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第1章:仮冒険者と魔王様、冒険者になる!~エンの場合~
閑話:剣と魔法と薬草
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「にしても、凄い人だったな」
ボス部屋のボスを倒して16階層に進んだ俺は、エマに話し掛ける。
思い出しても、訳の分からない人だったな。
何もないところから、出来立てのような珈琲や紅茶を器ごと取り出すとかどういう仕掛けだ。
といっても、剣以外のことはさっぱり分からないからな。
「あれは人じゃないわね。連れの坊やは手品師と言ってたけど、ど、どう考えても魔法使い……それも恐らく賢者クラス」
「けっ! 賢者?」
エマの言葉に思わず大声を出してしまった。
軽くエマに睨まれる。
まあ、ここからしばらくは先のボスと比べると物足りないような魔物しか居ないから気にすることも無いが、無駄に魔物を集める必要も無いしな。
「私はあの女の子の方が気になりました。あれほどまでに私の話を真剣に聞いてくれた人は居ませんでしたからね。きっと、薬師に興味があるのでしょう。あれは良い薬師になりますよ」
「そうか、それは良かったな」
カルロスが後ろから会話に参加してくる。
心の中では無い無いと思いつつも、ここで否定して口論になったら長いからな。
なんでこんな見た目してて、あんなにお喋りなんだろうな。
「まずあのカップ&ソーサは土魔法では作り出せないわね。それに中身の珈琲や紅茶もまるで淹れたてのようだったし、飲食物を作れる魔法なんて聞いた事ないわ」
エマが聞いた事無いんだったら、そんな魔法は存在しないんだろう。
こいつの魔法の知識は、魔法学院の講師も一目おいているらしいからな。
「ということは、失われた魔法と呼ばれる時空魔法と空間魔法の使い手という事になる」
ふーん……
時空魔法や空間魔法というのがどういうものか分からないけど、凄い魔法だということは伝わって来た。
でも、もう失われてるのに使えるってことは失われてないってことじゃないのか?
そんな事を考えていたらジトっとした目のエマに睨まれていた。
「いや……、実際は使えるっぽい人は居るには居るんだけどね……職業手品師と呼ばれる人たちね。それもトップクラスの一握りの人間が、トリックではどうしようも出来ないような現象を起こす事が出来るみたいだから、彼らは実は賢者じゃないのかというのが魔法使いの中での見解なのよ」
ふーん……魔法使いにそこまで疑われるってのは手品師冥利に尽きるってやつだな。
トリックがあるから手品なんだろう。
魔法なんか使ったら手品でも何でもないし、そんなもの見ても面白くもなんともないだろうしな。
「だから、カナタさんが賢者かもしれないってか? それは考え過ぎだろ」
「レイドさんは、将来薬師界の賢者と呼ばれるかも知れないですね。あの若さであの熱心さなら、私と同じ年になるころには、私を遥かに超えた……」
「はいはい、そうね。で、坊やが魔王と言ってたけど、私はその線が一番高いと思ってるわ」
「ブッ!」
思わず吹き出してしまった。
真面目な顔をして、何をとんでもない事を言ってるんだコイツは。
そんな奴が、こんなところで初心者と組んで冒険なんかしてるわけないだろう。
「何も吹き出す事ないでしょ!」
エマがプイッと顔を背ける。
自分でも言ってて無理があると思ったのだろう。
とはいえ、エマはほぼ確信に近いものを持っていた。
まず、ステータスが異常だ。
エマはカナタのギルドカードを見た時に、しっかりとステータスを確認していた。
その数字の横に書かれた10∧12等と言う数字。
その意味が分からずに、そこに鑑定の魔法を発動させていた。
その結果……
『鑑定不能:好奇心猫をも殺す』
という言葉が出て来た。
鑑定結果に警告が現れる事など聞いた事が無い。
即ち、これは本人の意思によってレジストされた上に、魔法の結果を書き換えられたという事になる。
その時は、高位の魔法使い……もしくはそれに準ずるものと思っていたが、その後の彼の手品や、行動、話を聞いているうちに、まるで化け物と対峙しているような気持になっていた。
ただ、人柄は限りなく善に近いとも感じられた。
その結果師匠と……自然に呼んでしまったのだ。
「それに……先の戦闘、何かおかしくなかった?」
「言われてみれば、凄く体の調子が良かったな。動きにキレがあったというか、ラージアーマーリザードの固い鱗をあっさりと斬り砕く事が出来たし……」
そうなのだ。
先の小ボスは、アーマーリザードの大きい奴で、大きいのに小ボスとはこれいかにというのが、ここを越えたものの中での鉄板ネタになっている。
その装甲は、アーマーリザードの約2倍の厚みを持っていて、簡単に砕くことは出来ない。
「あの珈琲と紅茶……身体強化の効果があったわ。一応飲む前に毒身を兼ねて鑑定を掛けてみたけど、次に戦闘を開始して3分間の間、身体能力を5割アップする効果が出てた」
といっても実際のエマの鑑定結果は違う。
その内容は……
『鑑定を許す:3分間の間全ステータス5割アップ! これで君はウルトラマン! だから3分以内に倒してね』
というメッセージ性豊かな鑑定結果が出て来た。
その時に、彼女はカナタに対して色々と諦めた。
ボス部屋のボスを倒して16階層に進んだ俺は、エマに話し掛ける。
思い出しても、訳の分からない人だったな。
何もないところから、出来立てのような珈琲や紅茶を器ごと取り出すとかどういう仕掛けだ。
といっても、剣以外のことはさっぱり分からないからな。
「あれは人じゃないわね。連れの坊やは手品師と言ってたけど、ど、どう考えても魔法使い……それも恐らく賢者クラス」
「けっ! 賢者?」
エマの言葉に思わず大声を出してしまった。
軽くエマに睨まれる。
まあ、ここからしばらくは先のボスと比べると物足りないような魔物しか居ないから気にすることも無いが、無駄に魔物を集める必要も無いしな。
「私はあの女の子の方が気になりました。あれほどまでに私の話を真剣に聞いてくれた人は居ませんでしたからね。きっと、薬師に興味があるのでしょう。あれは良い薬師になりますよ」
「そうか、それは良かったな」
カルロスが後ろから会話に参加してくる。
心の中では無い無いと思いつつも、ここで否定して口論になったら長いからな。
なんでこんな見た目してて、あんなにお喋りなんだろうな。
「まずあのカップ&ソーサは土魔法では作り出せないわね。それに中身の珈琲や紅茶もまるで淹れたてのようだったし、飲食物を作れる魔法なんて聞いた事ないわ」
エマが聞いた事無いんだったら、そんな魔法は存在しないんだろう。
こいつの魔法の知識は、魔法学院の講師も一目おいているらしいからな。
「ということは、失われた魔法と呼ばれる時空魔法と空間魔法の使い手という事になる」
ふーん……
時空魔法や空間魔法というのがどういうものか分からないけど、凄い魔法だということは伝わって来た。
でも、もう失われてるのに使えるってことは失われてないってことじゃないのか?
そんな事を考えていたらジトっとした目のエマに睨まれていた。
「いや……、実際は使えるっぽい人は居るには居るんだけどね……職業手品師と呼ばれる人たちね。それもトップクラスの一握りの人間が、トリックではどうしようも出来ないような現象を起こす事が出来るみたいだから、彼らは実は賢者じゃないのかというのが魔法使いの中での見解なのよ」
ふーん……魔法使いにそこまで疑われるってのは手品師冥利に尽きるってやつだな。
トリックがあるから手品なんだろう。
魔法なんか使ったら手品でも何でもないし、そんなもの見ても面白くもなんともないだろうしな。
「だから、カナタさんが賢者かもしれないってか? それは考え過ぎだろ」
「レイドさんは、将来薬師界の賢者と呼ばれるかも知れないですね。あの若さであの熱心さなら、私と同じ年になるころには、私を遥かに超えた……」
「はいはい、そうね。で、坊やが魔王と言ってたけど、私はその線が一番高いと思ってるわ」
「ブッ!」
思わず吹き出してしまった。
真面目な顔をして、何をとんでもない事を言ってるんだコイツは。
そんな奴が、こんなところで初心者と組んで冒険なんかしてるわけないだろう。
「何も吹き出す事ないでしょ!」
エマがプイッと顔を背ける。
自分でも言ってて無理があると思ったのだろう。
とはいえ、エマはほぼ確信に近いものを持っていた。
まず、ステータスが異常だ。
エマはカナタのギルドカードを見た時に、しっかりとステータスを確認していた。
その数字の横に書かれた10∧12等と言う数字。
その意味が分からずに、そこに鑑定の魔法を発動させていた。
その結果……
『鑑定不能:好奇心猫をも殺す』
という言葉が出て来た。
鑑定結果に警告が現れる事など聞いた事が無い。
即ち、これは本人の意思によってレジストされた上に、魔法の結果を書き換えられたという事になる。
その時は、高位の魔法使い……もしくはそれに準ずるものと思っていたが、その後の彼の手品や、行動、話を聞いているうちに、まるで化け物と対峙しているような気持になっていた。
ただ、人柄は限りなく善に近いとも感じられた。
その結果師匠と……自然に呼んでしまったのだ。
「それに……先の戦闘、何かおかしくなかった?」
「言われてみれば、凄く体の調子が良かったな。動きにキレがあったというか、ラージアーマーリザードの固い鱗をあっさりと斬り砕く事が出来たし……」
そうなのだ。
先の小ボスは、アーマーリザードの大きい奴で、大きいのに小ボスとはこれいかにというのが、ここを越えたものの中での鉄板ネタになっている。
その装甲は、アーマーリザードの約2倍の厚みを持っていて、簡単に砕くことは出来ない。
「あの珈琲と紅茶……身体強化の効果があったわ。一応飲む前に毒身を兼ねて鑑定を掛けてみたけど、次に戦闘を開始して3分間の間、身体能力を5割アップする効果が出てた」
といっても実際のエマの鑑定結果は違う。
その内容は……
『鑑定を許す:3分間の間全ステータス5割アップ! これで君はウルトラマン! だから3分以内に倒してね』
というメッセージ性豊かな鑑定結果が出て来た。
その時に、彼女はカナタに対して色々と諦めた。
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