74 / 96
九章 遭遇
第七十四話
しおりを挟む
後日街で普通の人の魔力を感知してみることになった。
あまり街には行きたくなかったが、ディルアスとの魔力感知だけでは進展しないため、仕方なく見知らぬ人を感知してみることになったのだ。
街の片隅に座り人混みの流れを見詰める。
目を瞑り意識を集中させ、一人一人の魔力を感じてみる。
不特定多数を感知するのは、併用と同じくとても消耗するので、ディルアスと通常索敵の交代をしながらの訓練になった。
普通に街中を歩いている人たちも魔力は様々だ。
強く感じる人もいれば微量過ぎて感じられない人もいる。
こうやって改めて意識して他人の魔力を感じてみると色々あって面白い。
その時知っている魔力を感じた。
まずい。もうすぐ近くだ。
ディルアスに言おうとしたと同時に声が聞こえた。
「あ! この前会った人! お久しぶりっす! また会いたかったから、会えて嬉しいな!」
勢いよくこちらに駆け寄り手を掴まれた。
両手を握り込まれブンブンと振られ逃げるに逃げられない。
ディルアスがサクヤの手首を掴み、私の手から引き離した。
「あ、すんません」
申し訳ない、と頭を掻きながら笑った。
「魔法教えてくださいよ!」
「いや、だから無理です」
「何で!?」
「な、何でって……」
何でと言われても、あなたが勇者だから、とは言えない。
「俺たちは魔法を人に教えるほど凄い訳じゃない」
サクヤは呆然としていたが、ディルアスはそう言うと私の腰に手を回し歩くよう促した。
じゃあ、とだけ告げてそのまま建物の陰に入った。
「ディルアス……」
「あぁ」
サクヤが跡をつけてきていた。
「物陰に入ったら転移するぞ」
ディルアスは小声で言った。
転移魔法がバレないように、ある程度距離を取ると物陰に入った瞬間転移してロッジに戻った。
「あ~、あの人結構しつこいね」
グッタリしてテーブルに突っ伏した。
「今やろうとしている索敵が上手くいけば、あの男の動きに反応しながら避けることは可能になるんだがな」
「街でももう練習しにくいしねぇ」
とりあえず街でまたサクヤと遭遇してしまったことをアレンとイグリードに報告した。
それに合わせて、今魔力感知の訓練をしていることも。
「ならば、しばらくアレンの王宮にいたらどうだ? 王宮ならそのサクヤとかいう勇者らしき者も簡単には入れない。王宮内の人間の魔力感知してみたらどうだ?」
イグリードが提案してきた。
「なるほどな、確かに王宮のほうがユウにとっても安全だしな。俺はそれでも良いぞ。どうする、ユウ?」
ディルアスと顔を見合わせた。王宮は何かと気を遣うけど、今の状況からしたらそのほうが助かるかな。
「ユウ、そうしよう」
ディルアスが先に言った。
「うん、じゃあアレン、お願いしても良い?」
「あぁ、分かった!話は通しておくから明日から来ると良い」
「ありがとう」
そして次の日から王宮で生活することになった。
あまり街には行きたくなかったが、ディルアスとの魔力感知だけでは進展しないため、仕方なく見知らぬ人を感知してみることになったのだ。
街の片隅に座り人混みの流れを見詰める。
目を瞑り意識を集中させ、一人一人の魔力を感じてみる。
不特定多数を感知するのは、併用と同じくとても消耗するので、ディルアスと通常索敵の交代をしながらの訓練になった。
普通に街中を歩いている人たちも魔力は様々だ。
強く感じる人もいれば微量過ぎて感じられない人もいる。
こうやって改めて意識して他人の魔力を感じてみると色々あって面白い。
その時知っている魔力を感じた。
まずい。もうすぐ近くだ。
ディルアスに言おうとしたと同時に声が聞こえた。
「あ! この前会った人! お久しぶりっす! また会いたかったから、会えて嬉しいな!」
勢いよくこちらに駆け寄り手を掴まれた。
両手を握り込まれブンブンと振られ逃げるに逃げられない。
ディルアスがサクヤの手首を掴み、私の手から引き離した。
「あ、すんません」
申し訳ない、と頭を掻きながら笑った。
「魔法教えてくださいよ!」
「いや、だから無理です」
「何で!?」
「な、何でって……」
何でと言われても、あなたが勇者だから、とは言えない。
「俺たちは魔法を人に教えるほど凄い訳じゃない」
サクヤは呆然としていたが、ディルアスはそう言うと私の腰に手を回し歩くよう促した。
じゃあ、とだけ告げてそのまま建物の陰に入った。
「ディルアス……」
「あぁ」
サクヤが跡をつけてきていた。
「物陰に入ったら転移するぞ」
ディルアスは小声で言った。
転移魔法がバレないように、ある程度距離を取ると物陰に入った瞬間転移してロッジに戻った。
「あ~、あの人結構しつこいね」
グッタリしてテーブルに突っ伏した。
「今やろうとしている索敵が上手くいけば、あの男の動きに反応しながら避けることは可能になるんだがな」
「街でももう練習しにくいしねぇ」
とりあえず街でまたサクヤと遭遇してしまったことをアレンとイグリードに報告した。
それに合わせて、今魔力感知の訓練をしていることも。
「ならば、しばらくアレンの王宮にいたらどうだ? 王宮ならそのサクヤとかいう勇者らしき者も簡単には入れない。王宮内の人間の魔力感知してみたらどうだ?」
イグリードが提案してきた。
「なるほどな、確かに王宮のほうがユウにとっても安全だしな。俺はそれでも良いぞ。どうする、ユウ?」
ディルアスと顔を見合わせた。王宮は何かと気を遣うけど、今の状況からしたらそのほうが助かるかな。
「ユウ、そうしよう」
ディルアスが先に言った。
「うん、じゃあアレン、お願いしても良い?」
「あぁ、分かった!話は通しておくから明日から来ると良い」
「ありがとう」
そして次の日から王宮で生活することになった。
0
あなたにおすすめの小説
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる