公爵一族の御令嬢に転生? 努力が報われる異世界で、可愛いもののために本気出します

へたまろ

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第四章:王都学園~2年生前期~

第5話:これからの楽しみ

 しょんぼりとした様子で部屋から出ていくダリウスの背中を見送る。
 邸の正門までお見送り?
 するわけがない。
 少しは、反省してもらいたい。
 私の本日の一大イベント! 帝国産土産の珍味会を潰したんだから。
 少しどころか、盛大に反省するべきだな! うん!

「レイチェルはどうする? 夕飯食べていくでしょ?」
「さすがに帰りますよ! 進級初日だから、お姉さまとお父さまがレストランを予約しておりますし」

 レイチェルパパよりミッシェルの方が先に名前が出るあたり、そこはかとなく家庭内の格付けが見えてしまった。
 そんなことより、まさかレイチェルがうちで夕飯を食べないなんて……想定外だ!

「学校が始まる前に、いっぱい食べ歩きしましたよね?」
「まあ、それはそうなんだけど。今日は、迷惑を掛けたから、お詫びにと思ってたのに。そういえば、外食なんだ……ミッシェルなら、美味しい料理を作ってくれそうなのに」
「そ……その、お姉さまは、あまり料理をされないですよ?」

 おっ、まさかのミッシェルはメシマズかな? なんでも器用にこなせそうだと思ったけど、分かりやすい弱点もあるのか。

「何か勘違いされてますね。お姉さまの料理は美味しいですよ? ただ、調味料も素材も温度も時間も水の量どころか、湿度まで測って調理されるので、仕事の実験とあまりやってることが変わらないとおっしゃって」
「あぁ、そういう……」

 とりあえず、お土産にカラスミを渡しておく。 
 ボラの卵を乾燥させた、あれ! どれ? って話だし、よく分かってないけれど。
 異世界翻訳さんの説明みたら、地球産の料理っぽかったからミッシェルも喜ぶと思う。
 彼女が知ってたらだけれど。
 ちなみに、ダリウスと違って、レイチェルにはちゃんと玄関の外どころか通りまでお見送りする。
 名残惜しいけれど、用があるのだから仕方ない。

「何やらみんなを誘ってと考えてたみたいですが、今日は殆どの方が予定があるかと。ソフィアさんのような、寮組以外は家か外で食事を取ると思いますし」
「うちは、そんな予定ないんだけれど?」
「公爵も伯爵も王都にいらしてないのですか?」
「ギルバートお兄さまの所属する騎士隊の軍事パレードで、レオブラッド辺境伯領に行ったよ」

 さすがに嫡男の長男の晴れ舞台とあっては、そっちを優先するよね。
 別に私たちは新入生ではなく、二年生に進学しただけだし。
 ……それって、祝うほどのものなのかな?
 よそはよそ、うちはうちか。

「今週の闇の日に、皆さんの予定を聞いて空けてもらえば、一緒に食事は取れるのでは?」
「今日が火の日だから……あと三日もある」
「すぐですよ」

 そう言ってクスクス笑いながら、レイチェルは馬車に乗って帰っていってしまった。
 仕方ない、クリントと食べるか。

 ただ、執事長のロンが気を遣ってくれていたのか、割と豪華な夕食だった。
 ささやかな、お祝いだね。
 
 そして、三日はあっという間に過ぎた。
 オリエンテーション後は普通に授業が始まったけれど、まだまだ余裕でついていけるレベル。
 というか、すでに終わってるレベル。
 悪い意味じゃないよ? 家庭教師による学習で、すでに終えた範囲内って意味だよ。
 それを抜きにしても、基本的に異世界翻訳さんのおかげで、大体の授業はなんとかなるんだけれどね。

 エレオス、エレオール兄妹とは特に接触することはなかった。
 身分至上主義派閥の面々に囲まれて、休み時間や登下校時は身動き取れそうになさそうだったし。
 とはいっても、エレオールはこっそり、うちに遊びに来たけどね。
 エレオス君の愚痴をこぼしていたけれど、結局はトナリアーウ帝国でのバーベキューなんかの思い出話で花が咲いた。
 さらに、そのバーベキューの話をエレオス君に自慢したみたいで、めっちゃ悔しがってる姿が見れて、すごくスッキリしたと言っていたから、相変わらず兄妹仲は微妙なのかもしれない。
 そういえば、入学式の次の日にジェーンの弟も紹介してもらえた。
 とりあえず、弟君の名前はベル君というらしく、少し引っ込み思案な大人しそうな可愛い子だったので、エレオールにお願いしておいた。
 少し焼きもちを焼いていたけれど、引き受けてくれるみたいだ。

「身分至上主義派閥に入れるような家格じゃありませんし、かといって私が贔屓したところで、他の子たちのやっかみを受けることになりますので、専属の校内専用の執事って扱いでもよろしいですか?」

 なんて、言っていたけれど、要はエレオール以外の言うことは聞かなくていいという形にするらしい。
 誰かがベル君に指図したり、手を出したりしたら、スペアステージア家の家令に手を出すのと同じ対処をすると周知させれば、とりあえず安全だろうとのこと。
 いや、それ、ベル君に他に友達できなくないかな?
  
「大丈夫だと思いますよ」

 と楽観的な答えが返ってきたけれど、自信ありそうだったのでお願いしておいた。
 他に三日間の間の出来事といえば、結局ダリウスの反省は一日で終わって、風の日には普通にまた声を掛けてきた。
 しかも、また帰りに待ち伏せして。

「王妃殿下に今度は何を吹き込まれたか知りませんが、何度も待ち伏せても逆効果ですよ? 毎日、ここで待ち伏せて、それを、雨の降る日まで繰り返して、雨の日も傘もささずに待っていたら私が折れるとかってことは、まずないですからね?」
「なぜ、それを?」
「王妃殿下の好きそうな謝罪の流れをイメージしただけですよ。そんなことで絆されませんよ……ポーズだって分かるし、そもそも、その行動が今は迷惑だからやめてくださいって話だし」

 と、トドメを刺しておいた。
 これで、次の手を考えるまでは、時間が稼げるだろう。
 ちなみに闇の日に突撃をかましてきたら、お母さまにチクって問答無用で婚約破棄だね。
 私が、この日をどれだけ楽しみにしているのかは、重々承知のはずだし。

 だって……全員参加のうえに、エレオールとベル君まで参加だからね。
 シャルルとミッシェルも参加することになったけれど、別にぜんぜん平気だし。
 メンバー的には、いつものメンバーが勢ぞろい。
 腕によりをかけて、珍味をテーブルに並べないと。
 ちゃんとしたお土産屋、当日に準備してもらう普通の料理もあるけれどね。
 ちょっと変わった料理とかも、用意した方がいいかな?
 私も、何か作ろうかな?
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