チュートリアルと思ったらチートリアルだった件

へたまろ

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第一章:チュートリアル

第15話:あれ?そういう感じ?

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「しゃーおらー!」
「ワオーン!」
「グアアアアア!」

『レベルが上がりました』

 牛男トライアル350回目で、ようやく牛男が強敵と認めてくれたようだ。
 最初からすぐに第2形態に変身しやがった。
 第1形態の経験値が……
 しかも倒されてない分、割と体力も力も有り余ってたみたいで少し時間が掛かった。
 とはいえ、ファングを連れて討伐に来られるくらい楽勝なんですけどね。
 ドロップは最初盾だったけど、剣や槍、メイスもあってランダムドロップぽかった。
 取りあえずセーブ部屋に放り込んであるけど、特に使い道も無い。

 剣二刀流で挑んだり、槍で挑んだり、メイス二刀流だったりと色々な形で倒してきたけど、やっぱり爪が一番使いやすいのは微妙。
 最後らへんは盾二刀流の嘗めプとかしてたけどね。
 シールドバッシュで、首の骨を叩き折ってやったけど無駄に疲れるだけだった。
 色々とステータス上がったぽいから良いけどさ。
 いい加減、基礎部分のステータス見たいんですけど?
 レベルが551にまで上がって、身体能力がかなり強化されてるのは分かった。
 牛男の槍や剣も、素手で防いだり弾いたり出来るようになったし。
 あと色々とスキルが昇華統合されてるけど、見やすくなってそれもまあ良いかなと。
 ただね……
 STR? ATK? とかDEFとかさ、もしくは攻撃力とか体力的なものが確認したいんだよね。
 取りあえず、牛男と戦ってみてファングの弱さは改めて理解したよ。

「ウウ?」

 横でファングが何か言いたそうな目をしているが、もはやファング相手なら100匹居ても裸で無傷で勝つ自信はある。
 ということは、やっぱりこいつは序盤の雑魚って扱いだな。

「ワフッ!」

 ワフッってなんだよ!
 本当に狼なのかも不安になって来たよ。
 取り合えず痛覚を調整出来るのは、ゲームっぽくするためかな?
 よくよく考えたらゲームの世界では当たり前のHP満タンとHP1で与えるダメージが変わらないのっておかしいもんね。
 腕を潰されたら攻撃も出来ないわけで、瀕死と無傷で動きが変わらないとかあり得ないっしょ?
 でも、痛覚が無ければ近い状況にはなるわけで。
 そこらへんのゲーム的状況に、違和感なくスムーズに移行させるためのものかな?

『HP/MP/状態異常が全回復しました。セーブしますか?』

 取りあえずいいえっと。

『よろしいですか?』
「ワンワン!」
「なんだよもう」

 ファングがウルサイ。
 最近セーブポイントで回復すると、数回に一回吠えてくる。
 
『よろしいですか?』
「ワンワン!」
「えっ? 宝玉がおかしい?」

 ファングに言われて近付くが、いつも通りフヨフヨ浮いているだけじゃないか。
 そう思って、ファングの頭を撫でて部屋を出ようと思ったら腕を噛まれた。
 そして、セーブポイントに連れていかれる。

「なになに? よろしいですか? いや、セーブはいいえでオッケイやで」
『ではなくて、お話を少しよろしいですか?』
「いや、今からもっかい牛男倒して、そろそろ探索に出ようか・な・と? はっ?」
『はあ……ようやく気付いて頂けましたか』

 いやいやいや、おかしいでしょ!
 セーブポイントの中心に掛かれてる文字が、いつもと違う文字に変わってた。
 というか会話になってる?

「ブフッ」

 ようやく気付いたの? といった様子で鼻をならすファング。
 だが、俺は暫く固まったまま動けなかった。
 もしかして……説明書的キャラってこいつ?

「話せたの?」
『はい……』
「なんで今まで話してくれなかったの?」
『最初は定型文が出るのですが、いつも話しかける時にはすでに離れておりましたので』

 ……何故メッセージにした製作者よ。
 そこは音声にしてくれよ……

「えーっと……色々と教えてくれるんですか?」
『え? まあ、サポーターというかマネージャーというか、助手ですから……』
「あっ、そう……」

 俺はヨタヨタとセーブポイントから離れてファングの腹に顔を埋める。

「ワウ?」
「うん、ちょっとそっとしといて……色々とショックだから」

 一人で淡々と作業ゲーをして目的も分からずに頑張ってたら、意外と身近な所にヒントがあって凹んでるだけだから。
 というかさ……マジで、時間返せ。
 衝撃の事実が色々と明るみになりそうで、話を聞くのが怖いんですけど……
  


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