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間違いの章
6-11
しおりを挟むしないといけない仕事があるのかサビエナが止めて仕事に戻るアンテロス。
あんなに物足りなさそうな顔して止めるのか…
本当いい女だな!
「なんだ?」
「なにが?」
「幸福そうだ」
「当たり前じゃん、美味しいお酒に美味しいご飯!さいっこーっに幸せだもん!はぁ本当にいくらでも食べられるし、いくらでも呑めるぅぅぅ」
「そうか」
いくらでも食べられると思えばいくらでも腹に入る。
多分だからこそ体型が変わらないんだな。
にしても幸福か。
言い聞かされてるな。
幸福であれと。
悪い事ではないけど、そんな事を言うアダムは幸福じゃない。
つまらなさそうな顔しかしてない、幸せに出来るか自信ないけど…幸せにしたいと心から思うよ。
それにアンテロスも幸福なのはここに来てからだ。
魂を磨く以外を知らずに世界と共に消滅した神も…
「世界が消滅した時に神も死ぬ?」
「その場合が多い」
「死にたくなければ天界に行けばいいの?」
「そうだ」
「神の魂は誰が磨いてる?」
「考えた事はないな」
「ふーん、やば!これ美味しい!あーん」
「あー」
悪魔世界はなにもないところだって聞いたけど、なにか創り出せば美味しくなるのかな?
「もう少し仕事だ」
「頑張ってて偉いわ」
「そうだ、街にでも行け」
「なんで?邪魔?」
「違う、そこまで美味しいなら街にも幸福があるだろ」
気遣いまで出来るなんて…!本当に成長したねぇ!ママ泣いちゃうよ!
はぁ…アンテロスが好きになっちゃった。
友達になりたいと思っちゃった…
これは風のがどう思うか。
多分駄目だろうな。
次からは記憶を渡せない気がする。
リクを殺した者を許せるかなんて質問は愚問だ。
「ドミティラ」
「はあい♡ご褒美ですかぁ?」
「案内しろ」
「そんなぁ…」
さっき気絶してた子か。
茶色の髪に茶色の瞳、ボブの髪は性格にあってそうだ。
耳が立ってて可愛いな。
「ドミティラ、私はヒナノ。ごめんなさい、期待させて」
「いい匂いー♡」
「ああ、ごめんなさい」
匂い消しを徹底しておかないとな。
「ああー!酷いですぅ!」
ううん、酷いのは匂いを小まめに消さない私なんだよドミティラ。
「それにしても弱そうなのに平気ですかぁ?」
ふむ、どうやら淫魔にも弱く見せられているみたいだ。
これはいい。
魔力制御は完璧、そして魔力はほんの少ししか保有していないように見せる事が出来る。
制御が出来ないなんて事はない。
私の持論で始まった研究は合ってた。
全てコントロール出来ると。
「心配してくれてありがとう、でも強いから大丈夫」
「そうですかぁ、ヒナノどこがいい?」
「どこでも。性行為に興味はないからそれ以外なら」
「「え!?」」
ううん、どうしてだろう。
サビエナまでそんな反応しなくてもいいのに。
匂いを消す…2時間くらいでいいか。
それくらい経ったら都度、消すようにブレスレットの飾りに陣を組み込んで発動させておこう。
「そういえば淫魔って排泄行為する?」
淫魔たちには排泄行為をしない魔法陣がかかっていない。
「しませんねぇ」
なら私もしないんじゃね?イヴだし。
排泄行為をしない魔法を消してみよ、実験だ。
「あ、待って。換金して欲しいの、これって換金出来る?」
一応魔力の籠った鉱石を取り出してみる。
「問題ありませんよ、それにしても純度が素晴らしいです」
サビエナは有能だな!欲しいよ、欲しい!私の秘書にならないかい?
ふむ…ここも硬貨か。
人間を真似ている事も多そうだ。
「ドミティラよろしくね」
「お任せを」
どうせなら飛んで行きたいと言ったら羽を取り出した。
悪魔にも似てるけどちょっと違う。
私にも出来るのかな?今度してみよう、ここじゃ王と言われそうだし。
「あっちが性具を売ってる並びぃ」
ううん、あれ全部?凄いね君たち。
「あっちが性具が書かれてる本屋の並びでぇ、あっちが精を売り出してる並びでぇ」
「精?保管して飲むの?」
「色々楽しみ方はあるけどぉ、そうですねぇ、そんな感じかなぁ?」
にしてもほとんどが性に関する事だ。
そういえば精液は甘くて美味しかったな。
確かに飲みたくなるのも分かる。
あれは精液でしか味わえないんだろう。
「なにか飲むぅ?」
「オススメがいいわ」
「それなら精」
「それ以外で」
「はあい」
街に降り立つと珍しい目で見られる。
人間に見えるのか、そういえば神々にもそんな感じに見られてたな。
弱い生物が何故ここに?って感じ。
イヴの姿って神々しく見えないのかな?
アダムはどうなんだろ?
「ナッツ?」
「ナギュだよぉ」
ナッツが入ってるチョコレートだ。
甘く誘惑する淫魔は甘い物が好きらしい。
「ん、美味しいね!オススメなだけある」
「良かったぁ」
んんっ!可愛いな!?
ほっとした顔可愛いよ!君可愛すぎるよ!
「それならこれはぁ?」
「ありがとう、どうせなら持ってて」
「わーい!」
硬貨の入った袋を渡した、うん、いいよ!ドミティラにあげるよ!
「これも美味しい、いい世界だねぇ」
「もう少し人間の世界は美味しくならないのぉ?」
「美味しい世界もあるよ」
「どこ!?」
「どこだろうねぇ」
「教えたくないの?」
「ううん、分からないだけ」
「それなのに分かるのぉ?」
「私は物知りなの」
「えー?知りたいなぁ?」
「ぶっ!」
なんだろう!なんだろう!肩に寄りかかるこの子はなんなんだろう!?
私転がされたい!転がして!
「なにが知りたいの?」
「そうだなぁ、譲れない物ってなあに?」
「王様のちんこと同じじゃない?」
「凄い!ずっと分からなかったのに!ヒナノ凄い!」
ううん、凄いね君。
喜ばせ方知ってるね!
「ん?」
「なあに?」
「あのナイフ見た事ない製法だわ、見れる?」
「ねぇ!そのナイフ何処で買ったの?」
「並びの青看板だよ」
「「ありがとう」」
どうやら鍛冶の店も並んで建っているらしい。
「なんでナイフが必要なの?」
「楽しいでしょ?」
「それもそうね」
「ふふ」
んんっ…!腕を絡ませてくるこの子本当凄すぎぃぃ!
鍛冶の店に入って見学させてもらえる事になったからドミティラを帰そうと声をかけた。
「えー?もう少し一緒に居たいなぁ?」
少しと言わず何処まででもぉ!
「はい」
「わあ!可愛い!」
イスとテーブルとお茶のセットと絵本を数冊置いておいたから飽きないでしょ。
「突然ごめんなさい、後ろで見学させてもらうわ」
「いいえー、見たいなんて嬉しいですよ!」
そういう心は変わらないのか。
というよりアンテロスも人間と変わらないな。
淫魔も悪魔も常識や育った環境が違うだけ。ん?逆か。
アダムの世界なんだからアダムとあまり変わりないと考える方が自然かな。
「どうして今冷ますの?あと7秒遅れた方がいいと思ったんだけど、なにかあるの?」
「!?試していい!?」
「どうぞ?」
なるほど、製法は知ってるけど魔力質が違うのか。
熱も人間では扱えない程の代物だからあれが出来る。
私は忙しくて陣を使った物ばかりしてたから頭が硬かったのか。
時間がある時に手作業で一からやってみよう。
物作りは楽しいから。
「ヒナノ」
「アンテロス終わったの?」
「「王様!」」
鍛冶師もドミティラも一瞬にしてアンテロスの両端に立ち、腕を絡ませてる。
「終わった」
「とても偉いわ、ご褒美はなにがいい?」
「なにがある?」
「アンテロスが考えなければ駄目よ」
「ふむ…ボードゲームがいい」
「それなら遊びつつ呑む?」
「それがいい」
「ドミティラ帰りましょう、見せてくれてありがとう。勉強になったわ」
「こちらこそ!王様ぁ♡久しく会ってなかったから寂しかったです」
「今度だな」
「分かりましたぁ…」
どうやらアンテロスはこの世界を十二分に楽しんでいるようだ!
あ、そういえば排泄したくならない。
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