化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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パチッと目を開けたアルフがキスしようと、というか体をまさぐり始めたので吹っ飛ばした。

「なにすんだ?」
「おはよう、さようなら」
「どこ行くんだよ」
「寝室で本読んでる」
「嘘つくんじゃねぇよ」

嘘だよー。
どこ行こうかなぁ?あ、雪の温泉にでも行こうかな。

「アルフも力でもつけたらー?豆まで消えちゃったー」
「俺は強ぇ」
「私より弱いくせにー、ぷぷっ」
「訓練すんぞ!この部屋は立ち入り禁止だ!」

単純で良かったよ。
廊下に待機してる護衛達を引き連れて訓練に出たアルフはちゃっかり出入り禁止を通達してる。
まぁ、長く眠る事もする私が出てこないのも、食事が必要ない私が何も求めないのも自然だろう。
そういうあれこれもリンジーが上手くしてくれたからこその休暇期間だ。

『こちらに』

今すぐに!
イセトから久しぶりに声をかけられて寝室に向かうと、柔らかな笑みと……くんくん。

「溜まってる?」
「お相手して下さいますか?」
「発散すればいいのに」

どうやらエロエロを自主的に禁止しているみたいで精力が凄くて美味しそう……
じゅるっ……

「出来ませんよ」
「嘘つき」
「………何故出来るんでしょう?」

私を膝の上に置いて頭にキスを落とすイセトは心底不思議そう。
竜人は運命が現れても、他の人と性行為は出来るけど、獣人は出来ない。
強烈な媚薬を使わない限り、勃たないのだ。

「私も不思議」

世界が新しくなって、異なる事ばかりだ。

「しておりませんよ」
「知ってる」
「匂いはヒナノがくれたアンクレットで消しておりますよ」
「したくないって思ってくれてるって信じてるだけ」
「………はぁー………」
「ふふ」

する気にもなれないって思ってくれてるかな?

「でも仕事に影響出ちゃう」
「そのうちするかもしれませんね」
「そしたら教えて?どんな事したのか」
「くすくす、大層な趣味ですね」
「イセトがどんな風に、つまらなく手酷く抱いたのか聞いたら嬉しいと思うから」
「………まだ伴侶になれないんですか」
「ふふ」

よく分からないんだ。
最低だよね。
イセトを見てるのか、リクを見てるのか分からなくなる。

「今日からおやすみなの」
「寝室にずっと?」
「んーん、精霊達と遊んだり、美味しい物見つけたり、好きな場所見つけて本読んだりする予定」
「では旅行に行きましょう」
「楽しみ」
「仕事を終わらせておきます」
「はっ!見たい!見てもいい?」
「………」

どうやら悩ましい仕事内容みたいだ。
イセトの為を思うと悪魔の出入りがある世界の方が良かったな。

「途中です」
「うん」
「私には見えるように出来ますか?」
「うん!今した!精霊も見えないよ!」
「くすっ、よく出来ました」
「ふふ」

イセトがアンクレットの飾りにほんの僅かな魔力を流したらどこかの家に着いた。
私は離れて見てる。
ふん?
どうやら侵入中らしい、いやん♡裸になった♡
執事かな?
はう…!とっても似合う!
空いた時間に会いに来てくれたんだ。
うへへー。
私の全てを認識しないようにしてあるから、声も紅茶を飲んでても、例えいびきをかいてても他者には分からないから…

「イセトかっこいい…!」
「…」

声を出しても問題ない。
“1人”で居るこの部屋でも意識を抜かず、私を無視して居ない者としている姿は……

「かあっっっこいぃぃぃぃっっ…!!!」
「…」

イセトの匂いを遮断しておいて良かった…!
淫魔的に襲いそうだよ!
匂いがなくても襲いそうだ!
部屋から出て行くイセトが扉を閉めたら転移して後ろに着いていく。
おお…カツカツと足音を立てている!
イセトは足音しないのに!
凄い!凄い!
お、男が歩いてきた。

「デューイ、こちらが3日後の詳細です」
「分かりました。メイドに汚れが目立つと伝えておきなさい」
「かしこまりました」
「はう…!かっこいい!」
「…」

これで私の声も聞こえないと分かっただろう。
安心して!イセトがどんなに痛めつけられても、危機が訪れようとも手は貸さないよ!
仕事のプライドあるもんね!
にしても、長期の仕事なんだ。
一体いつから潜り込んでるんだろ?
数年は居るような気がする。
またカツカツと足音を立てて歩き出すイセト改めデューイ執事は雑用をこなしながら、的確に指示を出して働いているのだ。
あ、ご飯の時間らしい。
私も浮きながらご飯食べよー。

「…」

あ、コーヒーとフルーツタルトにしようかな。

わ……イセト食べるの早い……
もう終わっちゃった…
いいや、食べながら着いて行こう。

「旦那様、失礼致します」

中から返事がないのは普通なのか、扉を開けて入っていく。

「領地から届いた物、招待状が2件、催促が1件ございます」
「ああ、ありがとう」
「えー?誰だっけ?この人……うーん…あ!マニング子爵だ、もぐもぐ」

マニング子爵は映えないというか、どこにでも居る貴族だったけど、長期で仕事するような事柄があるのかな?

「しばらく領地に帰る」
「すぐに手配を」
「いや、お前も着いて来てくれ」
「かしこまりました」
「すまないな」
「いえ、旦那様のお力になれるのでしたら、どのような要件でも喜んで…」
「はあぁぁぁ…!そう言いながら後ろからナイフで首を掻っ切ってくれないかなあ!?絶対かっこいいよぉ!」
「…お仕え致します」
「助かるよ」

はう…!私の言葉に興奮してくれたの!?
喋るのやめておくね!興奮は目でも分かるからね!
しばらくマニング子爵の仕事を手伝った後、屋敷の管理と指示をしてさっきの部屋に戻った。
あれ?ご飯食べないのかな?
あ、飾りに魔力流してる。
イセトが転移したから、転移先まで着いて行くと、この間の獣人が居た。

「お、まえ…なぁ?」

咄嗟なのか、よく分からないけど、獣人がナイフを持ってイセトに斬りかかろうとしてたみたいだ。

「そろそろ慣れてくれませんか」
「魔力がなさすぎんだよ、精霊の力っつーのは凄いねー」
「精霊じゃないよー私だよー」

イセトは神じゃないから使い方を“理解”出来ない。だから少量の魔力を飾りに流して使ってもらってるけど、本当はそれも必要ないんだよね。転移は当然、魔力ではなく付与している力の使用なので転移先に流れるはずの魔力がないのだ。

「領地に行きます」
「やっとかよ」
「そこで終わらせますので準備を」
「へいへい」
「では…」
「ちょーっと、手伝ってくんねぇ?」
「代金は」
「弾むぜ?かなり面倒な上に早急、だとよ」
「中々寝かせてくれませんね」
「終わったらベッドに行くか?」
「いやん♡」
「………結構です」
「えー!?」
「なんだよ、つれねぇなぁ?ま、運命が居たんじゃ仕方ねぇか」
「いいよぉ!運命がいいって言ってるよぉ!」
「………行きますよ」
「へいへい」
「えー!?えー!?えええええー!!!イセトのベッドシーンがあああああっっ!」
「…」

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