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【 第十二章 】 それぞれの価値
⑤ 好きだよ その一言が言えなくて
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役所での彼は、街の建設の仕事に携わっているという。その街の建設物は、他の地域のものより礎から良く練られて造られていた。
遊びで造ったというその壕も、ただの洞穴ではなく十分な補強までされている。しかし約2日間も二百数十名が光の届かない場に籠るのは難儀であっただろう。統率も請け負った彼の指示があってこそだ。
「神を信じて助けを待ちました。私はかつて、神の使いにお会いしたことがあるのですが、それからというもの苦境に立つと、そのお方の声が聴こえてくるのです。このたびも伸びやかなお声で、“必ず守るから”と……」
彼はそう話したという。
アリアンロッドは報告をすべて聞き、胸が震えた。
あの時の少年は機会に恵まれ努力を重ね、その力で人々を助けたのだ。彼が遠いあの日切望したように、人の役に立つ立派な大人になったのだ。そして彼をそのように育ててくれた、あの高官とその家族への、感謝の気持ちでいっぱいになった。
晴れ晴れした顔でアリアンロッドは一息ついて、続いてハッと大事なことを思い出した。
「ディオ様、イナンナにお礼の言葉を届けたいのだけど、通信手段はまだ?」
「向こうから来たのだから、問題ないはずだが。……本人が無事であれば」
「無事であれば、ね……」
アリアンロッドは少し考えた。
「なら、今回の乗っ取りはしくじった、という報を即刻得て、そこからその主犯をさくっと捕える行動力のある人に、一か八かで書簡を送ってみようと思うわ!」
「?」
◇◆◇
王宮から派遣された隊は引き続き、街を元に戻す作業を行う。そこはいったん元に戻るが、これは敵国との、継続的な小競り合いの幕開けだった。
多くの兵が東の国境に待機することの必要に迫られ――。
今やアリアンロッドは、命の期限が迫るのをひしひしと感じている。
そんな中、アンヴァルが戻ったとの報告が入る。彼の隊が他の隊と任務を交代したようだ。
「それだけ疲弊しているということだが」
「ヴァルは? ヴァルは無事なの!?」
「無事だよ」
アリアンロッドはそれを聞いて飛び出した。馬で駆け、彼の邸宅を訪ねた。
「大聖女がまたここまで一人きたのか」
呆れて声も出ないと言いたいが、それはもう今更だ。
「良かった、ヴァルが無事で」
傷を負った兵も大勢いるのだが、今アリアンロッドはそのようなことまで考えるに至らない。
そこでアンヴァルは、彼女を彼の家の中には入れなかった。
「どこへ?」
「……夜風に当たりたい。散歩でもしよう」
「ええ……」
◇
月がのぼり、その明かりに照らされる原っぱに腰を落ち着けたふたり。夜風が彼らの頬を撫でていく。
アンヴァルは言う。敵軍は半年程度の長期戦を目論んでいると。小競り合いを繰り返し、こちらの兵も国の機構も疲弊させ、機を見て一気に畳みかけるのではということだ。
会話の句切れに、伏し目がちになるアリアンロッドだった。
「私は本当に役立たずな大聖女ね。こんな切迫した状況で、神の言葉を聴けないなんて」
「国の取り合いなんてくだらないこと、どうすればいいかなんて、神が教えてくれるわけないだろう?」
「そうなの……?」
彼の言い分が小気味よくて、彼女には十分慰めになった。
「じゃあ、私は私にできることをする」
そう言って彼女はアンヴァルの背に回った。一度両腕を屈伸してから、彼の肩を力いっぱい揉みしだいてみせる。
「どう?」
「ああ、割といい」
しばらく侍女がやってくれるようにしてみたのだが。
「はぁ。けっこう疲れるわ、これ」
「なら交代するか?」
すぐにも交代してもらった。帰ってきた彼を全力で労うはずだったのに。
「あああ~~いい~~」
これではすっかりアリアンロッドが接待される側だ。
「ずいぶん凝ってるな」
そこで彼女の肩を軽く叩き、再び揉みだしたこの時。
彼は彼女の首にかかる、真珠の連なる飾りに気付いた。
「これ……」
手を止め、まじまじと見るアンヴァルに、アリアンロッドもやっと思い起こす。
「ああ! そう、ずっとヴァルにお礼を言いそびれてた!」
彼女はさっと彼の方に振り向き、そして衣服の中に入っていたその首飾りを取り出した。
「これ、本当は私へのお土産だったんでしょ?」
アンヴァルは目を丸くしていて、すぐに返事をしなかった。
「あれ? 違うの……?」
「いや、そうだけど……どうして」
「ローズが渡してくれたのよ。私にくれるつもりでいたのに、ヴァルは恥ずかしくて渡せなかったからって。そういえば私たち、あの頃ちょっと、あれだったもんね」
アリアンロッドがなんだか照れくさそうに、指先でその白く輝く珠に触れる。
「ヴァルからくれれば良かったのに……。でもとにかく、ありがとう! とっても綺麗、気に入った! この真珠、見つめてると、碧い海の景色が頭に浮かんでくるの。私の思い描く、想像の海だけど」
「あ、ああ。……でもお前、殿下から頂いたんだろ、首飾り」
「え? あぁ、うん。だけど、ネックレスはどれを着けていてもおかしくないでしょ。まぁ最近は、ずっとこれ一本だけどね」
アンヴァルはしれっとそういう彼女を横目に、しどろもどろに尋ねた。
「どうして……その、殿下から頂いたのじゃなくて……」
アンヴァルの話しぶりは、いつになくまごついているのだが、アリアンロッドは気にもせず説明する。
「それが、ずっとファッションとか気にしないでふたつとも着けてたんだけど、紫水晶の方は旅先で、人に差し出したの」
アンヴァルが訝しげな様子なのでアリアンロッドは説明した。さる人に重大な頼みごとをした際、その紫水晶の首飾りを僅かな礼として提供したのだと。アンヴァルはそれを聞いて一時考え、こう尋ねた。
「なんで殿下から頂いたほうを差し出したんだ? 真珠より紫水晶のが価値があるのか?」
彼は一般的な石の価値についてはよく知らないが、彼女にとっての価値なら、自分の贈った真珠より、ディオニソス殿下と出かけた先で買ってもらった紫水晶のほうが高いに決まっているのだ。彼女が手元に残しておくべきは紫水晶だと理解っている。
「……ディオ様に買ってもらったのはもちろんすごく大事で、身に付けていたらいつも嬉しいものだったわ。だけど……」
アリアンロッドは指の腹でいっそう真珠を撫で、言葉を続ける。
「ローズから聞いたの。これ、ヴァルが私のために、自分で真珠を採って自分で繋げたって。そんなの、これ以上嬉しくて大事なものは……ないよ」
そんなふうに言って、そして、はにかんだ。
「…………。あ────」
おそらく顔を見られたくなくて、アンヴァルは彼女の肩に額を乗せた。普段、アンヴァルからアリアンロッドに引っ付いていくことはないので、彼女は少し驚いた様子。
「戦場に戻らないで、しばらく家で寝てたいな……」
「そうよね……」
彼はそういうわけにもいかない。アリアンロッドもそれくらいは分かるので。
「十分休んでいって……」
こう言うしかなかった。
それから数日後、アンヴァルは整えた隊列と共に東へ戻った。
その頃、アリアンロッドの送った書簡が隣国に届いていた。
「ヴィグリーズの大聖女からか」
家臣からそれを受け取ったユング王は、一通りそれに目を通す。そして。
「あの女をここに連れてこい」
家来にこう命じた。即刻ぞんざいに押し出され入室したのは、
「お前に祖国の大聖女から手紙だ」
密告行為が露見し、捕えられたイナンナだった。
「手紙……大聖女から……?」
酷い暴力は今のところ受けていないが、非常にやつれた彼女はいったん後ろ手の縄を解かれ、すぐに前で両手首を縛られた。それでも渡された手紙は何とか読める。
「アリアンロッド様……」
“ありがとうイナンナ
あなたの仕事が国の多くの民を救いました
これを誇ってこれからも生きてください”
この一筆に彼女は、片目から涙をぽろりとこぼした。
「その手紙な、お前に渡せって俺宛てなんだよ。早速お前が捕えられてることを、なんで知ってるんだ?」
「私は何も……知りません……」
「そうか。まぁそうだろうな」
王は彼宛ての一筆箋に目をやった。
「“うちの密偵に手紙を渡せ”以外に何も書かれてないんだが。何なんだこれは」
彼は憤っているような声で話すが、表情は笑っているようにも見える。
「隣を取り込む前に、一度この女王と話してみてえな」
「そこの大聖女は神がかりで人心を掌握する神子の系譜でしたね。あなたが手に入れれば、使えることもありましょうが」
最側近の男が彼に話しかけた。
「それも多少考えたんだけどな」
「すでに神の力を失ったあなたにとっては、生かしておけば脅威ともなり得ますね」
「ああ残念だ。まぁフレイの代わりにはならないだろう。これは到底、従順な女と思えん」
王は笑ったが、その顔にふと、寂しげな色も浮かばせるのだった。
*:.*.:*:。∞。:*:.*.:*:。∞。:*:.*.:*
12章、お読みくださいましてありがとうございました。
夏目漱石の「I love youの和訳」が「月がきれいですね」なら
アンヴァルの「好きだよの和訳」は「家で寝ていたい」です。(謎)
遊びで造ったというその壕も、ただの洞穴ではなく十分な補強までされている。しかし約2日間も二百数十名が光の届かない場に籠るのは難儀であっただろう。統率も請け負った彼の指示があってこそだ。
「神を信じて助けを待ちました。私はかつて、神の使いにお会いしたことがあるのですが、それからというもの苦境に立つと、そのお方の声が聴こえてくるのです。このたびも伸びやかなお声で、“必ず守るから”と……」
彼はそう話したという。
アリアンロッドは報告をすべて聞き、胸が震えた。
あの時の少年は機会に恵まれ努力を重ね、その力で人々を助けたのだ。彼が遠いあの日切望したように、人の役に立つ立派な大人になったのだ。そして彼をそのように育ててくれた、あの高官とその家族への、感謝の気持ちでいっぱいになった。
晴れ晴れした顔でアリアンロッドは一息ついて、続いてハッと大事なことを思い出した。
「ディオ様、イナンナにお礼の言葉を届けたいのだけど、通信手段はまだ?」
「向こうから来たのだから、問題ないはずだが。……本人が無事であれば」
「無事であれば、ね……」
アリアンロッドは少し考えた。
「なら、今回の乗っ取りはしくじった、という報を即刻得て、そこからその主犯をさくっと捕える行動力のある人に、一か八かで書簡を送ってみようと思うわ!」
「?」
◇◆◇
王宮から派遣された隊は引き続き、街を元に戻す作業を行う。そこはいったん元に戻るが、これは敵国との、継続的な小競り合いの幕開けだった。
多くの兵が東の国境に待機することの必要に迫られ――。
今やアリアンロッドは、命の期限が迫るのをひしひしと感じている。
そんな中、アンヴァルが戻ったとの報告が入る。彼の隊が他の隊と任務を交代したようだ。
「それだけ疲弊しているということだが」
「ヴァルは? ヴァルは無事なの!?」
「無事だよ」
アリアンロッドはそれを聞いて飛び出した。馬で駆け、彼の邸宅を訪ねた。
「大聖女がまたここまで一人きたのか」
呆れて声も出ないと言いたいが、それはもう今更だ。
「良かった、ヴァルが無事で」
傷を負った兵も大勢いるのだが、今アリアンロッドはそのようなことまで考えるに至らない。
そこでアンヴァルは、彼女を彼の家の中には入れなかった。
「どこへ?」
「……夜風に当たりたい。散歩でもしよう」
「ええ……」
◇
月がのぼり、その明かりに照らされる原っぱに腰を落ち着けたふたり。夜風が彼らの頬を撫でていく。
アンヴァルは言う。敵軍は半年程度の長期戦を目論んでいると。小競り合いを繰り返し、こちらの兵も国の機構も疲弊させ、機を見て一気に畳みかけるのではということだ。
会話の句切れに、伏し目がちになるアリアンロッドだった。
「私は本当に役立たずな大聖女ね。こんな切迫した状況で、神の言葉を聴けないなんて」
「国の取り合いなんてくだらないこと、どうすればいいかなんて、神が教えてくれるわけないだろう?」
「そうなの……?」
彼の言い分が小気味よくて、彼女には十分慰めになった。
「じゃあ、私は私にできることをする」
そう言って彼女はアンヴァルの背に回った。一度両腕を屈伸してから、彼の肩を力いっぱい揉みしだいてみせる。
「どう?」
「ああ、割といい」
しばらく侍女がやってくれるようにしてみたのだが。
「はぁ。けっこう疲れるわ、これ」
「なら交代するか?」
すぐにも交代してもらった。帰ってきた彼を全力で労うはずだったのに。
「あああ~~いい~~」
これではすっかりアリアンロッドが接待される側だ。
「ずいぶん凝ってるな」
そこで彼女の肩を軽く叩き、再び揉みだしたこの時。
彼は彼女の首にかかる、真珠の連なる飾りに気付いた。
「これ……」
手を止め、まじまじと見るアンヴァルに、アリアンロッドもやっと思い起こす。
「ああ! そう、ずっとヴァルにお礼を言いそびれてた!」
彼女はさっと彼の方に振り向き、そして衣服の中に入っていたその首飾りを取り出した。
「これ、本当は私へのお土産だったんでしょ?」
アンヴァルは目を丸くしていて、すぐに返事をしなかった。
「あれ? 違うの……?」
「いや、そうだけど……どうして」
「ローズが渡してくれたのよ。私にくれるつもりでいたのに、ヴァルは恥ずかしくて渡せなかったからって。そういえば私たち、あの頃ちょっと、あれだったもんね」
アリアンロッドがなんだか照れくさそうに、指先でその白く輝く珠に触れる。
「ヴァルからくれれば良かったのに……。でもとにかく、ありがとう! とっても綺麗、気に入った! この真珠、見つめてると、碧い海の景色が頭に浮かんでくるの。私の思い描く、想像の海だけど」
「あ、ああ。……でもお前、殿下から頂いたんだろ、首飾り」
「え? あぁ、うん。だけど、ネックレスはどれを着けていてもおかしくないでしょ。まぁ最近は、ずっとこれ一本だけどね」
アンヴァルはしれっとそういう彼女を横目に、しどろもどろに尋ねた。
「どうして……その、殿下から頂いたのじゃなくて……」
アンヴァルの話しぶりは、いつになくまごついているのだが、アリアンロッドは気にもせず説明する。
「それが、ずっとファッションとか気にしないでふたつとも着けてたんだけど、紫水晶の方は旅先で、人に差し出したの」
アンヴァルが訝しげな様子なのでアリアンロッドは説明した。さる人に重大な頼みごとをした際、その紫水晶の首飾りを僅かな礼として提供したのだと。アンヴァルはそれを聞いて一時考え、こう尋ねた。
「なんで殿下から頂いたほうを差し出したんだ? 真珠より紫水晶のが価値があるのか?」
彼は一般的な石の価値についてはよく知らないが、彼女にとっての価値なら、自分の贈った真珠より、ディオニソス殿下と出かけた先で買ってもらった紫水晶のほうが高いに決まっているのだ。彼女が手元に残しておくべきは紫水晶だと理解っている。
「……ディオ様に買ってもらったのはもちろんすごく大事で、身に付けていたらいつも嬉しいものだったわ。だけど……」
アリアンロッドは指の腹でいっそう真珠を撫で、言葉を続ける。
「ローズから聞いたの。これ、ヴァルが私のために、自分で真珠を採って自分で繋げたって。そんなの、これ以上嬉しくて大事なものは……ないよ」
そんなふうに言って、そして、はにかんだ。
「…………。あ────」
おそらく顔を見られたくなくて、アンヴァルは彼女の肩に額を乗せた。普段、アンヴァルからアリアンロッドに引っ付いていくことはないので、彼女は少し驚いた様子。
「戦場に戻らないで、しばらく家で寝てたいな……」
「そうよね……」
彼はそういうわけにもいかない。アリアンロッドもそれくらいは分かるので。
「十分休んでいって……」
こう言うしかなかった。
それから数日後、アンヴァルは整えた隊列と共に東へ戻った。
その頃、アリアンロッドの送った書簡が隣国に届いていた。
「ヴィグリーズの大聖女からか」
家臣からそれを受け取ったユング王は、一通りそれに目を通す。そして。
「あの女をここに連れてこい」
家来にこう命じた。即刻ぞんざいに押し出され入室したのは、
「お前に祖国の大聖女から手紙だ」
密告行為が露見し、捕えられたイナンナだった。
「手紙……大聖女から……?」
酷い暴力は今のところ受けていないが、非常にやつれた彼女はいったん後ろ手の縄を解かれ、すぐに前で両手首を縛られた。それでも渡された手紙は何とか読める。
「アリアンロッド様……」
“ありがとうイナンナ
あなたの仕事が国の多くの民を救いました
これを誇ってこれからも生きてください”
この一筆に彼女は、片目から涙をぽろりとこぼした。
「その手紙な、お前に渡せって俺宛てなんだよ。早速お前が捕えられてることを、なんで知ってるんだ?」
「私は何も……知りません……」
「そうか。まぁそうだろうな」
王は彼宛ての一筆箋に目をやった。
「“うちの密偵に手紙を渡せ”以外に何も書かれてないんだが。何なんだこれは」
彼は憤っているような声で話すが、表情は笑っているようにも見える。
「隣を取り込む前に、一度この女王と話してみてえな」
「そこの大聖女は神がかりで人心を掌握する神子の系譜でしたね。あなたが手に入れれば、使えることもありましょうが」
最側近の男が彼に話しかけた。
「それも多少考えたんだけどな」
「すでに神の力を失ったあなたにとっては、生かしておけば脅威ともなり得ますね」
「ああ残念だ。まぁフレイの代わりにはならないだろう。これは到底、従順な女と思えん」
王は笑ったが、その顔にふと、寂しげな色も浮かばせるのだった。
*:.*.:*:。∞。:*:.*.:*:。∞。:*:.*.:*
12章、お読みくださいましてありがとうございました。
夏目漱石の「I love youの和訳」が「月がきれいですね」なら
アンヴァルの「好きだよの和訳」は「家で寝ていたい」です。(謎)
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