そこに誰もいない

sea

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朝の静けさと騒がしさ

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朝食の支度をしてると
不意にこの家の広さを
改めて感じるいつもは雪菜がいてくれるからあまり広くは感じないのだけれど
いつも早朝になるとこの寂しさを感じる  


誰もいなくて静かで薄暗い
一人だから声を出すこともない


リビングには卵を焼く音やネギを刻む音だけが響いている



ひと通り朝食の支度も終えたが誰も起きてこないので
スッキリする為に朝風呂に入ろうと
浴室へと向かった



早朝の浴室はやはりヒンヤリと冷たく
凍えそうになりながら熱いシャワーを
浴びた着替えるために脱衣所に足を向けタオルを手に取ろうとした時


不意に脱衣所の扉が開いた。


そこには寝起きで頭に寝癖をつけた深山がドアノブを手にしながらこちらを見て固まっていた。
悠人もなにが起きているのか理解できずに数分見つめ合いお互い理解した時に顔を赤く染め目をそらした

「あぁあっと……ごごめん悠人別にその悪気があった訳ではなくてだな!!
その!?」

深山は目を合わせないまま悠人に言い訳をするが焦って上手く呂律が回らないでいた。

「大丈夫だよ、深山くんがそう言う事する人じゃないって分かっているしそれに僕男だよ?男の僕の裸を見たい人なんて居ないし事故だから仕方ないよ!!気にしないで……」

普段あまり喋らない悠人だが気まずさを感じたのかいつもより饒舌に深山にフォローを入れた。

「いや、そんな事ないと思う……俺が言えた立場ではないがそのあまり自分を卑下するのは良くないと思う」


深山は俯きながら悠人に優しく話しかけた

「えっとあのありがと深山君は優しいんだね……」


「いや、そんな……」


深山はそう言いながら顔を上げたが悠人はまだ裸のままで顔を赤くしながら俯いていたそれを見た深山は理性を揺さぶられながらも己が好きなのは雪菜だと言い聞かせ自身を収めようとしていた。

「えっと…脱衣所使うよね僕また浴室に戻るからその間に使っていいよ……」

そう提案し浴室の扉に触れたが
深山が申し訳ないと言いながら脱衣所から出て行き少し安堵の息を漏らした悠人だった。
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