【完結】永遠の海賊 エルメンヒルデ (海賊令嬢シリーズ3)

SHOTARO

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10.海賊会議

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第10話
海賊会議


 キーナの元に手紙が届いた。
「お頭、エルメンヒルデから手紙です」と言ったのは、かつての砲術長のヤスミンだ。
 ヤスミンは、キーナこと、ヴィルヘルミーナの屋敷で使用人をしている。

 かつてガレオン船の大砲を整備した要領で、領地の大砲の整備にヴィルヘルミーナの身の回りのことをしてくれる。
 そして、屋敷の中でヴィルヘルミーナ令嬢を、「お頭」と呼ぶ唯一の人なのだ。

「エルメンヒルデから?」
「はい」

「ほう、エルメンヒルデが私に会いに来るらしい。しかも、海賊の船長になったようだ」
「あの命知らずがですか?」と、ヤスミンは喜んでいる。
「なにやら、私には見せたいものがあるらしいわ」
「それは、楽しみですね。お頭」
「そうね。ふふふ」


 エルメンヒルデは、この白いガレオン船をお頭に見せたかったのだろう。

 しかし、お頭の領地は内陸部。
 流れの早いライン川中流より上に大型船で登るのには厳しいだろう。

 順風で登れないところは、そこから先は小型船を馬で曳いて上がるのが、通常の水運だ。

 あるいは、ロープを巻き取り登るという方法もある。
 余談だけれど、話しておくと、上流からの水力で水車を回すとロープを巻き取る。
 その力で船を引き上げると言うモノ。
 当然、水車が無いと登れないわけだ。

 しかし、このライン川は、実に長い河川にも関わらず、標高差が無い珍しい川なのだ。
 河口のロッテルダムと中流のボンとの標高差は60メートルしか無い。
 おかげて、登りやすい川なのだ。

 さて、エルメンヒルデたちは、順風に乗り、ワール川からライン川へ進んで行った。
 だが、それも長くは続かなかった。
 やはり、小型船と大型船では、要領が違う。
 ライン川は小さい岩が多い。※1
 これを避けて進むには、航海士には相当な負担だ。

 順風でない時は馬を使いたいが、大型船を馬に曳かせるには、馬の数が足らない。
 水車も無いとなると順風以外では進まなくなって来た。

「なんで、うちの船長は、こんなムキになってライン川を登るのだ?」
「無駄な労力だ」
 不満が渦巻くのも無理も無い。
 中流のボンまで、14時間もの消費をしているのに、しかも、まだ先だと言う。

「船長、もう日が暮れてます。ここで錨を下ろします」
「もう、これ以上は無理なのか?」
 船員から嘆息が漏れた。
「わかった。ここで停泊しよう」

 すると、
「錨を下ろせッ」と船員の声がした。

「今日の夜、お頭の屋敷に行くと言ったのだが」


 その頃、ホーエンツォレルン家では、
「ねぇ、ヤスミン! 遅いわ。すごく遅いわ。エルメンヒルデは何をしているの?」

「エマリーさん、何か、あったんでしょう。今日は、泊まっていってください」
「始めからそのつもりよ! ヤスミン」
「ふふふ。エマリーたら」
「「ふふふ」」

「でも、エルメンヒルデは、どうしたんだろうな?」


 そして、エルメンヒルデが寝ている時に、事件は起きた。

 エルメンヒルデ以外の船員が集まり、海賊会議が行われていた。
「エルメンヒルデ船長は、船長として相応しくないと思う者は、挙手を!」
 ザッザッザッザッザッ!

「賛成多数ッ。これより船長を追放する。自ら降りるなら良し。抵抗するなら、川に放り込む」

「「「了解だ!」」」

 次回、最終回、「永遠の海賊 エルメンヒルデ」をお楽しみに。

 

※1 現在は流れを邪魔する岩は、爆破されて安全になっている。
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