化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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熱は下がり、神襲来、バーナビーの憂いに反応した神がリヴァを倒したという事が確たる証拠として…まぁ、アレスが来たら誰も疑問には思わないだろう。
ちなみにバーナビーは私が指示した事を知ってたみたい。
なんでだろう?クロノスが言ってくれたかな? 
うん、なんにせよ無事に終わった各国襲来はバーナビーを祀り上げる国も出てきてちょこーっと忙しくさせちゃったけど、概ね大成功に終わりました。

「おお?おっさんありがとな!」
「花は踏むな、俺のモンだ」
「分かった!」

一体なんの事を言っているのか分からないアルフの横には、軽々と私の身長を越していたコーニーが居る。

「天使様!こ、此度は」
「いつも通りでいいよー、私もじーさんって呼んでいい?」
「も、もちろんでございまする!」
「私の名前はヒナノだよー」
「ヒナノ!」
「はい、じーさん」

コーニーがぶちぶちと引き抜いた花を育てているじーさんは貴族の出でもなく、本人曰く一般人らしい。

「こらあああああ!そんな手で花を触っちゃいかん!」
「あん?どうすんだ?」
「貸せ!わしがやる!」

一般人には見えないよねぇ。

「この庭は素晴らしい…こよないな…」

それなら良かったです。
じーさんには土のの加護がついてるからいい人なんだと分かる。
いや、なにも分からないけどね?土のや、仲のいい精霊達が好きな人間って基本好ましい人達ばっかりなんだよねぇ。

「じーさん、この種なの」
「難しいな………」

そうだろうな。
アルフから貰った種は、今生えてる花とは喧嘩しちゃう…土の中で根が邪魔し合ってしまうんだ。

「こっちに植えてみるか……」
「じゃぁ、そうする」
「むむむ………しかしこっちの方が………」

むむむ……と悩み出したじーさんは長くなりそうだったから大木に腰を下ろした。
コーニーの両親はガゼボで見ているし、コーニーはアルフと遊んで楽しそう。
種の相談も兼ねてコーニーとじーさんと遊びたいとバーナビーにお願いしていた事が、今日実現しました。
庭を広げればいいんだろうけど、なんとなく今の庭が好きで変えたくないんだよね。

「今日もいい月だね」

新緑の葉に挨拶する私は………わた……し…は……

「どうした?」
「本能人間め!勝負だ!」
「……大丈夫だな」

アルフが気にかけてくれる事が増えた。
熱を出してからはこうして体調を心配してくれる。

いやいや、そんなことより…!
どうしよう………
気付いてしまった…!

アルフが私には刺さらない男だという事を…!

バーナビーやルーシャンを見て男前だねぇ…格好いいねぇ…なんて無意識に思うし、じーさんの悩んでる姿も格好いいと思うのだ!

だがしかし!
アルフを格好いいと思った事がない!
い、いや、厳密にはあるんだけど、こう、男として?抱けるか抱けないかと言われれば……
抱けない………
ど、どうしたら………
せっかくアダムが生まれ変わってまで会いに来てくれているのに…!
くっ…!

「なにしてんだ?」

項垂れてる私の元には影が1つ。

「見えないようにしてる?」
「してる。今、人間の側にいるって聞いたからなー」

よっ、と大木に寄りかかるのは時の管理者。
悪魔と遊んでたと思ってたんだけど…
そしてなぜかアルフが、時のがいる場所を睨んで…なんでか私も睨まれた………

本能め。

「もういいのかよ」
「うん」
「………気持ち悪いな」

そうだろうよ。
時のと会ったり、悪魔に会いに行くと側にいた、時のからすれば今の私は違和感でしかない。
とってもトゲトゲしてたもんね。

「なあんも変わってねぇよ」
「そう」

相変わらず時の中では未来が分かれるような事にはなってないらしい。
そんな事をわざわざ言いに来たのか、鬱陶しそうな髪を左にかき分けながら伝える時の。

「あんた笑ってた」
「そう」

未来の私は笑ってるのか。

「音のない世界だから詳細までは分かんねぇよ」
「うん」

時の空間にあるのは、未来と過去の映像が無数に広がっている。
それだけ。

「屍になる前になんとかしたら?」
「なんでそんな事を言いに来たのよ」
「あんたが心配だからか?」
「は?」

友達でもない、知人というには物足りないような関係性なのに。

「欠けたら駄目なんだろ」
「そうね」
「無理矢理抱かれとけ」
「どこまで見てんのよ」
「暇だからなー」
「遊びたいなら遊んできなさいよ」
「俺、多分死ぬ」
「…」
「好きな奴が出来たんだ」
「ええ!?」

悪魔と遊んで退屈そうに拷問を見続けた奴が?
適当に欲を吐き出してはなんとなーく生きて、寝てた奴が?
愛すらめんどー…なんて思ってた奴が!?

「これから出会うんだよ」
「………嫌な予感しかしないんだけど?」
「あいつの笑顔が見たいと思ったんだよ」
「…」
「心配なら今殺してもいいぜ?」

目的が出来た時の管理者とは厄介な存在になる。
簡単に時を戻して、好きな道筋に辿り着くまで選択出来るからだ。
今殺すか……見届けるか。

「好きにしなさい」
「だろうな」

私は全てを知らない私でなくなった。
なにかが起こるのなら時のが愛する者の魂を消滅させてしまえばいい。
私なら出来る。

出来ないのなら無理矢理掴むまでだ。

「んで?俺のおとーさんと同じ職に就くのはどうしたらいいんだ?」

時のの視線の先には………

「えええええええええ!?」

リンジーとベイルの子どもなの!?
子だくさんだよね!?そんな未来だよね!?誰!?一体誰なの!?
生まれてすらいない子が気になって仕方ないよ!?

「で?どうすんだ?」
「ええ?………バーナビーに、この国の王に話を通しておく」
「さんきゅー」

時のが消えて呆然としてる私に近付いてくるのは………

「なんか居たな?」
「本能野郎」
「誰だよ」
「え…誰だろう?」
「あん?」

時のの名前ってなんだっけ?

「ヒナ……天使様!」
「ヒナノだよー、名前教えたでしょ?」
「ヒナノ!遊ぶだろ?遊ぶよな?」
「遊ぶよー」

ライがいない事に残念がってたコーニーはすっかり元気ハツラツ。

「なにして遊ぶ?おいかけっこか?」
「おいかけっこだねぇ」
「おっさん!ヒナノも遊ぶぞ!いいか?」
「いいぞ」

アルフとコーニーとおいかけっこして遊んで、一緒にお風呂に入ってご飯を食べてばいばいした。
また遊ぼうね。って約束して。 
ちなみにじーさんは植える場所を決めたらしく、土をぽんぽんしてたから安心だ。





「リンジー、バーナビーに用がある」
「え?……すぐに取り付けるね」

うん、そんなに重大な事でも………リンジーにとっては重大かも?
コーニーを見送ったらすぐにお願いした私に異変?を感じたリンジーはベッドに入りそうなバーナビーたちを………うん、すまんな。
寝室から部屋へと移動して待っててくれた。




「なにをしたらいい」

部屋に入ったらすぐに行動しようとするバーナビーには感謝がいっぱいなんだけど…
な、なんて言おうかなぁ………
リンジーもベイルも居るし、護衛や側仕えは退散してくれたけど、そんなに大ごとではないのだよ…

「えーと……」
「うん?」
「えーと……」
「言いにくいのか?」
「うーんと……えーと……私の知り合い?が働きたいって、側仕えとして働きたいって言ってるんだけど……」
「か、神様ですか?」

どうして敬語なんだいバーナビーよ。

「違うんだけど…えーと…知り合い?」
「害意はないのか?」
「今のところ?」
「ヒナノに仕えたいのか?」
「それはない」
「言い淀むような相手なのか?」

なんて言ったらいいんだろう!?
人間じゃないけど、リンジーたちの子どもに一目惚れ?して、働きに来るなんて……
言えないな!?

「イヴ」

時のが私の背後に現れた。
振り向くとニヤついた顔してる。

「うざ」
「だろうなぁ」
「変な奴だ」

本能野郎は相変わらずだ。

「働きたいんだ、駄目か?」
「何故か聞いても?」
「愛する奴がいるからだ」
「さむっ」
「だろうなぁ」

時のの口からそんな台詞が………
なんか気持ち悪いな!?

「ヒナノの願いだ、構わない」
「ありがとうバーナビー……ちなみになんの遠慮もいらないからビシバシ働かせて」
「ふっ、分かった。身分はこちらで用意しておこう」

バーナビーがそう言った瞬間、ニヤついた顔が益々ニヤついて………

「私を利用したわね!?」
「だあってそれしかねぇじゃん」
「知らないわよ!」
「助かったぜ、イヴ…ああ、ヒナノちゃんか?」
「っっ~~、殺す!絶対に殺してやる!」
「楽しみだなぁ?その時は一緒に死なせてくれ」
「注文が多いわね!?………どこで名前知ったのよ」
「……やべ」
「待ちなさい!」

逃げようとする時のにジャラジャラと悪趣味な鎖をつけてこの部屋から出れないようにした。

「あー……悪魔がなぁ?」
「…」
「遊んでる…かもしれねぇなぁ?」
「この世界は立ち入り禁止だって…!」
「知らねぇよ」
「っっ~~、もう!なんで大人しくしていられないのよ!」
「外してくれよ」
「バーナビー!」
「はい!」
「こいつの教育にはリンジー……いや?ベイルにしてくれる?」
「わ、分かった」
「ぼ、僕が!?」

今のうちに仲良くしておいた方が…


「よろしくな、おとーさん」
「「「「は?」」」」


最初からバラすスタイルね!?
その方が気楽でいいよね!?
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