46 / 77
第1章:赴任
第40話:チョロフ
しおりを挟む
エルフがこの集落に来て2日目。
うん、まだいる。
昨日、集落から追い出そうとしたが……
「ロードに信頼を得られるよう、粉骨砕身頑張るつもりです」
何を言っているのかが分からない。
そもそも、俺はエルフロードではない。
「私たちは、刺激を求めて集落を飛び出したもので。冒険者に習って4人でパーティを組んでいたのですが」
襲い掛かってきたハンターは手練ればかり20人。
大型の魔物を捕まえに来たハンターに、運悪く見つかったとのこと。
同じ人数相手なら、負けるはずはないと言っていたが。
いや、そのハンターを追い返したの、ゴブエモン達3人らしいけど。
「……」
俺の言葉に、4人が黙り込んでしまったが。
どうやら、この村は彼等にとって色々と刺激が多かったらしい。
気になるものが、泊めてもらった家だけでも沢山。
村の中の設備やら景観も初めて見るものが多く、また持ち帰れそうな技術も見られるらしい。
真剣な眼差しでここに滞在して、いろいろと学びたいと言ってたけど。
「それに知恵の探究者の代名詞たるアスマ様が、この地にはあらせますし」
アスマさん色々な二つ名持ってんなー。
ただの、こじらせ骸骨だと思うんだけど。
だったら、ここにいいるのはなおさらお勧めできないかな。
きっと、幻滅する。
ちなみにゴブエモン達の話だと、見たところ人種は彼我の力の差を図るのが苦手っぽいとか。
アスマさん曰く獣人はそういった部分に長けているようだけど、相手が自分より強者でも喜々として襲い掛かってくるものが一定数いるとか。
獣人迷惑だなー。
でもじゃあ、俺の前で腹を出しているこの犬耳の女性は?
「流石に、あまりに力量差があるとな」
そう言って、カッカッカと笑っていた。
この犬耳女性も、ゴブエモンが拾ってきた。
昨日のハンターたちがまだ居たらしくて、仕方なく追い払ったらこの子が最後まで抵抗していたらしい。
「普段は大型魔獣専門なのですが、たまたま依頼主が同行してまして……」
それで目の前のエルフに目が眩んで、確保するように指示されたらしい。
どうりで積極性が感じられなかったとは、ゴブエモンの言葉。
逃げることを期待していたようだけど、エルフ達がプライドを刺激されて果敢に挑みかかっていたとか。
どっちかっていうと、エルフが一番迷惑だな。
やっぱり野蛮だこいつら。
「わ……私たちだって、だてに100年も研鑽を積んできたわけじゃありません! それをたかだか20~30年程度しか鍛えてない人間どもが」
その結果がこれなんだけど?
ちなみに、今回のハンターの目的はゴブエモン達とのこと。
一風変わったゴブリンに、きっとユニーク種に違いないと依頼主がはっちゃけた。
その依頼主、殺してもいいんじゃないかな?
「私も、全力で支持いたします」
とは、犬耳女性の言葉。
悪い顔してる。
よほどに、フラストレーションが溜まっていたらしい。
仕方ないから、エルフの世話はアスマさんの下についている、ゴブリン長老に……
あっ、寝泊まりは今のまま?
さっそく、ほだされたのかな?
うちのゴブリン達、やり手だな。
「まだ、身体は許してませんから!」
時間の問題だと思う。
「その……なんていうか、雌ゴブリンの仕草なのにあざといというか……」
「オスのゴブリンも、こう的確に女ごころを揺すってくるというか……」
その辺は、一生懸命勉強してるもんな。
女性陣はあざといという概念をしっかりと、男性陣はロマンチックな演出を重点的に。
意識をしっかりと持たないと……
「特にあの、風呂上りに髪を結わえるときに口にゴムを咥える姿とか、手で後ろ髪をあげた時に見えるうなじとか……」
時間の問題だなー……
「たとえロードが歓迎されずとも……いや、この村の皆が貴女を歓迎しなくとも、私だけは貴女を心から歓迎いたします。この出会いを、貴女は不幸な偶然だと思われていることでしょう……でも、私は幸福のための必然だと信じたい。なんて目を見て言われちゃったらねぇ」
手遅れかもしれない。
ちょっと離れた場所にいるイケゴブを、うっとりとした目で見ているミーシャを見て溜息を吐く。
オットーは……
だめだな。
本人にはなんてことない顔をしているが、目でしっかりと昨日連れて行ったビジョゴブを追っている。
もしかして、うちのゴブリン達ってチャームが使えたり……
しないのね。
しないよね。
ステータスで確認したけど、そんなスキル名ないもんね。
最後の砦……と思われた女エルフは、流石だな。
完全に無表情で、俺だけを見てここに住みたいと訴えている。
あっ、昨日連れて行ったイケゴブが近づいてきてるけど。
「なっ、なに?」
真剣な眼差しのイケゴブに近寄られて、女エルフが後ずさりしている。
そして、壁に追い詰められて。
「俺以外の男を、見てんじゃねーよ!」
壁ドンかー……
強めの口調と、迫力のある表情。
「お前は、俺だけを見てたらいいんだよ」
からの、優しい声と柔らかな笑顔。
女エルフの髪の毛を指ですくって、顔が見えやすくするオプション付き。
「……はい」
顔真っ赤。
意味違うけど。
落ちちゃったなー。
早すぎやしないかな、君たち。
まあ、本人が望むなら俺は何も言わない。
でも最後のイケゴブに言いたい。
俺を出汁にするのは、どうかと思うぞ?
茶目っ気のある笑顔でウィンクしながら、片手で謝っているけど。
俺に色目を使ってどうする。
お前らが、緑のハゲ猿だった頃からの付き合いだ。
全然、効果ないからな。
あと、アスマさんが満足げに頷いているけど。
余計なことを教えないでくれるかな?
「失礼な! あれは、黒狼様がこの間の宴会で手ずからゴブリン達に教授なされた技術だ!」
合コン連敗中の狼のアドバイスなんか、なんの役にも立たないと思うんだけど。
実際には立ってたな。
ただ、狼の壁ドンは捕食まったなしじゃないかな?
そのまま首筋に噛みつかれて、美味しく頂かれる未来しか想像できない。
あと、ミレーネ。
壁にもたれかかって、期待した目で俺を見ているけど。
俺には無理だぞ?
とてもじゃないけど、恥ずかしくてできないし。
あれは、かっこイケメンに限るってやつだ。
「サトウもかっこいいぞ!」
いや、まあそれは自覚している。
器量を伸ばしてしまったから。
ちょっと増やしただけで自分の顔と思えなくなったので、最初の一回だけだけど。
その時は、俺も緑色の猿の仲間入りしたと思っていたからな。
しかしまあ、恥ずかしげもなく褒めてくれる。
「あー! ロードが、顔真っ赤っす! 怒ったんすか?」
キノコマルは進化しても、器量伸ばしても相変わらずでほっこりするな。
うんうん、こうやって気楽に話掛けてくれるのも嫌いじゃないぞー。
だからなキノコマル……ちょっと一発本気で殴らせろ!
「なんすかもー! パワハラっすよー!」
あっさりと、かわされてしまった。
あと誰だ?
キノコマルに余計な言葉を教えたのは。
アスマさんが、目の前で思いっきり手を横に振っているけど。
これも、ジャッキーさんか。
畏怖してるわりには、あっさりと売るんだな。
うん、次ジャッキーさんに会ったら断固抗議させてもらおう。
パワハラの定義に則ると、キノコマルに対する肉体的指導は業務の範囲内だと。
「避けるな!」
「いやっすよー! 当たったら、めっちゃ痛いっすから」
当たらないから、余計に腹が立つ。
うん、まだいる。
昨日、集落から追い出そうとしたが……
「ロードに信頼を得られるよう、粉骨砕身頑張るつもりです」
何を言っているのかが分からない。
そもそも、俺はエルフロードではない。
「私たちは、刺激を求めて集落を飛び出したもので。冒険者に習って4人でパーティを組んでいたのですが」
襲い掛かってきたハンターは手練ればかり20人。
大型の魔物を捕まえに来たハンターに、運悪く見つかったとのこと。
同じ人数相手なら、負けるはずはないと言っていたが。
いや、そのハンターを追い返したの、ゴブエモン達3人らしいけど。
「……」
俺の言葉に、4人が黙り込んでしまったが。
どうやら、この村は彼等にとって色々と刺激が多かったらしい。
気になるものが、泊めてもらった家だけでも沢山。
村の中の設備やら景観も初めて見るものが多く、また持ち帰れそうな技術も見られるらしい。
真剣な眼差しでここに滞在して、いろいろと学びたいと言ってたけど。
「それに知恵の探究者の代名詞たるアスマ様が、この地にはあらせますし」
アスマさん色々な二つ名持ってんなー。
ただの、こじらせ骸骨だと思うんだけど。
だったら、ここにいいるのはなおさらお勧めできないかな。
きっと、幻滅する。
ちなみにゴブエモン達の話だと、見たところ人種は彼我の力の差を図るのが苦手っぽいとか。
アスマさん曰く獣人はそういった部分に長けているようだけど、相手が自分より強者でも喜々として襲い掛かってくるものが一定数いるとか。
獣人迷惑だなー。
でもじゃあ、俺の前で腹を出しているこの犬耳の女性は?
「流石に、あまりに力量差があるとな」
そう言って、カッカッカと笑っていた。
この犬耳女性も、ゴブエモンが拾ってきた。
昨日のハンターたちがまだ居たらしくて、仕方なく追い払ったらこの子が最後まで抵抗していたらしい。
「普段は大型魔獣専門なのですが、たまたま依頼主が同行してまして……」
それで目の前のエルフに目が眩んで、確保するように指示されたらしい。
どうりで積極性が感じられなかったとは、ゴブエモンの言葉。
逃げることを期待していたようだけど、エルフ達がプライドを刺激されて果敢に挑みかかっていたとか。
どっちかっていうと、エルフが一番迷惑だな。
やっぱり野蛮だこいつら。
「わ……私たちだって、だてに100年も研鑽を積んできたわけじゃありません! それをたかだか20~30年程度しか鍛えてない人間どもが」
その結果がこれなんだけど?
ちなみに、今回のハンターの目的はゴブエモン達とのこと。
一風変わったゴブリンに、きっとユニーク種に違いないと依頼主がはっちゃけた。
その依頼主、殺してもいいんじゃないかな?
「私も、全力で支持いたします」
とは、犬耳女性の言葉。
悪い顔してる。
よほどに、フラストレーションが溜まっていたらしい。
仕方ないから、エルフの世話はアスマさんの下についている、ゴブリン長老に……
あっ、寝泊まりは今のまま?
さっそく、ほだされたのかな?
うちのゴブリン達、やり手だな。
「まだ、身体は許してませんから!」
時間の問題だと思う。
「その……なんていうか、雌ゴブリンの仕草なのにあざといというか……」
「オスのゴブリンも、こう的確に女ごころを揺すってくるというか……」
その辺は、一生懸命勉強してるもんな。
女性陣はあざといという概念をしっかりと、男性陣はロマンチックな演出を重点的に。
意識をしっかりと持たないと……
「特にあの、風呂上りに髪を結わえるときに口にゴムを咥える姿とか、手で後ろ髪をあげた時に見えるうなじとか……」
時間の問題だなー……
「たとえロードが歓迎されずとも……いや、この村の皆が貴女を歓迎しなくとも、私だけは貴女を心から歓迎いたします。この出会いを、貴女は不幸な偶然だと思われていることでしょう……でも、私は幸福のための必然だと信じたい。なんて目を見て言われちゃったらねぇ」
手遅れかもしれない。
ちょっと離れた場所にいるイケゴブを、うっとりとした目で見ているミーシャを見て溜息を吐く。
オットーは……
だめだな。
本人にはなんてことない顔をしているが、目でしっかりと昨日連れて行ったビジョゴブを追っている。
もしかして、うちのゴブリン達ってチャームが使えたり……
しないのね。
しないよね。
ステータスで確認したけど、そんなスキル名ないもんね。
最後の砦……と思われた女エルフは、流石だな。
完全に無表情で、俺だけを見てここに住みたいと訴えている。
あっ、昨日連れて行ったイケゴブが近づいてきてるけど。
「なっ、なに?」
真剣な眼差しのイケゴブに近寄られて、女エルフが後ずさりしている。
そして、壁に追い詰められて。
「俺以外の男を、見てんじゃねーよ!」
壁ドンかー……
強めの口調と、迫力のある表情。
「お前は、俺だけを見てたらいいんだよ」
からの、優しい声と柔らかな笑顔。
女エルフの髪の毛を指ですくって、顔が見えやすくするオプション付き。
「……はい」
顔真っ赤。
意味違うけど。
落ちちゃったなー。
早すぎやしないかな、君たち。
まあ、本人が望むなら俺は何も言わない。
でも最後のイケゴブに言いたい。
俺を出汁にするのは、どうかと思うぞ?
茶目っ気のある笑顔でウィンクしながら、片手で謝っているけど。
俺に色目を使ってどうする。
お前らが、緑のハゲ猿だった頃からの付き合いだ。
全然、効果ないからな。
あと、アスマさんが満足げに頷いているけど。
余計なことを教えないでくれるかな?
「失礼な! あれは、黒狼様がこの間の宴会で手ずからゴブリン達に教授なされた技術だ!」
合コン連敗中の狼のアドバイスなんか、なんの役にも立たないと思うんだけど。
実際には立ってたな。
ただ、狼の壁ドンは捕食まったなしじゃないかな?
そのまま首筋に噛みつかれて、美味しく頂かれる未来しか想像できない。
あと、ミレーネ。
壁にもたれかかって、期待した目で俺を見ているけど。
俺には無理だぞ?
とてもじゃないけど、恥ずかしくてできないし。
あれは、かっこイケメンに限るってやつだ。
「サトウもかっこいいぞ!」
いや、まあそれは自覚している。
器量を伸ばしてしまったから。
ちょっと増やしただけで自分の顔と思えなくなったので、最初の一回だけだけど。
その時は、俺も緑色の猿の仲間入りしたと思っていたからな。
しかしまあ、恥ずかしげもなく褒めてくれる。
「あー! ロードが、顔真っ赤っす! 怒ったんすか?」
キノコマルは進化しても、器量伸ばしても相変わらずでほっこりするな。
うんうん、こうやって気楽に話掛けてくれるのも嫌いじゃないぞー。
だからなキノコマル……ちょっと一発本気で殴らせろ!
「なんすかもー! パワハラっすよー!」
あっさりと、かわされてしまった。
あと誰だ?
キノコマルに余計な言葉を教えたのは。
アスマさんが、目の前で思いっきり手を横に振っているけど。
これも、ジャッキーさんか。
畏怖してるわりには、あっさりと売るんだな。
うん、次ジャッキーさんに会ったら断固抗議させてもらおう。
パワハラの定義に則ると、キノコマルに対する肉体的指導は業務の範囲内だと。
「避けるな!」
「いやっすよー! 当たったら、めっちゃ痛いっすから」
当たらないから、余計に腹が立つ。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜
早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。
食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した!
しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……?
「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」
そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。
無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
「お前は無能だ」と追放した勇者パーティ、俺が抜けた3秒後に全滅したらしい
夏見ナイ
ファンタジー
【荷物持ち】のアッシュは、勇者パーティで「無能」と罵られ、ダンジョン攻略の直前に追放されてしまう。だが彼がいなくなった3秒後、勇者パーティは罠と奇襲で一瞬にして全滅した。
彼らは知らなかったのだ。アッシュのスキル【運命肩代わり】が、パーティに降りかかる全ての不運や即死攻撃を、彼の些細なドジに変換して無効化していたことを。
そんなこととは露知らず、念願の自由を手にしたアッシュは辺境の村で穏やかなスローライフを開始。心優しいエルフやドワーフの仲間にも恵まれ、幸せな日々を送る。
しかし、勇者を失った王国に魔族と内通する宰相の陰謀が迫る。大切な居場所を守るため、無能と蔑まれた男は、その規格外の“幸運”で理不尽な運命に立ち向かう!
30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる