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淫魔編
5-30
しおりを挟むドレスを変えたら女が集まる場所にリクと共に行く。
女は基本仕事に関する事以外についてのワガママは許容されているのは3国どこも変わらない。
だけど女のコミュニティも当然存在する。
でも、それだって稀有だ。
基本女は男に囲まれている。
だからこの時、この時間は貴重。
全ての人間を把握するいい機会だ。
庭園でするお茶会には護衛とリク以外は全員女。
もちろんナルマイもアミニーも居るけど、どうやら私は同情されているらしい。
私が無理矢理転移してからの数日、一体なにを仕出かしたらこうなるのかとも思う。
挨拶の列は神殿と変わらず、私の態度だけが変わったお茶会だった。
私は交わらずに偉そうな席で座りながら観察するけど、やっかみが多い。
国王の妻はどこでも僻む対象で、その座から降りたナルマイとアミニーは蔑む対象らしい。
私がここで動いたところで意味はないだろう。
女に権力なんてない、今この場はただのお遊戯だ。
ナルマイは国母だ。
だが、辞退したらしい、その座を。
アディティが怖いんだろうと分かったから分からなくなった。
私はリクに何をされたら恐れるんだろうか。
大体の男関係は掴めた。
そして取り合いの最中も見たけどあれは楽しかった!まるで物語みたいだよ!
時間になったから退出して次に向かう。
今度は会議だ。
何故だと思わない?私も思う。
なんで会議なんだよ。
しかも異例な事らしい。
女が会議に出るのが。
通常はお茶会がもう少し長いみたいだけど、会議の場に入ると舐められてるのはすぐに分かった。
分かったから馬鹿だなとも思った。
女を馬鹿にしてるくせに女に媚びへつらう男共がここに居る。
「よく来た」
「お呼び頂きありがとうございます」
「うむ、座れ」
「失礼致します」
アディティの横に座る。
ちなみに私、威圧を出せるようになったんだよね、リクと練習したの。
どうやらリクでも耳と角を出したら少しは何かを感じるらしいから、その感覚が出るまで頑張った。
コツコツコツコツ毎日毎日……リクと居る日は頑張ってみた。
威圧は意識出来るらしい。
だけどそれは私の理論だった。
威圧が分からない私の理論だったのに何故だか操れる。
私には未だ威圧が分からない。
分からないから感情を込めて魔力を制御したら漏れたらしいそれは威圧なんだって。
同じ感覚がするとリクは言った。
私の魔力制御と身体強化は城に来てモノに出来た。
やっぱり毎日気を張ってるといいらしい。
だから教育をこれからするなら同じ場所に行き、同じ事をさせるようにしようと思う。
「ヤイド領の小麦は難しそうですねぇ」
「ですが蓄えがありますから問題はないかと」
「聖女様…失礼、妃様が来られてから作物の採れる量は大きくなったとはいえ」
「やめ、意味がない」
「そうですね、ですが…ひっ!」
一瞬威圧を出してみたけど…アディティの顔色は悪くならないしほんの少しなんだな。
失神もしない。
本当に劣化品だ。
「我らが国王陛下のお声を無視なさるなど…何を考えておられるのですか?」
「も、も、申し訳ございませんっ!」
「謝罪は私にではありませんよ」
「へ、陛下!申し訳ございません!」
「よいよい!許そう!妃もそう怒るな、あれも悪気があって言うた訳でない」
私の頬を撫でて機嫌を取るように言うアディティに、女の顔を出して手を重ねる。
「「「「「「「「っっ」」」」」」」」
「陛下がそう仰るのなら」
「っ、いい子だ」
私の立場は理解しただろう。
国王陛下の忠実な臣下として、少なくともここに居る人間には分かったはずだ。
会議は毎日あるらしいけど、そんなに話す事あるかね。
聞いてて1番眠気がきたよぉぉ、リクも視界に入らないしつまんなぁーい。
会議を終えて次の会場へ。
ていうか最初の玉座がある部屋に向かう。
夜になって、夜会?うん、夜会だって。
夜会に私はアディティの横に座る、本当に化粧がよれない魔法陣があって良かったよ。
「あれはなんだ」
「私の化粧よれてる?」
「いや、綺麗だ!」
ならいいけど、というかアディティの綺麗を最近信用してない。
女の喜ぶ綺麗を知ってるから。
またここでも挨拶だ、うんざりです。
んん?
「「「…」」」
なんだろ?なんだろな?ブリットが目の前に居る気がするよ?
使者が来るとは聞いていたけど、何故ブリットなんだい?
「ブリット」
「うん!」
「陛下が許可出してくれたら遊ぼうね」
「うん!」
「いい子だから今日はおかえり」
「うん!」
なんでミニキャラ持ってるんだろ。
洗浄魔法があるお陰で今でもキラキラですね。
「なんだ?」
「バーズリー国王女の」
「知っておる、なんだったのだ」
「ブリットは狂信的な神と黒の信者」
「ふむ、世界は広いな…」
「…」
どうやらリクの猛攻を突破したらしいブリットは使者にもなったようだ!
働き者だね!
「アディティ」
「どうした」
挨拶が終わってみんなが遊んで…夜会を楽しんでる中で気になる声が聞こえた。
「…赤に近い服装で左奥に居るのはカサリー伯爵?」
「そうだ」
「ふぅん」
「なにがある」
「アディティの事好きみたいだよ」
「なぜ分かる」
「チラチラ見てる、笑いかけてみたら?」
「む?」
アディティが笑いかけると頬を染めたのはアディティより歳上の人。
「知らんかった…」
「浮気者ー」
「ふっ、少しは拗ねてくれ」
「アディティの“綺麗”が私を見て言ってるなら考えるー」
「ははっ!敵わぬな」
黒に近い服装の男がアディティを殺したい程憎んでるらしいって言おうと思ったけどやめた。
それこそ“なんでわかる?”だ。
でも、呑んで愚痴を言うだけの男に警戒はしても排除する理由はないか。
何故かアディティに顎を掴まれた。
暇なんでしょ?私も暇だよ!でもこの後もあるからね!サプライズだよ!
「お前が離れていく気がする」
「みんなそう言うんだね、私はただ私であるだけなのに」
「っ、傷付けたな」
「どこまで私は異なって、どこまで異質に感じるのかな?私は私として正直に生きてるだけなのに」
「そのような顔をするな、ヒナノを知りたくなっただけだ」
「その気持ちのままいたら離れるのかな、ちゃんと愛してるのに」
「余も愛しておる、泣くな」
「泣いてないよ」
「泣いておる、余には分かる」
「なら私を“知ってるね”」
「っ、はぁ…敵わぬな」
ちゅ、とキスをして軽く頬を撫でられて離れる。
なんだか少し疲れちゃった。
私の何がいけないんだろ、重ねた時間が違うから?
それでも今の私として生きてるのにね。
夜会が終わるまで私は私について考えていた。
あとは寝るだけぇぇっ!とはいきません!
「今日は初夜だ」
夜会から出た廊下でそんな事を言われる。
もちろん後ろにはリクとアルナブ。
「2回も初夜はない」
「なんだ、どうした?拗ねておるのか?」
「やだ、ほんとこの男、どこまで他の女と重ね続ければいいんだろ、妬いちゃう!」
「ははっ!頭が固かったな!許せ!」
「この後私が主催するパーティに参加してくれたら許してあげる!」
「む?なんだ面白そうだな!」
「アルナブも一緒じゃなきゃ許さなーい!」
「アルナブ!」
「疲れてんだよ」
「妬いちゃうままだなぁ?妃の機嫌は今アルナブが握ってるなー?」
「アルナブ、妃が妬いておるぞ?」
「遊んでるの間違いなんだよ!」
「やきもち♡やきもち♡」
「おお、そうか!悲しいな!」
「しくしく…!ぐすん!」
「っっ、なんでもいいから早く寝かせろ!」
「わーい!」
会場のアディティの部屋に向かって今日は寂しいけど…リクに箱をもらっておやすみして3人で部屋に入った。
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