードの刃で掌を切ってしまわないように、ストッパーの役目を果たせるからだ。
日本刀で言えば、“鍔”の役目を果たす。
さらに、曲がっている方を相手に向ければ、相手の武器をからめとることが出来る。
つまり、日本の十手や空手のサイのような使い方が出来る訳だよ。
これは、良い買い物が出来た。
さて、宿屋に戻ると、皆、良いドレスを買ったようだ。
「コルセットがきついです。お頭……」なんて言っている者もいる。
そして、何故か、ヤスミンは男物の黒いスーツにハットだった。
えぇ、まあ、男前だからか、グッと似合っているわ。でも、この姿で街を歩かれたら、街中のお嬢さん方のあこがれの的になりそうだ。
そして、100人の海賊は、公爵邸に行くことにした。
「あぁ、エマリー。決戦の場だよ」
「私も付いているから、頑張りましょう。ミーナ」
私は貴族としては、こんな派手な赤いドレスは着ないのだけれど、海賊のお頭と令嬢の間を取ったということと、薔薇色の想いが自分にはあるという意味で、この色のドレスを選んだ。
さて、公爵邸に着いた。
伯父は、呼びもしていない商工会の会頭の相手をさせられていた。
「いやぁ、キーナ・コスペル海賊団の皆さんには、お買い上げいただきまして、本当に、本当にありがたいことで……はい、しっかりと税金も支払います。はい」
「ふふふ。計画通り。これで伯父は、私に強く言えないわ」
そうなのだ。これは、購入した店には、「今日、海賊団は公爵邸に招かれたから、買い物に来た」と、団員に言うようにと伝えていた。
それは、店員から店主へ、店主から商工会へと伝わり、会頭自ら職員を連れての参上となった次第だ。
なので、公爵邸は100人の女海賊に、商工会の職員達に各店舗の店主だろうか、かなりの人数になっていた。
無論、屋敷にはこれぐらいは、余裕で入れる。
だが、もし、伯父が私だけを呼ぶつもりだったら、ちょっと心苦しいかもしれないよな。
ガハハ!
そして、熱を出していたアンナも落ち着いたようで、こちらへやって来たわ。
辺りをキョロキョロと見渡しているのが見えた。
そして、どういう訳か、商工会の会頭が司会を始め出したのだ。
次には、乾杯となった。
そこで、「皆さん」と言ったのはエマリーだ。
「私たちから、プレゼントがあります。西インド産のラム酒です。全員で頂きましょう」と言うと、招待客? から歓喜の声があがっている。
「さすが、キーナ・コスペル海賊団だぜ」というような感じだった。
このラム酒に、仕掛けがなされているなど知らずに、伯父も会頭らも口にしたようだな。
そして、伯父には、ローズマリーとイリーゼの美人どころに、ラム酒を注がせに送ることにしたよ。
皆ほどほどに寄ったころに、私は伯父とアンナに呼ばれた。
「隣の部屋で待っている」と。
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