錆びた剣(鈴木さん)と少年

へたまろ

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第1章:剣と少年

閑話1:ゴブリンの里

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「うーん……ここは?」
「グギャギャ!」
「グギャァ!」
「ひっ!」

 目を覚ますと、目の前にゴブリンの顔が。
 えっ?
 なんで?
 どうして?

『目が覚めたか?』

 脳内に声が響き渡る。
 ちょっとハスキーな男性の声。
 最近聞き覚えのある声に、ホッと胸をなでおろす。

「鈴木さん……」

 葉っぱの上に横たわっていたらしい。
 客観的に見ると、料理だよな僕……
 葉っぱがお皿で、僕がごちそう。
 ごちそうかな?
 粗食?
 肉はあまりついてないし、骨とか筋ばっかり。
 筋肉くらいあればいいけど、それも無いから食べるところはほとんどないだろう。

 それよりも、どういう状況?

 ピンチなの?
 死ぬの?

 鈴木さんがかいつまんで教えてくれた。
 このゴブリンたちは、鈴木さんの配下らしい。

 
『ゴブリン言語を発動させたから、何を言ってるから分かると思うぞ?』

 再度耳を傾ける。

「おはようございます」
「ようこそ、我らの里に」

 おお、歓迎してくれてるのか。
 というか、言語スキル?
 そんなのあるのか……
 凄く流暢に言葉が聞こえてくる。
 
 これ、喋るのはどうなるんだろう。

「どうも」
「そう、緊張なさらずに。主の身体なのですよね?」
「主の身体?」

 ちょっと意味が分からない。
 どういう意味だろう。

『気にするな』

 うん、気にしない。
 背筋に寒気が走ったから。
 剣の威圧かな?
 そんなのあるのかな?

 辺りを見渡すと、ゴブリンたちも平服してた。

「何かに気に障ることでも、ございましたか?」

 集団より一歩前に出ている、比較的他のゴブリンより皺の多いゴブリンが頭を地面にこすりつけている。
 いや、僕は何も気にしてないんだけど。

 そっと、胸元におかれた剣に手で触れる。

『気にするなと伝えろ』

 うん。

「気にしなくていいって」
「後学のために、何が勘気に触れたかだけでも」

 あー……

『あー……』

 思わず言葉に詰まったら、鈴木さんも同じように詰まってた。
 
『別件で思い出し怒りだ! はいっ!』
「はいっ?」
『いや、そのまま言えって合図』

 ああ。

「別件で思い出し怒りがあったみたいだよ」
「なるほど、教えていただけたら我々が、主を不快にさせた愚か者を殺してみせましょう」

 好戦的。
 というか、忠誠心高すぎない?
 でも、ただのゴブリンだよね?
 人型の魔物の中で、最弱の名を欲しいままにする。
 単体なら、魔物の中で最低ランクの。

 いや、2匹以上いたら僕の場合、死活問題になってくるけど。

『気にするなと言ってるだろ? はいっ』
「えっ? ああ、気にするなと言ってるだろ? ひぃっ!」

 そのまま言えってことだと思って繰り返したら、僕の言葉に合わせて剣から威圧が。
 何気に僕にも影響あるんだけど。
 ちょっと、ちびりそうになった。

「申し訳ございません。差し出がましい真似を」

 目の前のゴブリンも、頭を地面にこすりつけてガタガタと震えてる。
 可哀そう。

「鈴木さん、あまりいじめちゃ可哀そうだよ」
『えっ? 俺が悪いの?』

 他に誰がいるんだよ。

「なんとお優しい!」

 目の前のゴブリンがキラキラとした……うん、どんより濁ってる。
 流石、ゴブリン。
 でも、良い感情を向けられているのは分かる。

 その時、遠くから声が聞こえてくる。

「殺せ!」
「皮を剥げ!」
「腹を裂け!」
「内臓を引き出せ!」
「肉を削げ!」

 何やら戦闘の気配も。
 というか、物騒。
 いや、野蛮!
 掛け声が野蛮!

 思わずドン引き。
 
 その僕の姿を見て、目の前のゴブリンが笑って……るんだよね?

 なんか、笑い顔に見えるけどちょっと凶悪。

「あれは、若い衆が狩りをしているところです」
「いや、なんか言葉が……」
「ああ、私達ゴブリン族はあまり頭がよくないので、ああやって解体の方法を言葉で繰り返しながら獲物を殺さないと、殺したあとでフリーズしてしまうのです」

 フリーズ?

「フリーズ?」
『固まるってことな。あー、俺の知ってる言葉を主体に通訳されるのか……』

 鈴木さんが教えてくれたけど、鈴木さんの国の言葉かな?
 鈴木さんの国……うーん、剣の国?
 喋る剣の国?

『お前が、フリーズしてどうする! 俺は元人間だって、言っただろ!』
「うん、イメージが全然わかなくて」

 アホな想像してたら、怒られてしまった。
 そうか、なんとなくフリーズが分かったような分からなかったような。

***
「これ……」

 目の前には、生の肉が葉っぱに置かれて差し出された。
 レクストディアーの肉らしいけど…… 
 レクスト地方に生息する鹿で、冬から春の間はテトの森にも餌を求めてやってくる群れもいるとか。

 それより、これはおすそわけかな?

「どうぞ、お召し上がりください」

 ふふ、これで調理済みだった。
 というか、ごはんか……

 てっきり、好きに調理して食べろってことかと……

【悪食】を発動しました。

 脳内に、嫌なメッセージが……

『これで、食えるだろ?』
「えっ? いや、そうじゃなくて……味付けとか……」
『お前、あれを前にして断るつもりか?』

 あれ?
 どれ?
 これか……
 
 目の前で3匹のゴブリンが、6つの目を輝かせてこっちを……いや、濁ってるけど。
 キラキラとしてないけど、そんな感じの期待を込めた視線を向けてきてる。
 どこか誇らしく、自慢げ。

「取れたてのレクストディアーの肉は、我らにとって1番のご馳走の1つです」
 
 1番のごちそうの1つって……
 1番のごちそう、何個かあるのかな?
 
「いただきます!」

 流石にこれだけ期待されたら、断れない。

「あっ……美味しい」

 気持ち悪い。
 食感がグチャグチャとしてて、血生臭い。
 臭みもあるし、なのに美味しく感じる。

 悪食って凄い。

「おお! ニコ様が喜んでくださった!」
「やった!」
「良かった……」
「お口に合わなかったらどうしようかと……」

 なんだろう。
 ゴブリンの見方が180度変わる。
 口にした瞬間、皆が不安そうな表情を浮かべ。
 おいしいと言った瞬間にぱっと花が開いたような笑顔に。
 笑顔だよね?

 食人花みたいな……いや、なんでもない。
 素敵な笑顔。

***
 なんだかんだで、ゴブリンとの共同生活が始まって1週間。
 いやいや、リンドの街に行かないの?
 そう思って、直接鈴木さんに聞いてみた。

『うん? まずは、ある程度ニコを鍛えてからの方が良いかと思って』

 そういうことらしい。
 どういうこと?

『ゴブリン相手だと、初対面でも普通に会話できてるじゃないか』

 言われてみたら。
 人と話すのが怖いということは、前に鈴木さんに伝えたけど。
 彼らと話す分には、自然に会話できる。

 無理に笑顔を作ることもないし。
 嫌なときは、嫌な顔も出来る。
 
 気楽だ……

 あれ?
 ここって、かなり僕にとって過ごしやすい?

 視覚的にあれだけど。
 みにく……愛嬌がある顔ばかりというか。
 ブサ可愛いというか……

 可愛くはないか。

 でも、彼らも表情がコロコロと変わって、見てて楽しい。

 一部、顔がすっきりしたゴブリンもいる。
 皺が伸びて、だいぶ人に近い顔。
 彫りの濃い人。

 ゴリラ顔的な?

『夜な夜なレベル上げを頑張ってるからな』
「なんで、夜?」
『夜しか、俺が動けないから』
「夜になったら動けるの? だったら、僕も夜更かししようかな?」
『お前は、寝ろ!』
「はい……」

 今まで感じたことのない威圧感と、強い口調で寝るように言われた。
 なんか引っかかるけど、突っ込んじゃダメな気がする。

 流石にくっちゃ寝の生活は駄目か。
 鈴木さんに働くように言われた。

 というか訓練をつけてもらうように。

 訓練をつけてくれるのは、ゴブリンソルジャーのゴブロウ。
 鈴木さんが名前をつけたらしい。

 ゴブロウさんは、この群れの中で一番剣の扱いが上手いとか。

 ちなみにホブゴブリンだ。

 進化のお陰か、髪の毛もフサフサ。
 長くツヤのある黒い髪を、全て後ろでまとめて一本に結んでいる。
 いや、ツヤ?

 周りを見渡すと、他のゴブリンも髪がサラサラだったり、つやつやだったり。

『ああ、あまりにもこいつら汚いからさ』

 この森にあるもので、色々と鈴木さんが手をいれたらしい。
 うーん……

 ヤシの実っぽいのがあったから、ココナッツミルクと蜂蜜となんかいい感じの植物の油で?
 言ってる意味が分からないけど。

 鑑定のレベルが上がったから、出来た?

 ふーん……
 鑑定って、鑑定スキル?

 ずるい!
 そんな便利なスキルもってるなんて。

 でもって、色々と身体を洗う石鹸やらも挑戦したらしい。

 ココナッツミルクやら、ココナッツオイル、植物油に関してはオスのホブゴブリンが頑張ったらしい。
 実際に作って試したのは、普通のメスゴブリン。

 ホブゴブリンに進化したのは、まだ一部とか。

 うんうん……

 いや、脱線。
 
 どうりで先生と打ち合うと、仄かに良い香りがただよってくるわけだ。

 ふーん……
 
 いま、この場所で一番汚いのって、僕じゃないかな?
 水浴びしかしてないんだけど?

 そして、ゴブロウさんと手合わせ。

「素晴らしい! ただ、もう少し踏み込みを強くした方が」

「良い動きです! しかし、少し大げさにかわしすぎです。もう少しギリギリの方が、次の動作に繋げやすいかと」

「今のは良かったですよ! 欲を言えば、重心の移動に気をはらって、かわされても対応できるよう余裕を持ってみては?」

 取り合えず、第一声では褒めてくれる。
 それから、アドバイス。

 うーん、気を使われてる。
 証拠に。

『腰が引けてるぞ!』

『それだけ身を逸らしたら、反撃に体重が乗せられないだろう!』

『おいおい、打った後が隙だらけじゃないか』

 手に持った剣から、厳しめの叱咤が。
 剣の癖に。
 いや、剣だからかな?

 もしかしたら、過去に凄い剣豪が使ってたとか。

『はぁ……前世の俺に比べると、全然だめだな。俺なら今の間に、10回はお前を殺せたぞ?』

 違った。
 鈴木さん自身の経験だった。
 
 まあ、口ではなんとでも言えるよね?

 そう言ったら、癇に障ったらしい。

 俺の指示通りに動いてみろと言われ、その通りに動いた。
 結果、そこそこ良い動きが出来た。
 出来てしまった。

 これは鈴木さんが調子に乗る。

『すまんかったな……才能もだけど、身体の鍛え方からして全然違ったわ』

 気の毒そうに謝られた。 
 僕なりにかなり良い動きで鈴木さんすげーって思っただけに、ダメージも大きかった。

 本人に悪気がなく、本気で謝ってきたものだから余計に。

「素晴らしい! 今までで、一番です! まるでどこぞの名のある剣豪かと!」

 大絶賛のゴブロウ師匠の言葉が、さらに追い打ちで心を抉ってきた。
 こっちも、本心からだから余計に性質が悪い。

 うん……鈴木さん!
 色々と、教えて!
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