79 / 135
77
しおりを挟む熱は下がり、神襲来、バーナビーの憂いに反応した神がリヴァを倒したという事が確たる証拠として…まぁ、アレスが来たら誰も疑問には思わないだろう。
ちなみにバーナビーは私が指示した事を知ってたみたい。
なんでだろう?クロノスが言ってくれたかな?
うん、なんにせよ無事に終わった各国襲来はバーナビーを祀り上げる国も出てきてちょこーっと忙しくさせちゃったけど、概ね大成功に終わりました。
「おお?おっさんありがとな!」
「花は踏むな、俺のモンだ」
「分かった!」
一体なんの事を言っているのか分からないアルフの横には、軽々と私の身長を越していたコーニーが居る。
「天使様!こ、此度は」
「いつも通りでいいよー、私もじーさんって呼んでいい?」
「も、もちろんでございまする!」
「私の名前はヒナノだよー」
「ヒナノ!」
「はい、じーさん」
コーニーがぶちぶちと引き抜いた花を育てているじーさんは貴族の出でもなく、本人曰く一般人らしい。
「こらあああああ!そんな手で花を触っちゃいかん!」
「あん?どうすんだ?」
「貸せ!わしがやる!」
一般人には見えないよねぇ。
「この庭は素晴らしい…こよないな…」
それなら良かったです。
じーさんには土のの加護がついてるからいい人なんだと分かる。
いや、なにも分からないけどね?土のや、仲のいい精霊達が好きな人間って基本好ましい人達ばっかりなんだよねぇ。
「じーさん、この種なの」
「難しいな………」
そうだろうな。
アルフから貰った種は、今生えてる花とは喧嘩しちゃう…土の中で根が邪魔し合ってしまうんだ。
「こっちに植えてみるか……」
「じゃぁ、そうする」
「むむむ………しかしこっちの方が………」
むむむ……と悩み出したじーさんは長くなりそうだったから大木に腰を下ろした。
コーニーの両親はガゼボで見ているし、コーニーはアルフと遊んで楽しそう。
種の相談も兼ねてコーニーとじーさんと遊びたいとバーナビーにお願いしていた事が、今日実現しました。
庭を広げればいいんだろうけど、なんとなく今の庭が好きで変えたくないんだよね。
「今日もいい月だね」
新緑の葉に挨拶する私は………わた……し…は……
「どうした?」
「本能人間め!勝負だ!」
「……大丈夫だな」
アルフが気にかけてくれる事が増えた。
熱を出してからはこうして体調を心配してくれる。
いやいや、そんなことより…!
どうしよう………
気付いてしまった…!
アルフが私には刺さらない男だという事を…!
バーナビーやルーシャンを見て男前だねぇ…格好いいねぇ…なんて無意識に思うし、じーさんの悩んでる姿も格好いいと思うのだ!
だがしかし!
アルフを格好いいと思った事がない!
い、いや、厳密にはあるんだけど、こう、男として?抱けるか抱けないかと言われれば……
抱けない………
ど、どうしたら………
せっかくアダムが生まれ変わってまで会いに来てくれているのに…!
くっ…!
「なにしてんだ?」
項垂れてる私の元には影が1つ。
「見えないようにしてる?」
「してる。今、人間の側にいるって聞いたからなー」
よっ、と大木に寄りかかるのは時の管理者。
悪魔と遊んでたと思ってたんだけど…
そしてなぜかアルフが、時のがいる場所を睨んで…なんでか私も睨まれた………
本能め。
「もういいのかよ」
「うん」
「………気持ち悪いな」
そうだろうよ。
時のと会ったり、悪魔に会いに行くと側にいた、時のからすれば今の私は違和感でしかない。
とってもトゲトゲしてたもんね。
「なあんも変わってねぇよ」
「そう」
相変わらず時の中では未来が分かれるような事にはなってないらしい。
そんな事をわざわざ言いに来たのか、鬱陶しそうな髪を左にかき分けながら伝える時の。
「あんた笑ってた」
「そう」
未来の私は笑ってるのか。
「音のない世界だから詳細までは分かんねぇよ」
「うん」
時の空間にあるのは、未来と過去の映像が無数に広がっている。
それだけ。
「屍になる前になんとかしたら?」
「なんでそんな事を言いに来たのよ」
「あんたが心配だからか?」
「は?」
友達でもない、知人というには物足りないような関係性なのに。
「欠けたら駄目なんだろ」
「そうね」
「無理矢理抱かれとけ」
「どこまで見てんのよ」
「暇だからなー」
「遊びたいなら遊んできなさいよ」
「俺、多分死ぬ」
「…」
「好きな奴が出来たんだ」
「ええ!?」
悪魔と遊んで退屈そうに拷問を見続けた奴が?
適当に欲を吐き出してはなんとなーく生きて、寝てた奴が?
愛すらめんどー…なんて思ってた奴が!?
「これから出会うんだよ」
「………嫌な予感しかしないんだけど?」
「あいつの笑顔が見たいと思ったんだよ」
「…」
「心配なら今殺してもいいぜ?」
目的が出来た時の管理者とは厄介な存在になる。
簡単に時を戻して、好きな道筋に辿り着くまで選択出来るからだ。
今殺すか……見届けるか。
「好きにしなさい」
「だろうな」
私は全てを知らない私でなくなった。
なにかが起こるのなら時のが愛する者の魂を消滅させてしまえばいい。
私なら出来る。
出来ないのなら無理矢理掴むまでだ。
「んで?俺のおとーさんと同じ職に就くのはどうしたらいいんだ?」
時のの視線の先には………
「えええええええええ!?」
リンジーとベイルの子どもなの!?
子だくさんだよね!?そんな未来だよね!?誰!?一体誰なの!?
生まれてすらいない子が気になって仕方ないよ!?
「で?どうすんだ?」
「ええ?………バーナビーに、この国の王に話を通しておく」
「さんきゅー」
時のが消えて呆然としてる私に近付いてくるのは………
「なんか居たな?」
「本能野郎」
「誰だよ」
「え…誰だろう?」
「あん?」
時のの名前ってなんだっけ?
「ヒナ……天使様!」
「ヒナノだよー、名前教えたでしょ?」
「ヒナノ!遊ぶだろ?遊ぶよな?」
「遊ぶよー」
ライがいない事に残念がってたコーニーはすっかり元気ハツラツ。
「なにして遊ぶ?おいかけっこか?」
「おいかけっこだねぇ」
「おっさん!ヒナノも遊ぶぞ!いいか?」
「いいぞ」
アルフとコーニーとおいかけっこして遊んで、一緒にお風呂に入ってご飯を食べてばいばいした。
また遊ぼうね。って約束して。
ちなみにじーさんは植える場所を決めたらしく、土をぽんぽんしてたから安心だ。
「リンジー、バーナビーに用がある」
「え?……すぐに取り付けるね」
うん、そんなに重大な事でも………リンジーにとっては重大かも?
コーニーを見送ったらすぐにお願いした私に異変?を感じたリンジーはベッドに入りそうなバーナビーたちを………うん、すまんな。
寝室から部屋へと移動して待っててくれた。
「なにをしたらいい」
部屋に入ったらすぐに行動しようとするバーナビーには感謝がいっぱいなんだけど…
な、なんて言おうかなぁ………
リンジーもベイルも居るし、護衛や側仕えは退散してくれたけど、そんなに大ごとではないのだよ…
「えーと……」
「うん?」
「えーと……」
「言いにくいのか?」
「うーんと……えーと……私の知り合い?が働きたいって、側仕えとして働きたいって言ってるんだけど……」
「か、神様ですか?」
どうして敬語なんだいバーナビーよ。
「違うんだけど…えーと…知り合い?」
「害意はないのか?」
「今のところ?」
「ヒナノに仕えたいのか?」
「それはない」
「言い淀むような相手なのか?」
なんて言ったらいいんだろう!?
人間じゃないけど、リンジーたちの子どもに一目惚れ?して、働きに来るなんて……
言えないな!?
「イヴ」
時のが私の背後に現れた。
振り向くとニヤついた顔してる。
「うざ」
「だろうなぁ」
「変な奴だ」
本能野郎は相変わらずだ。
「働きたいんだ、駄目か?」
「何故か聞いても?」
「愛する奴がいるからだ」
「さむっ」
「だろうなぁ」
時のの口からそんな台詞が………
なんか気持ち悪いな!?
「ヒナノの願いだ、構わない」
「ありがとうバーナビー……ちなみになんの遠慮もいらないからビシバシ働かせて」
「ふっ、分かった。身分はこちらで用意しておこう」
バーナビーがそう言った瞬間、ニヤついた顔が益々ニヤついて………
「私を利用したわね!?」
「だあってそれしかねぇじゃん」
「知らないわよ!」
「助かったぜ、イヴ…ああ、ヒナノちゃんか?」
「っっ~~、殺す!絶対に殺してやる!」
「楽しみだなぁ?その時は一緒に死なせてくれ」
「注文が多いわね!?………どこで名前知ったのよ」
「……やべ」
「待ちなさい!」
逃げようとする時のにジャラジャラと悪趣味な鎖をつけてこの部屋から出れないようにした。
「あー……悪魔がなぁ?」
「…」
「遊んでる…かもしれねぇなぁ?」
「この世界は立ち入り禁止だって…!」
「知らねぇよ」
「っっ~~、もう!なんで大人しくしていられないのよ!」
「外してくれよ」
「バーナビー!」
「はい!」
「こいつの教育にはリンジー……いや?ベイルにしてくれる?」
「わ、分かった」
「ぼ、僕が!?」
今のうちに仲良くしておいた方が…
「よろしくな、おとーさん」
「「「「は?」」」」
最初からバラすスタイルね!?
その方が気楽でいいよね!?
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~
世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。
──え……この方、誰?
相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。
けれど私は、自分の名前すら思い出せない。
訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。
「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」
……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!?
しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。
もしかして、そのせいで私は命を狙われている?
公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。
全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね!
※本作品はR18表現があります、ご注意ください。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる