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第3章
鬼王神社の夏祭り 11
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お祭りに使う御神輿は、中道商店街のパティオに隣接した、町の備蓄倉庫の一角で保管されている。
茂とかえで、すみれおばあちゃん、もも、さくら、権三を除く神馬家の面々がそこにいた。
ももとさくらは真っ白な作務衣に、赤い鼻緒の黒い下駄、アップした髪をお団子にして、キリリと捻り鉢巻を締めている。そして、首にはすみれからもらった御守りが下げられていた。
入り口のシャッターは開け放たれ、いい具合に日差しが差し込む。
鬼王睦会の法被を着て、白褌に足袋、捻り鉢巻をした町役場の担ぎ手と町の屈強たる有志が総勢80名ほど、神馬家の面々を取り囲むように輪になっている。
アメリカ系、ロシア系、インド系、ヨーロッパ系、アジア系…色々な人種が同じ格好で参加している。もちろん学校で警備をしてくれている中国人の李さんも、影の氏子衆一組隊長のマックも来ていた。
誰も宗教や人種の違いなど持ち込まない。
『町は家族』──その気持ちさえあれば誰も拒ばない。この町はそうした礎の上に造られている。
「じゃあお願いします」
茂は言った。
「イエース! 担ぎ手は中へ」
マックがそう言った。
『うーす』
担ぎ手が全員動いた。
そして、四本あるかつぎ棒の下に潜り込み、隊列を組む。先頭で全体を見渡すように立っている、肌の黒いマック。
「用意はいいですか」マックが言う。
『うーっす』担ぎ手が応える。
「神輿上げェ」
『そいや! そい! 』
掛け声とともに御神輿が置き台の上から持ち上がる。
鬼王神社の御神輿は大きい。台輪寸法が高さ130センチほど、唐破風の屋根には金の鳳凰、四隅には提灯が掲げられ、神殿を模した形状で鳥居や狛犬、鬼王神社に祀られた宝玉ととともに、その昔からこの地に伝わってきた御神輿だ。
だが通常中心に置かれる神鏡の部分には、小さな白い玉が置かれている。
──差し込む日差しに鳳凰が煌めいた。
この御神輿は普通のものとは少々違う造作があった。それは御神輿の前後に人が乗れる板が張ってあり、屋根には前後に小さな握り棒が取り付けられている点だ。
「もも、さくら、がんばって! 」
お母さんのかえでが声をかける。
『うん』
二人は下駄を脱いで裸足になると、お姉ちゃんのももはマックに抱えられて前の乗り台に、妹のさくらは茂に抱えられて後ろの乗り台に乗せられた。
そして、二人とも握り棒をしっかり握った。
「二人ともダイジョウブ? 」
マックが聞く。
『はい! 』
「その場担ぎ、ハジメ」
マックの掛け声とともに担ぎ手が、その場でステップを踏む。
そいや、そいや、そいや、そいや…
威勢の良い掛け声と共に揺れ動く御神輿、前後の乗り台で嬉しそうな顔をしているさくらともも。
掛け声に合わせて、鬼王と赤字で書かれた真っ白な扇子を広げて仰ぐ。
「そいや、そいや」
ももが声を合わせる。
「キャッ、キャッ、キャッ…」
大喜びのさくら。
そいや、そいや、そいや、そいや…
茂とかえで、すみれおばあちゃん、もも、さくら、権三を除く神馬家の面々がそこにいた。
ももとさくらは真っ白な作務衣に、赤い鼻緒の黒い下駄、アップした髪をお団子にして、キリリと捻り鉢巻を締めている。そして、首にはすみれからもらった御守りが下げられていた。
入り口のシャッターは開け放たれ、いい具合に日差しが差し込む。
鬼王睦会の法被を着て、白褌に足袋、捻り鉢巻をした町役場の担ぎ手と町の屈強たる有志が総勢80名ほど、神馬家の面々を取り囲むように輪になっている。
アメリカ系、ロシア系、インド系、ヨーロッパ系、アジア系…色々な人種が同じ格好で参加している。もちろん学校で警備をしてくれている中国人の李さんも、影の氏子衆一組隊長のマックも来ていた。
誰も宗教や人種の違いなど持ち込まない。
『町は家族』──その気持ちさえあれば誰も拒ばない。この町はそうした礎の上に造られている。
「じゃあお願いします」
茂は言った。
「イエース! 担ぎ手は中へ」
マックがそう言った。
『うーす』
担ぎ手が全員動いた。
そして、四本あるかつぎ棒の下に潜り込み、隊列を組む。先頭で全体を見渡すように立っている、肌の黒いマック。
「用意はいいですか」マックが言う。
『うーっす』担ぎ手が応える。
「神輿上げェ」
『そいや! そい! 』
掛け声とともに御神輿が置き台の上から持ち上がる。
鬼王神社の御神輿は大きい。台輪寸法が高さ130センチほど、唐破風の屋根には金の鳳凰、四隅には提灯が掲げられ、神殿を模した形状で鳥居や狛犬、鬼王神社に祀られた宝玉ととともに、その昔からこの地に伝わってきた御神輿だ。
だが通常中心に置かれる神鏡の部分には、小さな白い玉が置かれている。
──差し込む日差しに鳳凰が煌めいた。
この御神輿は普通のものとは少々違う造作があった。それは御神輿の前後に人が乗れる板が張ってあり、屋根には前後に小さな握り棒が取り付けられている点だ。
「もも、さくら、がんばって! 」
お母さんのかえでが声をかける。
『うん』
二人は下駄を脱いで裸足になると、お姉ちゃんのももはマックに抱えられて前の乗り台に、妹のさくらは茂に抱えられて後ろの乗り台に乗せられた。
そして、二人とも握り棒をしっかり握った。
「二人ともダイジョウブ? 」
マックが聞く。
『はい! 』
「その場担ぎ、ハジメ」
マックの掛け声とともに担ぎ手が、その場でステップを踏む。
そいや、そいや、そいや、そいや…
威勢の良い掛け声と共に揺れ動く御神輿、前後の乗り台で嬉しそうな顔をしているさくらともも。
掛け声に合わせて、鬼王と赤字で書かれた真っ白な扇子を広げて仰ぐ。
「そいや、そいや」
ももが声を合わせる。
「キャッ、キャッ、キャッ…」
大喜びのさくら。
そいや、そいや、そいや、そいや…
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