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第1章:赴任
第41話:アスマさん覚醒
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ここ三日間、アスマさんが来ない。
珍しい。
いままで、一日と空けずに来ていたから。
いたらいたで、鬱陶しいけど。
いないと、ちょっと寂しい。
ゴブリンの長老に聞けば、自室に作った研究室に閉じこもって何やら一生懸命作業しているらしい。
そして、四日目。
俺の前には、自信満々のアスマさんが。
「ついにできたぞ!」
何が?
いや、まあその手にした杖なのだろうが。
「わしが立てたダンジョンの仮説を元に作り出した、最強の杖じゃ!」
そんなものが出来るのか。
でっかくて綺麗な宝玉がついた杖。
もしかして、くれるのかな?
「なぜそんなことを」
いや、なんとなく。
違うらしい。
「この杖はな……なんと! 地面に突き立てることで魔力の根を伸ばし、龍脈から魔力を吸い上げるのじゃ」
龍脈が分からないんだけど?
「この星の魔力が流れる道じゃ。地表の至る所に出口があるが、これを使えばどこからでも魔力を吸い上げられる」
へえ、凄いじゃん。
で?
「さらに、この魔力をわしがこの宝玉から吸い取ることで、魔法の威力が当者比4倍に」
深夜のテレビショッピングの影響受けてんな。
当者比じゃなくて、当社比ね。
意味はわかるけど。
「でも、お高いんでしょ?」
「なんと、今なら! 5万円のものがなんと! 同じものをもう一つ付けて1万9800円!」
「安い!」
「しかも、古い杖があればどんな杖も9800円で下取りいたします!」
「じゃあ、実質1万円?」
「しかも! って、もういいわ! 真面目に聞く気はないのか!」
いや、くれないなら、あんまり興味ないかなって。
しかしノリツッコミまでできる骸骨か。
蝶ネクタイとキラキラのスーツとハットとステッキでも、プレゼントしようか。
思いっきり溜息を吐かれた。
「いや、まあわしも三徹明けで、しかも杖が完成しておかしなテンションになってしまっておるのは自覚しておる」
三徹なら仕方ない。
骸骨に睡眠が必要かは分からないけど、早く休んだ方が良いと思う。
「本当に話したいことはここからじゃ。なんと! これによって第三形態にまで変身できるようになった!」
そういえば、前に日記に第二形態がなんちゃらって書いてあった気が。
そっかー……
じゃあ、俺もステータスを増やしておいた方が良いかな?
「大丈夫じゃ。今更、お主に何かしようとは思わんよ」
そう言って、高笑いしている。
うん、じゃあいいや、
信用はしている。
信頼も。
アスマさんが照れくさそうに笑ってる。
良いことだと思うことにしよう。
で、第三形態は見せてもらえるのかな?
「いや、ちょっと色々と問題があってのう……お主じゃないが手加減が本当にできんのじゃ」
それは、困るな。
「じゃから、本当に奥の手じゃな。周囲の被害を気にできぬほど、なりふり構わぬ状況になればといったところか」
できれば、ずっと使う機会がないことを願う。
「姿を見せることだけならできるが、変身したらちょっと試し撃ちとかしてみたくなるしのう」
そう言って、アスマさんが遠くの山を見る。
ああ、昨日の夜遠くからでかい音が聞こえたと思ったら、あれアスマさんだったのか。
あんなに離れた場所なら、昨日気付かなくても仕方ないか。
遠くの方に見えるのは、大きく丸く削り取られた山。
最近ちゃんと見た記憶はないけど、前に見たときはちゃんとした山だったからな。
うん、その変身はとりあえず封印しておいてもらって。
杖ごと封印した方がいいかな?
「いや、それは……」
鎖で緩く縛って箱に入れておいて、ピンチの時は箱から杖が飛んできて鎖を引きちぎってアスマさんの前に。
「ほう」
もしくは箱を背負っておいて、ピンチの時には箱が砕けて中から鎖に縛られた杖が。
お札とか貼ってあったら、仰々しさも増すし。
「ふむ……」
真剣に悩んでいる。
こういうの好きそうだもんね、アスマさん。
「最近はアニメとやらの影響も受けておるな」
まあ、好きにしたらいいと思うよ。
アニメの話をしたからか、アスマさんが杖をそそくさとしまってうちに来た。
そしてソファに座って、BDを。
テレビを置いたから、プレーヤーと違って大画面で見られるようになって満足そう。
次見たら、ソファに寝転がって見ていたけど。
なんというか……まあ、いいんだけどさ。
気が付いたら、ソファの上で大口開けて寝ている骸骨がいた。
テレビも付けっぱなしで。
入れてたディスクはもう終わって、メニュー画面になってるけど。
とりあえずテレビと電気を消して、風邪を引くかどうかはわからないけど毛布を掛けて部屋に戻る。
三日も徹夜したと聞いたら、起こすのは忍びないしな。
***
深夜に目が覚めて飲み物を取りに行ったら、テレビの光に照らされた口の開いた骸骨が寝ててチビるかと思った。
どうやら途中で目を覚まして、また何かを見てたらしい。
でまた、寝落ちしたと。
毛布も下に落ちてるし。
面倒くさいから、そのまま放置して部屋に戻る。
20分後、リビングから悲鳴が。
ミレーネがトイレに行こうとして、例のアスマさんを見たらしい。
やっぱり、深夜の骸骨は心臓に悪いよな。
ミレーネが少し出たかもと言っていたが、聞かなかったことにした。
とりあえずアスマさんには寝るなら、テレビを消すようにと。
すまんすまんと、笑いながら謝ってたけど。
本当に凄い骸骨なのだろうか?
珍しい。
いままで、一日と空けずに来ていたから。
いたらいたで、鬱陶しいけど。
いないと、ちょっと寂しい。
ゴブリンの長老に聞けば、自室に作った研究室に閉じこもって何やら一生懸命作業しているらしい。
そして、四日目。
俺の前には、自信満々のアスマさんが。
「ついにできたぞ!」
何が?
いや、まあその手にした杖なのだろうが。
「わしが立てたダンジョンの仮説を元に作り出した、最強の杖じゃ!」
そんなものが出来るのか。
でっかくて綺麗な宝玉がついた杖。
もしかして、くれるのかな?
「なぜそんなことを」
いや、なんとなく。
違うらしい。
「この杖はな……なんと! 地面に突き立てることで魔力の根を伸ばし、龍脈から魔力を吸い上げるのじゃ」
龍脈が分からないんだけど?
「この星の魔力が流れる道じゃ。地表の至る所に出口があるが、これを使えばどこからでも魔力を吸い上げられる」
へえ、凄いじゃん。
で?
「さらに、この魔力をわしがこの宝玉から吸い取ることで、魔法の威力が当者比4倍に」
深夜のテレビショッピングの影響受けてんな。
当者比じゃなくて、当社比ね。
意味はわかるけど。
「でも、お高いんでしょ?」
「なんと、今なら! 5万円のものがなんと! 同じものをもう一つ付けて1万9800円!」
「安い!」
「しかも、古い杖があればどんな杖も9800円で下取りいたします!」
「じゃあ、実質1万円?」
「しかも! って、もういいわ! 真面目に聞く気はないのか!」
いや、くれないなら、あんまり興味ないかなって。
しかしノリツッコミまでできる骸骨か。
蝶ネクタイとキラキラのスーツとハットとステッキでも、プレゼントしようか。
思いっきり溜息を吐かれた。
「いや、まあわしも三徹明けで、しかも杖が完成しておかしなテンションになってしまっておるのは自覚しておる」
三徹なら仕方ない。
骸骨に睡眠が必要かは分からないけど、早く休んだ方が良いと思う。
「本当に話したいことはここからじゃ。なんと! これによって第三形態にまで変身できるようになった!」
そういえば、前に日記に第二形態がなんちゃらって書いてあった気が。
そっかー……
じゃあ、俺もステータスを増やしておいた方が良いかな?
「大丈夫じゃ。今更、お主に何かしようとは思わんよ」
そう言って、高笑いしている。
うん、じゃあいいや、
信用はしている。
信頼も。
アスマさんが照れくさそうに笑ってる。
良いことだと思うことにしよう。
で、第三形態は見せてもらえるのかな?
「いや、ちょっと色々と問題があってのう……お主じゃないが手加減が本当にできんのじゃ」
それは、困るな。
「じゃから、本当に奥の手じゃな。周囲の被害を気にできぬほど、なりふり構わぬ状況になればといったところか」
できれば、ずっと使う機会がないことを願う。
「姿を見せることだけならできるが、変身したらちょっと試し撃ちとかしてみたくなるしのう」
そう言って、アスマさんが遠くの山を見る。
ああ、昨日の夜遠くからでかい音が聞こえたと思ったら、あれアスマさんだったのか。
あんなに離れた場所なら、昨日気付かなくても仕方ないか。
遠くの方に見えるのは、大きく丸く削り取られた山。
最近ちゃんと見た記憶はないけど、前に見たときはちゃんとした山だったからな。
うん、その変身はとりあえず封印しておいてもらって。
杖ごと封印した方がいいかな?
「いや、それは……」
鎖で緩く縛って箱に入れておいて、ピンチの時は箱から杖が飛んできて鎖を引きちぎってアスマさんの前に。
「ほう」
もしくは箱を背負っておいて、ピンチの時には箱が砕けて中から鎖に縛られた杖が。
お札とか貼ってあったら、仰々しさも増すし。
「ふむ……」
真剣に悩んでいる。
こういうの好きそうだもんね、アスマさん。
「最近はアニメとやらの影響も受けておるな」
まあ、好きにしたらいいと思うよ。
アニメの話をしたからか、アスマさんが杖をそそくさとしまってうちに来た。
そしてソファに座って、BDを。
テレビを置いたから、プレーヤーと違って大画面で見られるようになって満足そう。
次見たら、ソファに寝転がって見ていたけど。
なんというか……まあ、いいんだけどさ。
気が付いたら、ソファの上で大口開けて寝ている骸骨がいた。
テレビも付けっぱなしで。
入れてたディスクはもう終わって、メニュー画面になってるけど。
とりあえずテレビと電気を消して、風邪を引くかどうかはわからないけど毛布を掛けて部屋に戻る。
三日も徹夜したと聞いたら、起こすのは忍びないしな。
***
深夜に目が覚めて飲み物を取りに行ったら、テレビの光に照らされた口の開いた骸骨が寝ててチビるかと思った。
どうやら途中で目を覚まして、また何かを見てたらしい。
でまた、寝落ちしたと。
毛布も下に落ちてるし。
面倒くさいから、そのまま放置して部屋に戻る。
20分後、リビングから悲鳴が。
ミレーネがトイレに行こうとして、例のアスマさんを見たらしい。
やっぱり、深夜の骸骨は心臓に悪いよな。
ミレーネが少し出たかもと言っていたが、聞かなかったことにした。
とりあえずアスマさんには寝るなら、テレビを消すようにと。
すまんすまんと、笑いながら謝ってたけど。
本当に凄い骸骨なのだろうか?
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