巡る旅の行き着く先は終焉と呼べるのか

ユミグ

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召喚されたけど引きこもっててもいいですか?

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「ん゙………」
「おはよう」

エルがお水を飲ませてくれる。
寝ちゃった私の横にダグラスはもう居なくて…まだまだ忙しいのかなぁ?

「……エル?おはよう」
「ダグラスなら仕事に戻ったよ」
「そっかぁ」
「寂しい?」

寂しさも確かにあるけど…

「うーん……みんなもしかしてイライラしてるの?」
「イライラ…ダグラスが酷い事した?」
「し、してないよ!いつもみんな優しいよ!」
「良かった…ダグラスを殺すのは一苦労だからね」
「ころっ…!?」
「どうしてそう思うの?」
「なんとなく……ここに来てからみんなピリピリしてるから」

初日からピリピリした空気をずっと感じてた。
前に居た神殿の時は庭に出てみる?とか、少し見学に周りませんか?とか、そういう事を言われてたけど、ここに来てからは言われてない。むしろ私をこの部屋から出さないようにしてるみたい。

「少しうるさい人達が居るのを黙らせるのにちょっとだけ苦労してるんだよ」
「そっかぁ………私に出来る事ある?」
「今はないよ、ああでもこうやっていちゃいちゃしてたいな」
「そ、れは、いつもしてるじゃん」

いちゃいちゃばっかりしてるから、ほとんど寝室に居るんじゃん!

「もっと…だよ?」
「…あい」
「ふふ、お腹空いたでしょ?夕食の時間過ぎてるよ」
「わっ!ごめんなさい!」

そういえばお腹空いた…空きすぎてるくらいだ。

「謝らなくていいよ」
「う、うん、でも次から遠慮なく起こしてくれていいからね?」
「ちゅ、ちゅ、……こうやってでもいい?」
「あう……い、いいですよ?」
「ふふ」

寝室から出てエルと一緒にご飯をたべる。
……旅の方がみんなと居れたなぁ。

早く浄化出来ますように……






それから3日後。
慌ただしい4人に叩き起こされる。

「ユイ!ユイ!起きて!」
「んえ?」
「とりあえず服を、食事は後で考えましょう」
「顔を拭くから目を瞑ってろ」
「あぶっ!」
「一応だけどユイに確認した方がいい」

ピタッとみんなの動きが止まって一斉に私を見つめ出すからちょっとビビる、というより、みんなが集まってるの久しぶりな気がする。

「な、なに?」
「その………」
「………」
「ユイは好みのタイプって居る?」
「………は?」

エルにそんな事を聞かれる。
好み?そういえば私の好みってなんだろう?考えた事なかった。

「そんな遠回しじゃ駄目だろう、きちんとユイの意見を聞かなきゃ駄目」
「……みんなどうしたの?」
「ユイ、この間来た不躾な人間を覚えておりますか?」
「大公様の事?」
「敬称など不要です」
「あ、はい」

ネイサンのお怒り再来です。
次からは“あの人”とでも呼んでおこう。うん。

「あれがあなたの夫になりたいと言っています」
「え………きも」

キモいよね?あんな突撃して来たのに夫?嫌われるなら分かるけど夫?

「きも?なんです?」
「え、っと……それって拒否権ってあるのかなぁ?」
「あるよ!」
「問題ない」
「ユイは誰だって選べる立場だから大丈夫だよ」

4人の目がなんかギラギラしててちょっと怖い………
というよりは、これ以上必要ないと思います。

「お、お断りします」
「そうですか」
「そうだよねぇ!良かったぁ!」
「では改めて口にしていただいたところで急ぎますよ」

起き抜けに訳の分からない事を言われて身支度を整えられる。
よく分からないけどとりあえず後で落ち着いたら聞けばいいかぁ…と思いながらされるがままになっておく。うん?いいのか?されるがままでいいのか私!?

結局至れり尽くせりされて、初めて来た以来部屋を出て歩き出す。
みんないつもより早歩きだしオーラがビシバシ当たってなんか痛いけど、とりあえず何処かに行くらしい。
歩き出して5分くらい経ったところで私の手を繋いでるネイサンから不穏な音が聞こえた。

「チッ」

ええ?あのネイサンが舌打ちした?え?なんでだろ、え?うわ、顔こわっ………

「どこに行かれる!?」

フィフィとエルの後頭部で大声を出している人が見えないのに、私の前にダグラスが来て視界を塞ぐからもっと見えない。

「まだ浄化は完全に終わっていないだろう!?」
「道中で完全に浄化されますからご安心を」

ネイサンが怒ってます!

「そ、そういう事ではない!」
「フィフィアン、エマニュエル頼みましたよ」
「「はい」」
「聖女様行きましょう」

笑いながら怒ってるネイサンにとりあえずうんうんと頷いておく。

「ま、待て!」

フィフィとエルが立ち止まってその人を止めてるらしく、口論のような声が聞こえるけど、そっちを向いたら怒られる気がしてダグラスの背中だけ見ておく事にした。

「開けろ」

ダグラスの声に戸惑っているような声が複数聞こえてくる。

「開けろと言っている、聞こえないのか」
「あう…」

つい私が開けるよ!なんて言いたくなるようなこわぁい声でなんとか何かが開いたみたい。ついついビビった声を上げちゃった…
扉を出ると階段になってて外に出た事が分かる。
階段を降りるとこないだまで乗っていた馬車が置いてあって、守護神官達も周りに居る
。あれ?ここで守護神官達が入れ替わってまた次の神殿で入れ替わるって言っていたのになんだか見た事ある顔ばっかり?
あ、もしかしてお散歩かな?

「聖女様、足元に気を付けて下さい」

ネイサンにそう言われながら馬車に乗り込むとすぐに出発する。

「え?え?フィフィとエルは?」
「後から追いかけてきます」
「ほんと?」
「本当ですよ」
「そっか……………あとってどれくらい?」
「2時間後には来ているはずだ、心配するな」
「う、うん」

心配するなとは言われたけれど、あの口論のような声の主と戦っているなら心配するなという方が無理。

「まだかな?」
「出たばかりだ」
「う、うん」

そわそわしながら2人を揺れない馬車で待つ、こうなった経緯も聞きたいけどとりあえず2人に会いたくてそれどころじゃなかった。





「エル!フィフィ!」
「「ユイ!」」

数時間後。
体感的には数十時間後だけど、馬車が止まって扉が開くと2人が見えたから思わず飛びつく私を2人で支えてくれる。

「ふわあぁぁ………会えて良かったぁ。怖かった」
「寂しかった?」
「ふふ、帰る場所はユイの元だよ?」
「うん」

2人を力いっぱい抱きしめる私を好きにさせておいてくれる。

「ぷはっ!足止めしちゃった、もう2人共乗れるんだよね?一緒だよね?」
「当たり前だよ」
「僕の膝の上に座って!」

2人が馬車に乗り込んでフィフィの膝の上に乗って手はエルと繋いでおく。

「話聞けます!」
「だろうな」「そうでしょうね」

えへへ

まだかな?もう来てるかな?なんて言ってた私をなだめてくれていた2人から説明されそうになってもそわそわしてたから、聞ける心じゃなかった。

「なに?何かあったの?」
「2人が心配でそわそわされてましたから、話をするにも出来ませんでした」
「っっもう!ほんと可愛い!大好き!」
「心配してくれたの?ありがとう、でもなんにもなかったよ」
「なんにもなかったなら良かったぁ」
「「可愛い」」

なんにもないなら良かったぁ…でもでも、あのピリピリした空気で何もないなんて思う方が無理だったよ!

「それでどうしたの?お散歩?」
「いえ、次の神殿に向かいます」
「ほえ?」
「僕達が遅くなったのは大公様のせい、あの人うるさくって巻くのに時間かかっちゃった」
「巻く………?」

さっきの声は大公さ…“あの人”だったのか。

「はじめからご説明致します」
「うん」
「当然ですがユイが現れてから浄化が進み疑心暗鬼だった者達がユイとの謁見を求めはじめたのですよ」
「え”」

謁見ってあの?あの謁見?顔を上げよ…から始まりもう良い。で終わるあれですか?

「そんな事望まないのは俺たちは分かってるからユイに近付かないように静止してたんだ」
「あ、ありがとう…いつもごめんね?」

だから忙しかったのかな?それなら会った方がみんな疲れないかな?

「そんな事いいんだよ!僕たちだって会わせたくなかったんだから!」
「それ自体は前の神殿でも同じような事がありましたから予測はしていたんです、ただ……」
「大公がユイに選ばれたいと言い出した」
「えらばれ……?」
「ええ、伴侶となりこれから共に旅がしたい、と……」
「えっと、選ばれるっていうのは何?」
「この世界の女性は旦那を選ぶことが出来ます、もちろん貴族の位や他の女性からの妨害によってままならない事もありますが、基本は女性が気に入った方を旦那にするのです」
「へぇー……」

私はお前が気に入った。

みたいな名指し!?名指しで決められるの!?言われたら夫の1人になるの?え?え?私もしかして選び放題!?

食べ放題以外はいらないよ!?

「そして選ばれたいとあれが言い出し毎日のように押しかけて来ては権力を振りかざし会わせろと、しまいには他の貴族にも平等にしなければならないからとお見合いのような会場を作ろうとしていたのです」
「ええ!?」

それって私にも拒否権がなさそうだよ!?みんな幸せになれないよ!?強制にも程あると思います!

「それ自体は私も賛成なのですが」
「え!?なんで!?」

あと何人!?4人でさえ多いのにあと何人必要なの!?

「属性が足りないって話は覚えてる?」
「あ……全ての属性を体に取り入れなきゃいけないって話?」
「うんうん!」
「あと1つ水の属性が居ないからその相手を早急に探し出さなきゃならないんだ」
「そうだったの?」
「ええ、いつまた倒れるか分かりませんから早く見つけ出した方が良いのは確かです、ただあれは……」
「えっと言いずらいならいいんだよ?」
「いえ、まぁ単刀直入に言うと私と仲が悪いのですよ」
「え、うん」

そうだろうね。だってあの人の話するだけで、ぐぐっと眉間に皺が寄ってびしばしオーラが当たりますから。

「ふふ、知られていましたね。ですのでこれから一緒に旅に出るのは困難と判断したのですが、今日あれが焦れて無理にでもユイに選ばれようと画策していたのを耳にしまして」
「それですぐに神殿を出る事になったんだよ」
「そっかぁ……」

それは止めてくれてありがとうだ。

「私が勝手にユイの相手を決めてしまい申し訳ございません」
「あ、ううん、私はみんなが仲良く出来ない人は嫌だからそれはいいんだけど、そんな事して大丈夫なの?怒られない?」
「それは問題ありませんよ」
「もうほとんど浄化出来てユイの力も証明出来たからね」
「もう凄いんだから!」
「これで次の神殿は多少大人しくなるはずだ」
「そっかぁ……」

でも…これからも私のせいで負担が増えちゃうよね……その度にみんなピリピリするのかな…


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