愛に飢えてる化け物は運命を拒絶する

ユミグ

文字の大きさ
19 / 46

18

しおりを挟む

結局グロリアは1年無給で働くという罰を受けたと同時に、訓練量も倍にされたと聞いた。
それはディアブロも同じ。
どうやら、私の伝えた言葉も、事の顛末も、全てなぞるように、正確にバーナビーへと伝えたらしく、結果、二人共に罰を。という事になったんだって。

「お金はいいから訓練量なしにしてって頼んでよ」
「やだよ、自業自得じゃん」

あれからグロリアは化けの皮が剥がれ、無遠慮に接してきた。ので、私も化けの皮を剥がし、私として接している。
もちろん隠し事は多いけど、取り繕った、かわいこちゃんぶる私が大嫌いらしいので、グロリアには素に近い態度で向き合っている。
変わりつつある私の性格は、この世界に慣れてきた証拠とでも思われてるのか、周囲には不思議に思われていない。

「ディアブロが好きなんです」
「無理だ」

仕事の最中でも…というよりは、仕事でしか会えないらしいので、ここぞとばかりに告白をしてはフラれているグロリアと、まだ私の命令が有効だと思っているのか、変わらない返答でも返答するディアブロ。

「どんなところが好きなの?」
「こ、こんなところで言えない…」

なに乙女出してんだ、殴るぞ。

「でも、私はグロリアとお喋りがしたい」
「すれば?」
「いつも誰かが側にいるから“こんなところ”は変わらないと思うの」
「そ、そ、うん」

私の髪の毛を整えているグロリアは鏡越しで見ても赤い顔をしている。

「姿形も好き、強いところも好き」
「あとは?」
「あと………?」

気になってたんだよね。どこがいいのか。
いや、否定する訳じゃないんだけど、別になんだっていいんだけど、この間の喚きを聞いていたら気になっちゃってね?

「いつも無言なんでしょ?」
「?うん」
「なにを話しても無言なんでしょ?」
「?当たり前でしょ、ディアブロだもん」

だよね。

「中身のどんなところが好き?」
「………」
「「「「………」」」」

ね。
一目惚れしたとも聞いた、その後した努力に凄いとも思った。近付きたくて、ディアブロしか見てなかった人生に羨ましいと思った。

でもね?

「例えば結婚したりするでしょ?“おはよう”って言ったら無言が返ってくる毎日がグロリアの好みなの?」
「「「「「………」」」」」
「今日はデートしよ♡なんて言って、無言が返ってくるデートがしたいの?」
「「「「「………」」」」」
「一体性行為ってどんな感じなのかな?」
「「「「「………」」」」」
「無言?」
「「「「「………」」」」」

ね。気にならない?

「グロリア、手が止まってる」
「…失礼致しました」
「うん」

リンジーの注意で仕事を再開したグロリアはきっと、「結婚したら………」なんて考えているに違いない。
相変わらず、よく顔に出る友達だ。

リンジーとグロリアが揃っている今日は、夜会の日。
自国の貴族らにお披露目して、すぐに街歩きと、数名とのお茶会。そして、他国を招いてお披露目を、テレンス公爵の主導でテキパキと進んでいる。

「なにがいいの………?」

どうやら自問自答しだしたグロリアは、しばらく頭の中がぐるぐると忙しいだろう。

鏡越しでチラッとディアブロを盗み見て、何が過去にあったのかと、私も思考の渦に落ちる。
彼は、「無理だ」しか言わない。
グロリアの恋心に無理という。
グロリアが私を好き。なんていう、妄想にも無理という。

それはおかしい。
「付き合えない」「好きじゃない」なら分かる。だが、どちらの返答も「無理」なのだ。
それは好きになれないという事ではないだろうか?決めた相手がいる。というのが、今のところの持論だ。
そして、その相手とも結ばれない。
だからこその、「無理」なのではないだろうか。

ふむ。

「ディアブロ」
「はい」
「命令ではなくただの好奇心なのですが、心に決めた方がいるのですか?」
「…」

面白い。

「ごめんなさい、忘れてください」

彼は案外分かりやすいのかもしれないな。
心動かされる事がないというのは、心動かされる衝動と出会った時に、分かりやすいほどに、顔に、心音に、汗に出る。

焦燥だ。

焦り、心深いどこかに苛立ちが存在していると、全てで語っている。

赤子のような彼は、新しく芽生える、誰しも経験する感情が、今更新しく芽生えた時、己自身でさえも持て余すほどのなにかに突き動かされるんだ。

うーん…。

これからもあるだろうし。
彼が暴れたように見える行動を取る度にバーナビーを説得する訳にもいかないし。
だからといって、今、彼の研究をやめたくもない。

どこかにいい駒いないかなー?

「すきなところ………」

まだ考えてたのか。
もうドレスに着替えて夜会だよ。大丈夫そう?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎ ギルドで働くおっとり回復役リィナは、 自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。 ……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!? 「転ばないで」 「可愛いって言うのは僕の役目」 「固定回復役だから。僕の」 優しいのに過保護。 仲間のはずなのに距離が近い。 しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。 鈍感で頑張り屋なリィナと、 策を捨てるほど恋に負けていくカイの、 コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕! 「遅いままでいい――置いていかないから。」

ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~

紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。 毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

処理中です...