病的に見える彼と病的に見えない僕の絵具

ユミグ

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してる最中に意識を失うなんて、しかも挿入もまだなのにそんな経験は初めてな僕は起きて驚愕した

そういうのは聞いた事があるけれど、実際あると唖然とするのだな



「おはよう」

「お゙は・・・んん゙」

「待ってて!」



水分不足なだけだからそんなに焦らなくても

と思ったが口に出すのが億劫だった

朝からバタバタした面白い日の幕開けだ





「なんだかポイントを待つというのは新鮮で落ち着かないね」

「そうだね、でも僕がソワソワするのはそれだけじゃないけどね」

「僕も同じだな」



ポイントが出来るまでは僕が持参したコーヒーを飲んで待つ

きっとコルトンも頭の中で何度も足らないモノはないか確認している事だろう



一階の中心から少しズレて現れたポイントは外で見るより薄付きだ、けれど少しずつ外にあるような濃い色になっていきつつもよく見るポイントになった



「これは、綺麗だな」

「ワイアットの感性が綺麗なんだと思うよ」



ふむ、そういうものか?

とりあえず作品を3つずつ運び入れレイアウトに時間をかける事にしてる為早速作品を持って飛ぶ





「は・・・・・凄い」

「兄様あにさまは一体どんな“快き”があったのだ?」



飛べばそこは立派な建物で無駄な柱や出入り口もないただ真っ白なキャンバスのような部屋だった

てっきり飲食店のような場所を借りたと思っていたからこんなにも彼の作品が映える場所だと思わなかった



2人して立ち尽くしていたが我に返りコルトンに声をかけ何度も飛んだ

魔力は最初から含まれているらしくいつものように魔力の消費がないのも素晴らしい仕組みになっている

確かに何度も荷物を運搬するのに魔力を吸い取られていたのではいくら人を雇っても足らないだろう



「もう少し入れてもいいと思うのだけれどどう思う?」

「え、あ、そうだね、もう少し埋めたほうが部屋を一つの作品に魅せられるね、なるべく急いで見繕ってくるね」



大分運び入れられレイアウトを考えていたところで、空きが目立つから名前をつけて分かる作品を持って来てもらう事になった



そういえば入口に兄様からの紙が届いていて間違いでもなくここの場所の貸し出しだという事が証明された



彼の言うように部屋を一つの作品に見せられるように配置していく







「久しぶりだ」

「っっ、驚かさないでくれ、心臓に悪い」

「すまぬ」



いきなり個展の場所に来訪した人物は昔学校で馴染みのある男だったローガン・リディース今僕が居る街の領地を所有する伯爵だ



「まさか、“快く”貸してくれた貴族って」

「私だな」

「そう・・・そうだったのか、いや、助かった有り難いが兄様に脅されているのか?」

「なに?」

「いや、こんなに長期間ただ貸し出してくれたのだろう?何か問題を抱えてそこを突いて脅されているのではないかと」

「ああ、いや何お前に会えるなら悪くないと思ってな」

「それだけか?」

「ああ」

「相変わらずいまいち分からぬ男だな・・・だが、助かったよ、お陰で僕が惚れた画家を埋もれさせずにすんだよ」

「まだ、分からんがな」

「まあ、そう言うな、レイアウトするのに時間がないんだ、作業しながらでもいいか?」

「ああ、俺は特権で先に見ておこう」

「そうしてくれ」



久しぶりに会ったローガン伯爵は相変わらず読めない人だ

見られながらもせっせと絵画を飾っていく



「ワイアット、とりあえずこの作品をっっ」



「失礼した、この場所を貸し出した者だ」

「あ、あの、この度は、その、か、感謝しております」



たどたどしく話すコルトンは初めて会った時を思い出して懐かしい気持ちになった



「ああ、時間がないと聞いている、気にしないで進めてくれ」

「は、はい、失礼します」



僕の前ではしなかったのに髪で顔を隠し出したコルトンに新しい発見があった



当たり前だが家でしか会っていなかったな

1度外に連れ出して物事にどのような反応を示すのか見てみるのも良いかもしれない



「コルトン飾ってみよう」

「あ、う、うん、でもだいぶ綺麗に飾られてる、ありがとうワイアット」

「どういたしまして」







「・・・ワイアット」

「なんだいローガン」

「この後食事でもしないか?」

「悪いけれど、時間がないんだ」

「私が繋げばいいだろう」

「ふむ、繋ぐ事を知らないのは僕だけか」

「なに?」

「いや、こちらの話だ、有り難い申し出だが遠慮しておくよ今日は忙しくしている」

「それは残念だ、他の日にそちらに会いに行っても構わないか?」

「僕はいいけれど、貴族が移動するのは申請の他にややこしい事もありそうだけれど」

「ああ、だがどうにかする」

「その時は家にでも来たらいい」

「そうか、子爵に聞いておく」

「そうしてくれ」

「私はここで、そうだ今度改めて作品を購入しよう」

「ありがとう」

「ああ、またな」



嵐のような人だな

でもそうだったな、学校でも周りの話の中心に居るような人だった



コルトンが持って来てくれた作品も飾れば綺麗に出来たと思う



「コルトン、外から見たらどう映るか見てみよう」

「ん」



外から見ればキラキラとして何があるか気になるようになっている気がする



こういうのは欲目で見ない人が居たらいいんだが

ローガンに残ってもらえば良かったか?



「ワイアット」

「何か気になる事があるかい?」

「ううん、そうじゃなくて・・・ただただありがとうって、こんな風に飾れる日が来る事も思う事もなかったのに・・・君が来てから僕の世界が変わって広がるのを感じるよ」

「そうか、それはコルトンにとっていい事かい?」

「・・・・・知らないままでいたほうがいい感情も・・・いや、今回分かったんだから対策するよ」



へにゃっと笑いながら言う彼はきっと言葉に出して整理出来た事があるのだろう



「中に入って最終確認をしよう」

「うん」



細かい調整を行い店を開いておけばあとは待つだけだ

せっかくだからこの街を探索してみたいけれど時間がないので諦めよう



ポイントが薄くなっていき終わりを知らせてくれる



「あとは待つのみだ」

「うん・・・帰ろう?」

「そうだな、帰ろう」



ポイントを使って飛べば随分とスッキリした1階に着く



「なんだか、物悲しい気持ちになる」

「じゃぁ悲しくないようにまたたくさんの作品を描くよ」

「気分が浮上したよ」

「ふふ、うん、お昼を買ってくるから待っていて」

「いや、僕も」

「ううん、休んでて、すぐだから」

「?分かった」



こんなに強引に物事を進めるコルトンは始めた、些細な事だけれど気になった

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