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………とは言ってみたものの、生憎俺に死んだ記憶は無いんだがなぁ……
少し時間がたった後。
多少冷静になった俺はただ漠然とそんなことを思っていた。
というか、良く考えてみれば死んだ記憶どころか生きてた記憶すら無いぞ?
その癖地球だとかラノベだとかあっちの記憶が有るんだが……どーなってんだこれ。
まぁ、それこそ転生モノのご都合主義的なアレか。
きっと気にしたら敗けなのだろう。
そんな感じに、半ばなげやりな気分になりながらも取り敢えず現状を整理していくことにした。
まぁ、あれだ。
この混沌とした状況の今、唯一の救いは
俺が芋虫だと分かったことで大概の謎にも筋が通ったことでは無いだろうか。
だってそうだろう?
最初の暗闇は卵の中。
このバカデカイ森はデカイんじゃなくて俺が小さいだけ。
ほら、これなら……いや、そう考えたら卵の形状は何かおかしいな。
破れるところが一つしか無い辺り卵じゃ無いのか?
でも卵以外から孵る芋虫なんか聞いたこと無いし……
うーん……
まぁ、いいか。
後で見に行きゃ分かることだ。
ってな感じに気になることを片っ端から考えてみた訳だが…………正直今そんなのはどうでも良いんだよ。
今、最も重要なのは…………これだ。
と、陰鬱とした気分のまま足元へ目線を向けると、そこには足と呼べるかも分からないほど小さくぷっくりとした突起物。
そう。
これが俺の言う重大な問題。
足が……足が殆ど動かないのである。
いやーもうホント、ピクリとも動かん。
あー……芋虫ってどうやって動いてたんだっけなぁ。
こんなことなら気になった時にもっと調べとくんだった。
某民放のニ◯ッキ!みたく身体をくねらせてる訳でもあるまいし……ん?あ、そういやアゲハの幼虫が身体を伸縮させて動いてるってのは見たことあったな。
ただ、それを自分の体でやるとなるとどういう感覚で動かしているのかまったく想像が付かない……
と言うわけでいざ検証だ。
先ずは改めて足が動かないのかの確認から入るとしよう。
俺は足のぷっくりとした部分に力を入れっ………入れっ!!………だぁーー!!やっぱ動かねぇ!
思わずひっくり返って匙を投げる。
うーん、おそらくだが、そもそもこの足は動かす用には出来てないのだろう。
使用用途としては……おそらくストッパー的な感じかな?
と言うか、そうでもない限りお飾りだぞ、この足。
と言うわけで検証終わり!!
足は動かん!!
はい次ィ!!
ってな感じで次は尺取り虫スタイルです。
……え?テンションの緩急が激しいだって?
そりゃそうだろお前。
芋虫だぞ芋虫。
いきなり虫の中でも割りと嫌われものに入る様な奴になったんだぞ。
こんぐらいテンション狂ってないと自我が保てねぇよ。
あぁ……いまならカフカの『変身』した男の気持ちも分かろうと言うものだ。
んじゃっ………よっと。
そんな思考だけで寄り道しつつも、俺は頭を持ち上げた。
お、なんとか持ち上がったな。
後は顔近くの足で……ぐぇっ
そこから顔の下に有る足で着地しようとしたものの、姿勢が崩れ、全身が伸びきった状態で腹を地面に打ち付けてしまった。
イテテテテ……
最初からある程度の覚悟はしてたが、思ってたより難しいぞ、この体。
例えるなら……初めてゲームをするときのあの感覚かな?
自分のまったく知らない操作方法のキャラを操る様な感じだ。
あのだんだんと操作に慣れていく感覚は正直嫌いでは無かったのだが、それに痛みが生じるとなると話は別だ。
いつか慣れが来んのかねぇ……
まぁ、いいや。
千里の道も一歩からってな。
取り敢えず出来ることから試して行かなきゃ話にすらなんねぇよ。
んじゃ、さっさと最後のもやっちまおう。
そうして俺は俺の思い付く最後の芋虫移動法を試してみることにした。
えーと?体を伸縮させる……取り敢えず縮まないことには進まないよな。
じゃあ身体を押し込む感覚で……こうグイッと。
そうすると段々身体の節の様なところに肉(?)入り込んでいくのを感じた。
お、おぉ……感触的には滅茶気持ち悪いけど出来たぞ。
後はこれを伸ばすだけなんだよな?
じゃあ、あぁぁぁぁぁぁぁ!?
縮んだ全身をを一気に伸ばそうとしたその瞬間の事だった。
凄まじい勢いで俺の身体が前方へと吹き飛んだのだ。
その上……
ふべっ!!
その直線上に有った木に突き刺さってしまった。
……って、あれ?突き刺さった?
おかしいな。
どんな速度で飛んだとしても芋虫のやわらかボディなら木の幹なんかに刺さることは無いと思うんだが……
どーなってんだこれ。
困惑しつつも神経を集中すると、口許になにやら固い感触が有ることに気がついた。
ん?なんだこれ。
しかも動かせるんだが……
それから少し動かそうとしてみたのだが、どうやらそれが木の幹に刺さっているらしく、少ししか動かなかい。
動いてる感じだと左右にしか動かないみたいなんだが……これ、もしかして大顎ってヤツじゃないか?
確か前世だとクワガタの幼虫なんかに有った部位の筈だが今の俺のはそれより硬く大きい様に思う。
俺は一体何に成長するんだー……ってのは後回しか。
取り敢えずこれを引き抜かないことには話にならな…………
【恒常スキル:ロケットLv1を入手しました】
………ほ?
突如として響いた無機質な声に驚き、俺は思わず静止した。
まぁ、実際の所それだけが理由って訳じゃ無いのだが。
……………あー、うん。スキルね。取り敢えずそれは分かったのよ。
たださ……
こっちはなによ。
そうして俺はもう一度脳内に現れた手記の文を読み返した。
―――――――――――――――――――――
名前:
種族:インテリジェンスキャタピラー
ランク:E
Lv:1/5
HP:20/20
MP:25/32
恒常スキル
【ロケット:Lv1】【糸を吐く:Lv1】
固有スキル
ろ
称号スキル
【賢者の残滓:LvMAX】
耐性
【毒耐性:Lv4】【火炎耐性:Lv-2】【物理耐性:Lv-2】
ーーーーーーーーーーーーーーーー
いや、何かってのは俺にも分かるのだ。
あれだろ?所謂ステータスってやつ。
攻撃力とかそこら辺が無いのは気になるがこれはまず間違いなくそれだろう。
ただ問題なのは……これだ。
称号スキルとやらの枠に有る【賢者の残滓】。
俺はこれを見てどこか懐かしさの様な物を感じている。
それがどこか気持ち悪いというかなんと言うか…………まぁ、いいか。所詮気持ちの問題だ。
この分だと、俺がさっき言った「転生した」ってのもいよいよ現実味を帯びてきたようだし……テンプレにしてワクワクのスキル確認タイムと行こうじゃないか。
折角異世界に来たかもしれねぇんだ。
テンプレの一つや二つ楽しんでいかねぇとな。
……まぁ、序盤だし大して面白そうなスキルは無いだろうけど。
さて、これが見えたってことは詳細も見えると思うんだけど……お、見えた!
パラリ
脳内の手記が音を立てて捲られる。
―――――――――――――――――――――
【恒常スキル:ロケットLv1】
インテリジェンスキャタピラー等下級の魔物が好んで使用するスキル。
自身の正面へ強力な体当たりを実行する。
使用時にMPを引き換えにすることでその攻撃によるダメージボーナスを得ることが出来る。
このスキルのLvによって得られるダメージボーナスの倍率は変化する。
―――――――――――――――――――――
なるほど。
こういうスキルって持ってるだけで威力が上がるもんだと思ってたけどMPを消費しなきゃ威力は上がらないのか。
……ちょっと不便じゃないか?それ。
まぁ、いいや。
文句言っても仕方無いしな。
さっさと次のも見てみよう。
―――――――――――――――――――――
【糸を吐く:Lv1】
スパイダーや、キャタピラー等、蟲系の魔物が好んで使用するスキル。
レベルが低いうちは大した脅威にはなり得ないのだが、レベル最大のこのスキルを持ったスパイダーが格上のワイバーンを空から引き摺り落とした逸話はあまりにも有名である。
このスキルの使用にMPは要さない。
―――――――――――――――――――――
ほぉー、マジか。
これは良いこと聞いたな。
格上すら捕らえる可能性の有るスキルと言われちゃ育てん訳にはいかんだろ。
まぁ、スキルレベルの上げ方なんて知らない訳だが……使ってりゃ上がるかな。
じゃあ残りは……これか。
そうして俺は称号スキルの欄に目を向けた。
何故だかあまり気乗りしないんだが唯一のLvMAXにして唯一の称号スキルだ。
相変わらず謎の気持ち悪さこそ有るが……使えるであろう物の詳細くらい、把握しない訳には行かないだろう。
……よし、覚悟は決まった。
パラリ
―――――――――――――――――――――
【賢者の残滓:LvMAX】
文字通り、賢者の残滓をその身に宿す者への称号。賢者とはその昔、最も世界の真理に近付いた伝説の魔術師である。彼女は膨大な魔力をその身に宿し、聡明な頭脳をもってありとあらゆる知識を記憶したと言われるが、その彼女をもってしても所詮真理へは近付いただけに過ぎない。
あらゆる魔法の効率、操作性が上昇する。
加えてMPを消費することで【賢者の手記】への一部干渉権限を得る。
―――――――――――――――――――――
お、おぉ、なんと言うか………凄まじいな。
伝説の魔術師とか、急にファンタジー要素ぶちこんで来るじゃん。
魔法の効率だかなんだかってのはよく分からないのだが、【賢者の手記】とか言うのは多分俺が今見ているこれの事だろう。
俺の知ってる異世界と違ってMPを消費するのはネックだが有ると無いとじゃ大違いだ。
ありがたく使わせて貰うとしよう。
しかし……あれだな。
謎に気持ち悪かった割にはむしろ有益な内容だったんだが一体何だったのだろう。
さっきは所詮気持ちの問題とは言ったが、流石にずっとモヤモヤを引っ提げるのは嫌なんだが……
えぇい!止めだ止め!
いつまでも分からんことを悩んでも仕方無し!
ここは一つ知識欲を刺激して頂くとしよう。
そのための【賢者の手記】だろう。
ヘイカモン!
そうして俺はとある名称を知りたいと強く念じた。
パラリ
ページの捲れる音が響く。
―――――――――――――――――――――
インテリジェンスキャタピラー
ランクF~D
黒の森表層に現れる芋虫。知能と性格、更にはスキルまでもに個体差が有り、低階位の魔物にしては強力。
その賢さから手懐けられれば優秀な戦力となるものの、悪辣な個体はその心情すらも利用するので基本即座に殺すべき。
進化先が異様に多いことで有名
実は
―――――――――――――――――――――
おぉ!!やっぱり出……た…………ん?実は?
実はなんだよ。
何でこんなところで止まってんだ?
まぁ、良いか。
取り敢えず書いてあるのを読んじまおう。
えーと?なになに?
…………なるほど、割とイメージ最悪じゃねぇか。
どうしよう、俺としてはなるべく人間の仲間路線に進みたいんだが、この種族からして厳しいのだろうか。
……いや、諦めるにはまだ速い筈だ。
何も馬鹿正直に交渉(……喋れないが)するだけが仲間になるだけの手段じゃない。
例えば、人間のピンチに颯爽と駆けつけ、外敵をあっさり片付けるだとか。
そうすればむしろ人間の方から一緒に来てくれとオファーが来る………来るかなぁ……テイマーとかそういう職業が有るならまだしも……
進化先が多いなら、なんとか人間寄りの進化とか出来たらいいのだが……
まぁ、取り敢えずピンチのヤツが居たらどんどん救って行くとしよう。
仲間にはしてくれないにしても、それで即殺しに来るってことは無くなるだろう。
んで、問題の「実は」なんだが……うん、何度見ても続きは書かれて無いようだった。
んー……こればっかしはわかんねぇなぁ。
今まではちゃんと見れたのにどうしていきなり………いきなり?
いや、違うか。
ちゃんと見るための条件書いてたじゃねぇか。
そうして俺はもう一度手記を捲った。
パラリ
―――――――――――――――――――――
MP:0/32
―――――――――――――――――――――
やっぱりか。
MP切れだ。
あの文字の切れかたを見る限り、MPをインクに文字を新たに書き入れてるのか?
それにしてはさっき書かれていたMPと今見ている数値に差があるのは謎だが……
一度書いてしまえば自動更新されるのだろうか。
それなら助かるのだが断定するには流石に速すぎる。
もう少し使ってから判断するとしよう。
俺はプラプラ風に揺られながらそう考えた。
少し時間がたった後。
多少冷静になった俺はただ漠然とそんなことを思っていた。
というか、良く考えてみれば死んだ記憶どころか生きてた記憶すら無いぞ?
その癖地球だとかラノベだとかあっちの記憶が有るんだが……どーなってんだこれ。
まぁ、それこそ転生モノのご都合主義的なアレか。
きっと気にしたら敗けなのだろう。
そんな感じに、半ばなげやりな気分になりながらも取り敢えず現状を整理していくことにした。
まぁ、あれだ。
この混沌とした状況の今、唯一の救いは
俺が芋虫だと分かったことで大概の謎にも筋が通ったことでは無いだろうか。
だってそうだろう?
最初の暗闇は卵の中。
このバカデカイ森はデカイんじゃなくて俺が小さいだけ。
ほら、これなら……いや、そう考えたら卵の形状は何かおかしいな。
破れるところが一つしか無い辺り卵じゃ無いのか?
でも卵以外から孵る芋虫なんか聞いたこと無いし……
うーん……
まぁ、いいか。
後で見に行きゃ分かることだ。
ってな感じに気になることを片っ端から考えてみた訳だが…………正直今そんなのはどうでも良いんだよ。
今、最も重要なのは…………これだ。
と、陰鬱とした気分のまま足元へ目線を向けると、そこには足と呼べるかも分からないほど小さくぷっくりとした突起物。
そう。
これが俺の言う重大な問題。
足が……足が殆ど動かないのである。
いやーもうホント、ピクリとも動かん。
あー……芋虫ってどうやって動いてたんだっけなぁ。
こんなことなら気になった時にもっと調べとくんだった。
某民放のニ◯ッキ!みたく身体をくねらせてる訳でもあるまいし……ん?あ、そういやアゲハの幼虫が身体を伸縮させて動いてるってのは見たことあったな。
ただ、それを自分の体でやるとなるとどういう感覚で動かしているのかまったく想像が付かない……
と言うわけでいざ検証だ。
先ずは改めて足が動かないのかの確認から入るとしよう。
俺は足のぷっくりとした部分に力を入れっ………入れっ!!………だぁーー!!やっぱ動かねぇ!
思わずひっくり返って匙を投げる。
うーん、おそらくだが、そもそもこの足は動かす用には出来てないのだろう。
使用用途としては……おそらくストッパー的な感じかな?
と言うか、そうでもない限りお飾りだぞ、この足。
と言うわけで検証終わり!!
足は動かん!!
はい次ィ!!
ってな感じで次は尺取り虫スタイルです。
……え?テンションの緩急が激しいだって?
そりゃそうだろお前。
芋虫だぞ芋虫。
いきなり虫の中でも割りと嫌われものに入る様な奴になったんだぞ。
こんぐらいテンション狂ってないと自我が保てねぇよ。
あぁ……いまならカフカの『変身』した男の気持ちも分かろうと言うものだ。
んじゃっ………よっと。
そんな思考だけで寄り道しつつも、俺は頭を持ち上げた。
お、なんとか持ち上がったな。
後は顔近くの足で……ぐぇっ
そこから顔の下に有る足で着地しようとしたものの、姿勢が崩れ、全身が伸びきった状態で腹を地面に打ち付けてしまった。
イテテテテ……
最初からある程度の覚悟はしてたが、思ってたより難しいぞ、この体。
例えるなら……初めてゲームをするときのあの感覚かな?
自分のまったく知らない操作方法のキャラを操る様な感じだ。
あのだんだんと操作に慣れていく感覚は正直嫌いでは無かったのだが、それに痛みが生じるとなると話は別だ。
いつか慣れが来んのかねぇ……
まぁ、いいや。
千里の道も一歩からってな。
取り敢えず出来ることから試して行かなきゃ話にすらなんねぇよ。
んじゃ、さっさと最後のもやっちまおう。
そうして俺は俺の思い付く最後の芋虫移動法を試してみることにした。
えーと?体を伸縮させる……取り敢えず縮まないことには進まないよな。
じゃあ身体を押し込む感覚で……こうグイッと。
そうすると段々身体の節の様なところに肉(?)入り込んでいくのを感じた。
お、おぉ……感触的には滅茶気持ち悪いけど出来たぞ。
後はこれを伸ばすだけなんだよな?
じゃあ、あぁぁぁぁぁぁぁ!?
縮んだ全身をを一気に伸ばそうとしたその瞬間の事だった。
凄まじい勢いで俺の身体が前方へと吹き飛んだのだ。
その上……
ふべっ!!
その直線上に有った木に突き刺さってしまった。
……って、あれ?突き刺さった?
おかしいな。
どんな速度で飛んだとしても芋虫のやわらかボディなら木の幹なんかに刺さることは無いと思うんだが……
どーなってんだこれ。
困惑しつつも神経を集中すると、口許になにやら固い感触が有ることに気がついた。
ん?なんだこれ。
しかも動かせるんだが……
それから少し動かそうとしてみたのだが、どうやらそれが木の幹に刺さっているらしく、少ししか動かなかい。
動いてる感じだと左右にしか動かないみたいなんだが……これ、もしかして大顎ってヤツじゃないか?
確か前世だとクワガタの幼虫なんかに有った部位の筈だが今の俺のはそれより硬く大きい様に思う。
俺は一体何に成長するんだー……ってのは後回しか。
取り敢えずこれを引き抜かないことには話にならな…………
【恒常スキル:ロケットLv1を入手しました】
………ほ?
突如として響いた無機質な声に驚き、俺は思わず静止した。
まぁ、実際の所それだけが理由って訳じゃ無いのだが。
……………あー、うん。スキルね。取り敢えずそれは分かったのよ。
たださ……
こっちはなによ。
そうして俺はもう一度脳内に現れた手記の文を読み返した。
―――――――――――――――――――――
名前:
種族:インテリジェンスキャタピラー
ランク:E
Lv:1/5
HP:20/20
MP:25/32
恒常スキル
【ロケット:Lv1】【糸を吐く:Lv1】
固有スキル
ろ
称号スキル
【賢者の残滓:LvMAX】
耐性
【毒耐性:Lv4】【火炎耐性:Lv-2】【物理耐性:Lv-2】
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いや、何かってのは俺にも分かるのだ。
あれだろ?所謂ステータスってやつ。
攻撃力とかそこら辺が無いのは気になるがこれはまず間違いなくそれだろう。
ただ問題なのは……これだ。
称号スキルとやらの枠に有る【賢者の残滓】。
俺はこれを見てどこか懐かしさの様な物を感じている。
それがどこか気持ち悪いというかなんと言うか…………まぁ、いいか。所詮気持ちの問題だ。
この分だと、俺がさっき言った「転生した」ってのもいよいよ現実味を帯びてきたようだし……テンプレにしてワクワクのスキル確認タイムと行こうじゃないか。
折角異世界に来たかもしれねぇんだ。
テンプレの一つや二つ楽しんでいかねぇとな。
……まぁ、序盤だし大して面白そうなスキルは無いだろうけど。
さて、これが見えたってことは詳細も見えると思うんだけど……お、見えた!
パラリ
脳内の手記が音を立てて捲られる。
―――――――――――――――――――――
【恒常スキル:ロケットLv1】
インテリジェンスキャタピラー等下級の魔物が好んで使用するスキル。
自身の正面へ強力な体当たりを実行する。
使用時にMPを引き換えにすることでその攻撃によるダメージボーナスを得ることが出来る。
このスキルのLvによって得られるダメージボーナスの倍率は変化する。
―――――――――――――――――――――
なるほど。
こういうスキルって持ってるだけで威力が上がるもんだと思ってたけどMPを消費しなきゃ威力は上がらないのか。
……ちょっと不便じゃないか?それ。
まぁ、いいや。
文句言っても仕方無いしな。
さっさと次のも見てみよう。
―――――――――――――――――――――
【糸を吐く:Lv1】
スパイダーや、キャタピラー等、蟲系の魔物が好んで使用するスキル。
レベルが低いうちは大した脅威にはなり得ないのだが、レベル最大のこのスキルを持ったスパイダーが格上のワイバーンを空から引き摺り落とした逸話はあまりにも有名である。
このスキルの使用にMPは要さない。
―――――――――――――――――――――
ほぉー、マジか。
これは良いこと聞いたな。
格上すら捕らえる可能性の有るスキルと言われちゃ育てん訳にはいかんだろ。
まぁ、スキルレベルの上げ方なんて知らない訳だが……使ってりゃ上がるかな。
じゃあ残りは……これか。
そうして俺は称号スキルの欄に目を向けた。
何故だかあまり気乗りしないんだが唯一のLvMAXにして唯一の称号スキルだ。
相変わらず謎の気持ち悪さこそ有るが……使えるであろう物の詳細くらい、把握しない訳には行かないだろう。
……よし、覚悟は決まった。
パラリ
―――――――――――――――――――――
【賢者の残滓:LvMAX】
文字通り、賢者の残滓をその身に宿す者への称号。賢者とはその昔、最も世界の真理に近付いた伝説の魔術師である。彼女は膨大な魔力をその身に宿し、聡明な頭脳をもってありとあらゆる知識を記憶したと言われるが、その彼女をもってしても所詮真理へは近付いただけに過ぎない。
あらゆる魔法の効率、操作性が上昇する。
加えてMPを消費することで【賢者の手記】への一部干渉権限を得る。
―――――――――――――――――――――
お、おぉ、なんと言うか………凄まじいな。
伝説の魔術師とか、急にファンタジー要素ぶちこんで来るじゃん。
魔法の効率だかなんだかってのはよく分からないのだが、【賢者の手記】とか言うのは多分俺が今見ているこれの事だろう。
俺の知ってる異世界と違ってMPを消費するのはネックだが有ると無いとじゃ大違いだ。
ありがたく使わせて貰うとしよう。
しかし……あれだな。
謎に気持ち悪かった割にはむしろ有益な内容だったんだが一体何だったのだろう。
さっきは所詮気持ちの問題とは言ったが、流石にずっとモヤモヤを引っ提げるのは嫌なんだが……
えぇい!止めだ止め!
いつまでも分からんことを悩んでも仕方無し!
ここは一つ知識欲を刺激して頂くとしよう。
そのための【賢者の手記】だろう。
ヘイカモン!
そうして俺はとある名称を知りたいと強く念じた。
パラリ
ページの捲れる音が響く。
―――――――――――――――――――――
インテリジェンスキャタピラー
ランクF~D
黒の森表層に現れる芋虫。知能と性格、更にはスキルまでもに個体差が有り、低階位の魔物にしては強力。
その賢さから手懐けられれば優秀な戦力となるものの、悪辣な個体はその心情すらも利用するので基本即座に殺すべき。
進化先が異様に多いことで有名
実は
―――――――――――――――――――――
おぉ!!やっぱり出……た…………ん?実は?
実はなんだよ。
何でこんなところで止まってんだ?
まぁ、良いか。
取り敢えず書いてあるのを読んじまおう。
えーと?なになに?
…………なるほど、割とイメージ最悪じゃねぇか。
どうしよう、俺としてはなるべく人間の仲間路線に進みたいんだが、この種族からして厳しいのだろうか。
……いや、諦めるにはまだ速い筈だ。
何も馬鹿正直に交渉(……喋れないが)するだけが仲間になるだけの手段じゃない。
例えば、人間のピンチに颯爽と駆けつけ、外敵をあっさり片付けるだとか。
そうすればむしろ人間の方から一緒に来てくれとオファーが来る………来るかなぁ……テイマーとかそういう職業が有るならまだしも……
進化先が多いなら、なんとか人間寄りの進化とか出来たらいいのだが……
まぁ、取り敢えずピンチのヤツが居たらどんどん救って行くとしよう。
仲間にはしてくれないにしても、それで即殺しに来るってことは無くなるだろう。
んで、問題の「実は」なんだが……うん、何度見ても続きは書かれて無いようだった。
んー……こればっかしはわかんねぇなぁ。
今まではちゃんと見れたのにどうしていきなり………いきなり?
いや、違うか。
ちゃんと見るための条件書いてたじゃねぇか。
そうして俺はもう一度手記を捲った。
パラリ
―――――――――――――――――――――
MP:0/32
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やっぱりか。
MP切れだ。
あの文字の切れかたを見る限り、MPをインクに文字を新たに書き入れてるのか?
それにしてはさっき書かれていたMPと今見ている数値に差があるのは謎だが……
一度書いてしまえば自動更新されるのだろうか。
それなら助かるのだが断定するには流石に速すぎる。
もう少し使ってから判断するとしよう。
俺はプラプラ風に揺られながらそう考えた。
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最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
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