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第3章
鬼王神社の夏祭り 7
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「えっとさ、ももにちょっと聞きたいんだけど、どんとの事なんだけど… 」
「なあに? 」
「ほら、小学生の頃隣町のホームレスの溜まり場にふらふら行って保護されたり、向こう町のドヤ街にふらふら行って保護されたり、炊き出しの場所で保護されたり何度もしてるだろ、何をしたいんだかさっぱり私には分からないんだけどね」
「この頃は朝、廃墟の裏で本読んでる」ももが言った。
「そう…だからか、新聞配達行くのに教科書と制服持っていってんだ…」
「どんとにいちゃんお外が好きなのかな? 」
さくらが、横綱揚げを食べる手を休めて笑いながら言った。
「それだといいんだけどさ、中学に入って落ち着いていたから安心してたんだけど、いやね、この頃時々、五時頃になるとどっかに行って帰ってくるのは八時くらいの事があるんだけど、また放浪癖がはじまったのか、ちょっと心配でね」
どんとは、蘭さんの一人息子だ──父親はいない。
「野川の方にいくのみたー」さくらが言った。
「え、野川、そんなところでなにしてるんだろうねぇ…」
「今度会ったら聞いてみようか? 」
ももがいった。ポリポリ、横綱揚を食べながら…。
「それとなく聞いてくれるかい、私には何にも言わないから」
「わかった、そうする」
「そういや、かえでは、もうそろそろかい? 」
「うん、お祭りが終わって夏休みに入ったころだって、赤ちゃん産まれるの」
「男、女、どっち? 」
『女の子ー』
「コリャ、コリャ、鬼王小町三人娘になるじゃんか」
『うふふふ! また女の子ー』
「あはは、いいよ、茂はでろでろになるよな」
「うふふ、あはは…」
ハックション! 同じアーケード街の一角で、神馬茂がくしゃみをした。
「誰か噂してんな…それとも風邪か…」
茂は神馬不動産で一人、机に座っていた。
たった一人いる従業員の刈谷は営業で出ている。以前は妻のかえでも店に出ていたが、出産を控えてお休みしている。加えて会長の神馬権三は、言わないと何もしない。
「ごんちゃんは祭りの準備で忙しいかい? 」
「うん、そうみたい」
──ごくごく…ブラッドオレンジジュースを飲み干す二人。
「あー、すっごい、美味しかった」
さくらが大声をあげる。
「横綱揚げも、ご馳走様でした」
ももがにこやかにいう。
「うん、頑張ってな、ごんちゃんにサービスするから、たまにはお店に来ておくれって言っといてな、何しろ私とどんとの命の恩人なんだから」
「わかったー」
ももとさくらはブロック塀の角からぽんと裏道に降り立つと、手を降って横切り『廃墟のみち』に入った。
蘭は一人で考え込む。
──うーん、どんとの奴、川でなにしてるんだろうね…釣りかな、いや違うな、そんなことする奴じゃない…
「なあに? 」
「ほら、小学生の頃隣町のホームレスの溜まり場にふらふら行って保護されたり、向こう町のドヤ街にふらふら行って保護されたり、炊き出しの場所で保護されたり何度もしてるだろ、何をしたいんだかさっぱり私には分からないんだけどね」
「この頃は朝、廃墟の裏で本読んでる」ももが言った。
「そう…だからか、新聞配達行くのに教科書と制服持っていってんだ…」
「どんとにいちゃんお外が好きなのかな? 」
さくらが、横綱揚げを食べる手を休めて笑いながら言った。
「それだといいんだけどさ、中学に入って落ち着いていたから安心してたんだけど、いやね、この頃時々、五時頃になるとどっかに行って帰ってくるのは八時くらいの事があるんだけど、また放浪癖がはじまったのか、ちょっと心配でね」
どんとは、蘭さんの一人息子だ──父親はいない。
「野川の方にいくのみたー」さくらが言った。
「え、野川、そんなところでなにしてるんだろうねぇ…」
「今度会ったら聞いてみようか? 」
ももがいった。ポリポリ、横綱揚を食べながら…。
「それとなく聞いてくれるかい、私には何にも言わないから」
「わかった、そうする」
「そういや、かえでは、もうそろそろかい? 」
「うん、お祭りが終わって夏休みに入ったころだって、赤ちゃん産まれるの」
「男、女、どっち? 」
『女の子ー』
「コリャ、コリャ、鬼王小町三人娘になるじゃんか」
『うふふふ! また女の子ー』
「あはは、いいよ、茂はでろでろになるよな」
「うふふ、あはは…」
ハックション! 同じアーケード街の一角で、神馬茂がくしゃみをした。
「誰か噂してんな…それとも風邪か…」
茂は神馬不動産で一人、机に座っていた。
たった一人いる従業員の刈谷は営業で出ている。以前は妻のかえでも店に出ていたが、出産を控えてお休みしている。加えて会長の神馬権三は、言わないと何もしない。
「ごんちゃんは祭りの準備で忙しいかい? 」
「うん、そうみたい」
──ごくごく…ブラッドオレンジジュースを飲み干す二人。
「あー、すっごい、美味しかった」
さくらが大声をあげる。
「横綱揚げも、ご馳走様でした」
ももがにこやかにいう。
「うん、頑張ってな、ごんちゃんにサービスするから、たまにはお店に来ておくれって言っといてな、何しろ私とどんとの命の恩人なんだから」
「わかったー」
ももとさくらはブロック塀の角からぽんと裏道に降り立つと、手を降って横切り『廃墟のみち』に入った。
蘭は一人で考え込む。
──うーん、どんとの奴、川でなにしてるんだろうね…釣りかな、いや違うな、そんなことする奴じゃない…
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