陽あたりのいいパティオ 〜ももとさくらは人類最強です〜

あかぎ さわと

文字の大きさ
47 / 93
第4章

災害警報発令中 2

しおりを挟む
 ごんちゃんは町役場の町長室に現れた。
 室内の電気をつけて、テレビのスイッチを入れると、携帯電話で息子の茂に電話した。
 茂もまた、一人、リビングでテレビのニュースを見ていた。
「茂か? 」
「はい」
「パティオの屋根を閉めておけ、今日はお店は休みだ、忙しくなるぞ」
「そうします、父さんはもう町長室に? 」
「ああ、緊急招集をかけないといかん」
「わかりました」
 茂はそう答えて携帯電話を切ると、洋館の地下に作られた、コントロールルームへと向かう。そこには、出入り口やパティオのあちこちを映したモニターがいくつも置かれ、なにやらスイッチがたくさん並ぶパネルがある。中にはゲームのコントローラーみたいなジョイスティックも繋がっている。
 茂は中央の椅子に座ると、正面のパソコンをスリープから起動させた。
 パソコンの画面に中道商店街のパティオの見取り図や、機器の起動状況が表示される。
 『屋根開閉スイッチ』を『開』から『閉』に切り替え、備蓄倉庫の昇降機と町役場の昇降機のスイッチを『待機』内側のシャッター上部を『閉』に切り替えた。
 パソコンの見取り図に屋根のマークが点滅し、町役場と備蓄倉庫の二階にある昇降機の稼働とシャッターの稼働を知らせる点滅がはじまった。
 パティオを取り囲む備蓄倉庫以外の、三方の建物が同じ高さなのには訳がある。ドーム球場のようにスイッチ一つで屋根がせり出してくるのだ。
 ウィーンウィーン…屋上にある四方の黄色い回転灯が回ると、ゆっくり屋根が張り出してきて、パティオの上空を覆うと、雨を完全にシャットアウトした。
 防災倉庫は屋根が少々低いので、その部分は雨が入らないようにアーチ型に覆うとともに、換気口として少し空けてある。
 入り口のシャッターも上部へと伸びて、隙間なく空間を塞ぎ、いざとなれば、もう一枚外側にも同じシャッターを下ろす事ができる。

 ──バッ!バッ!

 暗くなったパティオの内部を、周囲のビルの背面に取り付けられている照明が照らす。
 芝生広場の緑が浮き上がり、周囲の林が密閉された空間に、憩いをもたらす。
 真っ白な洋館が一棟おとぎ話の世界のような雰囲気をもたらし、安心感を与えてくれる。
 全てのビルは隙間を埋めてあり、シャッターも完全密閉なので、これでパティオ内部に水が入る事はない。
 同時に、備蓄倉庫の二階と町役場の二階背面の一部がせり出してくると、四基の昇降機になった。これで物資の運搬や人の出入りを行う。
 備蓄倉庫は一階が公用車の車庫と御神輿置き場、二階が食料やテントなどの備品置き場、三階から五階は畳張りの空間になっており普段は合氣道や柔道、空手の道場して使われているが、非常時には宿泊場所としても使われる。これでパティオの内部と町役場、備蓄倉庫を合わせて一万人規模の収容ができる防災拠点が出来上がった。
 勿論役場には、非常用の自家発電機も備えてある。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...