死霊王の日記

風紀医院長

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1話

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 ついに…ついに手に入れた!!長年の夢(数日)だったこのゲームを!!と言うかゲームをプレイするための機械だけど。

 俺は堀田 敏雄ほりた としお。しがないサラリーマンだ。いや…だった。まあ過去形ということはそう、辞めたんだ。理由としては…ブラックだったから。上司がなんとまあ昔ながらの根性論野郎でできないのにしろって言われてね。イラついて用意しておいた辞表を上司の顔に叩きつけたよ。
 これでも10年は勤務したんだぞ?早いやつだと3日で消えやがった。
 というわけで暇になった独り身の俺は仕事もする気がなく溜まりに溜まった貯金でボロボロのアパートを買ってそこの管理人として今は生活している。まあ、住む人がいないしただ庭の草むしりをしたり木の手入れをするだけだ。
 でも結構交通面では便利だ。歩いて1分の所にバス停がある。そしてバス停からまた5分歩けば大手スーパーがある。また4分歩けば駅がある。一応都会と言われる場所かな?
 まあ、そんなところのボロアパートだったが普通に安く売られていたから買った。いわく付きとか言われてたけど…俺からしたらご褒美だ。
 まあ、そんなわけですることがなく暇でつけていたテレビからとあるゲームのcmが流れる。最初は興味はなく無視していたが、気になってしまい調べたら。あったんだよ。死霊術がね!!その時は興奮しましたよ。
 あ、別にサイコパスでは無いですよ?
 死霊系を好きになった理由としては…一目惚れですかね?とある映画を見てゾンビとか幽霊がでてきた瞬間ビビッと来たんですよ。
 その結果死霊が好きになりました。
 でそのゲームはこの頃流行ってた脳に直接電波を送りゲームの世界に入れる機械、えっとフルダイブシステムって言うんですか?
 まあ、それでないとダウンロードが出来ないと聞きまして慌てて調べました。何処も彼処も売り切れ!!
 某有名な通販サイト達を見ても売ってない。近くのおもちゃ屋さんにもない。パソコン屋にもないという絶望。
 やはり商品が商品のようで量産体制もまだ確立できてないようで最初の発売した当初ならまだしも今だと次の入荷まで待たないといけないようだ。その入荷時期は今から3ヶ月後。嫌だよォ。暇だよぉ。
 まあ、現実に打ちひしがれた結果ゾンビのように帰り道を歩いている。
「あぁ結局なかったぁ」
 思わず独り言を呟いてしまう。
 アパートが近づいて来て顔を上げてため息を吐く。するとアパートを不安そうに見つめる中学生ぐらいの女子が居た。
 ここは声をかけるべきなのか?それともスルーか?声かけた瞬間変質者って言われないよな?
 そんなことを考えているとあちらがこちらに気づいて走って近づいてくる。
「あの!!」
「はっはい!!」
 女の子は走って少し息が切れており整える。
「堀田おじさんで合ってますか?」
「おじっ!?堀田は私だけど」
「良かったぁ。えっと奈波です!!」
 奈波ですって言われても…うん?いやどこかで聞いた気が。
「あぁ!!姉さんの所の長女奈波ちゃんか!!」
「そうです!!」
 物凄く笑顔なこの子は姉の所の長女である奈波ちゃんだ。
 姉はどこかの会社の社長と結婚して確か東京にいるはず。それに奈波ちゃんと会うのは本当に久しぶりだ。6歳の時が最後だった気がする。その時はまだ長期休み取れて実家に兄妹全員集まっててその時に会った。
 だがそこからは休みが取れなくなり実家で会うことはなくなった。
「と言うかよく覚えてたね?」
「そりゃ覚えてますよ。1番遊んでたのにある時から会えなくなったんですから…痩せました?」
「うん?あぁちょっと会社が忙しくってね休みが取れなくて痩せこけたよ。まあ辞めたけど」
「正解ですよ!!休めない会社なんて」
「…そういえば聞くの忘れてた。なんで奈波ちゃんがここにいるの?」
「えっと」
 奈波ちゃんは周りを見渡す。こりゃ配慮し忘れてたな。
「あぁここで話すのもなんだし家の中に入る?」
「えっとお邪魔します」
 少し顔を赤くさせて俯く。

「汚いけどごめんね」
「いっいえ!!大丈夫です」
 一応片付けてる方だが本が部屋の隅に積み重なってるから綺麗…とは言いづらい。
「ほら座って」
 この部屋唯一のクッションを奈波ちゃんの近くに置く。俺は畳にドカッと座る。
「失礼します」
 あの姉からこんなしっかりした子が生まれるなんて。父親似なのかな。
「で、本題なんだけど。なんでここにいるの?」
「えっと」
「もしかして姉さんがまたなんかした?」
 姉さんはいい人っちゃいい人なのだが性格が竹を割ったようなという言葉が物凄く似合う。だから敵を作りやすいし味方も作る。そして何より…家事ができない!!なんで結婚できたのかほんとうに不思議だよ。
「いっいえ!!どちらかといえば私に原因があるんです」
「…もしかして家出?」
「えっと…はい」
「…ふぅ。わかった。姉さんにはこっちから言っておくよ。今は気持ちの整理しなさい」
 俺は奈波ちゃんの頭を撫でて携帯を取り出す。
「…わかりました」
 奈波ちゃんも何か思うところがあるようで素直に聞く。
 姉さんに電話なんて何時ぶりだろ。
 携帯で姉さんの番号を選択して押す。数秒の待機音の後に姉さんが電話に出た。
「あ、姉さ」
『こんな時に何!!』
 鼓膜破壊定期っと。
「奈波ちゃんのことでしょ」
『なんでわかるのよ?もしかして…盗聴なんてしてないわよね』
 凄い疑う声出してんねぇ。実の弟にかける声じゃないよ。
「んなわけあるか。俺の所に奈波ちゃんが来てんだよ」
『そこにいるの!!』
「あぁ」
『今から迎えに行くから待ってなさいって言っといてちょうだい』
「…聞くけど迎えに来てどうするの?」
『どうするって。家に連れて帰るだけよ』
「はぁ…姉さん。その後で仲直りできるの?」
『うっ』
「気持ちの整理が着くまでこっちで預かるから安心して」
『え?敏夫ってロリコン?』
 この姉。
 俺の額に血管が現れるけど気にしない。
「んなわけあるか。姉さんの性格からして今来るのは不味いだろ」
『…わかったわ。着替えは持っていくわよ。それと一部屋貸してあげなさい。アパート空きあるでしょ。家賃はしっかり払うから安心しなさい』
「ちょ!!ちょっと待て。なんで俺がアパート買ったって言うこと知ってるんだ?そう言えば奈波ちゃんもなんで俺の所知ってるんだ?」
『何言ってるの?兄妹みんなあなたが会社を辞めてボロアパート買ったってこと知ってるわよ』
 え?なんでよ。
「なんで知ってんの?」
『あなたが行った不動産屋は遥太はるたさんの友人が経営している所なのよ。直ぐに情報来るわよ』
 プライバシー!!遥太というのは姉さんの夫だ。いい人だった。
「普通にダメなことだろ!?」
『バレなきゃいいのよ』
「絶対にバレるなよ本当に…」
『あなた以外にこんなことしないわよ』
 いや怖いわ。
「はぁ、もういいよ。で着替えは何時ぐらいに届くの?」
『そうね30分もかからず行けるわよ』
「わかった。俺が出るからな」
『わかった』
「それじゃ30分後」
『わかったわ』

 あぁ、情報網怖!!
「えっと、母さんがすみません」
 ほんとうになんであの姉からこんないい子が生まれるんだ。
「いいよいいよ。困った時はお互い様だし。あ、姉さんの命令で一部屋貸すからその部屋使ってくれる?」
「いっいいんですか?」
「あぁ、姉さんが家賃払ってくれるそうだし」
「わかりました…」
「あぁ部屋の構造はこの部屋と同じだからそんな困らないと思うよ。一応見た目はあれだけど風呂もまあまあ広いしトイレも完備してるから大丈夫なはず。もし何か困ったら言ってよ」
「いっいえ、そこまでお世話になるのは流石に」
「いいよいいよ。臨時収入だと思えば軽い物だよ」
 一応賃貸としてやってるから問題は無い。
「…はぁ」
「あの…帰ってくる時もそうだったのですがどうしたんですか?」
「どうしたって?」
「えっと…なんだかガッカリしてるというか」
 こんな俺を心配してくれてるんか。
「いや、欲しかった物があったんだけど全部売り切れで」
「えっともしかしてフルダイブ用のゲーム機ですか?」
「え?なんで?」
「あ、いえ。友人の1人が同じことを言っていたもので」
 中学生と同じことを言ってたのか。俺が恥ずかしがってる様子を察したようだ。
「あ、でも堀田おじさんは暇になったからちょうどいいですよね」
 笑顔で傷を掘りましたはい。
「うっうんそうだね。そうだ。堀田おじさんだと私の兄にもそうなってしまうから敏夫おじさんでいいよ」
 おじさんはもういいよ。おじさんだもん。
「いっいえ!!名前を呼ぶなんて」
「別にいいよ。多分まあまあ長い付き合いになりそうだし」
 場所がバレてるから家出場所ここになりそうだし。
「ふぇ!?はっはい!!よろしくお願い致します」
 挨拶ができるいい子だな。あの姉さんの血本当に入ってるのか?

 そんなことを考えてるとインターホンが鳴る。
「あ、私が出るから大丈夫だよ。隅っこにいて」
「…はい」
 扉を開けると目の前にスーツ姿の姉が立っていた。見た目はしっかりとした女性だ。
「敏夫これが奈波の着替え。それとこれが教科書とかノート、机は部屋にあるわよね?」
 俺の両手がもうふさがった。
「え?あっうん。備え付けのなら」
「ならいいわ。それとこれが奈波の枕。それとフルダイブ用のゲーム機を2個。twoはもう入れてるから安心して」
 うーんこれは盗聴?
「でも敏夫のおかげで初めて奈波のわがまま聞いたわ。ありがとうね」
「あ、うん、そう」
 奈波ちゃん経由かよ。仲良いだろこの2人。
「それじゃ納得したら帰ってきてって言っといて。あ、それと間違えても可愛いからって手出すんじゃないよ?」
「だからロリコンじゃねーって言ってんだろ」
 真顔で言ってきたから、笑顔で血管を浮かべて言い返した。
「それとよく会社辞めたわね。辞めて正解よ。あそこの会社倒産したから」
「ふーん…は?」
 父さん?
「え?でもあそこの会社まあまあ大きくなかった?」
「ええ、でもとある人が辞めてからミスが多発したみたいで信用をなくしたみたいよ。それにその辞めた人結構周りから信用と信頼を勝ち取ってたみたいで辞めたって聞いた瞬間一気に取引する所が消えたみたいよ」
「へえ、俺の所にそんな人いたんだな」
「…はぁ本当に敏夫は。まあいいわ。お金は1ヶ月後に直接届けるから受け取ってね」
「あぁわかった。受け取らないと姉さんからの反撃は怖いからね」
「反撃なんて酷い言いようねぇ。借りを作りたくないだけよ」
「はいはい。わかりましたよ。それじゃ納得するまでここにいるってことでいい?」
「ええ、奈波が決めたんでしょ?なら文句はないわよ。それじゃ私はこれで帰るわ」
「はい、わかりました」
「それじゃあね。奈波も敏夫の言うこと聞きなさいよ!!」
 部屋の中に向かって叫ぶ。近所迷惑にならなかったらいいんだけど。
「何かあったら電話してよ」
「わかってるよ」
 姉さんは少し怪しむように俺を見たあと車に乗って帰っていった。ちょっと待って!!あれ結構お高めのやん!?
「…行きました?」
 奈波ちゃんが俺の服の裾を掴んで聞いてくる。
「あぁ、行ったよ。と言うかゲーム機のこと教えるの早くない?」
 なんで手に入ったかは聞かないでおこう。
「敏夫さんが悲しそうだったので…つい」
 いい子なのはよくわかるんだけどなぁ。どこか姉さんと似た行動力を感じる。
 と言うか敏夫さんって。こんな風に呼ばれるのは久しぶりだな。大体は「おい!!」とか「お前!!」だったからな。
「ありがとうね。これで楽しめるよ。でも2個ってことは」
「はい!!私もします」
 おう、いい笑顔。
「うーん。明日やるか。今日はひとまず部屋の片付けと荷物の移動するか」
「はい、わかりました」
 明日がちょうど休みだし。一緒に出来るな。姉さんの子供だし、ゲーム内で変なことに巻き込まれないようにしないと。
 姉さんは昔から色々と持ってきて俺に押し付けてきた。総合武術の道場に誘われたと思ったら何故か俺も一緒におり、塾などに行ったと思ったら何故か俺もいる。
 喧嘩を買ってきたら俺もいる。頼み事をされると俺がやっている。
 姉の他に兄と妹いるがここまで酷くない。
 まあ、そんな姉さんの子供だから多分巻き込まれ体質の可能性あるんだよな。
「そうだ。部屋だけど隣でいい?何かあったら怖いから」
「わかりました。ありがとうございます」
 俺は鍵を持って隣の部屋を開ける。そしてそこに肌白い女性がいた。
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