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しおりを挟む「「ちゅー」」
「くすくす」
ちょくちょく抜け出すけど、すぐに戻って来てくれるイセトはこれから休みなしで働く事を対価として、今のおやすみを貰ってるらしい。
長い間というのは、多分…その、アルフと籠もってる間だと思う。
「ニウに会える日は声かけるから」
「うん」
「きゃー!」
籠もってる間も私の側にニウを置いておきたいとお願いした。
イセトも今は長く一緒に居られないからと言われたので、アルフに内緒?勝手に?どんどんと決められていく。
ニウに会える日は声をかけてもらって、どこかに、多分、天使様の部屋かアルフの部屋にニウの部屋を作るからそこで渡すか、寝てたら持って行ってもらう。
ニウの部屋もこれから色んな場所に増えるだろうけど、部屋が出来る度に蝶々を新しくして、部屋にいる時は私たちが見れるようにする。
「綺麗だね」
「きゃー!あう、あう、ちゅー」
「くすくす」
ニウが咲かせた花々は枯れない。
枯れないというよりはデズモンド様から溢れた花のように見える。
花ではなく、魔力のように見えて少し違う。
願いで咲かせ続けているような、そんな花。
デズモンド様も、溢れてしまう魔力で花を咲かせていた。
とても綺麗な薄紫色の花を。
「雪かと思ったけど、これも花?こんな花あったかな?ニウが新しく咲かせたの?」
「あう?」
「ううん、それは私」
「え?」
私が能動的に咲かせた訳ではない。
「私を抱くと草木が元気になるって伝えたでしょ?」
「ああ、新しく咲くんだね」
「うん、土も元気」
いつだって雪景色なイセトととの家も、周辺を歩く事も好き。
「イセト大好きっ」
「くす、僕も大好きだよ」
「きゃー!」
穏やかイセトも好きだけど、この間見たイセトも…
「襲われたいの?」
どうやら興奮してしまってたらしい…
「この間のイセトかっこよくて!つい!ついつい!思い出しちゃったの!」
「あんなのが好きなの?」
「全てのイセトが大好き!」
「………」
「ううん、興奮んんんっ………」
両者共、興奮してしまったお散歩もよくある事だ。
「リリース怒ってた?」
淫魔を勝手に紹介した事バレちゃったし。
「なにも聞いてないよ」
「え?」
そうなの?仲良しなのに?
「くすくす、ヒナが運命で良かった」
「?」
よく分からないけど、喜んでもらえたなら良かったです。
「あ!」
「あう?」
「どうしたの?」
「また1ミリ大きくなった!」
「ほんと!?良かった…僕見れたんだ」
「ぶっ」
おやすみ期間のお陰で、成長の瞬間も見届けられました。
「あ、ワルワルの人に伝えておいて欲しいの!」
「……なに」
ううん、嫉妬ぉ…
「あんまりイセトと連絡取れないなら海にざぶーん!って落とすからねって」
「ふはっ!うん、伝えておく」
「やったー!」
「くすくす、好きだよ」
「ヒナも!」
ニウの成長を教えられないのは嫌なのだ。
私の力を借りてるとか、もしそんな事を疑ってアンクレットを外させているなら勘違いもいいとこだ!
イセトのかっこいい仕事を邪魔なんてしないんだから!
「今度旅行に行こう」
「ほんと!?」
「やり直させて?」
「それは私の台詞だよ?」
「僕の台詞でもあるから」
「うん、楽しみ」
「僕も」
「あ!それなら次はヒナが考えた旅行に行こう!」
「………」
「ううん、興奮んんん………」
「あぶっ?」
今すぐベッドに行って……待てよ?私ってこのままじゃ一生イセトの事を襲えないのでは…?
………
嫌だ!
イセトを押し倒してシャツを脱がしてから……
「ヒナ」
「はっ!?」
今度は私が興奮しちゃってた!
「すぴー」
「「…」」
起きてるニウと過ごして、我慢してた興奮を曝け出して寝室に行くような日々でした。
*********************************
イセトが仕事に戻る日。
許可が出たので一緒に転移しました。
「…」
もうニウの事を慣れたらしいワルワルの人は驚きもせず、イセトに仕事の話をする。
「こんにちは!」
「…」
今日も色んな人が居るね!
「絶対に仕事の邪魔しない!」
「「…」」
ここに来て初めて合った目が探るような視線だったので、私も本気でいくぜ。
「絶対邪魔しない」
「…」
「私を邪魔だと思う伴侶も大好きだから、絶対に邪魔しない。もし邪魔に見えたならお前の目が悪い」
「………ふっ」
分かってくれて良かったです!
「次、伴侶の事を仕事で疑ってみろ。海に放り投げてやる」
「「…」」
イセトは仕事をちゃんとこなすんだから!私みたいにズルしないもん!
ぷんぷんとしながらイセトのほっぺにちゅーして、ニウにもさせて………うん、満足しました!
お邪魔しましたー。
「あぶっ?」
「うん、困ったね」
「あぶっ?」
天使様の部屋に戻らず、天界の家にも戻らず宙にぷかぷか浮いてる私は、未来のあれこれを色々と考えてイセトと決めたけど、肝心の告白を決めていない事に気付いた。
いや、気付いてはいたよ。
先延ばし先延ばしにしてただけ。
困った。
『天使様戻るよー』
とりあえずみんなに話しかけるか。
『婚礼式が決まってんぞ、いいのかよ』
『『『『『…』』』』』
そうだろうね!着実に進んでたよね!
アルフは筆頭護衛だから話もしなきゃいけないし、準備も必要だもん!
『熱出されても困るんだよ、嫌なら』
『い、嫌じゃない』
『………あ?』
『『『『…』』』』
嫌じゃないよ!?嫌じゃないけど、起承転結の結から話が通ってるのも困るな!?
『家に居ろ』
『わ、分かった』
『『『『…』』』』
家に?家?家ならたくさん……そう!たくさんある!
ドンドンドンッッッ!!!
あけてくれ!頼む!困ったんだ!
ドンドンドンッッッ!!!
エロエロしてないで相談乗っ………
『海の!』
『っ、風の!退け!今行くのじゃ!』
ううん、お邪魔だったん。
とりあえずここに居ても困るだろうから………
『家行く!』
『来い!』
相変わらず私の声で危機を察知してくれる優しい友達だぜ!
なんて思いながら海のの家に転移したら……
「神様なのじゃな!?聞いた話と同じじゃ!小さいの!」
「きゃー!」
「可愛いの………」
ぐっ…!
どうやら海のは子どもが居ると聞い………多分ワルワルの人だな。ワルワルの人に聞いたんだろうな。
キラキラ持ってたぞ。なんて言われたんだ、きっと。
うん、いいんだよ。
私を忘れておめめをキラキラさせてニウを抱っこする海のが大好きさ。
「わ………」
きっと吹き飛ばされて戻って来た風のは咄嗟に傅いた。
「「………可愛い」」
そんなキラキラパワーも海のの可愛さには通用しないのだ。
すぐに体勢を戻して、海のを膝の上に乗せる風のは一体どちらを愛でているんでしょう。
「私とイセトの子だよ、あ、イセトはリクの生まれ変わりだと思ってる人で、その子はニウで」
「良き名じゃ」
「「…」」
海のが変だ。またまた変だ。
今回は拗ねてないけど、今にも泣き出しそうな表情でニウを見てる。
子どもや、小さい物を愛でてもそんな事にはならなかったのに。
「「どう…」」
「ニウは死んではならんのじゃ?」
「「…」」
「ヒナを独りにしてはならんのじゃ?ニウは神様なのじゃ、死ぬ事はないじゃろ?ヒナを独りにしては駄目なのじゃ?いつまで経ってもびーびーと泣くんじゃから」
「「…」」
ああ、本当に。
海のの心が嬉しすぎて泣いてしまうよ。
いいんだよ、いいの。
ニウが満足して死を選ぶ未来でもいいんだよ。
嫌だけど、寂しいけどいいの。
そんな未来でもいいんだって強がってる私の心を簡単にパリンと割って弱くさせちゃうんだから。
「ヒナノ」
「っ、う、うんっ、び、びっくり、だ、へへっ」
驚いたよ。
だってせっかく恥ずかしがらずにお膝の上に乗ってる海のを椅子に座らせて、私の足元に跪きながら手を握る風のにびっくりびっくりだ。
いつだって、どんな事だって些細な出来事になるんだ。海のの前では。
それなのに私の手を握って心配してくれるのは、私にとっても………きっと風のにとっても大切な友人のゆくもりを感じてる。
「僕たちは死なない」
「う、ん、」
「ニウも」
「わ、わか、った、」
「生まれ変わりの3人も」
「そ、そう、し、しんじ、る、」
「信じて」
「う、ん、」
「僕は……違う時もあったけど、僕たちはヒナノを信じてる」
「う、ん、」
「だからヒナノも信じて」
「うあっ……しんじ、る!しんじる、からっ、も、だれも、いなくならないって…!」
「うん、みんなで信じよう」
結局、海の達の前では泣いてしまった私は、再会して新しい涙を流してた。
悲しみの涙じゃない。
嬉しくて、幸せで、これからがキラキラした涙だ。
「きゃー!」
海のに抱えられてるニウは泣いてない。
だって私は悲しくないんだから。
「だい、すきっ!」
「余も好きじゃ」
私はきっとまたへにょへにょとうじうじと悩むんだ。
怯えて生きる時もあるけど、今みたいに……ううん。
さっきまではどこか死んでもいいと心の片隅で思っていた気持ちはもうない。
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