40 / 77
第1章:赴任
第34話:帰還
しおりを挟む
「ただいま、戻りましたー!」
元気よく挨拶をしてきた男性。
レンジャーのギイだ。
本当に、元気のいい溌溂とした声。
無理してないといいが。
「えっと……」
俺はギイを無言で抱き締めて、背中をポンポンと叩いてやった。
ここに戻ってきたということは、そういうことだろう。
……お前汗臭いな。
先に、風呂入って来い。
ガードとサーシャも。
俺の言葉に、サーシャがショックを受けたような表情をしているが。
お前たちは鼻が慣れてしまっているのだろうが、割とあれだぞ?
3人で、共同浴場へと向かっていったが。
サーシャがどんよりとした雰囲気で戻ってきた。
この3人、前にこの集落で捕虜になっていた冒険者だ。
そして、ジニーの仲間でもある。
「改めてお帰り……ところでなんで戻ってきたんだ?」
俺の言葉に、3人ともショックを受けているが。
ここ、ゴブリンの集落だぞ?
人の住む場所ではないのだが。
「他にも、人を増やしておいてそれはないでしょう」
ガードが呆れた様子で、首を横に振っているが。
せっかく帰れたのに。
「もう、人と暮らせない身体にしておいて、なんて無責任な」
その言い方は色々と語弊がある。
事情を知らないミレーネが凄い顔でこっちを見ているから、悪ふざけはやめなさい。
「ここに戻ってきた時点で、分かるでしょう……真っ先に察してくれたくせに」
ギイに関しては何も言えない。
例の渡り鳥の彼女に、振られたのだろう。
「それよりも、まずはこの場所の事を漏らしてしまい申し訳ありません」
「あのあと、軍が送り込まれたと聞いたのですが……大丈夫そうですね」
ギイがいきなり頭を下げてきたが。
あー、それね。
サーシャも集落の様子を見て、ホッと胸をなでおろしているが。
うん。
ガードもすぐに気付いていたらしく、サーシャの脇腹を肘でつついていたが。
そして俺の横では……なぜかすぐ真横に立っているミレーネが微妙な表情を浮かべているが。
そのミレーネを見て、ギイとサーシャが固まる。
そして気まずそうな表情。
「いや、気にするな。お前たちの忠告を無視した結果がこれだ……私も人の国に戻れるような身体ではなくなってしまった」
俺に腕を絡ませようとするな。
サーシャの周りの空気が、少し冷たくなってる気がする。
「色男は辛いですね」
ギイがひがんでいるが、俺は平凡な容姿……そういえば、こっちの世界で器量をいじって若干イケメンになってるんだった。
しかし、見た目だけで……
「わ……私はもうサトウさん以外の作った物は食べられそうもありません」
「私は、最近毎日食べているぞ?」
ああ……
胃袋の方ね。
「それを言ったら、俺もだな」
「ああ、俺もだ」
……大半が調味料の力ではあるが。
そこまで言われてしまったら、仕方ない。
チョロいと言われようが、気にしない。
椀飯振舞だ!
遠慮せずに食うがいい。
ただ……あれだ。
菓子類は、イッヌに作らせた。
俺以外にも、美味しい物を作れる人がいることを教えるためにも。
「美味しいです!」
「サトウさん、町にお店を出す気はないですか? ゲイルとグレンからかなりひがまれてまして」
「あいつらは、嫁さんの作った美味しい飯でも食ってたらいいんじゃないか?」
結婚組からひがまれたと言われてもな。
ガードがそんなことを言っていたが、その横でギイが闇落ちしているぞ?
***
「それじゃあ、戻りますね」
そう言ってジニーが3人と一緒に家に帰っていったが。
その足取りは軽い。
なんだかんだで、寂しかったのだろう。
そして、やけにミレーネがベタベタしてくる。
「また酔ってるのか?」
「むう……」
俺の言葉に、ミレーネが頬を膨らませているが。
こんなのでも、どこぞの国のお姫様だからな。
なんとも、残念な世界だ。
ちなみに3人とも、アスマさんとの再会も喜んでいた。
それにゴブリン達との再会も。
エドとシドを紹介したが、驚いていたな。
ドワーフが技術指導員として、ここに来ていることに。
竜の鱗が対価だといったら、余計に驚かれた。
そのエドとシドだが、今はこの竜の鱗で酒を目いっぱい用意してくれと俺に交渉に来ている。
ただ、竜の鱗を地球でジャッキーさんに換金してもらう訳にはいかないし。
竜の鱗の価値が分からないので、手元にある酒を渡してごまかしてはいるが。
その鱗の持ち主である火竜が先日までいたと教えたら、残念がっていた。
冒険者にとって、竜はロマンらしい。
竜の鱗を素材として作った防具を持つことが、冒険者のステータスだのなんだと言われたが。
砕けたり割れた鱗ならあるぞ?
「手持ちじゃとてもじゃないですが、支払えません」
この世界の貨幣価値が分からないから、何とも言えないが。
簡単に手に入る気もするし。
まあ、色々と今後のことも考えて残してはいるけど……
知り合いの皮膚だと思うと、ちょっと気持ち悪い。
次の日は3人を連れて、改めてあいさつ回り。
イッヌは、普通に挨拶をしあっていたが。
カマセ子爵家の子息だと伝えたら、3人が慌てて平伏しようとしてた。
それを押しとどめたのイッヌ本人。
「今は、この集落のただの新参者ですよ。お菓子作り以外では、あまり役に立ててませんが」
謙遜まで……
本当に変わったと思う。
役に立ててないことはないぞ!
他の事でも、微妙に役に立ってるぞ!
そのあれだ……いないよりはいてくれた方が良い程度には。
うん……笑顔でお礼を言ってくれたが。
余計なことを言ったかもしれない。
ただ、やる気はあるみたいだ。
「ミレーネだ」
ミスト王国第三王女とは自己紹介しないのね。
フルネームでも。
「ふん……王族の恥となった私が、家名を名乗るわけにはいくまい……いずれは、サトウと名乗るつもりではあるが」
ちょっと、何言ってるか分からない。
あと急に偉そうだな。
こういう姿を見ると王族だなと、改めて感心する。
「照れるではないか」
すぐに襤褸が出るのは、どうかと思うが。
今度こそ3人が平伏している。
「ミ……ミレーネ殿下におかれましては「よい。もはや、ユベンタークの家名は捨てた」」
ギイの挨拶をミレーネが手を振って、制止しているが。
それなら、もう少し態度を軟化できないのかと思わなくはない。
何がしたいのか、よく分からないのだが。
「サトウさんの前で良いところを見せたいんですよ、きっと」
ジニーが耳打ちしてくれた。
割と大きな声だな。
耳打ちの意味がない。
ミレーネが睨んでいるぞ?
「俺は最近のミレーネの方が好きだが」
ちょっと、とっつきにくい印象を受けるし。
「身分のことなんか気にしなくていいよ! うん、皆で仲よくしよう」
急に気安くなったな。
でも、最近でもそこまで気安くはなかったと思うぞー?
流石に色々と感づいてしまったが、気付いていないことにしておこう。
鈍感系ってことで、乗り切れないかな?
ミレーネがどうこうってわけじゃないけど。
ちょっと、居候として同居させてるからな。
問題が起こると、後々気まずいだろうし。
盛大に舌打ちをされたが。
お姫さまって舌打ちするんだな。
元気よく挨拶をしてきた男性。
レンジャーのギイだ。
本当に、元気のいい溌溂とした声。
無理してないといいが。
「えっと……」
俺はギイを無言で抱き締めて、背中をポンポンと叩いてやった。
ここに戻ってきたということは、そういうことだろう。
……お前汗臭いな。
先に、風呂入って来い。
ガードとサーシャも。
俺の言葉に、サーシャがショックを受けたような表情をしているが。
お前たちは鼻が慣れてしまっているのだろうが、割とあれだぞ?
3人で、共同浴場へと向かっていったが。
サーシャがどんよりとした雰囲気で戻ってきた。
この3人、前にこの集落で捕虜になっていた冒険者だ。
そして、ジニーの仲間でもある。
「改めてお帰り……ところでなんで戻ってきたんだ?」
俺の言葉に、3人ともショックを受けているが。
ここ、ゴブリンの集落だぞ?
人の住む場所ではないのだが。
「他にも、人を増やしておいてそれはないでしょう」
ガードが呆れた様子で、首を横に振っているが。
せっかく帰れたのに。
「もう、人と暮らせない身体にしておいて、なんて無責任な」
その言い方は色々と語弊がある。
事情を知らないミレーネが凄い顔でこっちを見ているから、悪ふざけはやめなさい。
「ここに戻ってきた時点で、分かるでしょう……真っ先に察してくれたくせに」
ギイに関しては何も言えない。
例の渡り鳥の彼女に、振られたのだろう。
「それよりも、まずはこの場所の事を漏らしてしまい申し訳ありません」
「あのあと、軍が送り込まれたと聞いたのですが……大丈夫そうですね」
ギイがいきなり頭を下げてきたが。
あー、それね。
サーシャも集落の様子を見て、ホッと胸をなでおろしているが。
うん。
ガードもすぐに気付いていたらしく、サーシャの脇腹を肘でつついていたが。
そして俺の横では……なぜかすぐ真横に立っているミレーネが微妙な表情を浮かべているが。
そのミレーネを見て、ギイとサーシャが固まる。
そして気まずそうな表情。
「いや、気にするな。お前たちの忠告を無視した結果がこれだ……私も人の国に戻れるような身体ではなくなってしまった」
俺に腕を絡ませようとするな。
サーシャの周りの空気が、少し冷たくなってる気がする。
「色男は辛いですね」
ギイがひがんでいるが、俺は平凡な容姿……そういえば、こっちの世界で器量をいじって若干イケメンになってるんだった。
しかし、見た目だけで……
「わ……私はもうサトウさん以外の作った物は食べられそうもありません」
「私は、最近毎日食べているぞ?」
ああ……
胃袋の方ね。
「それを言ったら、俺もだな」
「ああ、俺もだ」
……大半が調味料の力ではあるが。
そこまで言われてしまったら、仕方ない。
チョロいと言われようが、気にしない。
椀飯振舞だ!
遠慮せずに食うがいい。
ただ……あれだ。
菓子類は、イッヌに作らせた。
俺以外にも、美味しい物を作れる人がいることを教えるためにも。
「美味しいです!」
「サトウさん、町にお店を出す気はないですか? ゲイルとグレンからかなりひがまれてまして」
「あいつらは、嫁さんの作った美味しい飯でも食ってたらいいんじゃないか?」
結婚組からひがまれたと言われてもな。
ガードがそんなことを言っていたが、その横でギイが闇落ちしているぞ?
***
「それじゃあ、戻りますね」
そう言ってジニーが3人と一緒に家に帰っていったが。
その足取りは軽い。
なんだかんだで、寂しかったのだろう。
そして、やけにミレーネがベタベタしてくる。
「また酔ってるのか?」
「むう……」
俺の言葉に、ミレーネが頬を膨らませているが。
こんなのでも、どこぞの国のお姫様だからな。
なんとも、残念な世界だ。
ちなみに3人とも、アスマさんとの再会も喜んでいた。
それにゴブリン達との再会も。
エドとシドを紹介したが、驚いていたな。
ドワーフが技術指導員として、ここに来ていることに。
竜の鱗が対価だといったら、余計に驚かれた。
そのエドとシドだが、今はこの竜の鱗で酒を目いっぱい用意してくれと俺に交渉に来ている。
ただ、竜の鱗を地球でジャッキーさんに換金してもらう訳にはいかないし。
竜の鱗の価値が分からないので、手元にある酒を渡してごまかしてはいるが。
その鱗の持ち主である火竜が先日までいたと教えたら、残念がっていた。
冒険者にとって、竜はロマンらしい。
竜の鱗を素材として作った防具を持つことが、冒険者のステータスだのなんだと言われたが。
砕けたり割れた鱗ならあるぞ?
「手持ちじゃとてもじゃないですが、支払えません」
この世界の貨幣価値が分からないから、何とも言えないが。
簡単に手に入る気もするし。
まあ、色々と今後のことも考えて残してはいるけど……
知り合いの皮膚だと思うと、ちょっと気持ち悪い。
次の日は3人を連れて、改めてあいさつ回り。
イッヌは、普通に挨拶をしあっていたが。
カマセ子爵家の子息だと伝えたら、3人が慌てて平伏しようとしてた。
それを押しとどめたのイッヌ本人。
「今は、この集落のただの新参者ですよ。お菓子作り以外では、あまり役に立ててませんが」
謙遜まで……
本当に変わったと思う。
役に立ててないことはないぞ!
他の事でも、微妙に役に立ってるぞ!
そのあれだ……いないよりはいてくれた方が良い程度には。
うん……笑顔でお礼を言ってくれたが。
余計なことを言ったかもしれない。
ただ、やる気はあるみたいだ。
「ミレーネだ」
ミスト王国第三王女とは自己紹介しないのね。
フルネームでも。
「ふん……王族の恥となった私が、家名を名乗るわけにはいくまい……いずれは、サトウと名乗るつもりではあるが」
ちょっと、何言ってるか分からない。
あと急に偉そうだな。
こういう姿を見ると王族だなと、改めて感心する。
「照れるではないか」
すぐに襤褸が出るのは、どうかと思うが。
今度こそ3人が平伏している。
「ミ……ミレーネ殿下におかれましては「よい。もはや、ユベンタークの家名は捨てた」」
ギイの挨拶をミレーネが手を振って、制止しているが。
それなら、もう少し態度を軟化できないのかと思わなくはない。
何がしたいのか、よく分からないのだが。
「サトウさんの前で良いところを見せたいんですよ、きっと」
ジニーが耳打ちしてくれた。
割と大きな声だな。
耳打ちの意味がない。
ミレーネが睨んでいるぞ?
「俺は最近のミレーネの方が好きだが」
ちょっと、とっつきにくい印象を受けるし。
「身分のことなんか気にしなくていいよ! うん、皆で仲よくしよう」
急に気安くなったな。
でも、最近でもそこまで気安くはなかったと思うぞー?
流石に色々と感づいてしまったが、気付いていないことにしておこう。
鈍感系ってことで、乗り切れないかな?
ミレーネがどうこうってわけじゃないけど。
ちょっと、居候として同居させてるからな。
問題が起こると、後々気まずいだろうし。
盛大に舌打ちをされたが。
お姫さまって舌打ちするんだな。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる