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【 第四章 】 私が再会させてあげる!
① 春を売るエンターテイメント
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「あ~~! 退屈だわ~~。国家間で戦いの火種がくすぶっているだなんて、信じられないほど今の王宮は平和ね……」
午後は庭園の陽だまりで小鳥と歌い花を愛で、流れる雲を眺めてゆるりとした時を過ごす日常。
アリアンロッドは諸々の事情(王太子との痴話げんか)でしばらくの遠出を禁止され、拗ねたりしたこともあったが。
件の和議に関する交渉は着々と進み、その先に起こり得るだろう交戦の準備も始められることとなった。
ある朝、機嫌のいいアリアンロッドが鼻歌まじりで突撃したのは、ディオニソスの執務の場。
「失礼するわ~~!」
「アリア……騒々しいな」
「ア、アリアンロッド様…!」
ディオニソスと共にいる彼の養子フリカムイは、憧れの聖女を目前にして、恐縮した顔で敬礼した。
彼、フリカムイはディオニソスに好く教育された、見目も気質もすこぶる上品な、美しい少年だ。
「おふたりは何をしてるの?」
「フリカムイに仕事を任せるので、打ち合わせているところだ」
「この子、まだ12歳でしょ? もう補佐の仕事を?」
ディオニソスには3人の養子がいて、このフリカムイがその中では年長である。
彼は12の誕生日から実務を始めたが、今回初めて先導者として案件をこなすことになったという。
「ふぅん。頑張ってね」
「はっ。ありがとうございます」
「アリア、今日はどうした?」
「あのね、侍女に聞いたのだけど、明後日から城下で、珍しい工芸品の多く集まる市が開かれるのでしょ? それにお忍びで行きたいの。ディオ様とふたりで」
フリカムイがディオニソスをじっと見た。
「……。あいにく、政務で忙しいな」
「ちょっとの処じゃない。数日あるんだし、そのうちの数刻くらい……」
そこでアリアンロッドはフリカムイを睨んだ。聖女になにやら目配せされて、彼は非常に圧を感じる。
「あの。その間のお仕事、僕にできることなら請け負いますので、ぜひ」
ディオニソスは絶句した。アリアンロッドはニコニコして彼の言葉を待つ。
「……調整しよう」
「やったぁ」
アリアンロッドは両手を挙げて喜び、フリカムイの頭を撫でた。
「で、この子の今回のお役目はどういったものなの?」
「この国全土でブームになっている、歌劇団の営業に対応する事務だ」
「歌劇団?」
アリアンロッドは無理を通して、これから応対の始まる事務室についてきた。何も口を出さない、という約束の上で。
入室したら、そこにはふたりの男がいた。歌劇団の団長と副長のようだ。彼らはフリカムイの前で膝をつき深々と頭を下げる。ディオニソス王太子にまで拝謁できるとは思いもしなかったようで、初めは恐縮ぶりがすさまじかった。
彼らの交渉内容はこういったことのようだ。
この劇団で歌い踊る女優たちは近年、舞台に立つ傍ら、国の高官や役人らに一時的な奉仕をすることで禄を食んでいる。が、やはりそれは彼女たちを蝕む慣習である。
身分のある者が劇団の娘を気に入った場合は、身受けすることを推奨して欲しい、その前提で商売がしたい、そういった法令の公布を願いたい、と。
それを始終聞いていたアリアンロッドは、顔色がまったくすぐれないが、何も口出しするな目立った行動に出るな、とディオニソスに言われているので堪えていた。
フリカムイは善処すると応え、とりあえず彼らの会合は終わる。
そこで団長が、団でいちばんの女優を紹介したいと言い出した。副長に言い、その者を連れてこさせる。
入室してきたのは、それはそれは美しい娘だった。
「うちの一推しの娘、ローズでございます」
舞台衣装の様な、きらびやかな衣服をまとうその娘も敬礼した。その見栄え、一般の民とは思えないほどに、所作も洗練されている。
劇団長は、この娘こそ歌も踊りも特段に素晴らしい技量の持ち主で、長く劇団を支えている看板女優だが、それゆえに大きなストレスを抱え、あとどれほど舞台に立てるか心配していると話した。
アリアンロッドもはじめこそ娘の華やかな美しさに見とれていたが、ディオニソスの目に彼女が映るのがたまらなく嫌で、早くこの場を出たいと思う。
劇団はしばらく城下に滞在し、王都にて営業するようで、取り成しを頼み頼まれ、今度こそ場はお開きとなった。
◆◇
「これは一体どういうこと? 本当に何やってるのよ、この国の男たちは!」
別室に落ち着いた直後に叫んだ、アリアンロッドは大層おかんむりだ。
ディオニソスは説明する。
歌劇団はここ10年ほどで盛り上がってきたエンターテイメント集団だ。南方の商業都市を拠点としている。
このように演芸メインの商業集団が全国に知れ渡り、大衆の娯楽となったことは、国民の暮らしにゆとりができてきた証である。
元々は平民相手に歌を、そこに物語を乗せて披露し、食料などの報酬を得て運営していた。
しかしそのうち身分のある者が、個人的にその娘たちを消費したいと考えるようになる。
それらからまとまった貨幣が得られることは、当然運営側には歓迎できる変化だった。女優の派遣は、元は隠れた副業であったが、今では主な収入源である。
おかげで舞台もより繁盛するように。だがそのシステムは諸問題を内包している事実があった。
「女性に身売りをさせるなんて! 女をなんだと思ってるの!」
「君は身売りの内情が分かっているのか?」
「そ、それは……」
アリアンロッドの想像では、腑抜けた顔の男たちがいたいけな女性に迫って脅かしているところまでである。
「今に始まったことではないし、性別に限った話でもない」
ディオニソスの態度は、だからあの場に連れていきたくなかったんだとでも言わんばかりで、アリアンロッドは更に息巻く。
「そうかもしれないけど、しかもそんな案件をまだ12歳のフリカムイに担当させるなんて!」
「国の現実にこういうことがあるのだ。年齢がいくつであれ、この役職に就く者ならこなさなくてはならない」
アリアンロッドは弁が立たず、どうせ現実なんて何も分かってませんよ──! と頭をわしゃわしゃかき回した。
「……ディオ様も買うの? あの綺麗な人を?」
そして突如、捨て子のような顔でこう聞く彼女に、これはどう答えるのが正解なのだろう、とディオニソスは考え込む。
その合い間がアリアンロッドには、彼の後ろめたさのように感じられ、余計に不安の波が押し寄せるのだった。
その時、下の者がディオニソスを呼びに来た。
「アリア。もう1件、社会見学をするか? 今度の来賓には、国の代表として挨拶をしても構わないよ」
「?」
アリアンロッドは多少の緊張感を胸に、彼についていった。
その客室は、政務に使う部屋の中でも一等の処だった。
そこで高官と話をしている来賓は、ずいぶんと凛々しいなりの初老の男性だ。部屋の脇にずらりと立ち並ぶ供の者を連れて来ている。
彼の顔立ちは精悍で威厳を感じさせるが、目線が少し逸れていることが、アリアンロッドは気になった。
ディオニソスもかしこまって挨拶をする、この人はいったい誰だろう、と後方で話を聞いていると、どうやら南西側の隣国の、数年前に退位した先代王であった。
アリアンロッドも紹介を受け、淑やかを努め挨拶の辞を述べる。やはり目線が妙に合わないのだが、まったく穏やかで温かい微笑みと声にて、挨拶を返された。
更に話を聞いていくと、このところ二国間の交流も落ち着いていたが、これからは力を合わせて東に対抗していこう、とこちら側が申し出ている。つまり先の対戦を意識した、協定についての会合だ。
現在、その国の王は彼の息子なので最高権力者ではない。しかしその影響力を我が国のために行使してもらおうと、こたびの招待はそういうことであった。
まだしばらくこちらの先代王は、この国に滞在することになっている。
歓迎パーティーを開く予定だ。それを聞いた彼は、非常に楽しみだと言った。
午後は庭園の陽だまりで小鳥と歌い花を愛で、流れる雲を眺めてゆるりとした時を過ごす日常。
アリアンロッドは諸々の事情(王太子との痴話げんか)でしばらくの遠出を禁止され、拗ねたりしたこともあったが。
件の和議に関する交渉は着々と進み、その先に起こり得るだろう交戦の準備も始められることとなった。
ある朝、機嫌のいいアリアンロッドが鼻歌まじりで突撃したのは、ディオニソスの執務の場。
「失礼するわ~~!」
「アリア……騒々しいな」
「ア、アリアンロッド様…!」
ディオニソスと共にいる彼の養子フリカムイは、憧れの聖女を目前にして、恐縮した顔で敬礼した。
彼、フリカムイはディオニソスに好く教育された、見目も気質もすこぶる上品な、美しい少年だ。
「おふたりは何をしてるの?」
「フリカムイに仕事を任せるので、打ち合わせているところだ」
「この子、まだ12歳でしょ? もう補佐の仕事を?」
ディオニソスには3人の養子がいて、このフリカムイがその中では年長である。
彼は12の誕生日から実務を始めたが、今回初めて先導者として案件をこなすことになったという。
「ふぅん。頑張ってね」
「はっ。ありがとうございます」
「アリア、今日はどうした?」
「あのね、侍女に聞いたのだけど、明後日から城下で、珍しい工芸品の多く集まる市が開かれるのでしょ? それにお忍びで行きたいの。ディオ様とふたりで」
フリカムイがディオニソスをじっと見た。
「……。あいにく、政務で忙しいな」
「ちょっとの処じゃない。数日あるんだし、そのうちの数刻くらい……」
そこでアリアンロッドはフリカムイを睨んだ。聖女になにやら目配せされて、彼は非常に圧を感じる。
「あの。その間のお仕事、僕にできることなら請け負いますので、ぜひ」
ディオニソスは絶句した。アリアンロッドはニコニコして彼の言葉を待つ。
「……調整しよう」
「やったぁ」
アリアンロッドは両手を挙げて喜び、フリカムイの頭を撫でた。
「で、この子の今回のお役目はどういったものなの?」
「この国全土でブームになっている、歌劇団の営業に対応する事務だ」
「歌劇団?」
アリアンロッドは無理を通して、これから応対の始まる事務室についてきた。何も口を出さない、という約束の上で。
入室したら、そこにはふたりの男がいた。歌劇団の団長と副長のようだ。彼らはフリカムイの前で膝をつき深々と頭を下げる。ディオニソス王太子にまで拝謁できるとは思いもしなかったようで、初めは恐縮ぶりがすさまじかった。
彼らの交渉内容はこういったことのようだ。
この劇団で歌い踊る女優たちは近年、舞台に立つ傍ら、国の高官や役人らに一時的な奉仕をすることで禄を食んでいる。が、やはりそれは彼女たちを蝕む慣習である。
身分のある者が劇団の娘を気に入った場合は、身受けすることを推奨して欲しい、その前提で商売がしたい、そういった法令の公布を願いたい、と。
それを始終聞いていたアリアンロッドは、顔色がまったくすぐれないが、何も口出しするな目立った行動に出るな、とディオニソスに言われているので堪えていた。
フリカムイは善処すると応え、とりあえず彼らの会合は終わる。
そこで団長が、団でいちばんの女優を紹介したいと言い出した。副長に言い、その者を連れてこさせる。
入室してきたのは、それはそれは美しい娘だった。
「うちの一推しの娘、ローズでございます」
舞台衣装の様な、きらびやかな衣服をまとうその娘も敬礼した。その見栄え、一般の民とは思えないほどに、所作も洗練されている。
劇団長は、この娘こそ歌も踊りも特段に素晴らしい技量の持ち主で、長く劇団を支えている看板女優だが、それゆえに大きなストレスを抱え、あとどれほど舞台に立てるか心配していると話した。
アリアンロッドもはじめこそ娘の華やかな美しさに見とれていたが、ディオニソスの目に彼女が映るのがたまらなく嫌で、早くこの場を出たいと思う。
劇団はしばらく城下に滞在し、王都にて営業するようで、取り成しを頼み頼まれ、今度こそ場はお開きとなった。
◆◇
「これは一体どういうこと? 本当に何やってるのよ、この国の男たちは!」
別室に落ち着いた直後に叫んだ、アリアンロッドは大層おかんむりだ。
ディオニソスは説明する。
歌劇団はここ10年ほどで盛り上がってきたエンターテイメント集団だ。南方の商業都市を拠点としている。
このように演芸メインの商業集団が全国に知れ渡り、大衆の娯楽となったことは、国民の暮らしにゆとりができてきた証である。
元々は平民相手に歌を、そこに物語を乗せて披露し、食料などの報酬を得て運営していた。
しかしそのうち身分のある者が、個人的にその娘たちを消費したいと考えるようになる。
それらからまとまった貨幣が得られることは、当然運営側には歓迎できる変化だった。女優の派遣は、元は隠れた副業であったが、今では主な収入源である。
おかげで舞台もより繁盛するように。だがそのシステムは諸問題を内包している事実があった。
「女性に身売りをさせるなんて! 女をなんだと思ってるの!」
「君は身売りの内情が分かっているのか?」
「そ、それは……」
アリアンロッドの想像では、腑抜けた顔の男たちがいたいけな女性に迫って脅かしているところまでである。
「今に始まったことではないし、性別に限った話でもない」
ディオニソスの態度は、だからあの場に連れていきたくなかったんだとでも言わんばかりで、アリアンロッドは更に息巻く。
「そうかもしれないけど、しかもそんな案件をまだ12歳のフリカムイに担当させるなんて!」
「国の現実にこういうことがあるのだ。年齢がいくつであれ、この役職に就く者ならこなさなくてはならない」
アリアンロッドは弁が立たず、どうせ現実なんて何も分かってませんよ──! と頭をわしゃわしゃかき回した。
「……ディオ様も買うの? あの綺麗な人を?」
そして突如、捨て子のような顔でこう聞く彼女に、これはどう答えるのが正解なのだろう、とディオニソスは考え込む。
その合い間がアリアンロッドには、彼の後ろめたさのように感じられ、余計に不安の波が押し寄せるのだった。
その時、下の者がディオニソスを呼びに来た。
「アリア。もう1件、社会見学をするか? 今度の来賓には、国の代表として挨拶をしても構わないよ」
「?」
アリアンロッドは多少の緊張感を胸に、彼についていった。
その客室は、政務に使う部屋の中でも一等の処だった。
そこで高官と話をしている来賓は、ずいぶんと凛々しいなりの初老の男性だ。部屋の脇にずらりと立ち並ぶ供の者を連れて来ている。
彼の顔立ちは精悍で威厳を感じさせるが、目線が少し逸れていることが、アリアンロッドは気になった。
ディオニソスもかしこまって挨拶をする、この人はいったい誰だろう、と後方で話を聞いていると、どうやら南西側の隣国の、数年前に退位した先代王であった。
アリアンロッドも紹介を受け、淑やかを努め挨拶の辞を述べる。やはり目線が妙に合わないのだが、まったく穏やかで温かい微笑みと声にて、挨拶を返された。
更に話を聞いていくと、このところ二国間の交流も落ち着いていたが、これからは力を合わせて東に対抗していこう、とこちら側が申し出ている。つまり先の対戦を意識した、協定についての会合だ。
現在、その国の王は彼の息子なので最高権力者ではない。しかしその影響力を我が国のために行使してもらおうと、こたびの招待はそういうことであった。
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