化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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熱くない腕の中。

違和感だらけの腕の中。

190cmもありそうな彼とは浮いてないと首にぎゅぅが出来ない。
包む力も違う。
彼はリクじゃないのに。
そんな事ばっかり考えてしまう。

「お、おい!」
「問題ありませんよ、逃がして下さったのを見ていたでしょう?」
「先に片付けだ」

口調はとても似ているけど、きっと彼には“素”の口調がある。

「見られないように出来ますか?」

不可視化をして、彼の後ろから腕を首に巻きつけて浮かんでおく。

「いんのか」
「ええ、私にくっついて下さってますよ」

しばらく片付けを見てた。
粗も見えないし、丁寧な仕事ぶりにきゅんきゅんした。

うん。

久しぶりにきゅんきゅんしてる、私。
リクの事は愛してる。
そして、リクの性格も好き。
そんなリクに似てる彼の性格は…

正直………

たまんねぇ。








片付けが終わり、獣人と別れた先はどこかの家?
誰の家だろう?
ホコリまみれで使ってない家。

「もう結構ですよ」

不可視化を解いてから、前に回って彼に抱き着く。

「そろそろ帰らなきゃ」
「許しませんね」

嬉しく思うけど、私の気持ちを伝えないと駄目だ。

「私ね?」
「はい」
「あなたに重ねて見てる伴侶が居るの。あなたにとても似ていて……運命ではなかったけれど、私が無理矢理掴んで唯一にした者と重ねて見てるの……だからね?あなたを愛してる訳でも、あなたに好意を抱いている訳でもないの」
「………元居た世界に伴侶が?」
「んーん、もう……どこにもいない、かなぁ?」
「そうでしたか………気に食わないですが、それであなたが離れられないのなら………今はそれでもいいですよ」
「ふふ、嘘つき」
「はい、嘘をついてでもあなたを手に入れたいと……今は強く思う」
「合格?」
「とても……好ましい方です。あなたが運命で良かった」

運命を選びたいと思う気持ちがあるのも好き。
私自身を見てくれるから。

「アレはなんですか」
「ん?」
「口論していたでしょう?」
「ふふ、あの人も運命だよ」
「そのような事が………戻ればアレが側に?」
「筆頭護衛だから」

私を抱く力が強くなる。
髪を撫でる手が止まって、頭を掴むような、離さないとしている手が好き。

「あの人にも重ねてる」
「………」
「私が大切に想う伴侶は三人」
「………」
「内緒だよ?」
「はい」
「生まれ変わりだって信じたい。生まれ変わって私に会いに……運命として、未練がましくしがみついて、何もかもを取り払った彼らが会いに来てくれたって思ってるの」
「………」
「でもね?もし…生まれ変わったのなら、今から見たい」
「はい…」
「だからね?あなたをあなたとして見れるまで、時間を重ねてもいい?抱きたい衝動も、囲いたい衝動も、無駄な人間を殺して私を側に起きたい衝動も……待っててくれないかな?」
「………」

ギリギリと歯が鳴って、私の体がミシミシと鳴るくらい痛く、強く抱き締めて…



私の頭にキスを落とした。



「ありがとう」
「………」
「身に着けても問題ない装飾は?」
「アンクレット」

私も強く彼の首に巻き付いていた腕を少し緩めて、手の中で創り出す。

「はい、天使様の寝室は人間には入れなくしてあるからこれで転移して?この飾りが転移、詳細に思い描く事が出来れば何処へでも行ける。この飾りは連絡出来るから、いつでも。それとこの飾りは匂い消し、仕事の邪魔になるでしょう?」
「無臭ですよ」
「ふふ」

やっぱり私が強くなってるんだ。
獣人でも嗅ぎ取れない匂いを私は嗅げる。
多分、匂い消しで無臭になる。という薬草も飲み薬も私には効かない。

「さっきの獣人と、淫魔と性行為した匂い。血の匂いと、錆びた匂い」
「………」
「ふふ、赤のリボンはドブにでも落としたの?」
「っっ………」
「あ、宝石」
「何故…」
「リボン買いたいの。あれらは全部、私にってどこかから…ふふ、盗んできたの?」
「………ちくしょう」
「ふふ」

見破られて悔しいのか、私に会うまで運命がどんなか分からないのにリボンを見つける為に翻弄した事がバレた恥ずかしさなのかは分からない。
宝石と交換してリボンを手に入れた私の髪を徐ろに纏めて…


ザクッッ……


切り落としたのは彼。


「せめてこれくらいでないと割に合いませんでしたよ」
「ふふ」

彼の………

「名前教えて?」
「っっ………はぁ……」

ふふ、偽名を言う時は口馴染みになるまで声に出さないと駄目だよ?

「イセト・ダックワーズと申します」
「おやすみなさい」

天使様の寝室に戻って髪の毛の長さを戻して寝室の出入りを禁止した、人間だけを。彼を省いて。
匂いを………

もう少しだけ彼の匂いを堪能してから消そう。



*********************************



寝室から部屋に入るとまだ寝る時間じゃないのか二人がいた。
とっても気まずい顔で。

「バッグイグナ国王、シュワール・マクマートリーって人に会って精霊とライと4人で遊んでたよー、バーナビーに手紙出すって言ってたー」
「ええ?伝えてくるね」
「うん、あ、そうだ。“黄金の光が降り注ぐ時黒き実りはなくなり緑が生えた”っていう意味知ってる?」
「確か魔獣を誘き寄せる黒き花がなくなったとか、そういう話だったと思う」
「分かったー、いってらっしゃい」

ソファに座って温かい紅茶を口に含む。
うん、そんな花はないな!
魔獣を誘き寄せるなんて花はない!
リヴァの花もそんな作用はないし、人間が作った花なら分かるけど。
ない!そんなものは!
精霊にあとで聞いてみよー。

「ヒナノ」
「うん?」
「悪かった」
「なにが?」
「……なにがだ?」

馬鹿だ。
謝れとでも言われたんだろうなぁ。
なんで謝ってるか分かってない。

………

馬鹿だ!!!

「寝るからこれ、リンジーに渡しておいて?」
「なんだ?石か?」
「寝室の立ち入りは禁止しました」
「………」
「これで呼んで?魔力を流せば分かるようになってる」
「どっから持って来た」
「内緒」
「…」

寝室に戻ってから精霊、チビたちが好きな、魔力と砂糖が籠もってる金平糖を窓からばら撒いて…

「ふぅー………黒い豆が好きな精霊はだーれだ」

そのうち声をかけてくるでしょ。
1人掛けのソファとテーブルを置いて、あったかいカフェオレとお菓子、それと本を出してリラックスする。

「なんだか予想外の事ばっかり」

いつだって私には分からない事だらけ。
でも、そんな人生が少しだけ……

「ふふ」

楽しくなってる私がいた。
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