そこに誰もいない

sea

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無色透明

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深夜皆んなが寝静まって物音一つない
そんなか、悠人はいつもの夢を見る


過去に過ちを犯した自分を周りが酷く
罵倒し汚いものを見るような目で
悠人を見てるのだそして、
少し時が経つと他の人は最早
悠人が居なかったものの様に扱う
それは雪菜や崇人達もしかりで
最初は酷く怖く辛かったが
少し考えてみると納得し
落ち着きさえする



これは自分が今まで
受けなければならなかった
罰なのだと思った。
今まで雪菜本人や周りの人達は自分を
攻める言い方などせず暖かく優しい人
ばかりで逆にそれが
悠人を苦しめて居た。


自分はそんなに優しくされる資格なんて微塵もない人間で人殺しと何ら変わらないなのに誰も何も言わない……


だから、自分はいつもの様に
自身に罰を与える、忘れては行けないと
記憶に身体に直接刻み付ける


服を巡る脇腹にはいくつもの傷跡があり
それは古い物から真新しい物まである
悠人は刃物を脇腹にあてそのまま
ゆっくりと引いて行く
傷口からは血が滲み次第に
真っ赤な血が薄く細い線を描いて
下へと落ちて行く



悠人はそれを手でぬぐい深く見つめる
あぁ、まだ自分は生きているのだと
早く終わらさなければ少しでも早く
自身の命を削らなければとまた、
傷を増やして行くのだ。








煩わしいアラームの音を止めると
いつの間にか自分は雪菜の部屋で
寝ていた



困惑はしたものの朝ごはんを作るため
キッチンへと向かう事にした。


シンクを見ると何故か包丁にはまだ
新しい水滴が付いていた。


不思議に思ったが考えるのが
煩わしくなり考える事をやめ
朝ごはんの調理に取り掛かった。

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