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第1話:やっぱりおかしな陛下(専属医:イッシー)
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「すまんな、無理を言って」
「いえ、このくらい簡単なことです」
「いや、お前の評判にも傷が付くだろう……」
「私は今は王族の専属ですから、陛下の評価が全てです。陛下さえ、事実を知っていればいいのですよ」
これは、本心だ。
あれから、さらに一週間。
陛下は記憶の齟齬を埋めるかのように、色々なことをされてきた。
記憶を紙に書き写したり、私に色々と情報を集めさせたり。
「知れば知るほどクズだな……心情までも知ることができる俺からすれば、多少は同情の余地はあるが」
ご自身の悪行を知って、なお同情が出来ると?
陛下の気紛れで、命を落としたものもいるんですが?
「不幸だったとしか、言いようがないだろう。こればっかりは時代背景と封建社会の仕組み上、如何ともできんよ。身分制度がある以上、王族、貴族、平民を同じ生き物として語れないからな」
まあ、そうなんですけどね。
特に、この国は王権神授の伝承が、根強く広まっておりますから。
王は貴族以上に、絶対的な存在なのです。
「それにだ……死んだ奴らは、大半がそうなっても仕方がない連中だろう」
勝手なことを。
王族の気分で殺されたのに、気分を害したのが悪いと言いたいのか。
「不満そうだな。人を救う職業の人間からすれば、俺のやってきたことは簡単に許せないだろう。それでも、そんな奴を救うような崇高な意思を持つ医師ならな」
こんな時に、ダジャレですか?
馬鹿にしてます?
「真面目な話をしてるときにくだらないことを考えるお前の方が、俺を馬鹿にしてると思うぞ」
なるほど……
すべったから、胡麻化そうとしてませんか?
「重ね重ね失礼な奴だな」
はっ! いま、陛下は私の視線だけに対して、返答を?
考えてることが、読まれている?
「まあ、良い。大半の人間がクビになって、王城からの追放だが……物理的に首を斬られた連中は、よくも悪くも、俺に対して害をなそうとしたんだ。ああ、態度が悪くて首を斬られたことになってるが、態度が悪い連中は、俺は裏を調べさせていたみたいだ。周囲には隠しているが、俺に対して意見が出来る人員と、俺が信頼する近衛騎士が数人ほど居て、彼らには理性的かつ寛容に接していたらしい」
「へ……へぇ」
「そいつらに調べさせた結果、殺された連中は他国と繋がっていたり、割と本気で俺を殺そうとしていたらしいぞ。大半が、親のどっちかが移民だったりで、この国の成り立ちに懐疑的な連中らしい……あとは、宗教絡みか」
言い訳かな?
もしかして、人格が変わったふりをして人生をリセットしようと……
「そういった事情は知られない方が便利だからな。下手に俺の気分を害したら、殺されるくらいが良いらしい。処理するにも……正面から馬鹿正直に対処して、裏でコソコソしてた連中が水面下に潜る方がよほど面倒だ……と、この身体の主は考えていたらしい。それほどに、城内に敵が多かった。それこそ、こいつが幼少期の頃からな。愚王って評判の割には、小賢しいな」
自分で自分のことを、こいつと言ったり小賢しいとは。
自虐でしょうか?
「自虐じゃなくて、事実だよ。これも、自己分析になるのかな?」
「まあ、自分を知ることは記憶を取り戻す第一歩ですからね」
「適当なことを……」
適当?
いえ、これまでの医療の積み重ねた結果の結論です。
「大体のことは把握した……そのうえで、俺はやっぱり自由にやろう。どうせ、何をやっても許される身分だしな」
「開き直った……」
「ん?」
あっ、思わず言葉に出てましたか?
「なんでもありません」
「そういうことに、しておいてやろう。お前には、色々と協力してもらわないといかんからな」
急に態度が、さらに偉そうになりましたね。
見逃してもらえるなら。
危うく、首が飛ぶところでした。
宙に。
「口が滑るとか滑らない以前に、お前がかなり失礼なやつだってことは知ってるけどな」
「は、ははは。なんのことでしょうか?」
「フッ」
いや、鼻で笑うとか意味深すぎて。
もしかして、何か弱みを握られてます?
ちょっと、陛下。
私、陛下の命の恩人みたいなものですよ?
「それが、仕事だろう?」
……やっぱり、心が読めてませんか?
「いえ、このくらい簡単なことです」
「いや、お前の評判にも傷が付くだろう……」
「私は今は王族の専属ですから、陛下の評価が全てです。陛下さえ、事実を知っていればいいのですよ」
これは、本心だ。
あれから、さらに一週間。
陛下は記憶の齟齬を埋めるかのように、色々なことをされてきた。
記憶を紙に書き写したり、私に色々と情報を集めさせたり。
「知れば知るほどクズだな……心情までも知ることができる俺からすれば、多少は同情の余地はあるが」
ご自身の悪行を知って、なお同情が出来ると?
陛下の気紛れで、命を落としたものもいるんですが?
「不幸だったとしか、言いようがないだろう。こればっかりは時代背景と封建社会の仕組み上、如何ともできんよ。身分制度がある以上、王族、貴族、平民を同じ生き物として語れないからな」
まあ、そうなんですけどね。
特に、この国は王権神授の伝承が、根強く広まっておりますから。
王は貴族以上に、絶対的な存在なのです。
「それにだ……死んだ奴らは、大半がそうなっても仕方がない連中だろう」
勝手なことを。
王族の気分で殺されたのに、気分を害したのが悪いと言いたいのか。
「不満そうだな。人を救う職業の人間からすれば、俺のやってきたことは簡単に許せないだろう。それでも、そんな奴を救うような崇高な意思を持つ医師ならな」
こんな時に、ダジャレですか?
馬鹿にしてます?
「真面目な話をしてるときにくだらないことを考えるお前の方が、俺を馬鹿にしてると思うぞ」
なるほど……
すべったから、胡麻化そうとしてませんか?
「重ね重ね失礼な奴だな」
はっ! いま、陛下は私の視線だけに対して、返答を?
考えてることが、読まれている?
「まあ、良い。大半の人間がクビになって、王城からの追放だが……物理的に首を斬られた連中は、よくも悪くも、俺に対して害をなそうとしたんだ。ああ、態度が悪くて首を斬られたことになってるが、態度が悪い連中は、俺は裏を調べさせていたみたいだ。周囲には隠しているが、俺に対して意見が出来る人員と、俺が信頼する近衛騎士が数人ほど居て、彼らには理性的かつ寛容に接していたらしい」
「へ……へぇ」
「そいつらに調べさせた結果、殺された連中は他国と繋がっていたり、割と本気で俺を殺そうとしていたらしいぞ。大半が、親のどっちかが移民だったりで、この国の成り立ちに懐疑的な連中らしい……あとは、宗教絡みか」
言い訳かな?
もしかして、人格が変わったふりをして人生をリセットしようと……
「そういった事情は知られない方が便利だからな。下手に俺の気分を害したら、殺されるくらいが良いらしい。処理するにも……正面から馬鹿正直に対処して、裏でコソコソしてた連中が水面下に潜る方がよほど面倒だ……と、この身体の主は考えていたらしい。それほどに、城内に敵が多かった。それこそ、こいつが幼少期の頃からな。愚王って評判の割には、小賢しいな」
自分で自分のことを、こいつと言ったり小賢しいとは。
自虐でしょうか?
「自虐じゃなくて、事実だよ。これも、自己分析になるのかな?」
「まあ、自分を知ることは記憶を取り戻す第一歩ですからね」
「適当なことを……」
適当?
いえ、これまでの医療の積み重ねた結果の結論です。
「大体のことは把握した……そのうえで、俺はやっぱり自由にやろう。どうせ、何をやっても許される身分だしな」
「開き直った……」
「ん?」
あっ、思わず言葉に出てましたか?
「なんでもありません」
「そういうことに、しておいてやろう。お前には、色々と協力してもらわないといかんからな」
急に態度が、さらに偉そうになりましたね。
見逃してもらえるなら。
危うく、首が飛ぶところでした。
宙に。
「口が滑るとか滑らない以前に、お前がかなり失礼なやつだってことは知ってるけどな」
「は、ははは。なんのことでしょうか?」
「フッ」
いや、鼻で笑うとか意味深すぎて。
もしかして、何か弱みを握られてます?
ちょっと、陛下。
私、陛下の命の恩人みたいなものですよ?
「それが、仕事だろう?」
……やっぱり、心が読めてませんか?
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