化け物天使は常識知らず!

ユミグ

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じーさんの名前はメイスフィールドというらしい。

「城で働かないか?」
「む……」
「あ、モレシどうかな?ってじーさんに……聞いてたよ」
「ああ、それはいい」

モレシをたくさん貰ったから種子生産してくれたら助かるなぁって。
バーナビーはじーさんが好きになったらしく、あれこれと質問しつつも手の内に入れようと誘導してる。
無垢な男ではなくなったじーさんは捻くれ者になっていた。だがしかし、思惑なんかに揉まれてこなかったんだろう。コロコロコロコロ転がされてるじーさんは基本、チョロいのだ。

「ヒナノはまた脅すのか!」
「モレシあんまりない種だよねー」
「む……見てみない事には分からん」
「今度案内する」

バーナビー直々に案内するらしい。
なにを?

「熱あんのか」
「ない」

どうやら熱が出てるかも?なんて勘違いしてる斜め乙女野郎。

「熱あんだろ」
「ない」
「嘘つくんじゃねぇよ」
「誤魔化す事あっても駄目って言われた事に嘘つかない」
「……熱あんぞ」
「ないって言ってるだろ!?阿呆!」

アルフが熱だ熱だと騒ぐからみんながこっちを見てくるじゃん。
ないってば!

「熱あるんじゃない?顔赤いよ?大丈夫?」
「ないって言ってる!リンジーの気のせいだもん!」

赤くないだろ!?どこがだよ!

「おい、首が」
「ひゃぁぁぁぁぁっっ…!」
「「「「「…」」」」」「あん?」

い、いきなり首を触るんじゃないよ!
思わず天井端に逃げちゃったじゃん!ニウは幸せそうに寝てるね!可愛いね!

「あー…そろそろ公爵が戻って」
「そうなんだね!おかえり公爵!」
「「「「「…」」」」」
「おい、やっぱり熱だろ」
「ねぇよ!」

公爵が戻って来るからなにかな!?
一体なにを言おうとしてるのかな!?バーナビーは早とちりもいいとこだね!

「そろそろ眠る時間だ」
「じーさん送ってくるね!」

じーさんの腕を掴んで部屋の中まで送ると変な事を言う。

「ニウを預かる」
「なにを言ってるんだろうか?全然大丈夫、今日も明日も大丈夫」
「…」
「おやすみなさい!」

ばびゅん!と帰るとルーシャンがアルフに話…なんの話してんの!?

「なななな、なにしてるの!?なに話してるの!?」
「あん?警護の話だ」
「「「「…」」」」

私の馬鹿ぁ!!!

「寝る!」
「俺の家で寝てろ」
「にゃん!?」
「「「「…」」」」
「あ?」

なにを言ってるんだろうか!?この斜め本能乙女野郎は!

「お前どうした?」

なんで浮くんだよ!?天井端に居たいだけなのに!

「おい」
「な、なに」
「変だ」
「違う」
「変だろ、熱以外でもなんかあんのか?寝てねぇと変に」
「違うって言ってる!」
「なんで逃げんだよ、こっち来い」
「…」
「………お前どうした?」

来いっつったのはお前だろ!?来たら来たで変人呼ばわりするのやめてくれるかな!?

「おい」
「ひうっ……」
「あん?」

心配そうに見つめられる。

安心してたはずの手が私の首や頬に触れる。

今更どう素直になったらいいか分からない私は硬直して動けない。

イセトに言われた。
私の鈍すぎる心を見透かすように言われた言葉。

『否定し続けていたせいで、今更素直になるのを恥ずかしがってないで。認めて向き合おうね?』

なんて言われた瞬間、自分自身でも分かるくらい顔が真っ赤になってしまった私の頭を撫でて仕事に行ったイセトの言葉を反復するように頭に残り続けた。
ルーシャンに言われた“キスは出来るか?”という問いに“嫌だ”と思った。
イセトの言葉は自覚してなかった心を曝け出すような、恥ずかしさがいっぱいになってアルフの元に行けなかった。

アルフが抱っこしてくれる手も、体も、声も、熱も……
気付いてしまった心で接するのは酷く羞恥するような事だった。

「どうした?なにがあった」

伴侶として、性的な目で見てしまう私の心臓は酷く煩い。
拒絶から始まった私たちは、徐々に近付き、今では安心しかない腕の中。
これがアルフの当たり前だと、アルフは強いからこんな事を思えるんだと、勘違いし、無理に理由をつけて納得してた私は………

「おい」
「さ、触らないでよ!」
「ああ?」
「なん、さわ、なに!?」
「お前がなんだよ」
「しゃ、喋るな!」
「ああ?」

今まではアルフの前で女を出していなかった。なにもかもを隠し、最初は騙していた性格でいて、その後は強い私でいてしまったから、今更どんな態度でいればいいのか……

ほんと、無理。

心臓壊れそう。

「あー…戻るか」
「そうだな」
「アルフ送って行きなよ!」
「危ねぇのか?」
「し、知らない!バーナビーに万が一でもあったらどうすんの!?」
「そうだな、俺の家に居ろ。お前変だ」

変じゃない!

「ヒナノ」
「なにかな?ルーシャンと話す事あるかな?ないよね?なにかな?」
「おめでとう」
「っっ~~、ば、馬鹿じゃないの!?」
「あん?」

頭がぐるぐるしてきてパニックになっています。

「家行かない!」
「あ゙?」
「天界の家行く!作らなきゃいけないのあるから!」
「おい」

ニウと天界の家にばびゅん!と戻った私はしばらく………



「う…おおおおおおぉぉぉぉ!気持ち悪いぃぃぃぃぃ!!!」



自己嫌悪に陥っておりました。







イセトにリボンを外せるようにしておいて。とお願いされていたのを、ぐるぐるした頭で思い出して作り出した。

「おい」
「なに」
「熱はもういいのか」

あれからバーナビーを律儀に送り届けたらしい乙女は天界の家に来て、私の顔を確認して…そんなに顔を近付けるんじゃねぇよ。
うん、えーと…ジロジロジロジロ確認した後、勝手知ってる足取りでお風呂に入りに行き、戻って来たら用意しておいたご飯を食べて、用意しておいたベッドで横になってる。
クロノスはニウと一緒にさっさと寝た。

「ない」
「変になったら言え」

変っていうな。私の残り少ない乙女心が傷付いたらどうすんだ。
ピアスも作らなきゃだなぁ。
あれはリボンと違い、外してしまえば壊れてしまうんだ。
簡単に付け外し出来ない物でもあり、時間がかかる物でもある。
うーん。
しばらく作業に集中だな。

「おい」
「寝ろ、乙女野郎」
「なにしてんだ」
「リボン作り直してる、太ももにあるリボン」
「ああ」

………

なんで納得………そうか、お風呂やら下着姿を見られてたのか。

「また熱出てんぞ」
「っっ~~!寝ろ!本能乙女野郎!!!」
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