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王様がおかしくなった(宮廷魔導士見習い)陛下直属魔法部隊
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訓練場に、何人かの兵士が集められた。
全員、魔法使い。
宮廷魔導士か、魔導部隊を目指した者たち。
周りの顔を見て、思わずため息を吐く。
その中でも、特に目立つ者たち。
悪い意味で。
そういった面々のみが集められていた。
もしかして才能が無いからと、ここでまとめて引導を渡すつもりだろうか。
宮廷魔導士長が緊張した面持ちで……少し呆れた表情っぽいけど。
誰かを待っている。
そして出てきたのは……
国王陛下。
最近スリムになって、周囲の好感度もやや上がってきている。
でも、本質はクズで愚図な、残虐非道の暴君。
タイラント・チビマールの異名を欲しいままにする、極悪人だ。
「今日は私の呼びかけによくぞ応えてくれた。優秀な諸君らなら、なぜ呼ばれたか分かるよな?」
全員がざわついている。
残念だけど、分かるような分からないような。
クビを宣言されるのかと思ったけど、少し話が変わってきた。
私たちは希少な属性と言えば聞こえの良い、使い道の微妙な属性に適性を持つはみだしもの。
メジャーな火や水、風や土とかとは違う。
闇属性に特化したヤミー君とかもいるけど、闇属性は割と有用な割に嫌われていることが多い。
あと彼の場合は、名前のせいでそっちに適性が付いた気がしないでもない。
かくいう、植物系統の属性特化の私の名前はハナスキー。
そして、実家は花畑や果樹園を広く持つ男爵家。
うちの畑で育てられた花が、王城に納品されるのが自慢だけど。
ああ、あの王様のことだ。
希少な属性持ちの魔力持ちの役立たずなんて、人体実験の材料にしてしまえとでも思っているのだろう。
次女の私なんて、死んだところで実家も困らないだろうし。
悲しんで葬式くらいはあげてくれるだろうけど……家族仲が悪いと言うわけじゃない。
兄弟が多いから……
「まあ、薄々感付いてると思うけど、君たちじゃまっとうな宮廷魔導士にはなれないからね」
グサリと刺さる金言をありがとう。
誰もが思ってても、目を背けて厳しい訓練にいそしんでいたのに。
身も蓋も無い。
「そう悲観するなよ」
いや、自覚させたのは貴様じゃ、ぼけぇ!
思わず、悪口が飛び出すくらいには……飛び出してませんよ。
心の中で思っただけです。
「まっとうな宮廷魔導士は無理でも、そうじゃない宮廷魔導士として大成する可能性は大いに秘めているからね」
なるほど……人柱になって、後世に名を残すことになると。
私たちの犠牲と引き換えに、何か有意義な発見でもあればいいですが。
……別に皮肉でも比喩でもなく、まっとうな方法で進むべき道を用意してくれていた。
何故か私は農林水産大臣に紹介されたけど、そこで植物の生育に関わる様々な研究部署に入れられた。
将来の幹部候補として。
というか、局長候補として。
頑張った。
成長促進系の魔法を特に。
陛下のアドバイスを元に。
なぜ、こんな希少な属性の魔法に関するアドバイスを、陛下が的確に行えるかは分からない。
途中で訓練生の中でも期待のホープの一人でもある、回復魔法を使えるヒールさんが呼ばれた。
えっ? 私の同期?
少し後から来たから、部下で後輩。
いやいや、宮廷魔導士の中でもトップ5に入る逸材に対して、そんな恐れ多い。
「ここではお前の方が優秀だ。ところ変われば、求められる資質も違うからな」
そんな強引な。
ヒールさんも困った表情を浮かべている。
「ちなみに、この部署では家畜に関する仕事もあるから、ヒールにはそっち方面も期待してる」
ヒールさんが一瞬身震いしたけど、気にせずに陛下はどこかに行ってしまった。
ちなみに目下の目的としては、綿の大量生産らしい。
そのために綿花の成長促進を、私の魔法で行うと。
ただ、大地の力が足りないと……
その大地を癒すために、ヒールさんが?
いやいや、そんな無茶な。
結論からいうと、出来た。
二週間で、収穫できるサイクルが。
地面を癒す方法?
途中で追加された毒魔法特化の、タカーシー・フォン・ソーリマッチ2等魔導士の方が活躍してくれた。
葉っぱだのなんだのを集めた場所を、魔法で腐らせて。
腐葉土というらしい。
回復魔法は当初、大地を癒すために使おうとしてたらしいけど。
それは無理と……
いや、腐葉土を撒いてからヒールを掛けると、ただの枯れ葉と土に戻っていた。
「この世界の回復魔法は、出鱈目だなー。イメージの問題か?」
陛下が何やら、ぼやいていた。
ちなみに実がはじけて綿を回収したあとの種子に、回復魔法を掛けさせられていた。
期待した効果はあったけど、費用対効果が悪いと。
収穫量に対して、ヒールさんの負担が半端ないらしい。
お払い箱になりかけてきたけど、そこはあれ。
もともとエリート街道を突き進んでいた彼女のプライドを刺激したらしく、意地でも残って成果をあげると頑張って居座っていた。
結果……陛下が、悪い笑みを浮かべていた。
そして、宮廷魔導士長が……呆れていた。
全員、魔法使い。
宮廷魔導士か、魔導部隊を目指した者たち。
周りの顔を見て、思わずため息を吐く。
その中でも、特に目立つ者たち。
悪い意味で。
そういった面々のみが集められていた。
もしかして才能が無いからと、ここでまとめて引導を渡すつもりだろうか。
宮廷魔導士長が緊張した面持ちで……少し呆れた表情っぽいけど。
誰かを待っている。
そして出てきたのは……
国王陛下。
最近スリムになって、周囲の好感度もやや上がってきている。
でも、本質はクズで愚図な、残虐非道の暴君。
タイラント・チビマールの異名を欲しいままにする、極悪人だ。
「今日は私の呼びかけによくぞ応えてくれた。優秀な諸君らなら、なぜ呼ばれたか分かるよな?」
全員がざわついている。
残念だけど、分かるような分からないような。
クビを宣言されるのかと思ったけど、少し話が変わってきた。
私たちは希少な属性と言えば聞こえの良い、使い道の微妙な属性に適性を持つはみだしもの。
メジャーな火や水、風や土とかとは違う。
闇属性に特化したヤミー君とかもいるけど、闇属性は割と有用な割に嫌われていることが多い。
あと彼の場合は、名前のせいでそっちに適性が付いた気がしないでもない。
かくいう、植物系統の属性特化の私の名前はハナスキー。
そして、実家は花畑や果樹園を広く持つ男爵家。
うちの畑で育てられた花が、王城に納品されるのが自慢だけど。
ああ、あの王様のことだ。
希少な属性持ちの魔力持ちの役立たずなんて、人体実験の材料にしてしまえとでも思っているのだろう。
次女の私なんて、死んだところで実家も困らないだろうし。
悲しんで葬式くらいはあげてくれるだろうけど……家族仲が悪いと言うわけじゃない。
兄弟が多いから……
「まあ、薄々感付いてると思うけど、君たちじゃまっとうな宮廷魔導士にはなれないからね」
グサリと刺さる金言をありがとう。
誰もが思ってても、目を背けて厳しい訓練にいそしんでいたのに。
身も蓋も無い。
「そう悲観するなよ」
いや、自覚させたのは貴様じゃ、ぼけぇ!
思わず、悪口が飛び出すくらいには……飛び出してませんよ。
心の中で思っただけです。
「まっとうな宮廷魔導士は無理でも、そうじゃない宮廷魔導士として大成する可能性は大いに秘めているからね」
なるほど……人柱になって、後世に名を残すことになると。
私たちの犠牲と引き換えに、何か有意義な発見でもあればいいですが。
……別に皮肉でも比喩でもなく、まっとうな方法で進むべき道を用意してくれていた。
何故か私は農林水産大臣に紹介されたけど、そこで植物の生育に関わる様々な研究部署に入れられた。
将来の幹部候補として。
というか、局長候補として。
頑張った。
成長促進系の魔法を特に。
陛下のアドバイスを元に。
なぜ、こんな希少な属性の魔法に関するアドバイスを、陛下が的確に行えるかは分からない。
途中で訓練生の中でも期待のホープの一人でもある、回復魔法を使えるヒールさんが呼ばれた。
えっ? 私の同期?
少し後から来たから、部下で後輩。
いやいや、宮廷魔導士の中でもトップ5に入る逸材に対して、そんな恐れ多い。
「ここではお前の方が優秀だ。ところ変われば、求められる資質も違うからな」
そんな強引な。
ヒールさんも困った表情を浮かべている。
「ちなみに、この部署では家畜に関する仕事もあるから、ヒールにはそっち方面も期待してる」
ヒールさんが一瞬身震いしたけど、気にせずに陛下はどこかに行ってしまった。
ちなみに目下の目的としては、綿の大量生産らしい。
そのために綿花の成長促進を、私の魔法で行うと。
ただ、大地の力が足りないと……
その大地を癒すために、ヒールさんが?
いやいや、そんな無茶な。
結論からいうと、出来た。
二週間で、収穫できるサイクルが。
地面を癒す方法?
途中で追加された毒魔法特化の、タカーシー・フォン・ソーリマッチ2等魔導士の方が活躍してくれた。
葉っぱだのなんだのを集めた場所を、魔法で腐らせて。
腐葉土というらしい。
回復魔法は当初、大地を癒すために使おうとしてたらしいけど。
それは無理と……
いや、腐葉土を撒いてからヒールを掛けると、ただの枯れ葉と土に戻っていた。
「この世界の回復魔法は、出鱈目だなー。イメージの問題か?」
陛下が何やら、ぼやいていた。
ちなみに実がはじけて綿を回収したあとの種子に、回復魔法を掛けさせられていた。
期待した効果はあったけど、費用対効果が悪いと。
収穫量に対して、ヒールさんの負担が半端ないらしい。
お払い箱になりかけてきたけど、そこはあれ。
もともとエリート街道を突き進んでいた彼女のプライドを刺激したらしく、意地でも残って成果をあげると頑張って居座っていた。
結果……陛下が、悪い笑みを浮かべていた。
そして、宮廷魔導士長が……呆れていた。
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