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5.護衛隊
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第5話
護衛隊
何故、小娘の私が、お頭の護衛隊長をしているかというと、私もエマ姉さんも武器商人だ。
武器商人が武器の試し撃ちや試し斬りが出来無いと、武器の良し悪しが分からないからだ。
武器や兵器は一通り扱えるのだ。
だから、ロングソードも海賊刀も扱えるので、お頭の護衛をしている。
そして、このエルメンヒルデも剣筋が良い。
「エルメンヒルデよ。私と立会え! 稽古だ」と、お頭とエルメンヒルデが打ちあっている。
あの貧相なエルメンヒルデが、大柄のお頭相手に互角の闘いをしている。
「スゴい……」
しかし、最後は、栄養不足なのか、お頭とぶつかった際、飛ばされてしまった。
「ここまでにしよう。エルメンヒルデ、また、頼むよ」
「お頭、こちらこそ、お願いします」
お頭は、良い稽古相手ができて、ご満悦だし、エルメンヒルデは自分の価値をお頭に認めてもらい。また、自分の存在価値を確認出来たのだろう、これまた、ご満悦だ。
そして、護衛隊員となった。
とはいえ、護衛隊の仕事はなんでも屋でもある。
魚釣りも食料確保という名の護衛だし、船の修理も安全運航という名の護衛だ!
ただ、貴族出身のお頭の剣の相手ができる者が、エマ姉さんと私二人だったのが、エルメンヒルデが加わり、三人になったのは有り難い。
そんな、航海は順調だった頃、エルメンヒルデに連絡が入った。
お頭とエマ姉さんが、色々とエルメンヒルデの身内の事を調べてくれていた様だ。
貴族社会は狭いのだから、ひょっとしたら、エルメンヒルデの父に会うかもしれない。
その際の対応をお頭はエルメンヒルデに聞いていたようだ。
そして、その後の父の現状など、実家のホーエンツォレルン家経由で聞いてもらっていた。
また、エマ姉さんは、実家のアインス商会に母の実家の事などを調べてくれていた。
結果、母の実家もペストで誰もいなくなっており、既に家もないとのこと。
それは、エルメンヒルデも覚悟していたようだ。
問題は父親だ。
実は、今、入院中なのだ。病名は分からなかったとのことだが、良くないらしい。
「エルメンヒルデ、会いにいくか? ここからなら、アムステルダムに寄ることも可能だけど」
顔面蒼白のエルメンヒルデは、直ぐに回答出来なかった。
「アムステルダムのうちの支店に寄りたいわ。キーナ、イリーゼ。良いでしょう?」と、エマ姉さんが助け船を出す形となり、エルメンヒルデは頭を下げている。
行きたかったのだろう。
でも、それをすぐに言えないのは、育った環境のせいだろうか?
後で聞いた話だが、父方は誰もペストに感染せず、エルメンヒルデ親子を追い出した祖父母も健在とのことだ。
また、父はエルメンヒルデ親子を探しに、母の実家にも行ったようだが、親子は実家に寄っていないので、会えなかったと聞いた。
実は、彼女は父親に愛されているのでは?
それを知らずに育ったのか?
お頭はお頭で、父親がエルメンヒルデの母を「妾にしたい」と言ったのは、本心でないと思っていたようだ。
何故なら、旧教徒は一夫一婦制なので、妾を娶ったり、また、離婚も無理なのだ。
だから、口先だけで、父が言ったと、お頭は思っていたようだが、病床で「カミラとエルメンヒルデに会いたい」と言って、正妻を困らせているとのことだ!
これは、放置できなかったのだろう、お頭の性格からして。
そして、我らの白いガレオン船は、エルメンヒルデの父が入院している病院のあるアムステルダムへ向かった。
「エルメンヒルデ、船乗りの姿でお父上に合う訳にもいかない。着替えておいてくれ」とお頭が言うも、あの貧相な衣服しか持ち合わせていない。
それに気づいたお頭は、
「ローズッ! ローズマリー」とローズマリーさんを呼んだ。
「はい、お頭」
「エルメンヒルデを貴族と拝謁できるようにして欲しい。服がないそうだ」
「はい、わかりました」
「頼んだ。私も着替える。イリーゼ護衛を頼む」
しばらくして、エルメンヒルデは、そばかす・天然パーマの冴えない姿から、パチパチの乙女になって衣装室から出てきた。
「す、スゴイわ。ローズマリーさん。すごい」
「ふふっ。私にかかれば、こんなもんよ。エルメンヒルデ」
「これで、お頭の後ろを付いて行けば、使用人に見えなくもない」と、私は二度三度頷いていた。
そこに、エマ姉さんが、
「えぇ、エルメンヒルデ。お頭の家の使用人となると、嘘がばれるかもしれないので、うちの商会の外商部で武器担当者ということにします。
私がヴィルヘルミーナ伯爵令嬢に、内密にお願いしたということで良いかな?」
「はい、ありがとうございます。何から何まで」
「良いのよ。このぐらい。ふふふ」
おっ、ここで、お頭とエマ姉さんしか使ってはいけない金言、「ふふふ」が出た!
ということは、上機嫌ということだ。
そして、パチパチの貴族令嬢と化したお頭と、その護衛隊の私と部下2名。その後ろをローズマリーさんにお嬢さん風に飾ってもらったエルメンヒルデが病院へ出かけて行くことになった。
病院と言っても、貴族が入院する部屋は特別な場所にある。
基本、貴族は自宅療養なのだ。
エルメンヒルデの父のように、実家から離れて官僚として勤務しているので、入院となったのだろうか?
そして、私が入室の許可を取り付け、中に入ることになった。
次回の女海賊団は、父と娘です。
護衛隊
何故、小娘の私が、お頭の護衛隊長をしているかというと、私もエマ姉さんも武器商人だ。
武器商人が武器の試し撃ちや試し斬りが出来無いと、武器の良し悪しが分からないからだ。
武器や兵器は一通り扱えるのだ。
だから、ロングソードも海賊刀も扱えるので、お頭の護衛をしている。
そして、このエルメンヒルデも剣筋が良い。
「エルメンヒルデよ。私と立会え! 稽古だ」と、お頭とエルメンヒルデが打ちあっている。
あの貧相なエルメンヒルデが、大柄のお頭相手に互角の闘いをしている。
「スゴい……」
しかし、最後は、栄養不足なのか、お頭とぶつかった際、飛ばされてしまった。
「ここまでにしよう。エルメンヒルデ、また、頼むよ」
「お頭、こちらこそ、お願いします」
お頭は、良い稽古相手ができて、ご満悦だし、エルメンヒルデは自分の価値をお頭に認めてもらい。また、自分の存在価値を確認出来たのだろう、これまた、ご満悦だ。
そして、護衛隊員となった。
とはいえ、護衛隊の仕事はなんでも屋でもある。
魚釣りも食料確保という名の護衛だし、船の修理も安全運航という名の護衛だ!
ただ、貴族出身のお頭の剣の相手ができる者が、エマ姉さんと私二人だったのが、エルメンヒルデが加わり、三人になったのは有り難い。
そんな、航海は順調だった頃、エルメンヒルデに連絡が入った。
お頭とエマ姉さんが、色々とエルメンヒルデの身内の事を調べてくれていた様だ。
貴族社会は狭いのだから、ひょっとしたら、エルメンヒルデの父に会うかもしれない。
その際の対応をお頭はエルメンヒルデに聞いていたようだ。
そして、その後の父の現状など、実家のホーエンツォレルン家経由で聞いてもらっていた。
また、エマ姉さんは、実家のアインス商会に母の実家の事などを調べてくれていた。
結果、母の実家もペストで誰もいなくなっており、既に家もないとのこと。
それは、エルメンヒルデも覚悟していたようだ。
問題は父親だ。
実は、今、入院中なのだ。病名は分からなかったとのことだが、良くないらしい。
「エルメンヒルデ、会いにいくか? ここからなら、アムステルダムに寄ることも可能だけど」
顔面蒼白のエルメンヒルデは、直ぐに回答出来なかった。
「アムステルダムのうちの支店に寄りたいわ。キーナ、イリーゼ。良いでしょう?」と、エマ姉さんが助け船を出す形となり、エルメンヒルデは頭を下げている。
行きたかったのだろう。
でも、それをすぐに言えないのは、育った環境のせいだろうか?
後で聞いた話だが、父方は誰もペストに感染せず、エルメンヒルデ親子を追い出した祖父母も健在とのことだ。
また、父はエルメンヒルデ親子を探しに、母の実家にも行ったようだが、親子は実家に寄っていないので、会えなかったと聞いた。
実は、彼女は父親に愛されているのでは?
それを知らずに育ったのか?
お頭はお頭で、父親がエルメンヒルデの母を「妾にしたい」と言ったのは、本心でないと思っていたようだ。
何故なら、旧教徒は一夫一婦制なので、妾を娶ったり、また、離婚も無理なのだ。
だから、口先だけで、父が言ったと、お頭は思っていたようだが、病床で「カミラとエルメンヒルデに会いたい」と言って、正妻を困らせているとのことだ!
これは、放置できなかったのだろう、お頭の性格からして。
そして、我らの白いガレオン船は、エルメンヒルデの父が入院している病院のあるアムステルダムへ向かった。
「エルメンヒルデ、船乗りの姿でお父上に合う訳にもいかない。着替えておいてくれ」とお頭が言うも、あの貧相な衣服しか持ち合わせていない。
それに気づいたお頭は、
「ローズッ! ローズマリー」とローズマリーさんを呼んだ。
「はい、お頭」
「エルメンヒルデを貴族と拝謁できるようにして欲しい。服がないそうだ」
「はい、わかりました」
「頼んだ。私も着替える。イリーゼ護衛を頼む」
しばらくして、エルメンヒルデは、そばかす・天然パーマの冴えない姿から、パチパチの乙女になって衣装室から出てきた。
「す、スゴイわ。ローズマリーさん。すごい」
「ふふっ。私にかかれば、こんなもんよ。エルメンヒルデ」
「これで、お頭の後ろを付いて行けば、使用人に見えなくもない」と、私は二度三度頷いていた。
そこに、エマ姉さんが、
「えぇ、エルメンヒルデ。お頭の家の使用人となると、嘘がばれるかもしれないので、うちの商会の外商部で武器担当者ということにします。
私がヴィルヘルミーナ伯爵令嬢に、内密にお願いしたということで良いかな?」
「はい、ありがとうございます。何から何まで」
「良いのよ。このぐらい。ふふふ」
おっ、ここで、お頭とエマ姉さんしか使ってはいけない金言、「ふふふ」が出た!
ということは、上機嫌ということだ。
そして、パチパチの貴族令嬢と化したお頭と、その護衛隊の私と部下2名。その後ろをローズマリーさんにお嬢さん風に飾ってもらったエルメンヒルデが病院へ出かけて行くことになった。
病院と言っても、貴族が入院する部屋は特別な場所にある。
基本、貴族は自宅療養なのだ。
エルメンヒルデの父のように、実家から離れて官僚として勤務しているので、入院となったのだろうか?
そして、私が入室の許可を取り付け、中に入ることになった。
次回の女海賊団は、父と娘です。
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