99 / 135
97
しおりを挟むじーさんの名前はメイスフィールドというらしい。
「城で働かないか?」
「む……」
「あ、モレシどうかな?ってじーさんに……聞いてたよ」
「ああ、それはいい」
モレシをたくさん貰ったから種子生産してくれたら助かるなぁって。
バーナビーはじーさんが好きになったらしく、あれこれと質問しつつも手の内に入れようと誘導してる。
無垢な男ではなくなったじーさんは捻くれ者になっていた。だがしかし、思惑なんかに揉まれてこなかったんだろう。コロコロコロコロ転がされてるじーさんは基本、チョロいのだ。
「ヒナノはまた脅すのか!」
「モレシあんまりない種だよねー」
「む……見てみない事には分からん」
「今度案内する」
バーナビー直々に案内するらしい。
なにを?
「熱あんのか」
「ない」
どうやら熱が出てるかも?なんて勘違いしてる斜め乙女野郎。
「熱あんだろ」
「ない」
「嘘つくんじゃねぇよ」
「誤魔化す事あっても駄目って言われた事に嘘つかない」
「……熱あんぞ」
「ないって言ってるだろ!?阿呆!」
アルフが熱だ熱だと騒ぐからみんながこっちを見てくるじゃん。
ないってば!
「熱あるんじゃない?顔赤いよ?大丈夫?」
「ないって言ってる!リンジーの気のせいだもん!」
赤くないだろ!?どこがだよ!
「おい、首が」
「ひゃぁぁぁぁぁっっ…!」
「「「「「…」」」」」「あん?」
い、いきなり首を触るんじゃないよ!
思わず天井端に逃げちゃったじゃん!ニウは幸せそうに寝てるね!可愛いね!
「あー…そろそろ公爵が戻って」
「そうなんだね!おかえり公爵!」
「「「「「…」」」」」
「おい、やっぱり熱だろ」
「ねぇよ!」
公爵が戻って来るからなにかな!?
一体なにを言おうとしてるのかな!?バーナビーは早とちりもいいとこだね!
「そろそろ眠る時間だ」
「じーさん送ってくるね!」
じーさんの腕を掴んで部屋の中まで送ると変な事を言う。
「ニウを預かる」
「なにを言ってるんだろうか?全然大丈夫、今日も明日も大丈夫」
「…」
「おやすみなさい!」
ばびゅん!と帰るとルーシャンがアルフに話…なんの話してんの!?
「なななな、なにしてるの!?なに話してるの!?」
「あん?警護の話だ」
「「「「…」」」」
私の馬鹿ぁ!!!
「寝る!」
「俺の家で寝てろ」
「にゃん!?」
「「「「…」」」」
「あ?」
なにを言ってるんだろうか!?この斜め本能乙女野郎は!
「お前どうした?」
なんで浮くんだよ!?天井端に居たいだけなのに!
「おい」
「な、なに」
「変だ」
「違う」
「変だろ、熱以外でもなんかあんのか?寝てねぇと変に」
「違うって言ってる!」
「なんで逃げんだよ、こっち来い」
「…」
「………お前どうした?」
来いっつったのはお前だろ!?来たら来たで変人呼ばわりするのやめてくれるかな!?
「おい」
「ひうっ……」
「あん?」
心配そうに見つめられる。
安心してたはずの手が私の首や頬に触れる。
今更どう素直になったらいいか分からない私は硬直して動けない。
イセトに言われた。
私の鈍すぎる心を見透かすように言われた言葉。
『否定し続けていたせいで、今更素直になるのを恥ずかしがってないで。認めて向き合おうね?』
なんて言われた瞬間、自分自身でも分かるくらい顔が真っ赤になってしまった私の頭を撫でて仕事に行ったイセトの言葉を反復するように頭に残り続けた。
ルーシャンに言われた“キスは出来るか?”という問いに“嫌だ”と思った。
イセトの言葉は自覚してなかった心を曝け出すような、恥ずかしさがいっぱいになってアルフの元に行けなかった。
アルフが抱っこしてくれる手も、体も、声も、熱も……
気付いてしまった心で接するのは酷く羞恥するような事だった。
「どうした?なにがあった」
伴侶として、性的な目で見てしまう私の心臓は酷く煩い。
拒絶から始まった私たちは、徐々に近付き、今では安心しかない腕の中。
これがアルフの当たり前だと、アルフは強いからこんな事を思えるんだと、勘違いし、無理に理由をつけて納得してた私は………
「おい」
「さ、触らないでよ!」
「ああ?」
「なん、さわ、なに!?」
「お前がなんだよ」
「しゃ、喋るな!」
「ああ?」
今まではアルフの前で女を出していなかった。なにもかもを隠し、最初は騙していた性格でいて、その後は強い私でいてしまったから、今更どんな態度でいればいいのか……
ほんと、無理。
心臓壊れそう。
「あー…戻るか」
「そうだな」
「アルフ送って行きなよ!」
「危ねぇのか?」
「し、知らない!バーナビーに万が一でもあったらどうすんの!?」
「そうだな、俺の家に居ろ。お前変だ」
変じゃない!
「ヒナノ」
「なにかな?ルーシャンと話す事あるかな?ないよね?なにかな?」
「おめでとう」
「っっ~~、ば、馬鹿じゃないの!?」
「あん?」
頭がぐるぐるしてきてパニックになっています。
「家行かない!」
「あ゙?」
「天界の家行く!作らなきゃいけないのあるから!」
「おい」
ニウと天界の家にばびゅん!と戻った私はしばらく………
「う…おおおおおおぉぉぉぉ!気持ち悪いぃぃぃぃぃ!!!」
自己嫌悪に陥っておりました。
イセトにリボンを外せるようにしておいて。とお願いされていたのを、ぐるぐるした頭で思い出して作り出した。
「おい」
「なに」
「熱はもういいのか」
あれからバーナビーを律儀に送り届けたらしい乙女は天界の家に来て、私の顔を確認して…そんなに顔を近付けるんじゃねぇよ。
うん、えーと…ジロジロジロジロ確認した後、勝手知ってる足取りでお風呂に入りに行き、戻って来たら用意しておいたご飯を食べて、用意しておいたベッドで横になってる。
クロノスはニウと一緒にさっさと寝た。
「ない」
「変になったら言え」
変っていうな。私の残り少ない乙女心が傷付いたらどうすんだ。
ピアスも作らなきゃだなぁ。
あれはリボンと違い、外してしまえば壊れてしまうんだ。
簡単に付け外し出来ない物でもあり、時間がかかる物でもある。
うーん。
しばらく作業に集中だな。
「おい」
「寝ろ、乙女野郎」
「なにしてんだ」
「リボン作り直してる、太ももにあるリボン」
「ああ」
………
なんで納得………そうか、お風呂やら下着姿を見られてたのか。
「また熱出てんぞ」
「っっ~~!寝ろ!本能乙女野郎!!!」
0
あなたにおすすめの小説
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~
世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。
──え……この方、誰?
相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。
けれど私は、自分の名前すら思い出せない。
訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。
「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」
……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!?
しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。
もしかして、そのせいで私は命を狙われている?
公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。
全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね!
※本作品はR18表現があります、ご注意ください。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
黒騎士団の娼婦
星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる