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第1章:赴任
第35話:ゴブリンベビー
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とうとう出産ラッシュが始まった。
色々と心配はしたが、ゴブリンの出産は難産になることはほとんどないらしい。
ポンポン子供が産まれた。
全部で6人。
多いのか少ないのか分からないけど。
かなり少ないらしい。
基本的に子を多く生んで、大人になるまでに多くの子供が犠牲になるらしい。
ゴブリンは食物連鎖のピラミッド内では、下位に位置する魔物だからとのこと。
「いまの私たちは、ほぼこの森の中ではトップクラスですから」
「間違いなく安全に大人になるまで、成長できると思いますよ」
とは、ゲソチとジソチの言葉。
「うん、この子はゴブノスケかな?」
最初の6人は俺が名前を付けることに。
それでいいのかなと思ったけど、ゴブリン達が望んだことなので。
適当な名前をつけるわけにはいかないとも思ったけど、6人もの名前を付けるのは大変だった。
とりあえず両親を見て、名前を決めていった。
ちなみにゴブノスケは、ゴブエモンの息子だ。
他にはアスケ、イリコ、ウール、エラク、オーラ。
アスケ、ウール、エラクは男の子。
イリコと、オーラは女の子だ。
驚いたことに、どの子もそれなりに可愛かった。
両親の器量が上がって、見た目が良くなっているからだろうか?
両親のステータスを、ある程度は引き継いで生まれてくるようだ。
ジニーたちも、赤子たちを見るときは頬をが緩んでいる。
ゴブリンに対する悪感情はほぼ、払拭されているようだ。
ちなみにウールとオーラは、ストリングの子供だ。
人の血が混ざっているとは思えないほど、完全にゴブリンっぽいのだが。
そして、これが一番驚いたことなのだがゴブノスケとイリコ、オーラには髪の毛がうっすらと生えていた。
「ゴブリンも生まれたときは毛があるのか?」
「いえ、そんなことはありません」
どうやら、特殊個体のようだ。
ユニークなのかな?
「ロードの望みをかなえるために、努力した結果です」
努力でどうにかできるものなのだろうか?
まあ、どちらにしろ喜ばしいことに違いない。
毛があろうがなかろうが、子は宝だな。
それから、集落をあげてのお祝い。
他の2つの集落からもゴブリンを集めて、盛大に祝った。
「これから先に産まれる子に、同じように宴をひらくことはできないかもしれない。でもお祝いの品は用意させてもらう」
とりあえず、今回生まれた6人の赤子に産着をプレゼント。
ジャッキーさんに買ってきてもらった。
こうしてみると、本当に人の子と大差ない。
「うわぁ、ちっちゃい」
「可愛いな」
そして、ジニーとミレーネ、サーシャがニッコニコだ。
おいギイ、そんなところで腐ってないでこっちに来たらどうだ?
「ゴブリン達でさえ、結婚して子供が産まれているのに……俺は」
不用意なことを言うな。
ほら、独身の雌ゴブリン達がにじり寄ってるぞ?
あれは、完全に獲物を狙う目だな。
早くこっちに来た方が……
「なんだ、慰めてくれるのか?」
あっ、なりきりメイクのゴブリンビューティの一人に連れていかれた。
いやまあ、無理矢理でなければいいけど。
一度、そのメイクを落としてから、再挑戦するように。
流石に、それは詐欺だから。
「しかし、本当におかしな連中じゃのう」
うん、一番おかしな人が何か言ってるけど。
お酒を飲んでるけど、どうして肋骨の隙間からもれたりしないのかな?
不思議だ。
「気にするな。そういうものなのじゃ」
気になって仕方ない。
そういえば、連日宴会だな。
そろそろ、引き締めないと。
といっても、日中はしっかりと働いているから別に構わないか。
ちなみに他の集落のゴブリン達は、見た目は一歩劣っているがそれなりに知性は上がってきている。
もちろん、それに伴って色々と常識的な行動もとるようになった。
「つまらないものですが」
新たに加わった氏族の族長が、バスケットに果物を入れて子供が産まれたゴブリンに手渡しているけど。
その文言は誰に習ったのかな?
うちのゴブリン達でも、そんなことは言わないと思う。
というか、この世界にそんな謙遜しながら物を渡すような文化はあるのだろうか?
つまらないものを寄越すなといった、皮肉が返ってきそうな世界だけど。
「これはこれは、たいそうなものを頂きまして」
……日本が懐かしくなるやり取りだ。
アスマさんの方をジッと見る。
「ん? お主の国の映像に移っていたが? 授業にお主の世界や国の文化も取り入れているぞ?」
いや、アスマさんには魔法の講義しかお願いしてないと思うんだけど?
「カッカッカ! いや、お主のところの長老共に色々と物を教えるにあたって、いろんなジャンルの知識をコマ割りで日程を組んで、希望者を募ったのじゃが。各氏族の年長者どもからも希望があってのう」
そんなことを言って、笑いながら顎をさすっているけど。
ありがとうと言うべきか、余計なことをと言うべきか。
悪い事ではないから、ありがとうかな?
「若いもんも、もう少し興味をもってくれるといいのじゃが」
なんだかなー。
これでも、この世界では恐れられているエルダーリッチなんだよなー。
とても、そうは見えないけど。
「こんな見た目じゃからのう。討伐対象にはなっても、交流を持ってくれるもんはほとんどおらんからのう? 無論、敵対するものには容赦はせんが」
まあ、殺意を持って襲い掛かってきたら、そりゃ抵抗もするか。
元は、温厚な人柄……人柄? 骨柄なのだろう。
骨柄っていうとあれだな……いい出汁が出そうな字面だな。
「なんぞくだらんことを考えるのう。ならわしの入った風呂の残り湯でラーメンでも茹でてみるか?」
そうか……じゃあ、次にアスマさんの入る風呂は熱湯にしておこう。
「冗談じゃ。真に受けるな」
大丈夫、こっちも冗談だ。
流石に、人骨ラーメンなんか食べる気もしない。
想像しただけで、食欲が失せる。
「そういうところじゃよ。わし相手に冗談を言う者などまずおらん。そういった点で、一番変わっておるのはお主じゃな」
誉め言葉として受け取っておこう。
「それにしても、お主の役割はゴブリン共の絶滅する未来の回避と、人種への牽制であろう? あまり、仕事をしているようには見えぬが」
「そうか? なんか、俺の配下のゴブリンってもう人相手に、どうこうされるとは思えないけど」
「さもありなん……お主の配下になれば、生き残れる可能性はグッと増えるじゃろう」
この仕事の終わりが見えない。
あと、色々と開拓はしているけど。
あまり自然破壊はしないようにしないと。
これで、ゴブリンによる環境破壊で星の寿命が縮まったら本末転倒だな。
「その辺りは植林や間伐、環境保全や絶滅危惧種の保護繁殖で頑張るしかあるまい」
とても骸骨の口から出るような言葉とは思えない。
「お主の世界のドキュメンタリーとやらの影響じゃな! 本当に、お主に出会えてよかったわい」
アスマさんが一番喜んでいるのは、ブルーレイとの出会いじゃないかな?
「いや、お主自身からも色々と刺激を受けておる。当初、わしの挑戦をのらりくらりと躱しておったが。お主の世界の、争いは同じレベルの者同士でしか発生しないという言葉を聞いて理解したよ……相手にすらされておらなんだったのだと」
そういうわけじゃないけど。
単に面倒くさかっただけというか。
「わし相手に、見栄を張るのもプライドを守るのも必要ないというのは、お主の方がどこか上に立っておったのだろう」
違う違う。
単に、争いが嫌いなだけなんだって。
「わしが野蛮じゃったということじゃな」
急に卑屈になってるなー。
遠い目をしているアスマさんの視線の先には、ゴブリンの雌に囲まれてご満悦のジャッキーさんが。
一緒に祝ってくれてるけど……髪の毛蛇の女性からは逃げ切れたのかな?
そして、絶賛合コン連敗記録更新で、少し自棄になってるのかも。
「ジャッキーさんと、飲んで来たら?」
「はあ……恐れ多いて」
恐れ多いって、あの姿を見てそう思えるって凄いなー。
めっちゃモフモフされて、トッロトロになってるけど?
「サトウさーん! 飲んでますかー?」
あっ、目が合ったらジャッキーさんが千鳥足でこっちに。
酔っぱらってヨロヨロしてる狼ってのも、珍しいけど。
「今日の主役は赤ちゃんたちだからね? ほどほどにしてくださいよ?」
「分かってますってー! 頑張ってくれてるみたいで、私も嬉しいですよー! 臨時ボーナス出してもらえるよう社長にもよく言っときますねー」
一瞬頭にネクタイ巻いてる、酔っ払いリーマンに見えたけど。
目をこすったら、目がトロンとしてる狼だった。
はぁ……とりあえず、酔いつぶれたらうちで寝かせるしかないか。
色々とステータス伸ばしてるから、今更ジャッキーさん程度の軽く運べるけど。
色々と心配はしたが、ゴブリンの出産は難産になることはほとんどないらしい。
ポンポン子供が産まれた。
全部で6人。
多いのか少ないのか分からないけど。
かなり少ないらしい。
基本的に子を多く生んで、大人になるまでに多くの子供が犠牲になるらしい。
ゴブリンは食物連鎖のピラミッド内では、下位に位置する魔物だからとのこと。
「いまの私たちは、ほぼこの森の中ではトップクラスですから」
「間違いなく安全に大人になるまで、成長できると思いますよ」
とは、ゲソチとジソチの言葉。
「うん、この子はゴブノスケかな?」
最初の6人は俺が名前を付けることに。
それでいいのかなと思ったけど、ゴブリン達が望んだことなので。
適当な名前をつけるわけにはいかないとも思ったけど、6人もの名前を付けるのは大変だった。
とりあえず両親を見て、名前を決めていった。
ちなみにゴブノスケは、ゴブエモンの息子だ。
他にはアスケ、イリコ、ウール、エラク、オーラ。
アスケ、ウール、エラクは男の子。
イリコと、オーラは女の子だ。
驚いたことに、どの子もそれなりに可愛かった。
両親の器量が上がって、見た目が良くなっているからだろうか?
両親のステータスを、ある程度は引き継いで生まれてくるようだ。
ジニーたちも、赤子たちを見るときは頬をが緩んでいる。
ゴブリンに対する悪感情はほぼ、払拭されているようだ。
ちなみにウールとオーラは、ストリングの子供だ。
人の血が混ざっているとは思えないほど、完全にゴブリンっぽいのだが。
そして、これが一番驚いたことなのだがゴブノスケとイリコ、オーラには髪の毛がうっすらと生えていた。
「ゴブリンも生まれたときは毛があるのか?」
「いえ、そんなことはありません」
どうやら、特殊個体のようだ。
ユニークなのかな?
「ロードの望みをかなえるために、努力した結果です」
努力でどうにかできるものなのだろうか?
まあ、どちらにしろ喜ばしいことに違いない。
毛があろうがなかろうが、子は宝だな。
それから、集落をあげてのお祝い。
他の2つの集落からもゴブリンを集めて、盛大に祝った。
「これから先に産まれる子に、同じように宴をひらくことはできないかもしれない。でもお祝いの品は用意させてもらう」
とりあえず、今回生まれた6人の赤子に産着をプレゼント。
ジャッキーさんに買ってきてもらった。
こうしてみると、本当に人の子と大差ない。
「うわぁ、ちっちゃい」
「可愛いな」
そして、ジニーとミレーネ、サーシャがニッコニコだ。
おいギイ、そんなところで腐ってないでこっちに来たらどうだ?
「ゴブリン達でさえ、結婚して子供が産まれているのに……俺は」
不用意なことを言うな。
ほら、独身の雌ゴブリン達がにじり寄ってるぞ?
あれは、完全に獲物を狙う目だな。
早くこっちに来た方が……
「なんだ、慰めてくれるのか?」
あっ、なりきりメイクのゴブリンビューティの一人に連れていかれた。
いやまあ、無理矢理でなければいいけど。
一度、そのメイクを落としてから、再挑戦するように。
流石に、それは詐欺だから。
「しかし、本当におかしな連中じゃのう」
うん、一番おかしな人が何か言ってるけど。
お酒を飲んでるけど、どうして肋骨の隙間からもれたりしないのかな?
不思議だ。
「気にするな。そういうものなのじゃ」
気になって仕方ない。
そういえば、連日宴会だな。
そろそろ、引き締めないと。
といっても、日中はしっかりと働いているから別に構わないか。
ちなみに他の集落のゴブリン達は、見た目は一歩劣っているがそれなりに知性は上がってきている。
もちろん、それに伴って色々と常識的な行動もとるようになった。
「つまらないものですが」
新たに加わった氏族の族長が、バスケットに果物を入れて子供が産まれたゴブリンに手渡しているけど。
その文言は誰に習ったのかな?
うちのゴブリン達でも、そんなことは言わないと思う。
というか、この世界にそんな謙遜しながら物を渡すような文化はあるのだろうか?
つまらないものを寄越すなといった、皮肉が返ってきそうな世界だけど。
「これはこれは、たいそうなものを頂きまして」
……日本が懐かしくなるやり取りだ。
アスマさんの方をジッと見る。
「ん? お主の国の映像に移っていたが? 授業にお主の世界や国の文化も取り入れているぞ?」
いや、アスマさんには魔法の講義しかお願いしてないと思うんだけど?
「カッカッカ! いや、お主のところの長老共に色々と物を教えるにあたって、いろんなジャンルの知識をコマ割りで日程を組んで、希望者を募ったのじゃが。各氏族の年長者どもからも希望があってのう」
そんなことを言って、笑いながら顎をさすっているけど。
ありがとうと言うべきか、余計なことをと言うべきか。
悪い事ではないから、ありがとうかな?
「若いもんも、もう少し興味をもってくれるといいのじゃが」
なんだかなー。
これでも、この世界では恐れられているエルダーリッチなんだよなー。
とても、そうは見えないけど。
「こんな見た目じゃからのう。討伐対象にはなっても、交流を持ってくれるもんはほとんどおらんからのう? 無論、敵対するものには容赦はせんが」
まあ、殺意を持って襲い掛かってきたら、そりゃ抵抗もするか。
元は、温厚な人柄……人柄? 骨柄なのだろう。
骨柄っていうとあれだな……いい出汁が出そうな字面だな。
「なんぞくだらんことを考えるのう。ならわしの入った風呂の残り湯でラーメンでも茹でてみるか?」
そうか……じゃあ、次にアスマさんの入る風呂は熱湯にしておこう。
「冗談じゃ。真に受けるな」
大丈夫、こっちも冗談だ。
流石に、人骨ラーメンなんか食べる気もしない。
想像しただけで、食欲が失せる。
「そういうところじゃよ。わし相手に冗談を言う者などまずおらん。そういった点で、一番変わっておるのはお主じゃな」
誉め言葉として受け取っておこう。
「それにしても、お主の役割はゴブリン共の絶滅する未来の回避と、人種への牽制であろう? あまり、仕事をしているようには見えぬが」
「そうか? なんか、俺の配下のゴブリンってもう人相手に、どうこうされるとは思えないけど」
「さもありなん……お主の配下になれば、生き残れる可能性はグッと増えるじゃろう」
この仕事の終わりが見えない。
あと、色々と開拓はしているけど。
あまり自然破壊はしないようにしないと。
これで、ゴブリンによる環境破壊で星の寿命が縮まったら本末転倒だな。
「その辺りは植林や間伐、環境保全や絶滅危惧種の保護繁殖で頑張るしかあるまい」
とても骸骨の口から出るような言葉とは思えない。
「お主の世界のドキュメンタリーとやらの影響じゃな! 本当に、お主に出会えてよかったわい」
アスマさんが一番喜んでいるのは、ブルーレイとの出会いじゃないかな?
「いや、お主自身からも色々と刺激を受けておる。当初、わしの挑戦をのらりくらりと躱しておったが。お主の世界の、争いは同じレベルの者同士でしか発生しないという言葉を聞いて理解したよ……相手にすらされておらなんだったのだと」
そういうわけじゃないけど。
単に面倒くさかっただけというか。
「わし相手に、見栄を張るのもプライドを守るのも必要ないというのは、お主の方がどこか上に立っておったのだろう」
違う違う。
単に、争いが嫌いなだけなんだって。
「わしが野蛮じゃったということじゃな」
急に卑屈になってるなー。
遠い目をしているアスマさんの視線の先には、ゴブリンの雌に囲まれてご満悦のジャッキーさんが。
一緒に祝ってくれてるけど……髪の毛蛇の女性からは逃げ切れたのかな?
そして、絶賛合コン連敗記録更新で、少し自棄になってるのかも。
「ジャッキーさんと、飲んで来たら?」
「はあ……恐れ多いて」
恐れ多いって、あの姿を見てそう思えるって凄いなー。
めっちゃモフモフされて、トッロトロになってるけど?
「サトウさーん! 飲んでますかー?」
あっ、目が合ったらジャッキーさんが千鳥足でこっちに。
酔っぱらってヨロヨロしてる狼ってのも、珍しいけど。
「今日の主役は赤ちゃんたちだからね? ほどほどにしてくださいよ?」
「分かってますってー! 頑張ってくれてるみたいで、私も嬉しいですよー! 臨時ボーナス出してもらえるよう社長にもよく言っときますねー」
一瞬頭にネクタイ巻いてる、酔っ払いリーマンに見えたけど。
目をこすったら、目がトロンとしてる狼だった。
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