そこに誰もいない

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真っ白な君 雪菜目線

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俺は、悠人の事が幼い頃から好きだった。


両親は悠人と一緒に出掛ける途中に
対向車のトラックが
対向車線をはみ出し
それに巻き込まれてしまい
無くなってしまった。


悠人は何も悪くない其れなのに悠人は
それを自分のせいだと思い
今でも自分を責め続けてる……

その証拠にこの歳になっても
ずっと俺と一緒にいるし
何よりも俺を優先してくれる


ずっと一緒なのも優先されるのも
嬉しいけどそれが罪意識から
来るものならやめて欲しいと思う

 
でも、言ったところで本人は理解しないだろう……
悠人は無意識に自身を責めているから

 

昔、中学二年生の時、いつもみたいに
家に帰ったら悠人が居てご飯を作ってくれて一緒に風呂に入ってお互い就寝した

 

だが、その夜、俺は暑さから眠れず水を飲もうと一階に降りた時、



キッチンにはすでに明かりがついており
其処には不自然に立っている悠人の姿があった。

声をかけようと近寄ったが
手元には血のついた包丁が握られていた

一瞬パニックに陥ったが
何とか冷静になり悠人に声を掛けたが
悠人はボーッと何処か遠くを見て返事をしない俺は焦って伯父さんに電話した。


伯父さんは直ぐに駆けつけてくれて
悠人を病院に連れて行ってくれた。

悠人はその間もずっとボーッとしたままで病院につき医者に診てもらうと
医者は悠人くんは夢遊病ですと答えた


医者が言うには悠人は夢遊病で夜中
無意識に行動を起こし次の日にはそれを
夢の中の出来事だと認識しているか
忘れてしまうかのどちらかだと言った。



少し驚いたが俺が悠人を守らないとって思った悠人は俺の事を優しくて気の弱い子だと思ってるけど悠人の方が
何百倍いや何千倍も優しくて
気の弱い事を知ってる


病院を後にした
俺は伯父さんにお礼を言って
家の中に入った。


それから毎晩の様に悠人の無意識な
自傷行為は行われた。
その度、手当てをし自分の部屋へと連れ込み一緒に抱き合って寝るのが日課となった。


高校になり最近はないからと
油断していた自分がバカだった。


トイレに行こうと思いリビングに出ると
あの日の様に不自然に悠人がキッチンに立って居た

やはり手元には血のついた包丁が……
結局自分は悠人を守れていなかったと
哀しくなり


さしぶりに手当をし包丁を洗い二人で
抱き合って眠った。

朝起きたらきっと悠人はこの事を覚えてないだろうけど

それをいい事に悠人に好きだよと告げ
まぶたにキスをし眠るのだった。



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