10 / 74
第1章:仮冒険者と魔王様、冒険者になる!~エンの場合~
第9話:ルーンブレイド100ジュエル(10000円)
しおりを挟む
「ここが、この街で一番良心的な武器屋ですよ」
「おっ、なんだいきなり! そんな事言われたって値引きしねーぞ」
昨日のお祝い会は終始、レイドとカナタさんに弄られて終わった。
そして、それぞれが宿に戻って朝を迎え、今はカナタさんと2人でとある武器屋に来ている。
ここは、レイクポートの街にある武器屋の1つでそこそこ人気があるお店だ。
武器屋といっても防具も扱っているし、包丁や鍋なんてものもおいてある。
金物屋も兼ねているのだ。
鉄で出来た看板には小槌と金床の絵が書いてあるが、このお店は鍛冶屋では無い。
僕の言葉に、ニコニコとした笑みを隠そうともせずにそんな事を言うのが、このお店の店主のお兄さんだ。
見た目凄く爽やかで清潔感溢れる好青年なのだが、冒険者に舐められないようにと使っている荒くれものの言葉遣いがアンバランスで、密かにそれが可愛いと評判を呼び女性冒険者の客も結構来ている。
今日は、そこまで忙しく無さそうだ。
まあ、この街にも大手の武器防具のお店が進出してきたからね。
この通りの先にある3階建ての建物で、1階が防具、2階が武具、3階がアクセサリーのお店になっているらしい。
といっても、あんなに大きくてキラキラしたお店は、僕みたいな貧乏人には縁の無いお店だ。
(注:チェーン展開しているという事は、様々な面でコストも抑えられて量産品なら個人のお店より安く買える……名品になれば個人店の方が掘り出し物がある可能性が高い。大手だとその辺りの目利きはまず間違わない……だから、むしろ初心者こそ覗いてみるべきである。)
なんかいま、凄く損をしたような事を指摘する天の声が聞こえた気がする。
「で、何をお探しで? 見たところそちらのあんちゃんは丸腰みたいだから、あんちゃんの武器を選びに来たのか? それとも防具か?」
お兄さんがニコニコとした、爽やかな笑みで話しかけてくる。
うん、これが本当の爽やかな笑みだ。
カナタさんのは何かが違う。
確かに、爽やかなのだが……なんというか、なんだろう上手く表現出来ないな。
爽やかな笑みで居ながら、目が色々な感情を物語っているというか。
基本、人を見下しているというか。
余裕故の、微笑みというのだろうか?
「いえ、エンに武器を買ってあげたくてね。折角F級の冒険者になったので、そのお祝いですよ」
「おっ! そうなのかエン? それじゃあ仕方ないな、お兄さんが出すって事だけど、わしも割引って形で援助させて貰うよ。それがお祝いだ」
カナタさんの言葉に、お兄さんが嬉しそうにこっちに話しかけてくるけど、貴方……僕とそんなに歳変わらないですからね?
この不自然な言葉遣いが可愛いと思える女と言う生き物は、本当に謎である。
いや……本当は分かっているんだよ!
顔か? 顔なんだな? 顔だな!
いわゆる、「イケメンに限る」って奴なんだろ! 僕がこんな言葉遣いしたところで、うわっは! 勘違いおつ! とかって言うんだろ!
「どうしたんですこいつ?」
「ん、気にしないで下さい。いつもの発作です」
一人、天に向かって人生の不公平を嘆いていたら、カナタさんに勝手に発作扱いされたし。
しかも、カナタさんが勝手に剣を選んでるし……
それもワゴンセールの中から……
280万ジュエルも持ってて、僕へのお祝いはワゴンセールですか……そうですか。
期待した僕が愚かでしたね……
「なあおやじ……これも本当に200ジュエルなのか?」
「お……おやじ……! ついにわしも、おやじと呼ばれる日が来るとは……」
カナタさんにおやじと呼ばれて、お兄さんが偉く感動して目をウルウルさせているが……そんな事はどうでも良い。
問題は……カナタさんの持っている剣だ。
鈍い鉄色の、ちょっとずんぐりむっくりしたショートソード。
それって斬れるのってくらいに厚みがある。
それでいて、幅も結構あって見るからに重そうだ。
「てやんでぃ! お兄さんなら、半額でいいぜ!」
「半額! ! よしっ、エンこれにするぞ!」
その言葉を聞いたカナタさんが、凄い勢いで鉄のショートソードを手渡してくる。
いや、要らないし……今持ってる奴の方が絶対良いし。なんてことを言わせてくれない良い笑顔だなおいっ!
何を言ったところで、たぶんこれを買わされるんだ……ここは素直に喜んで気分よくさせておいた方が良い気がする……はあ……もっとカッコいいのが良かったな。
「ワー! 物凄ク良イ剣デスネ……僕ナンカニハ、勿体ナイクライデス! 本当ニイインデスカ? ワーイ、嬉シイナ……」
どうだ、これが僕の目いっぱいの演技だ! これなら、流石のカナタさんも騙されたに違い……
なんすか、その目は?
「お前……ダイコンだな……、まあ気持ちは分からんでもないし、こんな剣でそこまで本気で喜べるなら、ちょっと頭を疑うわ」
おおい!
自分でも分かってて勧めてたのかよ!
ていうか、お前呼ばわり! 酷い!
出会った当初の爽やかなカナタさんどこいったの? ナイスガイ100%カナタさん! カムバーック!
そんな事を思ってたら、カナタさんがとっとと会計を終わらせてきてしまった。
買い物しゅうりょー! そして僕のワクワクタイムもしゅうりょー!
カウンターではカナタさんと店主がまだ話している。
もういーよー……早くでよーよー……帰りたいよー……
ワクワクタイム後のいじけタイムに入っていると、ちょっとカナタさんの意地悪そうな笑顔が気になった。
ああ、新たな被害者が……
「まあ、そこのワゴンは基本中古の品なんだが、その剣だけはずっと買い手が付かなくってさ……いっそ兄貴に頼んで溶かして打ち直してもらおうか考えてたところなんだ」
店主のお兄さんの言葉に、カナタさんがちょっと冷たい視線を送っている。
お兄さんが一瞬たじろぐ……まあ言葉遣いはあんなだけど、基本優男だしね。
「危ないところだった……」
カナタさんはそう呟くと、これまたどこからか虹色に輝くニードルを取り出すっておい! そんな良いもん持ってんなら、そっちを僕にくれ!
これには武器屋のお兄さんも目を見開いている。
「えっ? 虹色鋼? ええっ? それって伝説の素材じゃ……」
なんてことを口走っているが、僕も噂でしか聞いた事が無い。
曰く、魔法との相性が非常に高く、その七色の輝きが表すように基本全属性の魔法の効果を高めてくれるとかくれないとか。
っていうか、実在してるの見た事無いし……
「店主はもう少し、目を養った方が良いな……」
カナタさんはそういうと、僕たちの目の前でブッ細工なショートソードの腹にそのニードルを突き刺す。
当然鉄の剣はそこから罅割れていき、粉々に砕け散ってしまった。
「えっ? 僕のお祝いの品じゃ……」
「ちょっと? お兄さん?」
2人とも、突然のカナタさんの凶行に思わず声を失う。
が、次の瞬間違った意味で言葉を無くしてしまった。
何故なら、その鉄の塊の下から青白い細身のショートソードが現れたのだ。
しかも、その刀身には何やら文字も掘ってある。
これあれだ……ルーンブレイドって奴だ。
多分、魔法の言葉を掘って、なんらかの魔法を付与してあるんだろう。
「ミ……ミスリル鋼? えっ? ミスリルソード? はっ? えっ?」
可哀想なのは、店主のお兄さんの方だ。
その鉄の下に隠されていたのは、惑う事無きミスリルで出来た剣だし、魔法の言葉まで記されている。
魔法の効果次第だが、どんなにくだらない魔法でもルーンブレイドは最低でも1万ジュエルはする。
そして、ミスリル鋼のルーンブレードともなると40万ジュエルはくだらない……
ダメだ……どう考えても僕たちが店を出た直後にそこのワゴンの剣全てを、お兄さんが叩き割る未来しか見えない。
「良かったな……良いものがかなり安く買えたぞ」
カナタさんがわざとらしく、店主に聞こえるように言うと僕にその剣を渡してくる。
ちらっとお兄さんに目をやると……あっ、死んだ魚の目をしてる。
そりゃそうだよね……こんな1級品の武器をたったの100ジュエルで売っちゃったんだもんね。
本来なら、カウンターの後ろに掲げて客寄せとして飾っても良いくらいの武器だし、適正価格で売れば普通にお店を増築だって出来たはずなのにね……
あっ……膝を折った……
とうとうお兄さんが両手を地について、項垂れてしまった。
あまりに可哀想すぎて、素直に受け取れない。
「カナタさん……ちょっとこれは……」
「フンッ、そこの店主の目利きが甘いのが悪い」
取りつく島もないとはこの事だな。
しかも、物凄く楽しそうにお兄さんを見ているカナタさんの表情を前に、水を差す事は出来そうもない。
お兄さんごめんなさい……僕は無力です。
「おい……店主、最後に良い事を教えてやろう。そこの鉄くずだが、長い事魔力に触れていたからだろう。内側は魔鋼に変質しているからな? そのまま鍛冶屋に持ってってナイフにでもしてもらえ」
魔鋼を使ったナイフか……まあ、この剣には遥かに劣るけどそれでも珍しい一品だな。
魔法の伝導性が高いから、魔法使いの人とかが好んで使うらしく、確か1万~4万ジュエルくらいにはなったはず。
店主のお兄さんがガバッと起き上がると、慌てて鉄くずを集めている。
しかし、すぐにハッとした表情を浮かべる。
「でも、この鉄含めてお客様にお売りしたものですから……」
おお! ここに商売人の誇りを垣間見た気がする。
「いらん……俺が欲しかったのは中身だけだ。ほらっ、物を買った時に要らない箱とかはお店に処分を頼むだろ?」
「あざーっす!」
おにいさああああん!
その言葉を聞いたお兄さんは、物凄い速さで鉄くずを大事そうに袋に入れている。
その血走った眼を見ながら僕は、ちょっとこのお店をこれから人にお勧めするときは、少し考えてからにしよう。
そんな事を思ったのであった。
「おっ、なんだいきなり! そんな事言われたって値引きしねーぞ」
昨日のお祝い会は終始、レイドとカナタさんに弄られて終わった。
そして、それぞれが宿に戻って朝を迎え、今はカナタさんと2人でとある武器屋に来ている。
ここは、レイクポートの街にある武器屋の1つでそこそこ人気があるお店だ。
武器屋といっても防具も扱っているし、包丁や鍋なんてものもおいてある。
金物屋も兼ねているのだ。
鉄で出来た看板には小槌と金床の絵が書いてあるが、このお店は鍛冶屋では無い。
僕の言葉に、ニコニコとした笑みを隠そうともせずにそんな事を言うのが、このお店の店主のお兄さんだ。
見た目凄く爽やかで清潔感溢れる好青年なのだが、冒険者に舐められないようにと使っている荒くれものの言葉遣いがアンバランスで、密かにそれが可愛いと評判を呼び女性冒険者の客も結構来ている。
今日は、そこまで忙しく無さそうだ。
まあ、この街にも大手の武器防具のお店が進出してきたからね。
この通りの先にある3階建ての建物で、1階が防具、2階が武具、3階がアクセサリーのお店になっているらしい。
といっても、あんなに大きくてキラキラしたお店は、僕みたいな貧乏人には縁の無いお店だ。
(注:チェーン展開しているという事は、様々な面でコストも抑えられて量産品なら個人のお店より安く買える……名品になれば個人店の方が掘り出し物がある可能性が高い。大手だとその辺りの目利きはまず間違わない……だから、むしろ初心者こそ覗いてみるべきである。)
なんかいま、凄く損をしたような事を指摘する天の声が聞こえた気がする。
「で、何をお探しで? 見たところそちらのあんちゃんは丸腰みたいだから、あんちゃんの武器を選びに来たのか? それとも防具か?」
お兄さんがニコニコとした、爽やかな笑みで話しかけてくる。
うん、これが本当の爽やかな笑みだ。
カナタさんのは何かが違う。
確かに、爽やかなのだが……なんというか、なんだろう上手く表現出来ないな。
爽やかな笑みで居ながら、目が色々な感情を物語っているというか。
基本、人を見下しているというか。
余裕故の、微笑みというのだろうか?
「いえ、エンに武器を買ってあげたくてね。折角F級の冒険者になったので、そのお祝いですよ」
「おっ! そうなのかエン? それじゃあ仕方ないな、お兄さんが出すって事だけど、わしも割引って形で援助させて貰うよ。それがお祝いだ」
カナタさんの言葉に、お兄さんが嬉しそうにこっちに話しかけてくるけど、貴方……僕とそんなに歳変わらないですからね?
この不自然な言葉遣いが可愛いと思える女と言う生き物は、本当に謎である。
いや……本当は分かっているんだよ!
顔か? 顔なんだな? 顔だな!
いわゆる、「イケメンに限る」って奴なんだろ! 僕がこんな言葉遣いしたところで、うわっは! 勘違いおつ! とかって言うんだろ!
「どうしたんですこいつ?」
「ん、気にしないで下さい。いつもの発作です」
一人、天に向かって人生の不公平を嘆いていたら、カナタさんに勝手に発作扱いされたし。
しかも、カナタさんが勝手に剣を選んでるし……
それもワゴンセールの中から……
280万ジュエルも持ってて、僕へのお祝いはワゴンセールですか……そうですか。
期待した僕が愚かでしたね……
「なあおやじ……これも本当に200ジュエルなのか?」
「お……おやじ……! ついにわしも、おやじと呼ばれる日が来るとは……」
カナタさんにおやじと呼ばれて、お兄さんが偉く感動して目をウルウルさせているが……そんな事はどうでも良い。
問題は……カナタさんの持っている剣だ。
鈍い鉄色の、ちょっとずんぐりむっくりしたショートソード。
それって斬れるのってくらいに厚みがある。
それでいて、幅も結構あって見るからに重そうだ。
「てやんでぃ! お兄さんなら、半額でいいぜ!」
「半額! ! よしっ、エンこれにするぞ!」
その言葉を聞いたカナタさんが、凄い勢いで鉄のショートソードを手渡してくる。
いや、要らないし……今持ってる奴の方が絶対良いし。なんてことを言わせてくれない良い笑顔だなおいっ!
何を言ったところで、たぶんこれを買わされるんだ……ここは素直に喜んで気分よくさせておいた方が良い気がする……はあ……もっとカッコいいのが良かったな。
「ワー! 物凄ク良イ剣デスネ……僕ナンカニハ、勿体ナイクライデス! 本当ニイインデスカ? ワーイ、嬉シイナ……」
どうだ、これが僕の目いっぱいの演技だ! これなら、流石のカナタさんも騙されたに違い……
なんすか、その目は?
「お前……ダイコンだな……、まあ気持ちは分からんでもないし、こんな剣でそこまで本気で喜べるなら、ちょっと頭を疑うわ」
おおい!
自分でも分かってて勧めてたのかよ!
ていうか、お前呼ばわり! 酷い!
出会った当初の爽やかなカナタさんどこいったの? ナイスガイ100%カナタさん! カムバーック!
そんな事を思ってたら、カナタさんがとっとと会計を終わらせてきてしまった。
買い物しゅうりょー! そして僕のワクワクタイムもしゅうりょー!
カウンターではカナタさんと店主がまだ話している。
もういーよー……早くでよーよー……帰りたいよー……
ワクワクタイム後のいじけタイムに入っていると、ちょっとカナタさんの意地悪そうな笑顔が気になった。
ああ、新たな被害者が……
「まあ、そこのワゴンは基本中古の品なんだが、その剣だけはずっと買い手が付かなくってさ……いっそ兄貴に頼んで溶かして打ち直してもらおうか考えてたところなんだ」
店主のお兄さんの言葉に、カナタさんがちょっと冷たい視線を送っている。
お兄さんが一瞬たじろぐ……まあ言葉遣いはあんなだけど、基本優男だしね。
「危ないところだった……」
カナタさんはそう呟くと、これまたどこからか虹色に輝くニードルを取り出すっておい! そんな良いもん持ってんなら、そっちを僕にくれ!
これには武器屋のお兄さんも目を見開いている。
「えっ? 虹色鋼? ええっ? それって伝説の素材じゃ……」
なんてことを口走っているが、僕も噂でしか聞いた事が無い。
曰く、魔法との相性が非常に高く、その七色の輝きが表すように基本全属性の魔法の効果を高めてくれるとかくれないとか。
っていうか、実在してるの見た事無いし……
「店主はもう少し、目を養った方が良いな……」
カナタさんはそういうと、僕たちの目の前でブッ細工なショートソードの腹にそのニードルを突き刺す。
当然鉄の剣はそこから罅割れていき、粉々に砕け散ってしまった。
「えっ? 僕のお祝いの品じゃ……」
「ちょっと? お兄さん?」
2人とも、突然のカナタさんの凶行に思わず声を失う。
が、次の瞬間違った意味で言葉を無くしてしまった。
何故なら、その鉄の塊の下から青白い細身のショートソードが現れたのだ。
しかも、その刀身には何やら文字も掘ってある。
これあれだ……ルーンブレイドって奴だ。
多分、魔法の言葉を掘って、なんらかの魔法を付与してあるんだろう。
「ミ……ミスリル鋼? えっ? ミスリルソード? はっ? えっ?」
可哀想なのは、店主のお兄さんの方だ。
その鉄の下に隠されていたのは、惑う事無きミスリルで出来た剣だし、魔法の言葉まで記されている。
魔法の効果次第だが、どんなにくだらない魔法でもルーンブレイドは最低でも1万ジュエルはする。
そして、ミスリル鋼のルーンブレードともなると40万ジュエルはくだらない……
ダメだ……どう考えても僕たちが店を出た直後にそこのワゴンの剣全てを、お兄さんが叩き割る未来しか見えない。
「良かったな……良いものがかなり安く買えたぞ」
カナタさんがわざとらしく、店主に聞こえるように言うと僕にその剣を渡してくる。
ちらっとお兄さんに目をやると……あっ、死んだ魚の目をしてる。
そりゃそうだよね……こんな1級品の武器をたったの100ジュエルで売っちゃったんだもんね。
本来なら、カウンターの後ろに掲げて客寄せとして飾っても良いくらいの武器だし、適正価格で売れば普通にお店を増築だって出来たはずなのにね……
あっ……膝を折った……
とうとうお兄さんが両手を地について、項垂れてしまった。
あまりに可哀想すぎて、素直に受け取れない。
「カナタさん……ちょっとこれは……」
「フンッ、そこの店主の目利きが甘いのが悪い」
取りつく島もないとはこの事だな。
しかも、物凄く楽しそうにお兄さんを見ているカナタさんの表情を前に、水を差す事は出来そうもない。
お兄さんごめんなさい……僕は無力です。
「おい……店主、最後に良い事を教えてやろう。そこの鉄くずだが、長い事魔力に触れていたからだろう。内側は魔鋼に変質しているからな? そのまま鍛冶屋に持ってってナイフにでもしてもらえ」
魔鋼を使ったナイフか……まあ、この剣には遥かに劣るけどそれでも珍しい一品だな。
魔法の伝導性が高いから、魔法使いの人とかが好んで使うらしく、確か1万~4万ジュエルくらいにはなったはず。
店主のお兄さんがガバッと起き上がると、慌てて鉄くずを集めている。
しかし、すぐにハッとした表情を浮かべる。
「でも、この鉄含めてお客様にお売りしたものですから……」
おお! ここに商売人の誇りを垣間見た気がする。
「いらん……俺が欲しかったのは中身だけだ。ほらっ、物を買った時に要らない箱とかはお店に処分を頼むだろ?」
「あざーっす!」
おにいさああああん!
その言葉を聞いたお兄さんは、物凄い速さで鉄くずを大事そうに袋に入れている。
その血走った眼を見ながら僕は、ちょっとこのお店をこれから人にお勧めするときは、少し考えてからにしよう。
そんな事を思ったのであった。
117
あなたにおすすめの小説
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
スキル【土いじり】でパーティを追放された俺、開墾した畑からダンジョンが生えてきた。
夏見ナイ
ファンタジー
「役立たず」の烙印を押され、パーティを追放されたアルフォンス。彼のスキルは戦闘に不向きな【土いじり】。失意の彼は都会を離れ、辺境の地で静かに農業を営むことを決意する。
しかし、彼が畑を耕すと、そこから不思議なダンジョンが生えてきた!
ダンジョン内では、高級ポーションになる薬草や伝説の金属『オリハルコン』が野菜のように収穫できる。地味だと思われた【土いじり】は、実はこの『農園ダンジョン』を育てる唯一無二のチートスキルだったのだ。
噂を聞きつけ集まる仲間たち。エルフの美少女、ドワーフの天才鍛冶師……。気づけば彼の農園は豊かな村へ、そして難攻不落の要塞国家へと発展していく。
一方、彼を追放したパーティは没落の一途を辿り……。
これは、追放された男が最強の生産職として仲間と共に理想郷を築き上げる、農業スローライフ&建国ファンタジー!
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる