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第一章 ルイーザ建国
18.お見通しです
しおりを挟むウルガーさんと話をして、僕達は眠ることにした。
やむを得ない事情があったとは言え、結果的に仲間と別行動となってしまっているウルガーさんは、少しでも早く合流したいと思っているのだろうけれど、説得して寝て貰うことにした。
説得……いや、少し違うかな。
ウルガーさんは、兎に角今は休息が必要だと言う僕の意見に一切反論せず、同調してくれた。僕――命の恩人――の意見に従うのは当然だ、みたいな印象を受けたけど、もっと我が儘言ってくれても良いんだけどね。というか、正直に言うと義理堅すぎて驚いてる。
とは言うものの、僕達も、ウルガーさんの事情を聞いた上で、今は休んだ方が良いとは思っている。
傷ついた体で森を抜けて、湖を泳いできたウルガーさんは、かなり体力を消耗している筈なんだ。だから、せめて体力くらいは回復して欲しい。少なくとも、僕達と一緒にいれば、魔物の襲撃を恐れること無く睡眠を取ることができるんだから。
何をするにも、まずは何かが出来る体力を取り戻すことが先決だ。
そんなわけで、次の日の早朝。
一番に起きた僕は、朝の水遣りに勤しんでいた。
『昨日は大変だったべ』
「まぁ、僕がって言うよりはウルガーさんがだけどね」
『だからー』
ナポスさんの“だから”は、“そうだよね”って意味らしい。
僕もリーゼも、最初は凄く戸惑った。この後ナポスさんがまだ何か言うのかと思って聞く体勢になってたら、会話に妙な沈黙が生まれたからね。
今でも気を抜くと同じ過ちを繰り返すけど。
「魔族や魔物との諍いは絶えないし、魔王国とは常に戦争状態みたいなものだから、こういう話は良く聞くよ」
『はー、今の世の中は物騒なんだべな』
そんな話をナポスさんとしながら、昨日のうちにリーゼに用意してもらっていた水に、僕の魔力と栄養分を混ぜた水を撒いていく。
魔力の篭め方とかは、魔導農業のノウハウとしてナポスさんに指導して貰っている。コレをすることで、作物の成長速度や味が随分変わるんだよ。
単なる水遣りと侮る勿れ。結構魔力を消費するからしんどいんだ。
作物っていう命を相手にするお仕事だから、休みも無いしね。
何があっても、何が起こっても、日々の手入れは欠かせないんだ。
『あー、篭める魔力属性の塩梅が拙い。こうだべ』
ナポスさんが、僕の魔力の調整を手伝ってくれる。
これ、『継承』スキルの地味だけどもの凄い強みなんだよね。
力の強弱とか、調整方法とか、所謂“コツ”のようなものを、言葉で説明する必要が無いんだ。ナポスさんが実際にやってくれたことを、僕は自分がやったことのように感じることが出来るんだ。
こういう感覚の機微って、本来誰かから教わろうとすると、相手の感覚を言語化する過程と、それを僕が理解する過程と、僕が自分なりに体に覚えさせる過程を経ないと同じ事が出来ないと思うんだけど、ナポスさんが実際に僕の体を動かしてそれを僕の意識が勝手に感じ取るから、本当に簡単に理解できるんだよね。
画期的だよ。革命的って言って良いかも知れない。ナポスさんの知識を、技術を吸収するという意味では、これ以上のものは無いと思う。
そんなわけで、僕自身の魔導農業スキルもめきめき上昇して、今はレベル七だ。多分、今世では僕が魔導農業の第一人者になっているんじゃないかな。
「ありがとうナポスさん」
『何の何の。儂の知識が役立って良がったさ』
超効率の個人指導を受けながらの日課をこなしていると、どうやらリーゼ達も起き始めたようだ。
マオちゃんの明るい声や、リーゼの声、そして……。
「おぉ、拙者がノア殿達よりも眠ってしまうとはっ、何たる不覚ッ」
ウルガーさんも目覚めたようだね。
いや、本当にもっと気楽にしてくれて良いんだよ、ウルガーさん。というか、貴方怪我人なんだから、もっと寝てようよ。
手は土だらけなので、なるべく土のついていない腕で額の汗を拭いながら、ウルガーさん達を見遣る。
何か手伝うと言って聞かないウルガーさんに、どうやらリーゼから水汲みの任務が下されたようだ。
あれは朝食に使う水だね。
生活魔術で水を出しても良いんだけど、それだと味が単調になってしまうそうだ。だから、料理に使う水は近くの沢で汲んできている。
本来は僕の仕事なんだけど、今日はウルガーさんがやってくれるようだ。
桶を持って階段を上がっていくウルガーさん。
マオちゃんのダンジョン操作で、階段は短くなっているとは言え、舟で向こう岸に渡って沢で水を汲み、戻ってくるのはそこそこの力仕事だ。傷が開いたりしないか心配だけど、大丈夫かな。
まぁ、何かあればまた治癒魔術で解決するしかないかと、気持ちを入れ替えて水遣りを再開した僕。
暫くはいつも通りの時間が流れていたのだけれど、突如、叫び声が聞こえた。
「ぬわーーーーーっっ!!」
「な、何事?!」
不意を衝かれた僕は、思わず大仰に反応してしまった。
リーゼとマオちゃんも、吃驚して声がした方――階段の方を見ている。
「ッ!……びっくり」
「ウルガーさんでしょうか?」
「ちょっと様子を見てくるよ」
「マオもー!」
てってって、と僕の方に駆け寄ってくるマオちゃん。
土だらけの手を近くに置いていた手桶の水で洗って綺麗にしてから、マオちゃんを抱き上げる。
そして、階段を駆け上がって、ウルガーさんを探しに出かけた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「面目ない……」
シュンとして、項垂れるウルガーさん。
みんなの憩いの場と化しているガゼボで、少し遅めの朝食中に、そんな謝罪を切り出した。
結論から言うと、さっきの悲鳴はウルガーさんのものだった。
丁度階段を出たあたりで、ウルガーさんが気絶した状態で倒れていた。
「いえ、僕達こそ、ちゃんと注意喚起していなかったから……。ごめんなさい」
僕は、申し訳無くなって頭を下げた。
そんな様子を見たウルガーさんは、ワタワタと両手を振る。
「あ、頭を上げて下され、ノア殿っ。どう考えても拙者が迂闊に過ぎたでござる」
こんな感想を持つことは、ウルガーさんに失礼だって分かってはいるんだけど、両手を振って違うんだアピールをする彼は、非常に愛らしかった。
見た目は可愛らしさに全振りしたような小型犬――ポメラニアン――で、短い手を必死で振る仕草がもう、たまらない。
凄く真面目で義理堅いウルガーさんだけど、トータルでは癒やし系じゃないかなって思う。
「マオも、アレ嫌いー」
「私もですよー。全く慣れる気がしないです。ウルガーさんは、特に鼻が利きそうですから、余計なんじゃないですか?」
「うむ。拙者達犬人族は、確かに鼻が利く故、アレは強烈に過ぎました……」
シュン、と耳が垂れ、尻尾が力なく垂れるウルガーさん。
今日の朝食は、カブのポタージュスープと山菜のサラダに、パンで、どれもリーゼが作った絶品なんだけど、全く手がついていなかった。
それだけ、あの臭いが、まだ残っているのだろう。
全ての元凶は、臭いが強烈なことでお馴染みの魔物避け、オドルアリウムだった。
基本的には島の対岸に置いているのだけれど、幾つかは島にも置いてある。緊急時に使うかも知れないし、オドルアリウムを置いていない辺りの対岸――要は森側だね――に渡る際に持って行くためにね。
ウルガーさんは、刺激臭を放つ危険物の臭いを、がっつり嗅いでしまったようだ。
水汲みから帰ってきた時、階段近くに置かれた箱が気になり、その中を覗いてしまったらしい。
なるべく臭いが漏れないように、箱を三重にしていたのも興味を引いた原因だったみたい。貴重品にしては置いてる場所が粗雑すぎるし、粗雑に置いているにしては、厳重に管理しているように見えたのだそう。
興味を引かれるがままに取り出してみたものの、強烈な臭いに思わず落としてしまい、それが足下の石に当たったのも拙かった。
アレ、傷ついたら臭いが一層強烈になるんだよね。中身の匂いがえげつないんだ。
「何と言うか……、鼻が物理的にもげたかと……。もう二度とやらないでござる……」
「そんなになんだ……」
気を付けよう。匂いに敏感な人にはかなりの危険物なんだな、アレ。
「はい。ベクトルは違いますが、オドルアリウム、でしたか? あの果実の衝撃は、メイシオのそれに匹敵するものがありますな」
「そういえば、前も言ってましたねー、メイシオ。何なんですか、それ?」
再び出てきた“メイシオ”という名前。
リーゼが小首を傾げながら問いかけた。
「むむ、メイシオを知りませぬか。そうですな、一言で言うなら、非常に美味なパンの商品名です」
「そうなんですねー。……メイドの嗜みとして、食材や食料品に関する知識は日々勉強しているつもりでしたけど、まだまだ勉強不足ですねー」
「ママ、元気出す」
項垂れたリーゼの背中を、マオちゃんがぽんぽんと叩く。
「ありがとうマオちゃん。元気出た」
「えへへー」
リーゼが笑うと、マオちゃんも笑う。何だか本当の親子みたいだよね、あの二人。
「リーゼ殿が知らぬのも致し方ないこと。メイシオなるパンは、最近テールス王国東部のとあるパン工房で発売されたクリーム入りのパンで、些か高価な嗜好品ですからな。テールス王国東部の一部地域では人気の品ですが、それ以外の地域の知名度は殆ど無い筈。ただ、そのクリームが非常に上品な甘さで美味故、近い将来有名になると確信しておりまする。……否、拙者が行商で有名にしてみせまする」
おぉ、ウルガーさんが拳を握って熱く語っている。
そんな熱量で語れるパンなら、僕も食べてみたいな。
「話を聞く限り、美味しそうなパンなんだね。僕も食べてみたかったなぁ」
流石に、此処でそのパンを手に入れるのは難しいだろうけど。残念だな。
「マオもー!」
「私もー! ノア様、ノア様っ、折角ですし、メイシオ買いに行きましょうよ、メイシオ。メイドとして凄く気になりますっ」
「え、テールスに戻るの?」
「駄目ですか?」
「……パパ、駄目?」
うっ。
この二人の上目遣いは反則だろう。
パンを買うためだけに、テールス王国に近づきたくは無いんだけど、上目遣いの効果が抜群過ぎて屈してしまいそうだ。
「……仕方ないな」
「! パパ大好きー!」
「流石ノア様っ、話が分かりますねーっ」
……折れてしまった。屈してしまった。
ただ、嬉しそうに笑い合うリーゼとマオちゃんを見ると、屈して正解だったのかな、とも思ってしまう。
まぁ、ずっとこの場所に引きこもっているわけにもいかないだろうから、人里とある程度交流を持つのも悪くは無い……のかな? 公爵様から逃げている経緯を考えれば、交流は持たない方が良いんだけど、今の生活だと、どうしても調達不能なものもあるからね。塩とか色々。
そう考えると、テールス王国東部が、魔族の襲来でごたごたしているうちに、辺境の街あたりに繋がりを持っておくこともアリかもね。
「でも、ウルガーさんの話だと、今テールス王国の東側は危なそうだから、ちゃんと様子を探ってからだよ?」
「それはその通りですねー」
リーゼは素直に納得してくれたけれど、マオちゃんは少しだけ不満そうだ。条件がついてしまったのが嫌だったんだろうね。
「ごめんね」の意味を込めて、マオちゃんの柔らかい髪を撫でると、機嫌を直してくれたのか、笑顔で僕を見てくれた。素直な良い子だ。
「ノア殿、命じていただければメイシオくらい拙者が買って参りますぞ。行商で扱っている商品ですし、伝手もあります故」
「え? いやいや、ここからだと遠いでしょ? 流石にお願いはできないよ」
僕の答え方の歯切れが悪かったからか、ウルガーさんが気を利かせてくれたようだ。
申し出はありがたいけど、流石にここから片道数日かかるような距離の買い物を頼むことは出来ない。
今は美味しいパンよりも優先しなきゃいけないことがあるしね。
「ウルガーさんにはやらなきゃならない事があるでしょ? 僕達のことは気にしなくて良いから、そっちを優先してよ」
「……それは」
言い淀むウルガーさんを、僕は真っ直ぐ見つめた。
「僕達は、ウルガーさんに何かをして欲しくて助けたわけじゃないからね。勿論、気にしてくれるのは凄く嬉しいけど、まずは犬人族のみんなと合流するべきだよ。僕が言うまでも無いと思うけど、ウルガーさんのお陰で逃げることには成功しただろうけど、窮地であることには変わり無いと思う」
ウルガーさんは暫く僕の目を見つめていた。
だけど、さっきのリーゼ達はともかくとして、ここは流石に折れるわけにはいかない。暫く、僕とウルガーさんの視線が交錯した。
「……忝い。ノア殿のご厚意に甘えさせていただきまする」
「本当、気にしなくて良いからね?」
だって、僕の感覚からすると、今の状況でウルガーさんが自分の事を、仲間の事を優先するのは当然だと思うから。
それに、ちょっと僕にも思うところがあるから、ね。
「ではではー、良い感じで話もまとまりましたし、早速計画を立てましょう、ノア様っ」
「「えっ?」」
リーゼの言葉に、僕とウルガーさんの言葉が、驚きが重なった。
「リーゼ殿、どういう事でござるか?」
「? 犬人族さん合流作戦の計画を立てようーって話ですよ?」
「いや、そうでは無く。何故、ノア殿達がその計画を立てるのでござるか? これは拙者の問題でござる」
そうだよね。ウルガーさんからしてみれば、そう思うよね。
まぁ、僕も驚きだったんだけどさ。
僕がウルガーさんを助ける気でいることがバレているのだから。
「それがですねー、もうノア様的にはウルガーさんをお助けするスイッチが入っちゃってるんですよ。だから、私達が計画立案に参加するのは当然なんです。 ねー、ノア様?」
そう言って、リーゼが僕の方を見てくる。
彼女の口許には、「ですよね」と言わんばかりの笑みがあった。
「流石、リーゼだね。僕の考えはお見通しってわけか」
「当然ですよー。何年ノア様のメイドしてると思ってるんですか。明日の下着の色まで当てられますよ、私」
「え、そんなの当てなくて良いよ。っていうか、本当に当てそうで怖いんだけど?!」
冗談とも思えないんだよね、リーゼのこういう所。
ちょっと、恐怖です。
―・―・―・―・―・―・―・―・―・―
■Tips■
犬人族[名詞・種族]
犬の姿に酷似した種族。可愛らしい犬に似た種族も居れば、格好いい大型犬に似た種族も居て様々。
同じ名前の魔物もいるが、人語を操る者は魔族に分類される。よって、ウルガーさん達は魔族という事になる。
ウルガーさん達からすると、魔物のコボルトと同じ名前というのは失礼極まり無い話ではあるのだが、その辺りの事情を全く考慮せず、人が勝手に名付けた種族名なので、このようなことになってしまっている。
人族からすると、魔物も魔族も等しく敵だと言うだけかも知れないが、それでも失礼であることには変わり無い。
なお、犬人族に限った話では無いが、言葉が通じず、本能に従って獣のように生きる魔性生物を魔物と言い、人語を解して一定以上の文化を持つ者達を魔族と言う。
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