転勤は突然に~ゴブリンの管理をやらされることになりました~

へたまろ

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第1章:赴任

第2話:手さぐりゴブリン運用

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 ゴブリンのステータスは確かに分かった。
 なんていうか、目の前にインターフェイスが浮かぶというか。
 近未来の空間映像……近未来かどうかは分からないけど。
 何年も前からできそうでできないというか、テーブルにキーボードを映すとか壁に映して空中で操作とかはあるけど。
 いわゆる、あれの完成版だな。

 そして、ステータスがいじれるという意味も。
 レベルがバラバラだが、レベルの高さに応じてボーナスポイントがあるらしい。
 ただ、これはこいつらじゃ自分で振り分けられない仕様と。
 なるほど、個体名をソートする機能もあると。
 ウェイトという項目があるので、押してみる。
 周囲が一気に静かになった。
 あー……作業に集中するモードか。
 このインターフェースの操作以外はできない感じと。
 レベルが高いものでも8か……ポイントはぼちぼち。
 なんとなくざっくりと理解したので、ウェイトモードを解除する。

 それにしても、くせーな。

「臭い」
「申し訳ありません」

 俺の言葉に、近くにいたゴブリンが小さくなって頭を下げる。
 とりあえず、俺にもボーナスポイントがいっぱいあったから振り分ける。
 生活魔法の中に洗浄魔法と、消臭魔法、除菌魔法を見つけた。
 即行で取ったわ。
 そして乱発しまくったわ。
 住環境も気に入らない。
 土属性魔法に植物関連やら土操作やらあったから、それも取った。
 とりあえず、このあばら家とすら呼べないぼろい建物が嫌すぎる。
 隙間から虫が出入りしてるのも、普通に床に虫がいるのも。
 
 外に出て、土魔法で壁と床と天井を作った。
 窓のところは、とりあえずガラスが無いからそのまま。
 ドアもないから、出入り口もどうにもできない。
 虫の侵入を防ぐ手段が……
 生活魔法にあった、防虫魔法で家を覆う。
 まあ、多少はマシになった。
 新築の家だけど、さしてワクワクすることもなく室内に。
 暗い……

 光属性魔法のライトの魔法をとる。
 ポイントを確認。
 まだまだ、余裕でいけるな。

 俺の行動をゴブリンどもが汚い面で、ビクビクしながら見てきたのがちょっとイラっとした。
 
「ガアアアア!」

 だから両手をあげて、意味もなく威嚇した。
 すごい勢いで逃げてって、ウケる。
 つまづいたり、転んではいずって逃げたりコミカルだ。
 ちょっと溜飲が下がった。
 うん……ストレスだな。
 ただの、八つ当たり。
 イライラが初日から、こんなにたまるとは。
 帰れたら、専務の頭一回くらい叩いても怒られないよね?
 いや、基本は優しいおじいちゃんなんだけど。
 この仕打ちは許せん。

***
「うーん、よく寝たのに……夢から覚めない」

 目を開けると無機質な天井。
 げんなりしつつ、背伸びをして起き上がる。
 
「うへあっ!」

 外に出ようとしたら、入り口から緑色の気持ち悪い猿共が覗き込んでた。
 思わず変な声が出た。

「ガアアアアア!」

 とりあえず恥ずかしかったので両手をあげて、ゴブリン共を威嚇して散らす。
 ちょっと楽しくなってきた。

 うん、ゴブリンの集落に出向中だった。 
 とりあえず、こいつらは俺に対してメチャクチャビビってることだけは分かる。
 調子に乗りたくなる程度には。

 見た目があれすぎるので、今日こそはどうにかしようと考える。
 全員に土魔法で仮面でも作って被らせるか?
 昨日に引き続き、全員に洗浄魔法を掛ける。
 一日で結構臭うんだなこいつら。
 俺もか?
 自分の臭いをかいでみて、臭わなかったのでほっと胸をなでおろす。
 
「とりあえず、道を綺麗にしろ! 糞尿は決められた場所でしろ! あと、毎日水浴びしろ! 家は綺麗にしろ!」
「はいいい!」

 ゴブリンどもを全員集めて、それだけ命令する。
 いや、命令するというか、指示を仰いできたから適当に。
 俺の言葉になんでも従ってくれるのは、良いことだと思いたい。
 面倒だが。

 目の前のゴブリンを追い払ったので、落ち着いて自分の仕事を。
 名前順にステータスを確認して、ポイントを割り振り。

 うーん……人が来るまでにある程度、強くした方が良いのだろうが。
 と思いつつ、ボーナスポイントを器量と知性と力を6対3対1で割り振る。
 見た目がよくなったら、多少はマシになるだろう。
 
「とりあえず、外に出て狩りをしてレベル上げてこいや!」
「ひいいい!」

 ポイント割り振りが終わった後で、レベル上げのために全員追い出す。
 ポイントが無いと、俺のできることもない。

 子供ゴブリンも容赦なく追い出す……
 大丈夫かな?
 これで、数減ったら怒られたりするのかな?

 杞憂だった。
 大人ゴブリンが手伝ったりして、全員無事に帰ってきた。

「すごい! ホーンボアを狩れました」
「ロードの加護を得て、力が強くなった気がします」
「それに、なんというか頭がすっきりとしているというか。猪の動きを見て先回りする方法や、うまく連携を取る方法が思いつくと言いますか」
「とにかく、こんなに大量に獲物が取れたのは初めてです」

 そうか、それは良かったな。
 レベルが結構おいしことになってた。
 というか、ステータスをいじって強くなったってことか。
 レベルが上がったからか基礎ステータスも上がってるから、別にポイントの割り振りは適当でもいいかなあ。

***
「ロード、これを食べてください」
「あっ、おれ生肉食べないから」

 ゴブリン共が、色々と献上品を持ってきてくれるが。
 正直、得体のしれない肉を差し出されても。
 この辺りは、要相談だな。
 木の実とかもおそるおそる食べてるけど、肉はなー。
 火魔法を取ったから、焼くことはできるけど。
 うーん、寄生虫問題とか……ジビエといえば聞こえがいいけど、野生の動物と言えばその問題が大きい。
 漫画や物語のように、簡単にはいかない。
 焼けばいいだけだけど。

「ジャッキーさーん!」
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