『ブラックボックス』

うどん

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〜最終章〜

190.『黒キ箱』

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しおんとカエデは病院から『カモミール』の事務所まで戻って来た。


事務所にはカオリとよつばが待っていた。


よつ「あっ、ご主人様!帰ってきましたよ!」


新品に替えた事務所の窓から外を眺めていたよつばはしおんとカエデの姿に気付いた。


カオ「随分早かったですね。よつば、迎えに行ってあげなさい。」


よつ「はい!」


よつばは事務所を飛び出して2人を迎えに行った。


カオ「ふふっ……」


はしゃぐよつばの背中を見てカオリは微笑んだ。



しおんとカエデのもとによつばが駆けつける。


よつ「おかえり2人とも。」


しお「ただいま、よつばさん。」


カエ「ただいまです。」


自然と笑顔になる3人。
3人は事務所へと歩み出した。


事務所に戻ってからは今後について話をした。

便利屋『カモミール』はみつれが復帰次第、継続するか決める事に。

元々、テロ組織『BB』を追うためにつくった便利屋。
目的を達成した今、続ける意味が無くなった。
継続するかはみつれと話し合ってからだ。


カオリとよつばはこの街を出ることになった。
なんでも専属で診ているヤクザの若頭から連絡が入ったらしい。
今日にでも街を出るそうだ。



しお「では、またしばらくお別れですね。」


カオ「ふふっ、そうですね。」


カオリは微笑みながらよつばの頭を撫でながら言った。


カオ「うちの娘がお世話になりました。」


一気に赤面するよつば。
カオリに『娘』と呼ばれるのが嬉しい様子だった。


しお「カオリさん、よつばさん、ありがとうございました。」


しおんとカエデは深々と頭を下げる。


カオ「またなにかあれば連絡くださいね。ではまた。行きますよ、よつば。」


よつ「は、はい!ご主人様!」


事務所を出ていくカオリを追いかけるよつば。


よつばは事務所を出ていく前に振り返った。


よつ「・・・色々あったけど、楽しかったよ!またなッ!!」


よつばは満面の笑みをしおんとカエデに見せた。
2人の反応を見ずによつばは主人の元へ走っていった。



カエ「・・・素敵な人たちでしたね。」


しお「そうだね。とても裏社会の人間とは思えない程、いい人たちだね。」



しおんとカエデは微笑みあった。


その後は、2人で事務所の片付けをし、いつの間にか夜にさしかかっていた。


しお「あ、もうこんな時間だね……。カエデちゃん、家まで送っていくよ。」


カエ「ありがとうございます。よろしくお願いします。」


しおんはカエデを自宅まで送った。


しお「明日から学校だよね?終わったらまた連絡してよ。一緒にみつれさんのお見舞いに行こう。」


カエ「はい。では、お疲れ様でした。」


カエデは自宅に入っていった。


しおんは急ぎ足で事務所に戻る。


亡き父、ユウゼンから預かったボールペンとネックレス。
このボールペンはただのボールペンでは無く、ボールペン型のUSBメモリーだ。

その中には組織の機密情報が入っているらしい。

ネックレスはなんなのか聞きそびれてしまったので今のところなんなのかわからない。


しお「・・・」


時刻は23時前。
しおんは事務所に到着するとすぐにパソコンを起動する。



しおんは先にネックレスを調べる事にした。
ネックレスを細かく調べていくと、やはりと言ったところか、ネックレスの中に小さなマイクロSDメモリーが入っていた。


しおんはSDメモリーをパソコンに読み込んだ。



中身を見てみると、それはしおんの幼き頃の家族写真だった。


しお「・・・こ、これ……」


メモリーの中にはメッセージが入っていた。


『これをみているということは、俺は組織に始末され、もうこの世にいないだろう。このメッセージをみているのが、しおん……お前だと切に願っている。今までお前には苦労を掛けた。母さんが亡くなった時、お前は母さんのそばにいてくれたのを俺は知っている。最期までそばにいてくれたことに感謝する。…駄目な父親ですまなかった。』


中にはメッセージと共に家族の写真があった。


『俺にその資格は無いとは思うが、これだけは言いたい。俺はお前と母さんを愛してる。』



ここでメッセージは終わった。


しお「・・・父さん……」


このネックレスの中に入っていたデータには、父親 ユウゼンの想いが記されていた。




ボールペン型のUSBを挿入し、中に入っているデータを確認する。


するとファイルにはセキュリティが掛かっていた。

しお「4桁のパスワード……これならすぐ出来そうだね。」


しおんはツールを使い、パスワードを解析していく。
パスワードを解くのにたいした時間は掛からなかった。


しお「さて……中身は………え?これ………」


しおんが開いたファイル。
そこにはこう記されていた。



『BLACK BOX計画』


しお「・・・ブラックボックス計画……」


そのファイルには『BB』の組織図、今後の作戦やターゲットが記されていた。


しお「なんだこれ……僕らがとめなかったらこの計画が実行されてたってことか……」


中にはユウゼンの言葉である事が綴られていた。

【今やこの国において情報の解像度があがり、政府の汚い部分が露見し始めた。しかし、まだ国民に気づかれていない『みえない黒い闇』が存在することを我々は知っている。その『みえない黒い闇』によってこの国は動いている。我々はそれを破壊しなければならない。我々が『ブラックボックス』となり、この国を、民を導く。】


しお「・・・父さん……」



しおんはファイルをある程度目を通した。
そして計画ファイルの中に『R』というファイルを見つけた。


しお「『R』?なんだろこれ……」


しおんは『R』のファイルを開く。


それは大幹部 リカに関するファイルだった。



しお「・・・嘘でしょ……まさか……」



しおんは内容に思わず驚愕した。
そこで、しおんのスマホが鳴り響く。



しお「ん?こんな時間に……誰からだろう?」


着信画面を見ると着信元は病院からだった。


しおんは病院からの電話に出た。



しお「・・・もしもし………はい、そうです。…………えっ!?すぐ向かいます!!」




しおんは事務所を飛び出し、灯りが灯った街を一心不乱に走り抜ける。






深夜未明・・・





みつれが姿を消した。





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