113 / 159
第2章 夏
◆今日のおやつは、ツルンとトロ~リ、キンキンです
しおりを挟む
夏が最後の命を燃やすかのように、執念深く舞い戻ってきたある日――
「今日は朝から暑いね~」
私は、ジリジリと肌を焦がす陽射しに顔をしかめた。
隣では、同じように空を仰ぐ二匹の姿が。
「ギャギャァ…」
「プギィ…」
ため息までついている。どうやらこの子たちも、この容赦ない陽射しにはうんざりしている様子。
こんな日は、ツルンと冷たくて甘~いデザートで元気を回復!なんてどうかしら。
ちょうど一仕事終えたところだし、時間もちょうどいい。
材料もたっぷりあるし――よし、三時のおやつに、アレを作っちゃおう!
キッチンに戻って、さっそく腕まくり。
「ガチャ丸~、これ割って~」
手渡したのは、以前グランルフォラで夏藍葉と一緒に採ってきたラウナミの実。
ガチャ丸は、小さなハンマーを片手にトントン、と軽やかに実を真っ二つに割っていく。
私じゃ、ハンマーを使ってもとても割れないくらいの硬さ。
ガチャ丸の並外れた力が本当に頼もしい。
この子たちの存在のありがたさを、こういうときにしみじみ感じる。
――だからこそ。
私も、この子たちにしてあげられることは、精一杯やってあげたいって、心から思う。
さて、割ってくれたラウナミの実。
大きさはラグビーボールくらいで、形もそっくり。
そして、見た目はココナッツの実に近くて、もじゃもじゃの繊維質に覆われた硬い殻の内側には、真っ白なの固い果肉がぎっしりと詰まっている。
ちなみに、残念ながらココナッツウォーター的なものはない。
今回は、この真っ白な果肉を使うんだけど――
実はラウナミの実って、殻から中身まで、まるっと無駄なく使える優れモノ。
特に農家にとって嬉しいのが、この“もじゃもじゃ”部分。
しっかり乾燥させて粉砕すれば、作物の株元に敷いて乾燥防止や雑草抑制ができる“マルチ”の代わりに。
また、土にすき込めば、保水性・通気性・排水性がグンとアップした優秀な土壌になるの!
そして、もじゃもじゃを毟った後の殻は、工芸スキルで加工すれば丈夫で軽い器やお皿に大変身。
環境負荷もゼロの超絶エコで素朴な、味わい深い素敵な食器になるの。
うちでは毎年、冬になるとこのラウナミの殻を使って、手仕事をするのが恒例行事になってるんだよ。
さてさて。
今年もたくさん収穫できたし、さっそく果肉をこそげていこう!
スプーンをサクッと入れて、殻のカーブに沿ってズルン。
毎年の作業だから、もう慣れたもの。
次に、スチーレで買ったミンサーの粉砕アタッチメントを使って、果肉を細かい粉にしていく。
果肉にはほとんど水分がないから、削ればサラサラの真っ白な粉になる。
この粉こそが、今日の主役――
「白玉粉もどき」!
“もどき”って呼んでるけど、南国風味がほんのり香るくらいで、性質も味わいもほぼ白玉と変わりなし。
できたての白玉粉に適量の水を加えて、耳たぶくらいの柔らかさになるまでしっかり練る。
それを棒状にのばして、均等に切って、丸く成形。
そして沸騰したお湯にポンポン入れて、浮き上がってから数分茹でたら水に取る――
白玉団子、完成!
続いて、餡の準備。
お醤油・砂糖・みりん・片栗粉を混ぜて、ゆっくり火にかける。
今作っているのは“みたらし餡”。
絶えずかき混ぜて、とろみがついたら火から下ろす。
冷やすと少し固くなるから、ちょっと緩めかな?くらいで止めるのがコツ。
それと、砂糖は思い切ってお醤油の3.5~4倍入れると、「あ~、コレコレ!」っていう、あの味のみたらし餡になるよ!
「しーちゃ~ん、これ冷やして~」
「プギィー!」
あっという間に完成!
ラウナミの器に盛り付けた、冷やしみたらし団子!
みんなで泉に行って、涼みながら一緒に食べようね!
「ギャギャー!」
「プギー!!」
「今日は朝から暑いね~」
私は、ジリジリと肌を焦がす陽射しに顔をしかめた。
隣では、同じように空を仰ぐ二匹の姿が。
「ギャギャァ…」
「プギィ…」
ため息までついている。どうやらこの子たちも、この容赦ない陽射しにはうんざりしている様子。
こんな日は、ツルンと冷たくて甘~いデザートで元気を回復!なんてどうかしら。
ちょうど一仕事終えたところだし、時間もちょうどいい。
材料もたっぷりあるし――よし、三時のおやつに、アレを作っちゃおう!
キッチンに戻って、さっそく腕まくり。
「ガチャ丸~、これ割って~」
手渡したのは、以前グランルフォラで夏藍葉と一緒に採ってきたラウナミの実。
ガチャ丸は、小さなハンマーを片手にトントン、と軽やかに実を真っ二つに割っていく。
私じゃ、ハンマーを使ってもとても割れないくらいの硬さ。
ガチャ丸の並外れた力が本当に頼もしい。
この子たちの存在のありがたさを、こういうときにしみじみ感じる。
――だからこそ。
私も、この子たちにしてあげられることは、精一杯やってあげたいって、心から思う。
さて、割ってくれたラウナミの実。
大きさはラグビーボールくらいで、形もそっくり。
そして、見た目はココナッツの実に近くて、もじゃもじゃの繊維質に覆われた硬い殻の内側には、真っ白なの固い果肉がぎっしりと詰まっている。
ちなみに、残念ながらココナッツウォーター的なものはない。
今回は、この真っ白な果肉を使うんだけど――
実はラウナミの実って、殻から中身まで、まるっと無駄なく使える優れモノ。
特に農家にとって嬉しいのが、この“もじゃもじゃ”部分。
しっかり乾燥させて粉砕すれば、作物の株元に敷いて乾燥防止や雑草抑制ができる“マルチ”の代わりに。
また、土にすき込めば、保水性・通気性・排水性がグンとアップした優秀な土壌になるの!
そして、もじゃもじゃを毟った後の殻は、工芸スキルで加工すれば丈夫で軽い器やお皿に大変身。
環境負荷もゼロの超絶エコで素朴な、味わい深い素敵な食器になるの。
うちでは毎年、冬になるとこのラウナミの殻を使って、手仕事をするのが恒例行事になってるんだよ。
さてさて。
今年もたくさん収穫できたし、さっそく果肉をこそげていこう!
スプーンをサクッと入れて、殻のカーブに沿ってズルン。
毎年の作業だから、もう慣れたもの。
次に、スチーレで買ったミンサーの粉砕アタッチメントを使って、果肉を細かい粉にしていく。
果肉にはほとんど水分がないから、削ればサラサラの真っ白な粉になる。
この粉こそが、今日の主役――
「白玉粉もどき」!
“もどき”って呼んでるけど、南国風味がほんのり香るくらいで、性質も味わいもほぼ白玉と変わりなし。
できたての白玉粉に適量の水を加えて、耳たぶくらいの柔らかさになるまでしっかり練る。
それを棒状にのばして、均等に切って、丸く成形。
そして沸騰したお湯にポンポン入れて、浮き上がってから数分茹でたら水に取る――
白玉団子、完成!
続いて、餡の準備。
お醤油・砂糖・みりん・片栗粉を混ぜて、ゆっくり火にかける。
今作っているのは“みたらし餡”。
絶えずかき混ぜて、とろみがついたら火から下ろす。
冷やすと少し固くなるから、ちょっと緩めかな?くらいで止めるのがコツ。
それと、砂糖は思い切ってお醤油の3.5~4倍入れると、「あ~、コレコレ!」っていう、あの味のみたらし餡になるよ!
「しーちゃ~ん、これ冷やして~」
「プギィー!」
あっという間に完成!
ラウナミの器に盛り付けた、冷やしみたらし団子!
みんなで泉に行って、涼みながら一緒に食べようね!
「ギャギャー!」
「プギー!!」
605
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
『彼を解放して!』とおっしゃいましたが、何から解放されたいのですか?
シエル
恋愛
「彼を解放してください!」
友人たちと教室に戻ろうとしていると、突如、知らない令嬢に呼び止められました。
「どなたかしら?」
なぜ、先ほどから私が問いかける度に驚いているのでしょう?
まるで「え!?私のこと知らないの!?」と言わんばかりですけれど、知りませんよ?
どうやら、『彼』とは私の婚約者のことのようです。
「解放して」とおっしゃっいましたが、私の目には何かに囚われているようには見えないのですが?
※ 中世ヨーロッパモデルの架空の世界
※ ご都合主義です。
※ 誤字、脱字、文章がおかしい箇所は気付いた際に修正しております。
婚約パーティーで婚約破棄を
あんど もあ
ファンタジー
王太子妃候補たちによる一年間の王太子妃教育を勝ち抜いて、王太子の婚約者となったサフィラ。幸せいっぱいの婚約発表パーティーで、サフィラはライバルのシャノンの本意を知って敗北を感じてしまう。果たして王太子妃の行方は……?
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
うちに待望の子供が産まれた…けど
satomi
恋愛
セント・ルミヌア王国のウェーリキン侯爵家に双子で生まれたアリサとカリナ。アリサは黒髪。黒髪が『不幸の象徴』とされているセント・ルミヌア王国では疎まれることとなる。対してカリナは金髪。家でも愛されて育つ。二人が4才になったときカリナはアリサを自分の侍女とすることに決めた(一方的に)それから、両親も家での事をすべてアリサ任せにした。
デビュタントで、カリナが皇太子に見られなかったことに腹を立てて、アリサを勘当。隣国へと国外追放した。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。