12 / 96
二章 邂逅
第十二話
しおりを挟む
朝食を終えるとメルダとユウは出かけて行った。
ディルアスはそれから少し後に道具屋へと向かう。旅に必要なものを揃えるため、道具屋や薬屋を訪ねるつもりだった。
道具屋で必要なものを買い、外を歩いていると、メルダとユウが見えた。買い出しの途中らしい。大量の荷物を抱えていた。
服屋に入ったかと思うとしばらくするとさらに荷物が増えて出て来た。
そのまま眺めているとメルダの治療院、フィルの魔導具屋に入って行った。
その後マリー亭で魔法を教えるのだな、と、納得し、薬屋に向かった。
薬屋での買い出しを終わりマリー亭での様子を見に裏庭まで行く。
三人で初歩の魔法操作の仕方を実践していた。
「見てるならあんたも仲間に入ったらどうだい?」
背後からマリーに声をかけられた。
一緒に何かをしたい訳ではない、と言おうとしたが、無言でその場を離れた。
俺は人と深く関わるのが怖い。
二十年前、一番大切な人たちが死んだ。
目の前で殺された。
俺は自分だけ結界を張って助かった。何も出来なかった。目の前で無惨にも傷付けられていく両親をただ怯えながら見ているだけだった。
「お前のせいではない。五歳の子供に、しかもちゃんと教わったこともなく、自分以外の人間にまで結界を張ることは出来ない。仕方がなかったんだ」
その初老の男はグレイブと名乗り、筆頭宮廷魔導士だと言った。
「もう少し早く着いていれば……すまないな、坊主」
魔法で両親を弔ってくれ、悔しそうな顔をしながらグレイブは俺を抱き上げた。
「その力伸ばしてみないか? 大切な人たちを守れるように」
グレイブは言った。涙が溢れ出して止まらなかった。思い切り泣け、とグレイブは小さく言うと、泣き止むまで力強く抱き締めてくれていた。
グレイブに抱きかかえられながら宮廷魔導士団の数名が待機している場所に連れて行かれた。
グレイブは周りの魔導士たちに説明をし、一週間だけ魔法指導すると伝え、先に王宮まで帰らせた。
「一週間だけしか出来ないが、お前ならきっと俺を超える魔導士になるだろうよ」
ニッと笑ったグレイブはそれから一週間、食事と睡眠以外は魔法を叩き込んできた。
教えられた魔法は一番見本を見せてもらえればすぐに使えるようになった。グレイブは驚きを隠せないようだったが、それよりも嬉しそうだった。
七日目の最後に最大結界魔法を教えてくれた。いつか守りたい人が出来たときに使え、と。
それからグレイブに連れられて、キシュクのマリー亭に連れて行かれ、顔見知りそうな、オーグとマリーに紹介された。二人は最初からずっと優しかった。本当の息子のように接してくれた。
グレイブとの別れは寂しかったが、仕方がないことは幼心に理解していた。
「じゃあな、坊主。いつか大人になったら王宮に来い」
ニヤッと笑ってグレイブは大きな手で頭をグシャグシャと撫でて去って行った。
ディルアスはそれから少し後に道具屋へと向かう。旅に必要なものを揃えるため、道具屋や薬屋を訪ねるつもりだった。
道具屋で必要なものを買い、外を歩いていると、メルダとユウが見えた。買い出しの途中らしい。大量の荷物を抱えていた。
服屋に入ったかと思うとしばらくするとさらに荷物が増えて出て来た。
そのまま眺めているとメルダの治療院、フィルの魔導具屋に入って行った。
その後マリー亭で魔法を教えるのだな、と、納得し、薬屋に向かった。
薬屋での買い出しを終わりマリー亭での様子を見に裏庭まで行く。
三人で初歩の魔法操作の仕方を実践していた。
「見てるならあんたも仲間に入ったらどうだい?」
背後からマリーに声をかけられた。
一緒に何かをしたい訳ではない、と言おうとしたが、無言でその場を離れた。
俺は人と深く関わるのが怖い。
二十年前、一番大切な人たちが死んだ。
目の前で殺された。
俺は自分だけ結界を張って助かった。何も出来なかった。目の前で無惨にも傷付けられていく両親をただ怯えながら見ているだけだった。
「お前のせいではない。五歳の子供に、しかもちゃんと教わったこともなく、自分以外の人間にまで結界を張ることは出来ない。仕方がなかったんだ」
その初老の男はグレイブと名乗り、筆頭宮廷魔導士だと言った。
「もう少し早く着いていれば……すまないな、坊主」
魔法で両親を弔ってくれ、悔しそうな顔をしながらグレイブは俺を抱き上げた。
「その力伸ばしてみないか? 大切な人たちを守れるように」
グレイブは言った。涙が溢れ出して止まらなかった。思い切り泣け、とグレイブは小さく言うと、泣き止むまで力強く抱き締めてくれていた。
グレイブに抱きかかえられながら宮廷魔導士団の数名が待機している場所に連れて行かれた。
グレイブは周りの魔導士たちに説明をし、一週間だけ魔法指導すると伝え、先に王宮まで帰らせた。
「一週間だけしか出来ないが、お前ならきっと俺を超える魔導士になるだろうよ」
ニッと笑ったグレイブはそれから一週間、食事と睡眠以外は魔法を叩き込んできた。
教えられた魔法は一番見本を見せてもらえればすぐに使えるようになった。グレイブは驚きを隠せないようだったが、それよりも嬉しそうだった。
七日目の最後に最大結界魔法を教えてくれた。いつか守りたい人が出来たときに使え、と。
それからグレイブに連れられて、キシュクのマリー亭に連れて行かれ、顔見知りそうな、オーグとマリーに紹介された。二人は最初からずっと優しかった。本当の息子のように接してくれた。
グレイブとの別れは寂しかったが、仕方がないことは幼心に理解していた。
「じゃあな、坊主。いつか大人になったら王宮に来い」
ニヤッと笑ってグレイブは大きな手で頭をグシャグシャと撫でて去って行った。
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる