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この王様……素敵【手厚い保証が一生涯】(チビマール冒険者ギルド本部ギルド長)
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我がチビマール王国の国王陛下が、宰相を連れ立って我が冒険者ギルドにやってきた。
うん、王様。
最近は、遊び人とアレちゃんと呼ばれ、うちのギルドの冒険者たちに見た感じ慕われている普通の男性。
どちらかというと、凄く適当な人だ。
金払いがよく、ピクニックの護衛によく冒険者を雇っていた。
チップも多く払ってくれるし、行先で陛下が提供する食事は凄く美味だと評判だった。
子連れで行くピクニックに、魔境だとか魔物が多く生息する森を選ぶ時点で怪しい人だったが。
なんでも魔物の脅威を子供に教えるためだと言われたら、なんとなくぼんやりとみんな納得していた。
私は勿論、正体を知っていたから。
毎回、胃の痛い思いをしていたわけだが。
戻ってきた冒険者達の顔が晴れやかなのが、恨めしいやら嬉しいやら。
陛下は色々と心配をされていた。
冒険者の死亡率が異常に高いことを主に。
家庭を持って、守りに入ってくれたらいいけれど。
物価も高く税金も高いこの国では、家族を養うには物凄くお金が必要なのだ。
だから、家庭を持つことで攻めに入る者が多かった。
その原因となるのは、脱税や横領に手を染めていたダーツゼイ伯爵やウ-ラチョボ子爵のような悪徳貴族の横行が背後にあったらしい。
そして……それらの証拠を集めて摘発したのが、今日、陛下が一緒に連れて来られた宰相であるショーサイ侯爵だ。
感謝しかない。
彼のお陰で、この国の税制はかなり改善されたのだから。
そのことで、感謝の言葉を述べると、ショーサイ侯爵は奥歯に物が詰まったような表情を浮かべていた。
存外、照れ屋な性格のようだ。
その証拠に、照れ隠しだろうが全ての元凶は陛下のせいだ! と言っていた。
そこは、全ての結果は陛下のおかげの言い間違いかな?
なかなか、愉快な方のようだ。
陛下も、横で苦笑いをしておられた。
うん、この陛下……首切り陛下なんて呼ばれているけれど、凄く穏やかで人当りも柔らかい。
さらには、柔軟な発想で、色々と有意義な提案もしてくださった。
その一例が、冒険者共済組合かな?
冒険者ギルドではギルド証の取得の他に、年会費が掛かる。
その年会費を上げて、冒険者歴3年以上の冒険者で、ちゃんと最低限の実績を積めば色々と恩恵が得られるというもの。
その例が、結婚祝い金と、出産一時金だ。
結婚祝い金は、文字通り結婚したらもらえるお金だ。
金額はさほど大きくは無いが、それでも結婚は金が掛かる。
入用の冒険者には、凄く嬉しい臨時収入だろう。
……女性と縁のない男性冒険者からは、かなり不評だが。
そして、出産一時金は、出産時にどうしても女性冒険者は仕事休まなければいけない。
その際に、支払われるお金だ。
一ヶ月分の生活費相当の額が渡される。
到底、子どもの手が離れるまでには、足りるものではないが……旦那が稼げばいいだけの話だ。
そして、育児手当。
これは、平気的な一ヶ月の生活費の三分の一相当の金額が、一年間支給される。
育休制度もあり、こちらは月の生活費が、全額支給される制度だ。
ただし、こちらは返納の義務がある。
翌年から、十年かけて返済しないといけない。
しかし、これも大変に好評だったりする。
一年間子供に接することで、旦那となる冒険者が子供に対する愛情をより深く持つことができると。
無論、子守などせずに、遊び呆けている阿呆もいるが。
定期的に調査が入るため、バレると大変な目にある。
うん、それまで貰った金額を三年以内に三倍返しという。
分かっていても、やっちゃう馬鹿がいるのが冒険者だ。
登録費用だけではこれらの補助金を賄えないので、これはギルド側が助かる制度だ。
これらの制度は、国内全てのギルドに適用されている。
そして、育休を一定数取得し、また正しく活用している冒険者が多いギルドには胡桃認定がされる。
一定基準ごとに、ランクが設定されている。
トライ胡桃やオリハルコン胡桃認定などもある。
オリハルコン胡桃認定のギルドは、若い男女に人気だ。
他の町から移住するくらいに。
あとは、引退一時金や、傷病保証、永年勤続表彰などの、様々な制度を次々と提案して決められた。
直接的に冒険者の死亡率を下げるような制度から、冒険者が亡くなった場合にその家族をサポートする制度などなど、陛下の考えるものは多岐に渡る。
冒険者達の年会費等の負担は増えているが、彼らも万が一のときのことを考えると文句を言いながらも払っている。
実際は、凄く感謝しているのは分かっている。
だって、死亡率が下がったのに、依頼の達成率は大幅に上がっているから。
そりゃそうだ……死んだら損だし、年会費が上がった分、稼がないといけないわけだ。
仕事の効率と安全性の両方を上げる、素晴らしい政策。
しかも、それらの手厚いサポートのお陰で、冒険者志望者数は微増している。
冒険者からギルドの事務員なんかになれた日には、それらのサポートを年会費を払わず、給与をもらいながら受けられるわけだ。
収入は減るかもしれないけれど、安全で安定した収入が得られるのだ。
そして、それらの制度を正しく運用し、さらには胡桃マークを取得すれば、国からも支援金が出る。
その条件の一つに、冒険者の目標死亡率の設定もあった。
年間死亡者、行方不明者含むが所属冒険者数の、五十分の一以下というなかなか難しい条件だ。
三百人規模の登録者があれば、年間での死亡行方不明者が六名以下でないといけない。
パーティが一つか二つ壊滅したら、達成失敗という難しい条件。
そして、王都の本部の登録者数は三千五百人だ。
年間で七十人以下にしないと、この目標は達成できない。
……人数だけ見たら、簡単そうに思うだろう?
はは……ルーキーが毎年、五十から百人は入ってくるんだ。
分かるよな?
王都まで来て、冒険者登録をするような連中の頭の中が……
一山当ててやろうって連中ばかりだ。
へ……陛下に、何かいい案は無いか聞かないと。
うん、王様。
最近は、遊び人とアレちゃんと呼ばれ、うちのギルドの冒険者たちに見た感じ慕われている普通の男性。
どちらかというと、凄く適当な人だ。
金払いがよく、ピクニックの護衛によく冒険者を雇っていた。
チップも多く払ってくれるし、行先で陛下が提供する食事は凄く美味だと評判だった。
子連れで行くピクニックに、魔境だとか魔物が多く生息する森を選ぶ時点で怪しい人だったが。
なんでも魔物の脅威を子供に教えるためだと言われたら、なんとなくぼんやりとみんな納得していた。
私は勿論、正体を知っていたから。
毎回、胃の痛い思いをしていたわけだが。
戻ってきた冒険者達の顔が晴れやかなのが、恨めしいやら嬉しいやら。
陛下は色々と心配をされていた。
冒険者の死亡率が異常に高いことを主に。
家庭を持って、守りに入ってくれたらいいけれど。
物価も高く税金も高いこの国では、家族を養うには物凄くお金が必要なのだ。
だから、家庭を持つことで攻めに入る者が多かった。
その原因となるのは、脱税や横領に手を染めていたダーツゼイ伯爵やウ-ラチョボ子爵のような悪徳貴族の横行が背後にあったらしい。
そして……それらの証拠を集めて摘発したのが、今日、陛下が一緒に連れて来られた宰相であるショーサイ侯爵だ。
感謝しかない。
彼のお陰で、この国の税制はかなり改善されたのだから。
そのことで、感謝の言葉を述べると、ショーサイ侯爵は奥歯に物が詰まったような表情を浮かべていた。
存外、照れ屋な性格のようだ。
その証拠に、照れ隠しだろうが全ての元凶は陛下のせいだ! と言っていた。
そこは、全ての結果は陛下のおかげの言い間違いかな?
なかなか、愉快な方のようだ。
陛下も、横で苦笑いをしておられた。
うん、この陛下……首切り陛下なんて呼ばれているけれど、凄く穏やかで人当りも柔らかい。
さらには、柔軟な発想で、色々と有意義な提案もしてくださった。
その一例が、冒険者共済組合かな?
冒険者ギルドではギルド証の取得の他に、年会費が掛かる。
その年会費を上げて、冒険者歴3年以上の冒険者で、ちゃんと最低限の実績を積めば色々と恩恵が得られるというもの。
その例が、結婚祝い金と、出産一時金だ。
結婚祝い金は、文字通り結婚したらもらえるお金だ。
金額はさほど大きくは無いが、それでも結婚は金が掛かる。
入用の冒険者には、凄く嬉しい臨時収入だろう。
……女性と縁のない男性冒険者からは、かなり不評だが。
そして、出産一時金は、出産時にどうしても女性冒険者は仕事休まなければいけない。
その際に、支払われるお金だ。
一ヶ月分の生活費相当の額が渡される。
到底、子どもの手が離れるまでには、足りるものではないが……旦那が稼げばいいだけの話だ。
そして、育児手当。
これは、平気的な一ヶ月の生活費の三分の一相当の金額が、一年間支給される。
育休制度もあり、こちらは月の生活費が、全額支給される制度だ。
ただし、こちらは返納の義務がある。
翌年から、十年かけて返済しないといけない。
しかし、これも大変に好評だったりする。
一年間子供に接することで、旦那となる冒険者が子供に対する愛情をより深く持つことができると。
無論、子守などせずに、遊び呆けている阿呆もいるが。
定期的に調査が入るため、バレると大変な目にある。
うん、それまで貰った金額を三年以内に三倍返しという。
分かっていても、やっちゃう馬鹿がいるのが冒険者だ。
登録費用だけではこれらの補助金を賄えないので、これはギルド側が助かる制度だ。
これらの制度は、国内全てのギルドに適用されている。
そして、育休を一定数取得し、また正しく活用している冒険者が多いギルドには胡桃認定がされる。
一定基準ごとに、ランクが設定されている。
トライ胡桃やオリハルコン胡桃認定などもある。
オリハルコン胡桃認定のギルドは、若い男女に人気だ。
他の町から移住するくらいに。
あとは、引退一時金や、傷病保証、永年勤続表彰などの、様々な制度を次々と提案して決められた。
直接的に冒険者の死亡率を下げるような制度から、冒険者が亡くなった場合にその家族をサポートする制度などなど、陛下の考えるものは多岐に渡る。
冒険者達の年会費等の負担は増えているが、彼らも万が一のときのことを考えると文句を言いながらも払っている。
実際は、凄く感謝しているのは分かっている。
だって、死亡率が下がったのに、依頼の達成率は大幅に上がっているから。
そりゃそうだ……死んだら損だし、年会費が上がった分、稼がないといけないわけだ。
仕事の効率と安全性の両方を上げる、素晴らしい政策。
しかも、それらの手厚いサポートのお陰で、冒険者志望者数は微増している。
冒険者からギルドの事務員なんかになれた日には、それらのサポートを年会費を払わず、給与をもらいながら受けられるわけだ。
収入は減るかもしれないけれど、安全で安定した収入が得られるのだ。
そして、それらの制度を正しく運用し、さらには胡桃マークを取得すれば、国からも支援金が出る。
その条件の一つに、冒険者の目標死亡率の設定もあった。
年間死亡者、行方不明者含むが所属冒険者数の、五十分の一以下というなかなか難しい条件だ。
三百人規模の登録者があれば、年間での死亡行方不明者が六名以下でないといけない。
パーティが一つか二つ壊滅したら、達成失敗という難しい条件。
そして、王都の本部の登録者数は三千五百人だ。
年間で七十人以下にしないと、この目標は達成できない。
……人数だけ見たら、簡単そうに思うだろう?
はは……ルーキーが毎年、五十から百人は入ってくるんだ。
分かるよな?
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へ……陛下に、何かいい案は無いか聞かないと。
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