魔王となった俺を殺した元親友の王子と初恋の相手と女神がクズすぎるので復讐しようと思ったけど人生やり直したら普通に楽しかった件

へたまろ

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EX章1:学園編

第12話:クアドラプルデート?

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「あれ? アルト達は?」

 集合場所の目抜き通りの中にある噴水広場に向かうと、ジェニファとクリスタとエルサだけがいた。
 どうやら、他の面子はまだ集まっていないらしい。
 ジェニファは動きやすそうなワンピースを着ているが、それでもいわゆる貴族のお嬢様。
 そういえば、この世界ではパニエやコルセットというのは、あまり聞かないな。
 貴族のパーティなんかにいけば、ドレスの下に着けてる人もいるみたいだけど。

 あれ結構な幅が膨らむから、普通に邪魔だと思うんだけどね。
 本人以外にとっても。

 ペティコートとかも、普通に着られていそうだし。
 シュミーズドレスのようなものは見かけないけど、このあたりは本当にファンタジーと言うか。
 逆に言えば、地球の中世の感覚がおかしいのかな?
 でも、日本は日本で十二単なんてものを着ていたわけだし。

 よくよく考えたら、着物も大概だな。
 派手な指向が流行るお星柄ってことか。

「リック殿下が男性陣全員引き連れて、ボードパークの方に向かいましたので。どうも、お店巡りには興味が無いようで」

 とはいっているが、すでに買い物はある程度楽しんだらしい。
 そしてクリスタとエルサの表情を見るに、ジェニファが追い払ったのかな?
 いやリック殿下のことだ。
 本人が提案して、喜々として皆がついていったのだろう。
 特にビンセント。
 2人が行くとなると、必然アルトも行くことになる。
 ガーラントが一人残されても、手持ち無沙汰になることは容易に想像できた。

 高度なやり取りが行われていたのかもしれない。

「食事の時間にはこちらに来ると、おっしゃられてましたよ」

 マリアがキーファのすぐそばに立っていた。
 いつの間に。
 というか、この姉弟は本当に謎が多い。

「じゃあ、とりあえずジャストールのお店に行ってみましょうよ」

 ジェニファの言葉に、俺は不承不承頷いてしまった。
 どうせ、選択肢は無いわけだと……

「お嫌でしたか」
 
 当然、ただでさえ分かりやすい俺のことだ。
 ジェニファが少し悲しそうな表情を浮かべる。
 いや、嫌ってわけじゃないんだけど。

「いや……嫌ってわけじゃないんだけど、私は最近までジャストールにいましたからね。まあ、視察といった兼ね合いで、見に行く形になると思うのですが」

 あっ、ジェニファの眉間に皺が寄った。

「そんな取って付けたような言葉遣いはやめてください。私とルーク様の仲じゃないですか」

 そっちか。
 しかし、なかなかハードルの高い要求だ。
 皆のいる前で、公爵令嬢に砕けた喋り方なんて。

「私たちのことなら、気にしなくていいよ。ジャストールでも、ちょいちょい普通に喋ってたじゃん」
「そうだっけ?」

 エルサの言葉を受けて、思わず考え込んでしまった。
 
「さあさあ、難しいことは考えないでお店に向かいましょう」

 結局こうなる。
 ジェニファは、有無を言わさない誘導力があるというか。
 自然と全員が、彼女の意思についていってしまうというか。

 ……駄目じゃん。
 いや、駄目ってことはないけど。
 確実に彼女の望む形に誘導されそうで、怖い。
 
 夕日を受けた町の景色が、だんだんと淡いピンクから紫へと変化しているのを眺める。
 普通に放課後というか、夜に近づいているけど。
 不良一行みたいだ。
 こんな時間に、子供達だけで外出とか。

「ルークのお話が長いからですよ」
「酷いなクリスタ。もとはと言えば、学園長の甥の息子と俺の後ろにいる皇子様のせいだけど?」

 さらにいえば、神様のせいでもある。
 光の駄女神様の。

 肩の袖が膨らんだワンピースで腰の辺りをリボンで結んでいるのを見ると、可愛らしい。
 少し子供っぽいと思ったのは黙っておこう。
 それに可愛らしいとは言っても、彼女が言うことには遠慮がない。
 エルサも同じか。
 2人とも気安い仲と思えば、悪い事ではないんだけれども。

「この先を行ったところでしたよね?」
「昨日オープンしたばかりなので、私もまだ二回目なんですよ」

 後ろでそんな会話が聞こえてくる。
 キーファとマリアだ。
 昨日オープンしたばかりのお店に、今日で2回目ということは……
 気に入ってもらえたと思っていいのかな?

「クリスタは、おじさんの別荘には結局泊まれなかったんだったな」
「ホテルミラーニャの方が、きっと素敵だし。別荘の方は、今度連れて行ってもらえることになったから」

 ジャスパーとクリスタが、仲良く話しているのが新鮮だ。
 ジャスパーも普通に女の子と、お話できるんだ。
 こいつ、男と遊ぶ方が絶対楽しい派だと思ったんだけどな。

「いや、ナイトであれば女性のエスコートや会話の相手くらいできないと、上には上がれませんよ」

 いつの間にかキーファがこっちに来ていた。
 人の様子を盗み見ての、的確な情報ありがとう。
 自分の分かりやすさのせいだと知っても、気持ち悪いからほどほどにしてほしい。

 そして、チラリと見えたジェニファとジェファードの珍しい組み合わせだけど、お互いに悪い顔をしてたから近づかない方が良いだろう。
 だから、2人そろってチラチラとこっちを見ないでほしい。

 かなり風変わりな男女4人ずつの移動は、普通に目立つな。
 いくら子供とはいえ、平民も通る道をいかにもなお坊ちゃんお嬢ちゃんの集団が歩くというのは。
 はたから見たらグループデート……には、見えるわけがないか。
 だったら俺たちじゃなくて、アルト達の方が年回りもいいしね。
 
 せいぜいがジェニファとマリアが引率のお姉さんで、後輩を連れて街を歩いてる感じかな?
 そうこうしているうちに、一際明るい建物が見えてきた。
 へえ……色々と気になることはあるけども、電飾の看板とか。
 確かに魔力基盤を開発してから、色々な機械的な魔道具を作ることは出来たけどさ。
 ジャストールにはスチームパンクよろしくな工場区域もさらに増えて来てるし。
 だから電化製品的なものが、色々と開発されててもおかしくないけど。

 流石に電飾の看板はやりすぎだと思う。
 しかも丸い発光体をいくつも並べて、縁取ったタイプ。
 少し古いタイプのあれ。
 たぶん、わざとだろうけど。
 若干、中華な雰囲気も混じってるし。

 そしてあれだけ明るい建物の管理者が、闇の精霊王とか。
 その上司が暗黒神で、トップが破壊神とか。
 なかなか、トンチが利いてて良いと思うよ。
 うん、破壊神……

 これも、アマラの入れ知恵っぽいな。

 流石に店員さんが和服でもチャイナ服でもなく、洋装だったことにホッと胸をなでおろした。
 
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