【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

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三章 依頼

第十六話

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 さて、何を附与しようかな、考えながらマリー亭へ帰った。
 攻撃力強化やら防御力強化って言ってたなぁ。魔物とか魔獣って聞いたし、やっぱりそんなのに襲われたら必要だよねぇ。
 マリー亭のバイトが終わって部屋に戻ると、本を片手に考えた。
 飛翔魔法のスピード強化とか、ディルアスが使ってたような保護魔法の強化とか……あ、結界強化と索敵魔法強化とかも良いかもしれない。
 後は通信魔法が気になるなぁ。でも通信する相手と対面しながら附与かぁ、それは追々かな。

 思い付いた魔法を手当たり次第附与してみることにした。
 終わったときには真夜中になっていた。さすがに疲れた。そのまま気を失ったかのように眠っていた。

 次の日色々試したくなり、マリーさんにお願いしてバイトはお休みさせてもらい、街の外に出てみることにした。
 ディルアスに連れられてキシュクに来てから初めて街の外へ。少し緊張する。
 ドキドキしながら門を潜る。ゼルから降ろしてもらった場所がすでに懐かしい感じがした。
 あれから数週間しか経っていない。遠い昔のようだ。ディルアスはどうしてるのかな、とふと思い出す。

 人目に付かない場所まで歩いて移動し、魔法を試す。今まで街中では出来なかった威力を確かめる。
 炎、水、氷、風、雷、あらゆる攻撃系魔法を打ってみた。今まで街中では控えていたが、制限せずに、さらに魔導具を介して放つ魔法は異常な威力だった。

 下手すると街一つ分を消してしまいそうな……。
 目の前にあった木々を消滅させてしまいそうな勢いだったので、慌ててその攻撃魔法の先に結界を張った。
 結界魔法も魔導具で強化されたため、凄まじい威力の攻撃魔法でも消し飛ぶこともなく、周囲に魔法を漏らすことなく防ぐことが出来た。
 これから魔法攻撃するときは要注意だな。

 後は飛翔訓練でもしてみようかな。保護魔法を身体全体に張って、足に魔力を集中させる。
 フワリと身体が浮き上がり、そのまま一気に上空へ。これもまた凄いスピードだった。
 最初は速すぎる速度に慣れなかったが、時間が立つに連れコントロール出来るようになり慣れて来た。

 少し疲れたから休憩しよう、と地上に降り立ち座り込んで休憩していると、ウサギのような小さな動物が何匹か現れた。

 そういえば意思疎通も附与してあったんだ、と思い出し、その小動物に話し掛けてみた。

「ねぇ、私の喋っている言葉分かる?」

 そう声をかけると、小動物はビクッとした。

『なんでわたしたちのことばがわかるの?』

 おぉ! 本当に通じた!

「動物とお喋り出来る魔法があるんだよ!」
『おしゃべり?』
「そう! みんなと話すことが出来るんだよ!」

 他の魔法も凄かったが意思疎通の魔法が一番嬉しいかもしれない! うん、かなり嬉しい。

『へー、そうなんだ。じゃあにんげんともなかよくなれるかな?』
「あ、うーん、この魔法、みんながみんな使える訳じゃないみたいだから、やっぱり仲良くなれない人もいると思う」

 何だか申し訳なくなった。
 その小動物はガッカリした顔をしているようだった。

「ごめんね、その代わり私がいっぱい仲良くなるよ!」

 日が暮れ出して来た。

「今日はこの辺で帰るね~」

 小動物たちと別れて、キシュクへと戻った。
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