【完結】異世界で勇者になりましたが引きこもります

樹結理(きゆり)

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三章 依頼

第二十六話

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 次の日の朝、再び領主邸に向かった。
 途中でフィルさんと合流し、向かっている途中では魔導具の話をした。
 オブを小さくするにはやはり昨日調べた魔法で当たっていたようだ。でもルナの服はどう聞いたらいいのやら。

「あの~、狼のほうなんですけど、人間化出来るらしいんです。それでその……」
「人間化!?」

 フィルさんは驚きの顔を隠せない。

「はい。それで人間化すると裸なんですよ……魔導具で服を装備出来るらしいと聞いたんで、狼にはその魔導具をお願いしたくて……」

 裸、の言葉だけ小さくなってしまった。いやだってね、恥ずかしいでしょ、やっぱり。

「はぁあ、人間化する魔獣かぁ、初めて聞いたよ。人間化したり、人語を喋ったり、攻撃魔法を使ったり……他にも色々出来そうだね、その魔獣。何か凄い魔獣と契約したもんだね。ユウはやっぱり凄いよ」

 感心したような呆れたような微妙な顔のフィルさんだった。

「その魔導具についてはまた後で話そう」

 領主邸に着いた。約束はしていないが、門で名前を告げると邸へと案内してくれた。
 そして以前と同じ部屋へと案内される。

「すいません、アウグスト様がお目見えになるまでこちらでお待ちください」

 そう言うと執事さんはお茶を出してくれた。
 しばらくするとアウグストさんがやって来た。

「お待たせしてすいません」

 お互いに挨拶をし話を進める。
 そして昨夜みんなに説明したときと同じように、あったことを全て報告した。

「え、それはもう解決ということですか!?」
「はい。怪我をしていたドラゴンも治し、他の動物たちも魔獣も移動させたので、もう今まで通りに通行出来るはずです」
「そうですか! 素晴らしい! 調査どころではなく、こんなに早く解決までしてくださるとは」

 信じられない、といった顔だ。

「それでドラゴンの件なのですが、このまま私の従属魔獣として一緒にいても良いでしょうか?」
「もちろん構いませんよ! そのドラゴンが襲われないように守ってあげてください」

 ニッコリとアウグストさんは微笑んだ。

「ありがとうございます」

 フィルさんと顔を見合わせて喜んだ。

「こちらこそお礼を言わせてください。本当にありがとうございました」

 アウグストさんは立ち上がり深々とお辞儀をした。綺麗な金髪がさらさらと流れる。

「頭を上げてください!」

 呆然としてしまったが慌てて言った。

「ありがとう」

 そう言うアウグストさんの笑顔は本当に綺麗で心臓が高鳴る。というか、この世界の人、綺麗な人が多すぎて心臓に悪い! 人じゃないのもいたけど。

 成功報酬を、とアウグストさんからとんでもない金額を渡され固まっていると、フィルさんが受け取っておけ、と耳打ちした。
 うーん、こんな大金どうしたら良いのやら。
 仕方がなく言われるがままに受け取りお礼を言った。

「また何かあればお願いしますね」

 と、また美しい笑顔で言われてタジタジになり、領主邸を後にした。
 何か疲れた。

「さて、ユウ、さっき話してた魔導具だが、俺にも上手くいくかは分からない。方法は聞いたことがあるが、実際作ってみたことも作ってあるのも見たことがないから」
「そうなんですか?」
「うん。だって今までそんな魔獣と契約した人なんて見たことないしね。ディルアスもドラゴンだけだし。だから方法は教えてあげられるけど、後はユウ次第かな」

 えー! となったが、作ったことがないのなら仕方ない。上手く出来なかったら人間化は諦めて、ずっと仔犬もふもふバージョンでいてもらおう! うん、それも良いかも! ちょっとニヤリとした。

 フィルさんの魔導具屋に着いて、まずはドラゴンの小型化魔導具。

「ドラゴンを小さくする魔導具も俺には附与出来ないからユウが頑張って」
「はぁい」

 銀色の腕輪らしきものが二つ目の前に置かれた。それと赤い宝石と青い宝石。

「赤い石をドラゴンに、青い石を狼に使うと良い。腕輪は身体の形に合わせて伸縮する魔力をかけているから大きさは心配しなくて良い」

 腕輪を持ちながら説明してくれた。
 へー、伸縮するんだ、便利!

「ドラゴンを小さくする魔石には契約を結んだときの魔力と同じものを附与させるんだ」

 同じもの、同じもの……、ドラゴンと契約したときのことを思い出し、赤い宝石に魔力を照射する。
 赤い宝石は眩い光を発して消えた。

「うん、成功したんじゃないかな。後はドラゴンに腕輪を付けてから小さくなるよう命じてみて。そして、次は……」

 青い宝石。ルナの魔導具。

「こっちはねぇ。俺にもよく分からないんだよねぇ。イメージの力らしいんだ」
「イメージ?」
「うん。人間化じゃなくても魔獣が何かに変化したときに、その変化に合わせて装備を変えられるっていう魔導具らしいんだけど、主人である契約者のイメージを魔力として魔石に閉じ込めて、変化するときにその場に相応しいものを選んで反応するようになるらしいんだ」
「うーんと、じゃあ私がルナに着せたい服をイメージして魔石に附与したら良いってことかな?」
「たぶんね」

 フィルさんもやったことがないから何とも、という感じだ。

 とりあえず考えてみる。
 着せたい服か……どんなだろ。見た目があれだからなぁ…色っぽいの? 格好良いの? 騎士風? 平民風? 何て呑気なことを考えていると、

『動きやすい服で頼むぞ、ユウ』
「うわっ」

 びっくりした、いきなりルナから声がかかり、考えていたことを聞かれていたのかと思った。

「いきなり話し掛けないでよ、びっくりした」
『すまん。しかしユウが何やら変なことを考えている気がしてな』

 ギクッとした。バレた? いやまさか。

「いやいや、大丈夫! ちゃんとしたので作るよ!」
『頼んだぞ』
「はーい」

 大人しく普通のにしとこう……。でも着る中身があれだしなぁ。あまり普通でも違和感ありありになりそうな。
 ちょっとだけ騎士風にしてみよう。いや、色んなのを考えといてみるか! 状況によって相応しいものが選ばれるって言ってたし。

 ルナに似合いそうな服を思い付くだけ頭の中に描いて青い宝石に照射した。青い宝石は眩い光を発し消えた。

 ルナに怒られるかな、ま、良いか。

「とりあえず附与は成功したみたいだね。後は実際装着してみてどうなるか試すしかないね」

 うん、とりあえずルナとオブにこの魔導具を持って行くか。
 フィルさんにお金を払いお礼をして街の外へ出た。
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